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。 
本気で愛してる。 
アケミもまた・・・ 
ただアケミは、若葉ちゃんの存在を気にしている。 
若葉ちゃんの母親には、なれる気がしないと。 
だから、若葉ちゃんがいるなら、結婚はしないと。 
「そんな女、やめちまえ!」 
俺は怒鳴った。 
が、早野は、「アケミと腹の子はどうなるよ?」と聞いてくる。 
「んなもん・・・勝手にするだろうよ!」 
「アケミはさ・・・俺がいないとダメなんだ。それに俺も・・・」 
「じゃ何か?お前、若葉ちゃんをどうすんの?殺す?養女にでも出すんか?」 
俺は呆れて尋ねた。 
「殺せはしないけど・・・養女に・・・」 
そして俺は、ビールをぶちまける事になった。
その後早野とは、喧々諤々となった。 
早野のだらしなさに、俺は情けなく、そしてかなり苛立っていた。 
「分かったよ、このバカ!お前は若い女と好き勝手したらいいさ。若葉ちゃんは、俺が面倒見るよ!」 
「ホントか?」 
早野の嬉しそうな顔を見て、俺は「しまった・・・」と思った。 
「お前ならさ、安心して若葉を任せられる。良かった・・・ありがとう木下。頼んだからな。」 
「いや・・・早野、ちょっと待て・・・今のは・・・」 
「口が滑ったのか?取り消すのか?武士に二言か?」 
「いや・・・だから・・・あの・・・」 
一気に形勢逆転。 
「お前から断られたらさ・・・若葉ってどうなるんだろ?どっかのエロじじいに囲われてさ・・・悲しい末路かな・・・」 
って、誰のせいやねん! 
「だから・・・その・・・早野さ〜」 
「頼む、木下!この通りだ!若葉もお前の事は慕ってる。これで皆が丸く収まるんだ。だから・・・頼む!」 
拍子抜けしたって言うか・・・ 
俺は早野に、返す言葉がなかった。
早野の行動は早かった。 
その週の土曜日には、と言っても夕方になって、若葉ちゃんをウチに連れてきた。 
「ほらっ、若葉。お前の新しいお父さんだ。ちゃんと挨拶して。」 
「若葉です。お久しぶりです。いつも父がお世話になってます。あの・・・よろしくお願いします。」 
って、若葉ちゃんも可哀想だ・・・ 
「えっと、木下。ちゃんとした父娘になるんだったら、養子縁組したがいいな。若葉は14歳だから、俺が代理人になってやるから。」 
「あのな〜早野・・・」 
「えっと・・・ちゃんと家裁に行ってから・・・それから・・・家裁には、来週の・・・そうだな。水曜日はどうだ?」 
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