妹との普通の会話

「おい、ちゃんと布団で寝ろ。風邪ひくぞ」
「んにゅー」
「起きれ」
「うーん、むにゃむにゃ。モウタベラレナイヨー」
「小ネタで返す余裕があるってことは起きてんだろ！
　さっさと布団に行け」
「兄さん、運んでー」
「甘えんな。ガキか」
「兄さんより歳下だしー」
「当たり前だろ、動け」
「だっこー」
「重いからイヤだ」
「重くねーですよ」
「重くなくてもダメだ。そういうのは好きな人に頼め」
「好きな人には結婚式のトキにやってもらう予定だからー」
「ならそれまでとっとけ」
「相手がいればねー」
「……いや、お前なら大丈夫だろ」
「そうですー？　なら、だっこー」
「話聞いてねぇ！」
「やだなぁ、聞いてますよー。だからですよー」
「なにがだ！」
「私は『お兄ちゃんと結婚するー♪』とかいう出来の良いイモウトではないのでー」
「……それを『出来が良い妹』と呼ぶのには聊か問題があるとして」
「いつか、結婚して……家、出てっちゃいますよー？」
「で？」
「今は相手居ないけど、出会いなんか偶然に訪れるもんですから、
　ヘタしたら明日にでもイイヒトと出逢っちゃって、兄さんには構ってられなくなるかも、ですよ？」
「……で？」
「だから、もしかしたらこれが最後のチャンスかもしれないですよ？」
「なにが？」
「妹をだっこするチャンス」
「いらんわ」
「……それは嫁になんかやらない宣言です？」
「ちげーっての」
「ドサクサで触っても文句言いませんよ？」
「女の子がはしたないこと言わない」
「……いつもは淫語強制するくせに」
「…………」
「兄さんは今から仕事ですか？」
「ああ、うん」
「頑張ってくださいね」
「ああ……――って寝るな」
「んゅ」
「ああ、もう。運んでやるから、せめてコタツから出れ」
「……うぃ。だっこ」
「仕方ねぇなぁ」
「……お姫さまだっこ」
「…………ばーか」
「ん」
「よっこらせ、っと」

出典：妹との日常会話
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