また会えるその日まで

2008/04/11 15:53 登録: えっちな名無しさん

こないだうちの犬が死んだ。うるさい犬だったよ。
俺が飯食べてるとワンワン吠えてさ、「さっき餌やったろ!」って怒っても全然聞かないの。
しかも頭が悪いからそこらじゅうにウンコだのオシッコだのしやがる。したかったら吠えろっつの、そういう時こそ吠えろっつの。
まぁそんな馬鹿でうるさい犬だったけどさ、愛嬌があって家族にも可愛がられてたよ。
んである日俺が学校から帰ってくると、白かったその犬の毛が、まっ黄色になってた。
びっくりして近寄って、なでてみてもあまり反応がない。
家族に「どうしたの?」ってきいたら、最近こいつ餌を残すようになって、おかしいと思った家族が病院につれったらしい。黄色いのは薬のせいだって言ってた。
俺は驚いたけど、特に気にしなかった。だって俺が飯食ってると、そいつは物欲しそうによってくるんだ。
調子悪いのは一時だけ。すぐに良くなるだろ、なんてたかくくってた。

ある日曜日の事だった。ヤツは朝から苦しそうにうなってた。獣医さんは今夜が山だ、みたいな事を言ってたから、「大げさだよ」なんて言ってた俺も内心ヒヤヒヤしてた。
夕方になり、ヤツはゼェゼェと苦しそうに息をしながらもがく。どうしていいかわからない。なにもヤツにしてあげられない。
苦しいか?ごめんな、もっと早く気付いてやれなくて。ごめんな。こういうときこそ、なぁ吠えてくれよ、食べてくれよ、飲んでくれよ、生きてくれ、死なないでくれよ。
ヘタレな俺は痛々しいヤツを見るのがイヤで、自分の部屋に逃げ込んだ。
数十分して、家族に呼ばれた。「辛そうにしてるから、背中なでてやって。」
言われるがままにヤツの前に再び立った。足が震えてもう何も言えなかった。ただ、ヤツの体に触れて、ヤツのよわよわしい心臓の鼓動を感じていた。
するとヤツは急に呼吸を止めた。それにともない、まもなく心臓も動くのを止めた。壮絶だった。
家族は泣きながら俺に、「きっとお前の前だから安心して死ねたんだろう。」と告げた。

こないだ、ウチの犬が死んだよ。うるさくて、食い意地のはった白い犬。
けど俺は、世の中のどんな犬よりかわいい犬だと思ってる。
たまにはこうやって、しんみりしてやるからさ、向こうでもたっしゃでやれよ。また会えるその日まで。
じゃあな。


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