姉ちゃんの事
2008/03/08 02:05 登録: えっちな名無しさん
俺の6つ上の姉ちゃんは、芸能人で言うと女優の吉本多香美に似てる。
優しくて、俺のことを良く可愛がってくれて、すごく好きだった。
姉ちゃんがいなかったら多分、俺は今とは全然別の人間になってると思う。
決定的だった出来事が、今から5年ほど前、俺が厨房三年生の時。
俺は、姉ちゃんの弟の割には、全然似てねーなーとか言われてた。
姉ちゃんはすごく明るくて友達も多かったが、俺は正反対で、
口ベタで、おとなしく、何事にも自信がなくて、いつもびくびくおどおどしている性格だった。
友達もいなかった。クラブにも入らなかった。
そんなだったから、4〜5人の同級生からいつも、イジメとまではいかないまでも、
からかわれたり、嫌がらせを受けていた。
夏休み前のことだった。帰宅途中いつもの連中と鉢合わせになり、
いつものようにこづかれたり、ヘッドロックをかけられたり、尻を蹴られたりしていた。
でも俺は何も言い返すこともできず、情けなくも愛想笑いを浮かべてるしかなかった。
周りからみれば、ただふざけあってるようにしか見えなかっただろう。
「淳じゃない、今帰り?」と言う声がして、俺も連中も驚いてそっちを見ると、
姉ちゃんが鞄を抱えて立っていた。学校帰りだったんだと思う。(姉ちゃんはそのころ学生だった)
「お友達?」そういうと姉ちゃんは笑顔で挨拶した。連中は少し決まり悪そうに挨拶していたが、
「じゃ、俺らこっちだから」「また明日な」とか言いながら逃げるようにその場を離れた。
姉ちゃんと一緒に家まで帰ったがいつもなら良く話をする姉ちゃんが怒ったような顔をして
何もしゃべらないので、俺も黙ったまま、二人で黙々と家路を急いだ。
晩ご飯食べて、自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛けてボーっとしているとドアをノックする音が聞こえた。
「淳?いいかな?入るよ」姉ちゃんだった。
姉ちゃんは俺の横に座り、しばらく黙っていたが、
「淳、あんたあの子達にいじめられてるの?」といった。俺は一瞬、
息が止まりそうな感じを覚えながらも「違うよ…ふざけてただけだよ」
「ホントに?」「……」「…ホントのこと言って」俺は黙って下を向いた。
「こっち向きなさい!」肩をつかまれて強引に姉ちゃんの方を向かされた。
姉ちゃんの顔は怒ったようにも見えたし、すごく悲しそうにも見えた。
「正直に言って…」俺は観念して全部話した。
値ちゃんは黙って聞いていたが、
「私は淳の大人しくて優しいところがすごく好き。でもね、それだけじゃあダメなんだよ。
べつに喧嘩しろとは言わない。私は淳に暴力を振るうような人間になって欲しくないから。
でも毅然とした態度をとりなさい。嫌なことは嫌だとハッキリ言えるようになりなさい。もっと自信もっていいのよ」
途中から俺はガマンできなくなって泣いてしまったからこの言葉は断片的に覚えている。
姉ちゃんは俺の肩を抱いて頭や背中をずっと撫でてくれてた。
高校進学したときはその連中とは別の学校になったから引き続きいじめられる、ということはなかった。
姉ちゃんに言われた通り、俺は自分を少し変えようと思った。
と、いってもそんなにすぐに性格も変わるわけじゃなかったし、口べたなのは相変わらずだったけど、
自信のないビクビクした態度だけは取らないようにした。言うべき時はきちんと言うようにした。
そのおかげか、高校ではイジメの標的になることはなかったし、多くはなかったが友人もできたし、
彼女もできた。それなりに楽しい高校生活を送ることが出来た。大学生活も結構楽しめてる。
姉ちゃんは去年の春に結婚してもうすぐ子供も産まれる。この間あったときはだいぶ目立ってきた
お腹をそっと撫でながら「淳みたいに優しい子になってくれるといいな」って言ってた。
生まれたときには精一杯お祝いしてあげようと思う。
出典:姉ちゃんスレ
リンク:とっくにDAT逝き

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