銭湯のおばぁちゃん

2008/03/12 14:32 登録: えっちな名無しさん

412 :おさかなくわえた名無しさん:2007/11/10(土) 14:37:40 ID:zH18d3FQ
少し長くなるが、今から十年以上前の話。
その頃俺は大学生の一人暮らしで、親からの仕送りも少なかったので本当にボロいアパートに住んでた。
当然風呂もなかった。だから、いつも近くの銭湯に通ってた。
そこはかなり年期のはいった所で常連しか来ないし、しかも若いのは必ずといっていいほど俺一人だけだった。
それでも安かったから、番台にちょこんとすわってるニコニコしてるおばぁちゃんに150円渡して通ってた。
413 :412:2007/11/10(土) 14:39:56 ID:zH18d3FQ
ある時、財布忘れた時があった。
おばあちゃんに、「財布忘れて、すぐ取りに戻るから荷物だけ置かしておいて下さい」て言ったら、「気にしなくてええからお入りなさい。今日はおまけしとくから。」こんな感じの優しいおばあちゃんだった。
それからはおばあちゃんと段々話す様になって、「また財布忘れた時があれなんで、回数券とかあったら便利ですけどね〜」とかほざいたら「そうだねぇ、考えとくよ。」とゆうくらいの仲になった。

色んな話を聞く中で、息子が一人いるが結婚して離れた場所で暮らしてること。
銭湯で働き手がいないから、店をたたもうか考えていること。
いつもニコニコしてるおばあちゃんだが、上の二つの話をする時だけはニコニコがなくなってた。
その話を聞いてから俺は元気をだしてもらえるように、通うたびに150円と一緒に小さな10円のお菓子をあげた(金ないくせに)。
それはとてもとても喜んでくれた。
414 :412:2007/11/10(土) 14:41:33 ID:zH18d3FQ
そして俺にも大学卒業の時期がやってきた。
おばあちゃんに地元に帰ることを伝えると、寂しそうに「お別れだねぇ…」と呟いた。
俺も悲しくなって「年賀状は毎年絶対送るから」そう約束して住所を教えてもらった。
それから地元に帰った俺は就職しても、ちゃんと忘れずに年賀状は毎年出し続けた。
三回目の年賀状を送った年、返事がこなかった。そのかわり一通の手紙が届いた。
おばあちゃんの息子からで、おばあちゃんが亡くなったと短く綴られていた。
会社を休み、急いで手紙にあった住所に向かった。
415 :412:2007/11/10(土) 14:43:12 ID:zH18d3FQ
たくさんの人が、そこにいた。
家の外には顔見知りの銭湯の従業員常連さん達がいた。
当たり前だけどみんな泣いてた。
軽くみんなに会釈してから家の中に入れてもらうと、広間にやせ細ったおばあちゃんが寝かされていた。
本当に寝てるみたいで、現実を受け入れられないで茫然としていると、ふいに後ろから「君、〜君かな?」と声をかけられた。
振り向くと50代くらいの男が立っていた。
「銭湯の従業員から君のことを聞いてね。私は〜の息子です。母から死ぬ前に預かってたものがあるんだ。」
そういって封筒を渡された。
開けてみると、銭湯の手書きの回数券と「〜君、遅くなってごめんね。私の最後のおまけだからどうぞ使って下さい。」と書いてある小さな手紙が入ってた。
それを見てはじめて、泣いた。人の目を気にせずワンワン声をあげてないた。あの時の冗談を忘れずに作ってくれていたんだ。

俺はまた地元に帰り、翌年結婚した
現在、今年で4歳になる長男を連れて、今は息子が番台をやっているあの銭湯に行こうと思う。
本当に良い思い出をありがとう、おばあちゃん。
最後に、長くなってしまったがこんな駄文を読んでくれた方、ありがとう。


出典:泣ける思い出話しようぜ
リンク:http://life9.2ch.net/test/read.cgi/kankon/1186590698/

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