TOP
3次ページ→

油絵
登録者:えっちな名無しさん◆Eg2dVo4A
作者:名無しの作者
(・∀・)8(・A・)5

 これは知人から教えてもらった、田中さん(仮名)という方が体験されたお話です。
 当時、田中さんはとある不動産会社で働いておられたそうです。そんなある日、会社に一本の電話がかかってき、田中さんが対応されました。
 電話の相手は、田中さんの会社が扱っていた中古物件に以前住んでいた元家主で、山本(仮名)と名乗る男性でした。
「引っ越しの際に、リビングに飾っていた油絵を置いたまま出て行ってしまった。今は遠方で暮らしていてなかなか出向く事が難しいため、申し訳ないけれど、そちらの方で処分しておいてくれないか」
 そんな感じの事を山本さんは言ってきたそうです。
 油絵くらいなら別に支障はないだろうと、田中さんは軽い気持ちでその旨を承諾し、山本さんとの電話を終えました。
 後日、仕事の所用でたまたまその物件の近くに行く機会があり、田中さんは山本さんの電話を思い出し、ついでにその場所へと向かったそうです。
 そこは二階建てのごく普通の一軒家。建てられてからかなりの年月が経過している様子で、外壁は汚れていたり表面が剥げていたりと、新居を探している人間にはイマイチ心惹かれる物件ではなさそうでした。それでもまだまだリフォームをすれば再活用出来そうで、そこまで老朽化が進んでいる訳でもなかった様です。
 田中さんは会社から持ってきた鍵で玄関を開け、中へと入りました。
 玄関を上がった途端、それまで青空の穏やかな天気だったのが一転、突然外ではかなり強い風が吹き出したようで、開けっ放しにしていた玄関のドアがバタンッ!と勢いよく締まり、ガタガタガタガタ!とガラス戸や雨戸が一斉に鳴り出したため、田中さんは思わずビクッとなり大変驚かれたそうです。
 それでも薄暗い廊下を歩き、田中さんはリビングへ。電話で言っていた通り、そこに油絵があったそうです。
 家財道具は跡形もなく撤去された部屋の片隅に、20号程のサイズの額縁に納められたその油絵は、壁に立て掛けられていました。
 絵は、長いブロンド髪に白い肌の十五歳前後といった風貌の少女が描かれており、椅子に彼女がちょこんと座っているのを、真正面から見た構図だったそうです。少女の身なりや服装からして、十七〜八世紀くらいのヨーロッパ貴族のお嬢様といった感じで。理知的な雰囲気と端正な顔立ちの美少女でした。田中さんはしばらくその油絵に魅入ってしまったそうです。
 それま
3次ページ→
TOP