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助かった。そんな事を話したと思う。
お母さんはやっと少し微笑んでくれて「また遊んでやって下さい」ってまた頭下げて。
立ち話してると、制服姿の彼女が鞄持って降りてきた。
「おはようございます!」って元気な挨拶してくれた。いつもの彼女だった。
「あれ、まだ早くない?」「今日、日直なんです。」短い会話かわして、送り出した。
「…よく笑うようになってくれたんですよ。」
お母さんが、嬉しそうに言って、また頭下げた。
貸した千円は、ちゃんと言った日に返ってきた。
「あは。ホント助かりました。」恥ずかしそうにそう言って、笑った。
あの一件以来は結構自分達の事もお互い話すようになって。
「学校慣れた?」と言う俺の問いかけに答えて「あんまり居場所無いです。」
不用意に聞いた俺に普通の口調で言った時は、またやっちゃったかと。結構へこんだ。
彼女がアパートに越してきたのは小六の夏頃で、慣れる前に中学上がってまたクラス替わって。
四月に中学行き始めてもお母さん体調悪い時期で、学校休んだり途中で帰ったりで。
周囲と打ち解けるタイミングを完全に逸して、浮いてる。それ聞いてまた、へこんで。
友達とか知り合いがいなくて、寂しくて俺と接するようになったんだろうと思った。
授業すんだら真っ直ぐ家帰ってきて、洗濯とか炊事とかこなして、暇出来たらドア叩いて。
頭悪いなりに勉強しようとして手当たり次第に乱読してたから文庫本がたくさんあった。
「続き読んでもいいですか?」って、静かに小説読んでる事が多くて。
持って帰っていいよと言っても、汚したら大変だしとか言って必ず俺の部屋で読む。
飲む物とかお菓子進めても、缶一本とか一袋とかじゃ遠慮して受け取らなくて、
ボトルあけたやつ分けるとか、封切ったやつ分けるとかしてやっと食べてくれて。
それきちんとお母さんお婆さんに報告するもんだから会うたびにお礼言われて、困った。
お返しにとお母さんに色々ご馳走になった。
タイ米のチャーハンってこんなに美味い物かと驚いて、レシピ聞いたけど普通の物で。
タイ米買ってきて暫くそればっかり作って食べてたけどどうしても近づけなくて、
彼女に聞いたら「私同じに作れないから、また食べに来てください。」って返事で。
いいのかな、って思いながらも何度も食べさせて貰った。
お礼言っても「娘がお世話になってますから。」いつもそ
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