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車いすの妹
登録者:えっちな名無しさん
作者:名無しの作者
(・∀・)6(・A・)1

1: 投稿者:ひどい兄貴 投稿日:2013/08/21 18:19:30
僕の妹には、膝から下の足がない。
中学の時に両足を車に轢かれて以来、車いすの生活を強いられている。
当時、大学に入ったばかりだった僕は、世の中の理不尽さを呪った。
どうして、リサがこんな目に・・・。何も悪いことをしていないリサが。
神様は、不公平だ、そんな風にも思った。
僕は、妹を溺愛していたので、その思いは一層強かった。
中距離走の選手だったリサから、事故は、走る喜び、笑顔、未来、その全てを奪い去った。
しかし、長い入院生活の後、家に戻ってきたリサを待っていた本当の戦いは、日常生活だった。
両親は、共働きで、家はバリアフリーなんて気の利いた造りになっていないし、トイレひとつを済ませるのも大仕事だった。
僕は、大学に休学届を出して、リサの介護を引き受ける決意をした。
母は、仕事を辞めて、自分がリサの面倒を見るといったが、買ったばかりの家のローンの負担も大きく、リサのために改築をする資金も必要だった。
リサは、小さいころからお兄ちゃん子で、いつでも、どこでもついてきた。
陸上を始めたのも、僕がそうだったからだ。
そんな妹のことだから、休学をして、面倒をみることなど、苦でも何でもなかった。
しかしリサは、兄に介護をさせることをいつも心苦しがっていた。
「お兄ちゃん、あたしのために、ゴメンね」
「こんな妹の面倒を見ていたら、彼女、できないよね」
「友達と出かけるなら、言ってね。あたし、大丈夫だから」
そんなことばかり言っていた。
ただ、車いすの人間を介護するというのは、想像を遥かに超える重労働だった。
駅などの公共施設は、少しは、環境が整っているものの、世の中の殆どは、まだまだ、車いすには対応していない。
僕は、介護福祉士のテキストを買って読んだり、図書館にいって勉強したが、知識で肉体的な負担は軽減されることは殆どなかった。
両足がないというのは、日常生活に大きな制約を加えることとなる。
着替え一つにしてもそうだ。
風呂に入るとき、リサを風呂場に運んで、僕が風呂場から出てから、リサは自分で服を脱ぐことはできるが、湯船から出たり、シャワーのあとで身体を拭いて、乾いた服に着替える行為は難易度が高い。
そこで、リサは自室で服を脱ぎ、バスローブで身を包んだところを僕が風呂場に運ぶことにした。
事故
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