ある夏の朝の思い出

2008/02/16 10:35 登録: えっちな名無しさん

あれは俺が高校二年生の時。
学期末試験の最終日で、それが終われば明日から試験休みで、終業式を挟んで夏休みに突入、という気分が浮き立つような朝のことだった。
いつものように電車に乗った。席は全て埋まっていて、吊革につかまって、ドア近くの通路に立った。
ふと見ると、俺の前に、20歳前半くらいのOL風のお姉さんが立っていた。
髪は肩よりちょっと下くらいの長さ。さらさらしていて柔らかそうだった。
半袖の白いシャツと、黒のタイトスカート。背はあまり高くなく、頭が俺の顎より下だったから155センチくらいだろう。
半袖のシャツから伸びた腕は、透き通るように白く、すごく華奢だった。
後ろ姿だからよくわからなかったが、時々見える斜め後ろ横顔は、すごく美人、だったね。
キレイなお姉さんだなあー、と思って見てた。そのうち電車は、駅に停車した。
その駅はいつも乗客が多く、一気にすし詰めになる。ドアが開いて、どっと押し寄せた乗客に、
反対側のドア付近まで、押されて、お姉さんをドアに押し付ける形になった。
体が密着し、変な気分になりかけたが、服越しに感じられる華奢な体を見ると、これは守ってあげないと、と
腕をドアに突っ張るように伸ばし、お姉さんを押し潰されないようにした。
ものすごい圧力がかかり、腕はしびれてブルブルと震えた。
お姉さんの髪のシャンプーの匂いを感じながら、必死に耐えた。
五分くらいそんな状態だったんだろうか?腕の感覚は麻痺して、背骨は折れそうになっていた。
駅に停車し、俺達側のドアが開いた。あまり人の乗り降りがないその駅で、お姉さんは降りた。
二、三歩、歩いてお姉さんはこっちを振り返った。想像通り、いや、それ以上の美人、だったね。
思わず見とれていると、お姉さんはニコッと笑って、

「ありがとう。キミ、かっこええなあー」

顔立ちからはちょっと意外な感じがするほど、ハスキーな声でそういうと、お姉さんは俺に手を振り、改札へ向かった。
再び閉まったドアに押し付けられながら改札を抜けていくお姉さんの後ろ姿を見送った。
正直、一目惚れ、したね。
夏休み明け、俺は車内でお姉さんを捜したが、見つからなかった。
車両を替えてみたり、時間をずらしてみたりしたが、お姉さんにはそれきり会うことはなかった。
もう5年以上前の事だし、お姉さんと関わったのはほんの十数分のことだったけど、今でもハッキリ記憶に残ってる。
今頃どうしているんだろうか、と時々思い出す。

出典:不明
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