見かけに寄らん

会社が早く終わって夕方自宅近くを歩いていた時、
俺の前から清楚で物静かそうなお母さんが胸に子供と、
腕にも子供を繋いでタラタラと歩いていた。
歩道を歩けば良いのに、歩道は遊び終わって自転車でぶっ飛ばして帰り急ぐ小学生が次々と居てきっとあえて通らなかったんだろう。
道路の隅の方から歩いてきた。
すると手を繋いでた子供が道路の真ん中に何かを見つけたらしくいきなり道路のど真ん中でしゃがんでしまった。
｢こらこら危ないでしょ｣
とお母さんが子供のそばへ行った途端、俺の後ろから左折してきた真っ黒セダンが走ってきた。
｢プププー!!!!!!!!｣
とけたたましい程のｸﾗｸｼｮﾝだったがそれほど車はスピードなんて出しておらず、
お母さんと子供は轢かれる恐怖でその場でうずくまってしまった。
車から出てきたのはまさしくヤン女。
てか車かなりのヤンキー車。
ヤン女、｢危ねぇなゴルァ!!!!クソガキはよ退けろや!!!!!｣
…とでも言うのかと思いきや、
｢すいません、大丈夫でしたか？ボク大丈夫？｣
とかなり謙虚な感じで母子の安否を気遣う感じ。
このギャップにはその場でその3人を見ていた俺もあれ？って思うほど…。
お母さん｢えぇ大丈夫です…うちが悪いので心配なさらないで下さい…。｣
…とでも言うのかと思いきや、
｢大丈夫じゃないわよ!!!どこ見て運転してんのよ!!もう少しであんたに轢かれるとこだったじゃない!!!!!!｣と物凄い剣幕でヤン女を罵倒。
｢いやだけど道路の真ん中に居られても車だと回避出来ないし…｣
｢はぁ?!!!私は子供が手離したから出ただけよ!!普通道路のど真ん中に居ようと退けるのは車に乗ってるあんたらの義務でしょ!!!!｣
｢いやそうですけど…あの…｣
とヤン女もモラハラお母さんに困惑気味。
こんな事を住宅街でやってるもんだから帰り途中の小学生も散歩途中のじいさんも見物にくるくらい。
すると、その出来事を見ていた6年生くらいの3人の男の子が結構大きい声で。
｢人って見かけに寄らんなぁ
謝ってくれた人には謝り返してお互いに悪かったってちゃんと誠意見せないとロクな大人にはなれんて父ちゃん言ってたけどこうゆうのがそうなんや｣
と辛口コメント。
するとモラハラお母さんむきになりすぎたのが分かったのか、ヤン女に、
｢はいはいすいませんでした
〇〇ちゃん大丈夫？もう行こうね〜｣
ってそそくさと退散。
ヤン女は終始複雑そうな顔をしてたけど、その小学生がヤン女に、
｢お姉さん俺見てたけど何も悪ないやん!あんな化け物ほっといたらええやん!｣
ヤン女｢化け物？｣
｢キレイな顔してるくせに口の悪い女はみんな化け物やってうちのおとん言っとったわ!じゃばいばい！｣
ヤン女｢えっあっ…ありがとうね！｣
小学生は自転車に跨ったまま大きく手を降って帰って行った。

出典：父ちゃんGJ
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