対面通行不能
2008/03/20 17:53 登録: 名無しさん
俺の通って他大学は、九州の山の中にあった。
娯楽といえば、パチンコか峠を攻めるか。いい車も金も根性も持ち合わせていない俺たちにはどれもマッチしない。
麻雀に明け暮れたが、ついに賭けるモノもなくなり、深夜車で徘徊するのがブームになった。
幸い山奥なので探索する道路に不自由はなかった。森林整備用の林道やら側道やら、時には道なき道をガタガタと。
2時間走って元の場所、なんてこともザラだったが、そんなのも楽しかったな。大体最後はラーメン屋を探して食って終了。
九州のラーメンて安いんだよな。一杯200円〜500円。替え玉も100円前後だからね。貧乏に優しい。
東京でラーメン900円っていわれたときは目玉飛び出るかと思ったね。
まぁラーメンはさておき。
台風が通り去ったある日、やはり俺たちは、「被害状況を確認しにいこうゼ」的なノリで、増水した川や崩れたガケを見ては喜んでまわった。
日も暮れて腹も減ってきた頃、車が一台やっと通れるような脇道を発見した。当然いくでしょ。
ガタゴトとワダチに乗っかって走る。道は山の谷の部分を沿うように走る獣道に毛が生えたような酷い状況の道だった。
とにかく細い。そんな道が1時間ほど続いた。正面から車が来たらどうしようもないと思うほどの道だったが、そんな心配は無用だった。
通り沿いには家どころか人間の文化の気配を感じさせるものは一切無く、道の最後はがけ崩れでふさがれていたのだ。これでは対向車など来るわけがない。
転回できそうなところまでバックで戻り、畑だったと思われる場所にスタックしないようにお尻を突っ込みながら方向をかえる。
ガッカリしたようなホッとしたような。「表通りに出てラーメンや探そうぜ」それでも一時間以上戻る必要がある。
来た道戻るのってうんざり。まぁ行き止まりだし、途中分かれ道もないし戻るしかないか。
と15分ほど戻ったところで、後ろから車が接近してくる。激しくパッシング&クラクション。
あまりにシツコイので、左の草むらにゆっくりと車を入れて停車。先に行かせようとする。
するとその車は俺たちの車の横に止まった。社内の様子は暗くて良く見えない。車内に見える人影はおっさんだろうか。こっちに何かを言ってるようだ。
窓を開けると、「合図してるのに何故すぐとまらない。なんでこんな道に入った。早くもどれ。どんなことになってもしらんぞ」とその影は言う。
散々煽っておいてその言い草。ちょっとムッとして「言われなくても戻ってるんです」というと何も言わずにそのまま走り去ってしまった。
そして再び走り出す。
後部座席の1人が妙に大人しくなったのでバックミラーを見ると顔が真っ青。唇も震えているように見える。
「どうした、酔ったのか?」と聞きかけた瞬間、俺も全てを理解した。
その後俺はソルベルグ顔負けのオフロードドライビングを披露し表通りまで無事戻った。もちろんおっさんに追いつくことはなかった。
出典:オリジナル
リンク:よくある話だけどな。

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