やっぱり意外と冷静な酔っ払い

2008/06/21 15:26 登録: えっちな名無しさん

意外と冷静な酔っ払い、俺も似た経験あるよ。
何年か前、場末っつうかあまり上品じゃない盛り場を歩いてたとき、
笑っちまうくらい「そのまんま」な酔っ払い親父を見掛けたんだ。

年は40代半ばくらいか。小柄&小太りで、髪はバーコード一歩手前。
万年係長って感じの冴えないオッサンだった。
ヨレヨレのダサリーマンスーツにしわだらけのワイシャツ、
緩んだネクタイで安っぽさ3割増だ。

どんだけ飲んだのか知らんが、顔は真っ赤で目も完全に「ご着席」。
連れはいないみたいで、おぼつかない足取りでフラフラ歩いては
大声を上げたり道行く人にちょっかいを出したりしてた。
悪い酔い方の典型っつうか、タチの悪い絡み酒だった。

美醜年齢を問わず女が通れば「触らせろぉ〜」と抱きついてくるし、
学生風のグループには「なに見てんだぁ!」と足を飛ばす。
たしなめる会社員には「なにぃ?俺が飲んで悪いかぁ〜?」と突っかかる。
からまれた中には「なに、このオッサン」とムッとする若い子もいたが、
あまりにぐでんぐでんというかベロンベロンの様子を見て
喧嘩するのも馬鹿らしいと思ったのか、本気で相手する奴はいなかった。

盛り場にはちょくちょく顔を出す俺だが、ここまで分かりやすいっつうか
漫画かコントにでも出てきそうな酔っ払いに遭遇したのは初めてだ。
面白いから、目を合わさないよう注意しながら観察したんだが、
通行人が途切れても、夜空に向かって「うるせぇ!」なんて叫んでるし。

そしたら向こうから、明らかにカタギじゃない一団が歩いてきた。
1人は坊主頭に顎&口ひげで、黒シャツ&白ネクタイ、夜なのにサングラス。
あと、ヤクザパンチに口ひげで、アロハみたいなのを着たのが3人ばかりいた。
どいつもこいつも目つき悪すぎ。太い金のネックレスとか着けてて、
みんな指1本か2本ずつ欠けてそうな感じだ。
思わず「ヤクザのコスプレかよっ」と突っ込みを入れた…心の中でな。

その怖い軍団、道路の酔っ払い親父がいる側を談笑しながら歩いてくる。
おおっ、これはどうなるか!ワクテカしながら見守ってたら、
軍団に気づいた親父、いきなり静かになって
フラフラと道の反対側へ動き始めたじゃねえか。
んで、連中に背を向けて電柱に手をつく体勢になると、
「うう〜、飲み過ぎて気持ち悪い〜」ってな感じでじっとしてる。
あまりに自然でスムーズな動きだったんで、
その時はオッサンが本当に気分が悪くなっんだたと思った。

しばらく電柱に額をつけて寄りかかってた酔っ払い親父、
怖い一行が通り過ぎると再びブツブツ言いながら歩き始めた。
実は修羅場を期待してたんで、少しがっかりしながらも観察続行。
親父は別に酔いが覚めたわけじゃなく、すぐに元のモードに戻って
再び大声で喚きながら、通行人にちょっかいを出し始めた。
「お嬢ちゃん!オッパイ飲みた〜いのっ!」って、
あの何十秒かの「空白」は幻だったんかと、自分の目を疑いたくなったな。

と思ったら、今度は向こうからガイジンさんご一行が接近してきた。
黒人ばかりの4人組で、年齢はよく分からんが若い感じ。
とにかく全員デカくて、平均190cmの130kgくらいありそうだ。
バスケというよかアメフトの前列にいそうな奴ばかりだったな。
B系っつうのか?ジェロみたいな服装で、ヤクザっぽいわけじゃないが、
オロゴン兄弟とかビリー隊長みたいな外見。
たいていの日本人はちょっと怖いと感じると思う。

4人組はかなり飲んでるらしく、大声でゲラゲラ笑いながら近づいてくる。
酔っ払い親父、今度はどうするかと少し離れて見てたら、
やはりというか急に静かになって、フラフラと道の反対側へ移動。
そのままガードレールに手を突いて、しゃがみ込んじまった。

もちろん実際に吐くわけじゃなく、しゃがんでじっとしてるだけ。
いや本当、どう見ても「飲み過ぎて気分が悪くなった人の図」で、
そのまま路面にお好み焼きぶちまけそうな雰囲気だったんだよ。
俺もさっきの怖い一行の成り行きを見てなきゃ騙されてた。

黒人4人組は、そんな酔っ払いなんてまったく気に掛けていない様子で、
楽しげにお喋りしながら通り過ぎていった。
酔っ払い親父、4人が十分離れたのを確認してから
のっそり立ち上がり、またブツブツ言いながら歩き始めた。
もはやさっきまでのような威勢の良さはなかったけどな。

俺も用事があったんで観察はこれで終了。
親父が通り過ぎたとき、もの凄く酒臭かったし、
暴れてるときも別に泥酔したフリをしてたわけじゃなかったと思う。

ちなみに親父、体格の良い体育会風の学生グループにも突っかかってたから、
喧嘩の強さというか体力で相手を選んでいたわけじゃなさそう。
むしろ、社会の常識がどこまで通用する相手か冷静に値踏みして、
危険度の高い奴にはかかわらないようにしたんじゃねえか
…これは俺の推測だけど、たぶん当たってる気がする。

親父がその後、無事に帰れたのかどうかは知らんが、
次の朝に目が覚めて、自分の悲しい行動をどこまで覚えてるか、
聞いてみたいような、ちょっと気の毒なような。

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