手記
2004/09/16 02:00 登録: えっちな名無しさん
さっちゃん。あの日から3カ月半。少年審判が終わりました。たくさんの人が彼女のことを調べてくれた結果に、父さんは戸惑っています。彼女は、程度の差はあれ、父さんたち大人が一般的に「普通」と呼んでいる子どものようです。この結果は鑑定や調査の限界だろうか。それとも「普通の子」でもこんな大変なことを起こしてしまうということだろうか。父さんには分かりません。
そして、改めて親子や家族の大切さと難しさを感じています。君は父さんの前では年齢の割に幼かったり、そのくせ時には母さんのように励ましてくれた。でも手紙やメールを読んだら(ゴメン、無断で)転校で変わったさまざまな環境に苦しんでいたんだね。知らなかった。
親が子どものすべてを理解することはできないかもしれない。でも父さんは努力が足りず、彼女とのもめごとに気づかなかった。気づいていれば何か手助けできたかもしれないのに。同じように彼女のご両親も考えてくれていたらいいね。
わが子が被害者、そして加害者になるなんて親は思っていません。だから父さんみたいに苦しまないために、同じ子を持つ大人に言えるとすれば一つだけ。「子どものすべては理解できないと分かったうえで、理解する努力を続けてください。それぞれの家がそれぞれのやり方で」
さっちゃん。彼女は学校でもちょっと気になる兆しを見せていたようです。でも大人は誰も気に留めず、手を差し出さなかった。
父さんが昔、学校を取材して「素敵(すてき)だな」と感じるクラスがありました。先生が冗談を言って笑いを取るわけではないのに明るい。先生が怒れば子どもたちは震え上がる。それでも子どもたちと先生はお互いを信頼している。そんなクラスの先生は笑顔も素敵で、先生という仕事を心の底から楽しんでいるんだなと感じました。
今の学校はどう? 先生たちは子どもと向き合うこの仕事を本当に楽しんでいる? 教育行政の人たちは自身も子どもと直接向き合う気持ちで学校を支えている?
今も君のいない寂しさがスクラムを組んでやってきます。でも多くの人の励ましでこの日にたどり着くことができました。少年審判は終わったけれど、父さんにとっても彼女にとってもこれからの半生が本当の審判です。そして父さんなりに事件を見つめ直したいと思っています。
さっちゃん。今年はクリスマスを少し楽に迎えられそうだよ。君がこの3年間、サンタさんに「母さんの声をもう一度聞かせて」とお願いしていたから、父さんはちょっと困っていた。今はもう二人一緒だよね。今年は父さんが「二人の声をもう一度聞かせて」とお願いしてみようかな。
2004年9月15日 御手洗恭二 (09/15 23:26)

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