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登録者:えっちな名無しさん
作者:名無しの作者
(・∀・)9(・A・)26


 土曜の昼下がりの雨の中、僕のアパートに突然入江文香が訪ねて来た。彼女は申し訳なさそうに、
「じゃま?」
 と前髪の雨粒を手で拭いながら言った。僕は、そんなことないよと言って、幸田小枝との約束まで、まだ時間があることを確かめた。文香の全身は雨に打たれたとしても、余りに濡れそぼっている。僕は、急いでバスタオルを彼女に差し出した。髪を拭きながら彼女はつぶやく。
「そう言えば、前にも同じようなことがあったよね」
「そうだったね」
 僕は、そう言って微笑んだ。
 あれは、文香とはじめて会った時だった。僕は入社したてで外回りの研修課題に飛び回っている時だった。朝から酷いにわか雨に降られ、喫茶店の店先で雨宿りしていた。タクシーを拾おうとしたが、突然の雨に中々止まらなかったのだ。あきらめて雨といをながめていると、リクルートスーツの女性が飛び込んできた。僕は、連日の徹夜仕事で風呂に入っていなくて距離をおこうとしたが、彼女に腕を掴まれた。
「すみません。わたしが、おじゃましちゃって。ここに居てください。わたしが、行きますから」
 そう言って、彼女は雨の中を行こうとした。僕は、咄嗟に言葉が出た。
「もし、よかったら、喫茶店で雨宿りしませんか?」
 彼女は、少しだけ迷ったようだが、すぐになにかをあきらめたように、言った。
「しょうがないな。こんな身なりじゃ、面接は無理よね? おとなしく雨宿りしようっと」
 それから僕たちは喫茶店に入ると、店員が持って来てくれたタオルで雨を拭った。そうは言っても、女性だからゴシゴシやる訳にもいかず、タオルを顔に押し当てたという仕草だったが。
 まだ、五月の雨が冷たい季節。けれど今日は朝からお日さまが出て、降る気配はなかった。もし、降ると分かっていたらコートを着て来ただろうに。彼女は、会社に謝りの電話を入れると、肩をすぼめてガタガタと震えている。僕は、ジャケットを脱いで彼女に被せた。この際、汗の臭いなんて気にしている場合ではない。
 彼女は、少し驚いたような顔をして、
「ありがとう」
 とはにかんで、頭をさげた。
 それから、僕らは付き合うことになる。僕は、彼女の就職を応援して、彼女は僕にいやしを与えてくれた。そして、彼女が就職の内定をもらった日に、僕たちは結ばれた。どこにでもある、しかし僕らだけの時間が確かにあった。
 だが、付き合いだしてから二年
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