天は遠く
2008/02/16 23:08 登録: えっちな名無しさん
一歩、また一歩と聡子は階段を確実に上っていく。
一歩、また一歩と確実に空が近づいてくる。
自分の夢が叶うのかと思うと自然と笑みがこぼれた。
いつの頃からだろう。空を飛びたいと思ったのは。
「あぁ、あれは、私の靴がゴミ箱から見つかった時だ。」
自傷気味に出した声は冷ややかな壁に吸い込まれていくようだった。
聞こえよがしの悪口やクラスメイトの嘲笑を全部無視して空を飛べたらと思ったのが一番最初で、その後は、毎日のように思い続けていた。殴られ、蹴られ何度も地面に這いつくばり、その思いは強くなっていった。
そんな、私の夢がついに叶う、いや、かなえる決心がついたんだ、と誇らしげな気持ちになる。
聡子は、ドアを開けた。
いつもは、殺風景に感じる寂しい屋上も今では、花が咲き誇る天国のように見える。
「空を飛ぶってどんな感じかな?」
聡子は両手をひろげると少しの間屋上を走り回った。腕は痛いほど風を切る。そうして旋回を何度も繰り返し、息が切れ切れになる。聡子は、満足したかのように金網を乗り越えた。
「練習は充分!いざ、空の旅へ!!」
少し芝居めいた声を上げながら聡子は、空へ飛び出した。
聡子の地面にへばりついた姿を一番に見つけるのは、誰なのだろうか。
出典:ネットデヒロタ
リンク:http://uneune321.blog.shinobi.jp/
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