TOP
←1前 ↑2先頭 3次ページ→
コレートコーティングしたウェハースサンドだった。)をこっそり貰ったり、僕の妹のマンガ本なんかも貸してたりして、特に単行本で里中満智子先生の『悪女志願』や高口里純先生の『トロピカル半次郎』なんかは彼女のお気に入りだった。 
最初はもちろん恋愛感情は無かったが、そんな気さくで面倒見が良く、包容力あふれる彼女に母性を感じるようになって、次第に憧れるようになり、どうしても気持ちを伝えたかった僕は二年生のゴールデンウィーク明けに部活帰りに思い切って副キャプテンだった彼女を「高嶺の花」と思いながらダメ元で告白した事から交際を始めた。 
その告白の場所は近所、と言っても何故だか学校からは離れた空港ターミナル。 
首を傾げるようなシチュエーションかも知れないが、動機は特にこれと言ったものは無くただ何となくで、乗客でごったがえする騒がしい中で隣り合わせて僕の情熱を伝えた。 
最初はやはり宏恵先輩も躊躇していた。
生まれて初めて、ましてや年下の後輩男子からいきなり求愛されて動揺したんだろう。
普通女というものは明らかに自分より目上のナイトを求めるはずだ…。 
ちょっと具体性の無いキレイゴトかもだけど、僕は今以上に宏恵先輩を引き立てたい、そしてたとえ年下でも男として彼女を愉しく癒す事を約束で僕の熱い恋心を彼女は了承してくれた。 
彼女はわたくしのマッサージを気に入ってくれてわたくしも大好きな宏恵先輩のためならと気合いを入れてしてあげた。
マッサージと言ってもジャージの上から肩と脚をモミモミするものだ。 
尚、僕は部活中や公の場では彼女とはタメ口交じりの敬語で話し、苗字で「〇〇先輩」とか「〇〇さん」と呼ばせていただいたが、交際を始めてからはプライベートな場面では専らタメ口で「ヒロ」と呼んでいた。 
彼女は僕より背が高く(その頃僕、172p。宏恵先輩、174p)大人びた風貌故にかデート時に一度姉弟に見られたこともあった。 
最後の中体連を終え、副主将の宏恵先輩は全国大会まで行き好成績を飾って引退する事になり、僕は感謝の気持ちで一杯で彼女のその記録には嬉しいと同時に引退は悲しい限りだった。
ちなみにその年、僕は県大会までで、後一歩の結果だった。
尚、彼女は一年の時の新人戦では優勝している実力者だ。 
そんな彼女と交際を始めたその年、僕の水泳部は二年生、三年生ともに男女一名ずつで、新入の一年生は
←1前 ↑2先頭 3次ページ→
TOP