名も無き羊飼い
2008/03/12 01:16 登録: えっちな名無しさん
設定
田舎で羊飼い見習いをしていた少女が、ある日たまたま訪れた冒険者にあこがれて、押しかけ冒険者見習いとなり都会に出てくる。
冒険者
「ここが首都ブリテインで一番活気がある第一銀行前だ。お前の故郷の銀行にはこんなに人が居なかっただろう」
少女
「あ、はい!こんなに大勢人が居るのは初めてです!」
冒険者
「しばらくはこの街を拠点にするからな。ところでさっきからごそごそやってると思えば……その後ろに引き連れてるのはなんだ?」
見れば少女の後ろには犬や猫が何匹も連なっている。
少女
「私、動物を扱うのが得意なんです。飼い慣らすのはちょっと時間がかかるけど、連れ歩くぐらいなら牧羊杖でちょちょい♪と出来るんですよ」
冒険者
「そうかそうか。じゃあ、あの通りの向こうに居る赤いやつも同じように出来るか?」
少女が振り返ると、そこには赤い鱗に身を包んだ見上げるほどの巨体の『動物』が居た。
視線に気が付いたか、たまたまか、少女の居る方へ視線を移し巨体を震わせあくびをしている。
とっさに冒険者の陰に隠れ、少女は震える声で問う。
少女
「あ、あ、あれなんですか!?モンスターが街中になんで!? Guards! Guards!!」
冒険者
「落ち着け。あれは動物やモンスターを飼い慣らして使役する『テイマー』のペットだ。安全だから隠れなくてもいいぞ」
少女
「そ、そうなんですか……私、大声で衛兵さん呼ぶために叫んじゃいましたよ」
少女が恥ずかしそうに冒険者の陰から出てくる。
冒険者
「恥ずかしいことをするのは、これっきりにしてくれよ。あれは『ドラゴン』と言う名前で、強靱な肉体を持ち、高熱の火炎の息『ブレス』を吐いて敵を焼き尽くす。テイマーを目指す者のあこがれのペットだな」
少女
「へ〜。見た目は首が長くて、大きな羽の生えた巨大トカゲさんなのにすごいんですね〜」
冒険者
「あのドラゴンはすでに誰かのペットだから出来ないが、おまえも腕を磨けば野生のドラゴンを飼い慣らしたり、そこの犬や猫みたいに引き連れられるかもな」
少女は手近な猫をなでながら通りの向こうのドラゴンを見上げる。
ドラゴンは日向ぼっこをするかのように目を閉じてじっと佇む。
少女
「ちょっとあのドラゴンを触ってきてもいいですか?」
冒険者
「飼い主は近くに居ないようだな。構わんが、ドラゴンの餌は生肉だぞ?食われないように気をつけろよ」
冒険者はニヤリと笑いつつ行っておいでとうなずく。
少女
「あはは……食べないでね……」
そっと近づき手のひらをドラゴンのざらざらとした鱗に重ねる。
少女
「硬い……そしてとても暖かい」
鱗を触られていても嫌がる仕草をせず、じっと佇むドラゴン。
少女は満足したのか数歩離れ、ドラゴンに向かい小さく一礼をし冒険者の所へ駆けていった。
冒険者
「食われなくて良かったな。昔は野生が抜け切らなくて飼い主や周りの人に噛みつく事故があったんだぞ」
少女
「ええー!そういうことは先に言ってくださいよ!」
…………初めて来た街。初めて見るお店。初めて見るドラゴン。
全てが新鮮で、自分の知識が増えていくことがこんなにも楽しいなんて知らなかった。
冒険はまだ始まったばかり。明日はどんな出会いがあるだろうか。
おわり
出典:【UO】UOスレッド第1130章【本スレ】
リンク:http://game13.2ch.net/test/read.cgi/mmo/1204381169/338

(・∀・): 75 | (・A・): 76
TOP