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幸せの丸い貝
登録者:えっちな名無しさん
作者:
(・∀・)29(・A・)27


 大学で日本の風俗を研究している私は、休みを利用して、東北の海沿いの道路を歩いていた。
 道路から階段が伸びていて、下には岩 
場がある。
ふと下りてみたそこには1人の少女がいた。
 少女は岩場を、何かを探すように歩いていた。
 「何か探しているのですか」
 私は声を掛けた。
 「貝を」
 少女は言った。
 「幸せの丸い貝を探しています」
 貝とはまた奇妙だ。
それは希少で高級な貝なのかと問えば違うという。
 食用かと問えば、食べる人もいるが、と言う。
となると、恐らく貝殻が必要なのだろう。
 「祭で必要なのです」
と少女は言う。
 「幸せの丸い貝が無いと、祭が台無しになってしまう」
その話に興味を持った私は祭のことを少女に問うが、少女はよくわからないという。
 親類が詳しいというので、頼み込んで家まで案内してもらった。
 少女の家はまさに祭りの前日といった様子で、着くなりたくさんのご馳走で歓迎された。
 酒が入っていたからだろう。
ろくに質問もせぬうちに私は眠ってしまった。
 目を覚ますと、もう祭りは始まっていた。
 少女はいない。
 私は一番近くにいた人に話し掛ける。
 「幸せの丸い貝は見つかったのですか」
 「ああ、もうここにあるよ」
やがて祭りは佳境に入り、私は幸せの丸い貝がどんなものなのか理解した。
ああ、それにしても奇妙な風習じゃないか。 
出典: 贄
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