やる夫が徳川家康になるようです ?
2008/08/09 10:33 登録: えっちな名無しさん
やる夫が徳川家康になるようです ?
http://moemoe.mydns.jp/view.php/13371
709 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 20:47:33.58 ID:Cb6E1Os0
第20話「明国への道」
この物語は、東照大権現、徳川家康が天下を取るまでの、
苦難の物語である。
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r'
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' みんな、長い間、本当にご苦労だったね。
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' ささやかだが、宴の用意をした。
/" | ._| 今夜は無礼講だ。大いに飲んでくれ!
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r'
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'"
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、
1590年。北条家は降伏し、
ついに天下は豊臣秀吉によって統一された。
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ (ついに天下は秀吉のものになったお……
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ なんだかんだで大したものだお)
|  ̄ |
\ /
713 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 20:50:26.83 ID:Cb6E1Os0
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r'
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' ははは……
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' 今日は実に愉快だ!
/" | ._|
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r' ああ、そうだ……
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'" 皆に紹介しておきたい武将がいる。
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_ もう知っている者もいると思うが、
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、 ……立花宗茂、ここへ参れ!
l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|
l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|
. l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|
'; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :| はッ! お呼びですか、殿下。
/´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|
/ ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′ ',ノl: :j
,r‐{ , \ll : : : : : : : :l: :| :. ∨ノ:|
! ¶′', r、\: : : : :::::l: :| :. .._ /´): :l
¶′ \ ヾ>、\: : : ll: :| :. __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :| : ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :  ̄「V/
¶′ \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
¶′ \ `〈>、 ヽ`:r'"|| ,タ ¶ }
立花 宗茂……この時期は別の名前だが、
この物語では宗茂で通していく。
716 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 20:52:46.68 ID:Cb6E1Os0
_,,-‐'''" ̄"`'‐:、
-=ニ" _,, -"`''z-'-`-、`''Z
-=ニ二-__‐‐z"-、,,_ `"|'
‐"z .i゙r、ヽ" .i'T;j'' ,.r゙ おっ、来た来た。
`i '、!,; _ | みんな、この宗茂の名前は知っているか!?
',,r'"l _,,,,,,_「 九州征伐の折に、島津軍に奇襲するなど活躍し、
! ` ''/ 先日の肥後の一揆では1日の内に13回も出撃し、
,.:''i"`'‐:、_ `ー,-'" 城を7つも落とした武将だ! まだ若いが素晴らしい!
___,,,,.... -'i" \ `''ァ<,'、 その忠義も、その武勇も、九州で一番だ!
. r'"ー-:、 | ',、_ ,' ̄'i `、、_
l: : : : : :l: : : : : : : : : : : l: :/:l :l: :l: :l:: :/ /::/: :;リ|
l: : : : : :l : : : : : : : : : : l: :l::ノ: }: :} l / /::/レj:/::|
. l: : : : : l: : : : : : : : : : :l: :|/_;イ_;イ_;リ、// .ノ/:|
'; : : : : l: : : : : : : : : ::l: :|ニニ ‐--ミ`' } ,ィチj゙ :| ……ははッ!
/´ヽ: : : :l; : : : : : : : : :l: :|z't'ツ"_>`` '" {^~ |: :|
/ ¶′\: :ll : : : : : : : : l: :| `~¨´ (::"′ ',ノl: :j ありがとうございますッ!
,r‐{ , \ll : : : : : : : :l: :| :. ∨ノ:|
! ¶′', r、\: : : : :::::l: :| :. .._ /´): :l
¶′ \ ヾ>、\: : : ll: :| :. __-了:/::;'
エエエュ┬r 、\ `ヾ>、\:ll: :| : ‐.._'´¨´ノ:/::/
―‐ - 、 ̄`<〉、 ヽ、._`^‐-\ト 、 :  ̄「V/
¶′ \ `<〉、 \` ー==┬''^ヽ、 ...__ ノ
¶′ \ `〈>、 ヽ`:r'"|| ,タ ¶ }
719 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 20:55:32.88 ID:Cb6E1Os0
/ ̄\
| |
\_/
|
/  ̄  ̄ \
/ \ / \
/ ⌒ ⌒ \ いやあ、殿下にそこまで誉められるとは、
| (__人__) | 大したもんだな、立花殿!?
\ ` ⌒´ / ☆ オレからも褒美をやろう。
/ヽ、--ー、__,-‐´ \─/ オプーナを買う権利をやる。
/ > ヽ▼●▼<\ ||ー、.
/ ヽ、 \ i |。| |/ ヽ (ニ、`ヽ.
.l ヽ l |。| | r-、y `ニ ノ \
l | |ー─ |  ̄ l `~ヽ_ノ_
722 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 20:57:27.60 ID:Cb6E1Os0
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r' おっ、なんだ忠勝、そこにいたのか!
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' 気がつかなかったよ。
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' 君は東国一の武将だ!
/" | ._| ははは……皆の者、よくこの二人を見よ!
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r' 東には本多忠勝という天下無双の大将がいるように
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'" 西には立花宗茂という天下無双の大将がいる!!
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_ この二人がある限り、我が日本は世界のどの国と戦っても、
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、 敗北することは決してないだろう!
. i く. ヽ .! .',`i".、 ヽ ヽ
____
/_ノ ヽ、_\
o゚((●)) ((●))゚o 殿下、すごい誉めっぷりだおwww
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | (⌒)
| | | | | ノ ~.レ-r┐、
| | | | | ノ__ | .| | |
\ `ー'´ /〈 ̄ `-Lλ_レレ
 ̄`ー‐---‐‐´
……こうして、酒宴は盛り上がり、その日の夜は更けていった。
728 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:00:18.67 ID:Cb6E1Os0
そして、翌日。
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ で、殿下、今、なんと?
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
736 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:02:59.61 ID:Cb6E1Os0
_,,-‐'''" ̄"`'‐:、
-=ニ" _,, -"`''z-'-`-、`''Z
-=ニ二-__‐‐z"-、,,_ `"|' やる夫のこれまでの領地、
‐"z .i゙r、ヽ" .i'T;j'' ,.r゙ 三河等五カ国を召し上げ、
`i '、!,; _ | 代わりに関東の八カ国を、
',,r'"l _,,,,,,_「 徳川家に与えるものなり。
! ` ''/
,.:''i"`'‐:、_ `ー,-'" ……そう言った。
___,,,,.... -'i" \ `''ァ<,'、
. r'"ー-:、 | ',、_ ,' ̄'i `、、_
i ヽ ''''ッ''" ':,':、!ヽ,,,|',、ヽ `-、_
r'. ', く. ':、 | ',i `"、 ', ヽ
____
/ \
/ u ノ \ ………………
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
744 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:05:13.45 ID:Cb6E1Os0
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ 承りましたお。
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
ノ \
/´ ヽ
| l \
ヽ -一''''''"~~``'ー--、 -一'''''''ー-、.
ヽ ____(⌒)(⌒)⌒) ) (⌒_(⌒)⌒)⌒))
……そう答えつつも、父祖伝来の土地である三河、
そして長い時間をかけて切り取り、治めてきた東海から移動せよ、
という命令を受け、やる夫は不愉快であった。
更に「八カ国」といっても、
通常、関東八カ国に加えられる常陸(茨城県の大部分)は、
以前より秀吉派であった佐竹義重の所領であり、
やる夫には与えられず、代わりに伊豆をひとつの国として加えられていた。
無論、常陸と伊豆では石高も広さもまるで違う。
そして、安房の里見家など、秀吉に従って所領を安堵された大名家も居り、
それらの存在も考えると、やる夫自身が得られる領土は更に少なくなる。
750 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:07:34.19 ID:Cb6E1Os0
_,,-‐'''" ̄"`'‐:、
-=ニ" _,, -"`''z-'-`-、`''Z
-=ニ二-__‐‐z"-、,,_ `"|' うん、よく承知してくれた。
‐"z .i゙r、ヽ" .i'T;j'' ,.r゙ それとね……
`i '、!,; _ | 関東といえば小田原だが、
',,r'"l _,,,,,,_「 今の時代にはちょっと古い。
! ` ''/ 江戸などが、居城を構えるのには、
,.:''i"`'‐:、_ `ー,-'" いいんじゃないかと僕は思うんだが……
___,,,,.... -'i" \ `''ァ<,'、 どうだろうか?
. r'"ー-:、 | ',、_ ,' ̄'i `、、_
i ヽ ''''ッ''" ':,':、!ヽ,,,|',、ヽ `-、_
r'. ', く. ':、 | ',i `"、 ', ヽ
____
/ \
/ u ノ \ え、江戸……。
/ u (●) \
| (__人__)| ……承知致しましたお。
\ u .` ⌒/ ……それでは、引越しの準備にかかりますお。
やる夫は内心イヤだった。
しかし、もはや秀吉は天下人である。日の出の勢いである。
今の秀吉に逆らったら、どうなるか解らなかった。
やる夫はそれを承諾した。
757 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:10:51.10 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ …………
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/_ノ ヽ、_ \
o゚((●)) ((●))゚o 江戸とかwww
/::::::⌒(__人__)⌒::::::\ 太田道灌が昔城を築いた場所だおww
| |r┬-| | でも何十年も前の話だおw
\ `ー'´ / あんなクソ田舎でどうしろって言うおwwww
……江戸城は、既に老朽化しており、ボロ城であった。
周囲の土地も湿地帯が多く、また、当時の江戸近辺は、
山が多かった。そのため、人がなかなか住めなかった。
渋谷、日比谷、世田谷、千駄ヶ谷……
駿河台、神田台、市ヶ谷台……
「谷」や「台」の名が付く地名が東京には多いが、これらも、
かつての江戸近辺に山が多かったことを示している。
763 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:13:41.25 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \ 政情も不安だお……
/ o゚⌒ ⌒゚o \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
更に、北条家を降したばかりの関東は、まだ治安も良くなく、
浪人達が溢れ、その統治も一苦労であった。
やる夫の所領は、これで、約220万石に増えた。
これは豊臣政権随一の石高であったが、
治安や家臣の不満、やるべき内政の仕事を考えると、
単純に所領が増えたと喜べなかった。
770 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:16:07.94 ID:Cb6E1Os0
:::::::::::::::::::::::............................ ...............:::::::::::::::::::
/~ \.............. .................:::::::::::........... ............:::::::::::::::::::::::__ノ
__ .........::::::::::::::::::::::::::.......... .............:::::::__/彡
\ ヽ:::::::::/~  ̄ ̄:::::::::......-ー::::::::::..................::::::::::::::::::(:::::)ー'~
ミ、 \::::::........ _,,,;;;;:::::::...............:::::::;;;;;;;;;;ーー'''''~~ )::ノ~
ゝ ト、 λ-ーー< ノミ~~/: ゝ − (:::(― .
λ ヽ ~''ー λ.............:::::::::::::::::::::::/彡 _]血[ )::ノ
__,,,∠彡 ∠Π::;;;;;::;;:;;:::ヘヘ ))、===三::::......
__=-―'~ ̄ \:;;;;:;:| /ヽ::::;;;;:|「/:::: >;;\|::::|「:;;:/::::ヾ
ー、,,,_∠~ ̄~\__...... ....... ヘヘヘヘ、┌ヘ _/\┌ヘ ~−ー==ー、
_,,、=〜 <::::;;::: \  ̄''=っ
ー=<~ ..............::::::::::::::ノミ
 ̄ / / ̄/ニlーiニトーi---i-=、,,,,____
 ̄  ̄ ̄ ∠/ ̄|ニi―-i==、__jkjlwjiwjjilwi
やる夫自身は、まだ小田原で仕事が残っていたため、
さしあたって家臣の中で内政が得意なものを江戸に先行させた。
778 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:19:14.99 ID:Cb6E1Os0
, '::::::::〃:::::::::::.i::::::::ヽヽ:ヽ ::::::、::::::::::::::::':::、、,__
_ィ:::::::::〃::::::::::::l!::!:::::::::::\ヽヽ:::::ヽ:::::::::::::::::::t=ー-.
_ィシ='7:::〃::::ィ''|!i:::!i::,::::::、::::::ヽ::::::':,',、;,:::::::::::::::::::::ンッy、,_
´" /::::::/:::/,.-ャj:::l 'i!';::::i\::::ヽ:::::::',',',i!::::::::::::::f"''''==-''
,.シィ::::::::ソ !. (::)リ! ヘ',:::l,,、ヌ;:::ヽ::::::',',',':::::::::::::::',
〃 シi::::::::l `""゛ ` 'リ (:::)ヤ、:ヽ:::!:','::::::::::::::::', ふーむふむふむ。
' ' .l::::::::l ヾ'''''" Y:::::::::::::!::::::::::::::::',
i::/l::::! ヽ 、 l:::::::::::::::'::::::::ッ::::::', なるほど、なるほど……
l/ !:::'、 ァ、. !:::::::::::::::::ォ:::::!';::::::',
. ,!. |/ ';、. ヾミ.`j ,イ::ァ:::::::::::::::i '、::',ヤ::::、
" . ';ヽ ,、y'´ /シ l::::::ヽ:::::l ヾ; ゛丶
'|!`=tー:::'"/ /' ハ::;::::il!';::!
. 'i::: ' リ ソ ヽ'リ、
!'i j ~ヽ
リ 、 / ―ー '''"""f,
大久保 長安
,. '::ン:ン,.-_,..-ー=
_∠ニ≡ー::::::::::::::∠´___ __
<::ー"::::::_ー:::::::::::::::::::::::::::: ン''/ `ヽ
ィテニ:::`ヽ:::::ニ::::::::::ー-::_:::::::くー/ ' ,
ソ::i:::ヽ,:::::::::::::-::_::::::::::::::-ニ:/ ',
i:::.l!::;::::::ヾ`、::::::::::.ー::_:::::< i
!l::::ソ!)\:::::::、::::::::::、::::.、:::,' 大規模な i
_ ' く.. `ヽ;:::::::::::::::::::::ヾi 埋め立て工事が i
. い `っ !ハ!ヽ::::::X`ヽ| 必要ですね。 l
⊂ニ,エi_.`' 、 `i. _,.ィ!、'. `ヾ! 〃| 山を切り崩し、 l
'ナ_t , `-、,,、-、..,,_____ _,,,,.`,ァーt`i、 ./' | その土で、 l
. 'ー-、_''._ '  ̄T´/、 l!. i | ,i .'/ / | 湿地帯や l
`┤- 、 、, ' ,` ' l i,`i´,' / -''| 川、海などを l
'、,,,___ _ ,_`ー``ヽ', ヽ ,ヽ,i |l.! / , l 埋めていけば l
``'''''''ー'''' ー-、、'il!! ,〈 ,' , ! 面白くなります !
`i ',',l , ',' ! !
l ','l ! ' l !
! 'i,`i ', ,'
| :;,| ヽ /
l、 ''| / lヽ、 /
い | 〃 ! ノ l,ーt-ー '
! `'ト',' , !ソ i'. ' |!
789 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:21:56.49 ID:Cb6E1Os0
/{ ヽ,ヽ
// 〉 ,, -‐-、 <、ヽ
/´,/ ,ニ,,,..、, _,ィニニヾ、 i ゝ
ノ // ,<シ´ 、 、 ,;/, `丶 ヽ、丶ゝ
'^〕、i! _,,冫i ;: 、,_,、 〕,、`>
{;i`i゙‐-(´'´:: }-‐-Y´ ::、 )-‐'i´;)}
iゞi::. `゙‐‐,'´、 , t`--´ ,;!レ,i´
i ヘi'::. ^ヽ、___/`ヽ !.|;i}l 私もそう思います。
i j // i i ;''" iヽヽ i j 頑張りましょう。
` i! ,j (、/L;i_しi_ゝレ,v冫i ,j`´
i `'‐- `, ̄ ̄´ -‐ン,/
/^ヽ、、、 `゙ /i::\
/:::::::f^゙‐`ミ‐;::、___,,,-'ン´ i::::::::ヽ、
,ノ:::::::::{ 7‐--‐=´ i:::::::::::::ヽ、、
板倉 勝重……徳川家臣。
長安や勝重の言葉を、やる夫は取り入れ、
山を崩し、湿地帯を埋め、江戸は次第に都市になっていくが、
これはまだもう少し後の話である。
796 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:24:03.36 ID:Cb6E1Os0
/. ,. -────ー- , 、 人_ト、__ノ、_,ヘノ\_ノヽノ、
|/ ______ \| 人/ \__
| /_\、 ,/_\ | _ノ
__| /.ニ\.//>ニく//./ニ\ .|__ _)
/ ̄| | . レ6. ⌒)(・・)(⌒ 6|ノ | __ノ
/ | | |. ┏━━━┓ || | ノ 秀吉ィ!!
\\ | | | ┃ト.ヨョヨヨ.フ┃ | < われァそんなことしていいんかい!
\\.| | \ ┃ヽニニノ┃ ノ | )
、 \ノ^,ニ‐-ァヽ'ヽ、.┗━━┛ // | ^ヽ
\ // ,/⌒i、_\\_____// | | ⌒)
{ i | iヽ`ー-----― ' | |  ̄ヽヘ/⌒ヽ/\i'\へ/⌒
織田 信雄
なお、この頃、既に豊臣家臣となっていた織田信雄(信長の次男)が、
関東へ行ったやる夫の代わりに東海地方に移るように秀吉から指示された。
しかし、織田家代々の土地である尾張から離れることを嫌がった信雄はそれを拒否。
怒った秀吉により、土地や城を全て没収され、信雄は追放されてしまった。
809 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:27:28.98 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─ \ 信雄が……
/ (●) (●) \
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
やる夫は、この事を知って、秀吉に対してさらに警戒感を強めた。
……信雄の性格を考えれば、異動を申し付ければ、
こうなることは予想がつきそうなものだった。
信雄は豊臣家臣となった今でも「織田家」の息子だというブランド意識が強い。
そしてその「織田家」ブランドの発祥地、尾張を捨てることなど、
信雄にできるわけがないのだ。秀吉は最初から、信雄が拒否することを計算して、
異動を命令したように、やる夫には思えた。
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ 貴族っていうのはそういうものだお。
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ 頭では時代の移り変わりが解っていても、
|  ̄ | なかなか感情が納得せんのだお。
\ / …………やる夫は身を持って知っているお。
819 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:30:30.88 ID:Cb6E1Os0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r' あっははは! コテンパンに負けたらしいね!?
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' だから会いたくないのかい!?
|,!、'!. lT;j'‐ ,r'
/" | ._| 気にするな!
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r' それを言うなら、僕だって、
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'" 小牧の際にはやる夫にコテンパンだったさ!
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、 終わったこと、終わったこと……
. i く. ヽ .! .',`i".、 ヽ ヽ 先のことを考えよう!
| `:.、. ':! .',.| ゚.l ヽ `':、
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ ……秀吉は以前、こんなことを言っていたお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 信雄が、大した能力もないのに大身なのが、
| ( ( | 厄介だっていうのもあるけれど、かつて、小牧で、
\ `ー' / 信雄が対立したことを、まだ根にもってるんじゃないかお?
828 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:32:10.62 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─ \ しかし、そうだとしたら、さっぱりしているようで、
/ (●) (●) \ 秀吉という人もなかなか執念深いお。
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
____
/⌒ ー、\
/( ●) (●)\ 関東異動を断らなくて良かったお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ 腹は立つけれど……今は、秀吉に従うしかないお。
| |r┬-/ ' u |
\ `ー'´ /
832 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:34:54.45 ID:Cb6E1Os0
_、、-、 ,ィ,.
,-'゙'` ^'ィ
) ζ
} _、-'"~~゙"'ハ. ζ
j ,ノ ,,,,,,,,,,j !,,,,,彳
} /`ミ~(<・>Hく・))
'} ヾ._  ̄ ,_| ̄| | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ / | ,-'''ニニ''!| ∠ どんとこーい!
_, -‐} ヽ;i! `二´/ |_______
⌒ \. `ー--r'ヽ
ヽ /
ヾ;;`;;;;;-'゙ヾー、;、
、-';;;;;;;::::::::::::;;;;::::ヽ,
>;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::;;;;;;:: i、
ヾ;;;;;(´ ̄`´ ̄`'ゞヽ
'; i '"´ ゙'' Y/
,i,i '‐'´',、 ,、'´'‐' !i
! i o !_i o l゙i
ヾ!. '┬ ― ┬'./ノ
゙i、 `'ー‐'´, '
,、-''フ|ヽ il||i;/ !-、_
_,、 - ‐/;;;;;i゙ノ ゙'゙ .i\_`ー、
i゙;;;i;;;;;;;;;;ヽ、;;;;;;l_i_ `´ ,ノ_)ヽ;;;;ヽ、_
やる夫の関東異動は、明らかに秀吉による、やる夫押しこめ策だった。
中央に比較的近い、三河などの土地を取り上げ、関東の田舎に押し込めたのだ。
関東地方からならば、大坂を攻めるにもかなり距離がある。
また、やる夫が秀吉に逆らったときのために、東海道には、
秀吉にとって縁が深い武将ばかりを配置している。
山内一豊、中村一氏、堀尾吉晴などのメンバーで、
これらはいずれも織田家時代から秀吉の下で働いていた面々であり、
いわば豊臣政権の譜代といってもいい武将達だった。
そして東海道の出口である尾張には、甥の秀次を配置したのである。
842 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:38:36.40 ID:Cb6E1Os0
_,,-‐'''" ̄"`'‐:、
-=ニ" _,, -"`''z-'-`-、`''Z
-=ニ二-__‐‐z"-、,,_ `"|'
‐"z .i゙r、ヽ" .i'T;j'' ,.r゙
`i '、!,; _ |
',,r'"l _,,,,,,_「
! ` ''/
,.:''i"`'‐:、_ `ー,-'"
___,,,,.... -'i" \ `''ァ<,'、
. r'"ー-:、 | ',、_ ,' ̄'i `、、_
i ヽ ''''ッ''" ':,':、!ヽ,,,|',、ヽ `-、_
__
/: : : : :`ーv - 、
/: : : : : : : : : : i: : : :丶
l: : : : : : : : : : :ノ: : : : : }
」: : く  ̄ \: ll: : :_: : :ノ
(Iヽ_/ヽ,ニミ ` '_´ ィ: /
r- 、 __ 千于i___ ノ <t:ァ`i'´
゛-'、ノ\_つl l l __ _ / /
/_>´ ̄ `i r`=y'` /
」 ‐'二二) lヽ_ 二__/
... -‐' ヽ _二i ヽ:_:_:_:_:l ヽ‐-、
/ ̄ 〉 < ヽ__/、 .,l /l |  ̄\
ヽ ∧、__..ィ ヽ 八 l l
伊達 政宗
……さて、小田原。7月17日、
秀吉は奥州の諸大名についての処置をするため、
伊達政宗の案内で、奥州へと向かった。
852 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:41:12.06 ID:Cb6E1Os0
r ;;;;;;;;;;;;;;;; .'^-;,_ ;;;;;;;;;;; ヘ ;;;;;;; _, '^ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; /
ヽ ;;;;;;;;;;; i ` - ,_;;;; l `, ,.-' ヽ ;;;;;;;;;;;; /
ヽ ;;;;;;;i _,-、 ,;- 、i ;;;;;;; /
ヾ;;;;i "ヽヽ, ,.-'" ヽ;;;/,.,
r"`ヽi ─` "-,_. -,.'"-tuーュ i;;" ヽ くう……
i ヽ, i;i l" `│::: `  ̄, i,' γ i
ヽ i i l`ヽ ,.i :::::. U i , i
ヽ .i i ヽ┘- .'".i :::::::. i; .;'
ヽi i i ::::::::.. !y'"
ヽヽ ,.: - 、_ヽ ' ,.: - :.,_, //
ヽヽ`" ~,____,.. 、 //i
ヾ  ̄__,... ,.',/ .i
l ヾヽ ::::::... /,/:::: i
l ヾヽ /,/:::::::: !
_,.-='"l ヾ -=;;;;;;;;;;;;;=- './:::::::_,.'ヘヽ._
かねてより秀吉に通じ、小田原攻めに参加した
相馬義胤、津軽為信、南部信直らは所領を安堵。
参加しなかった大崎義隆、葛西晴信らは領地を召し上げ。
……そして伊達政宗は、以前に会津を攻めたことが、
秀吉の出した惣無事令に違反していたことや、小田原攻めに遅刻したことから、
領地を半分ほど召し上げられてしまった。
860 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:43:28.80 ID:Cb6E1Os0
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 最上殿の所領は無事だったかお。
| |r┬-| | 良かったお!
\ `ー'´ /
この時、さらにもう一人、所領を安堵された大名、最上義光は、
父親の葬儀のために政宗より遅れて小田原攻めに参加したが、
事前にやる夫に話をしていたため、所領は無事だった。
866 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:45:52.11 ID:Cb6E1Os0
/ ,_, ',
/ ( l 、 ',
l ,i、/ 〉ヽ!ヽ、ヽヾ `ヽi l
l i , ノ ハ( 、 ,-‐..'´`ソ'`ヽ i リ / 政宗の所領が減封……?
│ i、l=‐':´`"゙:::::::::::::. : ノノ/、 /
| i i |/::` :: ::::::::,i ヽ ;::::::.. .:: l l l ヽ ……ふっ、
l ヽゝ l::: ::: :::/ | `' 、::: -'´j l' / ) 坊やだからさ。
ヽ、ヽ ` 、、:::/ !、- ゝ,l ' /
゙''- 、ミ ', _, - ‐- /r, 、 `( _
_ノヽ\ - , '// \ )
`ヲ. \ / // `''‐'-,
, ==l , l ` - ‐ ' // ,---、 /
最上 義光
……この最上義光は、妹の義姫が伊達政宗の母親であり、
政宗とは伯父、甥の仲だったが、この義姫も含めて、
最上家と伊達政宗はあまり仲が良くなかった。
886 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:48:02.08 ID:Cb6E1Os0
/ ,〃l.ト、 !,
,' / イ !{ \ ',
i / /!{ ヽ ヽ、ヽ、 '、 政宗!
} イ‐-.,_ __,,、_‐‐`、'., ヽ この軟弱者!
/ .} 'ヘナi, '゙ヾアノ゙゙' ゝ! ヽ
/ | ゛ ノ ~ }.i. ! ヽ
ノ / ! '、 ノ/ ,' ヽ
‐' ノ / ' , ー- / /, /
. ゙' 、/ \ ゛ \. // /
\. ゙.t_-__. ‐''゙-へ , ‐'゙
゙''‐- 、__ .f冂l| 」 , へ._ _, ‐'゙
義姫(義光の妹、政宗の母)
義姫は政宗を疎んじており、病気で片目になり容姿が醜くなったからとか、
あるいは政宗の父親であり夫の伊達輝宗を殺したのは政宗だと疑ったからとか、
この親子の不仲の原因はいろいろな説がある。
小田原参陣前に政宗を毒殺しようとまでしたというが、これは定かではない。
……とにもかくにも、この時の義姫と政宗の親子仲は悪かった。
奥州は、秀吉によって一応の平定を見たが、
火種の元はまだまだたくさんあったのである……。
897 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:49:42.56 ID:Cb6E1Os0
さて、関東のやる夫。
____
/ \
/ ─ ─\ 秀吉の奥州のことは着々に進んでいるお。
/ (●) (●) \ 帰ってくる前に御殿を作っておいてもてなすお。
| (__人__) | ________
\ ` ⌒´ ,/ .| | |
ノ \ | | |
/´ | | |
| l | | |
ヽ -一ー_~、⌒)^),-、 | |_________|
ヽ ____,ノγ⌒ヽ)ニニ- ̄ | | |
やる夫に家臣に命じて、秀吉のための御殿を建設させた。
信雄が追放され、明らかに秀吉がやる夫を警戒している以上、
少しでも秀吉にごまをすっておく必要があった。
912 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:51:46.25 ID:Cb6E1Os0
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ 江戸に着いたお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |
\ /
そして8月1日……
やる夫は公式に江戸に入った。
この日、8月1日は、やる夫が江戸入りしたということで、
江戸時代を通じて正月に次ぐ祝日とされることになる。
928 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:56:00.12 ID:Cb6E1Os0
/{ ヽ,ヽ
// 〉 ,, -‐-、 <、ヽ
/´,/ ,ニ,,,..、, _,ィニニヾ、 i ゝ
ノ // ,<シ´ 、 、 ,;/, `丶 ヽ、丶ゝ
'^〕、i! _,,冫i ;: 、,_,、 〕,、`>
{;i`i゙‐-(´'´:: }-‐-Y´ ::、 )-‐'i´;)}
iゞi::. `゙‐‐,'´、 , t`--´ ,;!レ,i´
i ヘi'::. ^ヽ、___/`ヽ !.|;i}l これは殿様。
i j // i i ;''" iヽヽ i j お待ちしておりました。
` i! ,j (、/L;i_しi_ゝレ,v冫i ,j`´ 誰か、殿様を案内してあげてください。
i `'‐- `, ̄ ̄´ -‐ン,/
/^ヽ、、、 `゙ /i::\
/:::::::f^゙‐`ミ‐;::、___,,,-'ン´ i::::::::ヽ、
,ノ:::::::::{ 7‐--‐=´ i:::::::::::::ヽ、、
丿 ,;⌒⌒i.
ノノノノ⌒ヽ ( ;;;;;) ______
(゚∈゚ ) ミ) ,,:;;;) | WARNING | わかりました板倉様、
/⌒\/( ) ヽ| |/ |;,ノ | エリア51 | さあ殿様。……こちらへどうぞ。
( ミ ∨∨ | / .,i |______|
ノ / | | ,,i; ,, . ,;⌒‖
( \/ヽ ,,,丶, | |,,,;. ;i, ‖ヽ
\ ) ) .. ,, ´ヽ (,, ‖丿.,,,
/// ,, ,, .. ´ヽ ‖,,, ..,
`ヾ ヽミ ,, .、 ヽ .. ヽ丶,.ヽ ‖、,,
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ しかし本当にやばそうな土地だお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
945 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 21:59:26.02 ID:Cb6E1Os0
、 /::::::::::::::::::− - 、::`'ー;=‐
){::r:::v:、::::::::ヽ、:::::::::`'<,_,
//:ト、{::::\::::::::ヽ::::::::::::::::\ ですが殿様。
|l::::l::|:::::\:::::\:::::::\:::::::\:::\ この江戸という土地は
ヽ:::l:|:::l、::::::::::::::\:::::::\:::::、{⌒ヽ 開発次第でかなり発展しそうです。
_,、-rK"´|:\:::|_\:::ト_、_、::::::::::ヽ:::lヽ ー - 、 うまくやれば上方にも負けない
/ `ヽ,}∧::::|、゚ノ ヽ!ヽ゚ノヽ::ヽ::::N \ 街づくりができるかもしれませんよ。
/ /' !::{、 _ _ /::/}ハj \
/ ヽ l l /l:l\ ____ /j/ // ||/ \
/ ヽ!| lヽ \__/ // l |/ / \
____
/ \
/ ─ ─\ …………。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \
/ u ノ \ ……秀吉は本当に油断がならんお。
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
948 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:01:28.82 ID:Cb6E1Os0
, -−− 、_ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/
 ̄´"''−、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
、___,, - − 、_ヽ‐ 、:::::::::::::::::/l::::::/::::::::ハ::::::::::::ヽ
| | ー_,、-「!\\\:::::,∠、/::::/::::::::/-、i::/::::!:::ト、 と、いいますと。
l 「\_  ̄`\:::::::|| ̄\\)/ O 〉//:::/:/ O 〉!:::::ト::{
!| ` ̄>‐、 \::|| /゙7i/`='/ // 〈 `=゙ |:l::::|!ヾ、
|二ー'" ̄ ∠> 、)|L..ヽ(_|, }! j::!:i::|
| \\ j:ハ:::ハl ̄ || | ^ ′ ハ{::N \
! \ /ヘ.j/ | ||| _,_,、---、 /| トゝ \
| \ ヽ | || |\ −‐' , ' l ! }゙i
__j_\ \ \.|__||」 \__/ / / ノ |
/ \ \ // // j
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ 江戸は見ての通りひなびた土地。長安の言うとおり、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 頑張れば将来は発展するかもしれんお。
| ( ( | でも今はまるっきりの田舎……
\ `ー' / これを開発するには、長い時間と金がいるお。
956 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:02:54.62 ID:Cb6E1Os0
____
/ \ 江戸の開発に力を注いでいる間は、
/ ─ ─\ やる夫達はとても秀吉に逆らえない。戦えない。これは安心。
/ (●) (●) \ ……だからといって、開発しても全く将来性の無い、
| (__人__) | 不毛の土地を与えては、徳川家は大きな不満をもち、
\ ` ⌒´ / ヤケクソになって反乱するかもしれない……。
___
/ \ ……今は田舎。でも頑張れば発展する。
/ノ \ u. \ そんな土地を与えておけば、最初は苦しくても、
/ (●) (●) \ やがて生活は良くなっていくわけだから、
| (__人__) u. | ヤケになっての反乱も、抑えることができる。
\ u.` ⌒´ / 秀吉への反感も大分マシになってくる。
969 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:05:42.51 ID:Cb6E1Os0
!:、i::::ヽ:::::、:::::__ヾ::::`::::::::::::::::::、:::::::::::::::`ヽ::::::::::::::
. l:! ki::、:ヽ::',ヽi,、`ikj、:::`:::::::::::::::ヽミ、::::::::::::::::::::::::::::
i! ヾ:、:::::::::、 'J ;::" ゙ヽ::i、:::::::::::::ヽ9`i、:::::::::::::::::::
! ヾ ソ\::、 '" ヾ!ヽ::i::、::::::;X".i`:::::::ヽ::::::: ……なるほど。
/ ヽ、 l! ';:iヽヾ:::'rヽ.`ヾ::::::、::::
'、_-‐ ! リ ヽヾ:', :: ヾ:',` よく考えたものですね。
`i ′ ソヾ; '; ヾ',
. 'ー‐ァッ ,:': ヽ ', //
ヽ、、 /:::: : //
i ., '""'-、,,__.._ //
゙ー-‐ " 〈'i ヾ:、:::i`/
____
/ \
/ u ノ \ ……秀吉……!!
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
10 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:08:39.00 ID:Cb6E1Os0
_,,....,_
,.-‐''" -- 、`"'‐- ,,_
‐=、'ニ´-  ̄` zー'ー- 、 ',
-=ニ,.=-‐,..、 z` - ,_ `´!' まぁ、こんなもんかな。
`ーz‐' i.r ;ヽ' rr;jー r'
`i. '、(i l
',,.r`'i. _i´ ,、_
| ` 'ー,' / `'' - .,_ _,,
. ,. '/`'‐.、 'ーr- ' / `''ー '",.'
__ ,.-i" .ヽ `'ー ,、'、. ,.、 / , '
,.-'-´- 、 l ヽ ,'""i;\ | ',、. / ,.'
,.' ヽ '--.、,. '´'、-.、l、_!',. ヾ'.、 r'=! l. i ./ , '
! i ./ ヽ ` l '、!ヽ,ゝ/.,ノ ,! l ./ , ,.'
l 、 `' 、. ヽ. | ヾ ゚,.' ' ィ i/ r;- .,_ ,.'.,.'
. ', ヽ `' 、. ヽ!. ,...!、!,_ '/ `'-、'ヽ;'
秀吉の奥州に関する処置は8月9日に終わり、
12日には会津黒川を出発し、関東平野を南へと下った。
そしてやる夫は、作らせておいた御殿で、
大坂へ帰る途中の秀吉を出迎えた。
14 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:11:19.11 ID:Cb6E1Os0
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r'
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐'
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' やあ、やる夫。
/" | ._| 関東はどうだい?
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r'
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'"
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ 殿下、さすがは殿下ですお!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ 江戸は面白そうな土地ですお。
| /| | | | | | 頑張れば殿下の大坂に次ぐ町になりそうですお!
\ (、`ー―'´, /
19 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:13:25.42 ID:Cb6E1Os0
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r' …………。
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐'
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' それは良かった!
/" | ._| 街づくりに励んでくれ!
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r'
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'"
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、
____
/_ノ ヽ_\
/( >) (<)\ …………。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-/ | はいですお!!
\ ` ̄'´ /
30 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:16:13.79 ID:Cb6E1Os0
____
+ ./ \ /\ キリッ
/ (●) (●)\
/ ⌒ノ(、_, )ヽ⌒ \
| `-=ニ=- |
\ `ー'´ / +
秀吉は御殿で1泊して帰っていった。
その後、やる夫がやった仕事は、家臣団の土地の割り振りだった。
やる夫は家臣達に1万石から4万石程の領土を与えた。
そしてその中でも、本多忠勝、榊原康政には10万石を与えて、
井伊直政には12万石の領土を与えた。
42 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:18:11.86 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ \
/ ヽ
l:::::::::. |
|:::::::::: (●) (●) |
|::::::::::::::::: \___/ |
ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ
徳川四天王の一人、酒井忠次は、既に高齢のため、隠居しており、
家督は嫡男の家次が継いでいた。
____
/ ⌒ ⌒ \ 忠次には世話になったけど、親は親、子供は子供。
./( ―) ( ●) \ あまり大きな領土を与えて慢心してはいけないから、
/::⌒(_人_)⌒::::: | 家次には3万石あたりを与えておくお。
| ー .| 今後の活躍に期待するお。
\ /
56 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:20:47.11 ID:Cb6E1Os0
⌒
⌒ ) ( ) 人 ヽ
(⌒ ( `ー' ) )
...( 人| | || | |`ー' ノ
| | || | |
| | || | |
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ プンプン
/ ノ( \
/ ^ ヽ
l::::::::: \,, ,,/ .| 殿様、これはどういうこと!?
|:::::::::: (●) (●) | 僕が一生懸命、長い間尽くしてきたのに、
|::::::::::::::::: \___/ | 家次が3万石なんて、忠勝達と比べて少ないんじゃない!?
ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ 家次がかわいそうだよ!
しかし、忠次はこの処置に不満だった。
72 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:23:11.09 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ …………。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/ 忠次も……自分の子供は可愛いのかお?
| (__人__) l;;,´|
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| |
\ /___ /
87 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:25:23.14 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ ノ( U \
/ U ~ ヽ
l::::::::: \,, ,,/ | あっ……
|:::::::::: |||(○) (○) |
|::::U::::::///U\___/ /// |
ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ
忠次はすぐに思い出した。
かつての瀬名と信康の事件のとき、
五徳の手紙について織田信長から呼び出されたが、
忠次はその時、瀬名と信康は武田に通じている、と回答してしまった。
後にそれは事実となってしまうが、その時点ではまだ通じていなかったのだ。
忠次は忠次なりに考えての行動であったが……。
96 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:27:06.30 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ \
/ ヽ ……殿様。
l:::::::::. |
|:::::::::: (○) (○) | ごめんなさい。
|::::::::::::::::: ( (ヽ_____/(( |
ヽ:::::::::::::::::.ノ ノ \_/ノ丿 ノ
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/ …………いや、いいお。
| (__人__) l;;,´|
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| |
\ /___ /
やる夫は、別に日ごろから、忠次に対して恨みを引きずっていたわけではない。
ただ、子供が、子供が、と言う忠次に、少しムカッとしたのであった……。
111 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:29:34.39 ID:Cb6E1Os0
゙ト、__,ニ-ァ"/ ,イ,ク グハハNハ リ i, ソ
/';';';';' ,ノ,ノノイ∠幺ダ 'ェェ=キレ|l;, ;レ゙
| ;;;'' ='イ ''"'〒テ~`' .i 'Tフ` ,!''ソ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ヽ、 ;;''イ `¨´ !: | ト .| ありがとうございます。
ネ ;;'' ヒ , _. 〉 ,|イ,リ |
| ;;い ,i゙,ナ゙ 人______________
ヾミ iト、 ー''二 ̄ ./ツ
)ぃ,l リ ヽ、 /ト-:、
,, -'^;;ゝ|ヽ `''ー、___,,ノ_」'''ァ ゙i,
真田 信幸
/ ̄\
| |
\_/
|
ィシ乞チ∠ jji `ヽ
f彡/ i乍{シイ ンオハ ミヽ
/ノハ从 ノイ{ゞバゞ_ ミ, ゙i、
/土彡クノj} ~{{ { lハヽ_ン彡ヘjミミz i
代ミニン'乂、、_ヽ巡_,..-彡、ゞ、))"バ,
ゞ(( f乂 '代ハ ',ィTi〒= 〉リリj fj
\ゝ、ヽ  ̄ ?; ::` ¨´ 才イノイ リ
{ト { | ヒ:> ::: イシ〃?〈 _______
i )リ l ,,,....、, fシン f ゙i ヽ r'´
`ラ´ノ〃ハ ー , イハMw{゙i ゙i、゙i | 良かったわね、あなた。
/ //{ \ ,/: |从バ ヽ j} ∠________ノ
{vWハイゞ、 |_`,';:::::´ ,': ト、___ iナNリ
小松(本多忠勝の娘)
なお、この時、上野(群馬)の沼田に、真田昌幸の息子、
真田信幸が配置されている。
この時、信幸は、本多忠勝の娘、小松と結婚していた。
128 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:31:13.99 ID:Cb6E1Os0
江戸に入り、一ヶ月近く経った、8月下旬のある日……
____
/ \
/ ─ ─\ みんな、すまんお。
/ (●) (●) \ やる夫はちょっと用があるお。
| (__人__) | 出かけてくるお。
\ ` ⌒´ /
139 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:33:45.00 ID:Cb6E1Os0
\ 7 ヽ ヽ_∨
ヽ l . 二 --`ゝ
/ゝ' _.. '-'´ ・ ・ ヽヽ 殿様、どちらへ?
j−'´ | = _人 ~ l 〉
/ ̄ ̄l ノ´ お仕事もたくさんありますし、
/ ̄ ̄~| _.. ィ‐┐ できれば江戸を離れてほしくないのですが。
ゝ──'>ー<二○'´i ̄
`ー┐ l
_」 つ
ゝ───…  ̄
____
/_ノ ヽ_\
/( ●) ( ●)\ すまんお、直政。……行き先は言えないんだお。
/ ::::::⌒(__人__)⌒:::::\ 数日で戻るお。影武者でも置いてごまかしておいてくれお。
|  ̄ | 何かあったら忠勝や正信達と相談して決めてくれお。
\ /
146 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:35:15.72 ID:Cb6E1Os0
l;;' /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;',;;;;;;;
. ,l;L_ .,,、,--ュ、 ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;iソノ
ヾr''‐ヽ, ,、ィ'r-‐''''''‐ヽ ';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
l rO:、; ´ ィ○ヽ 'i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、l
| `'''"/ `'''''"´ !;;;;;;;;;;;;;;;/ l |
. ,' / 、 |;;;;;;;;;;;;;ノヽ'/
. l ,:' _ ヽ .|;;;;;;;//-'ノ
', ゞ,' '"'` '" i;;;;;i, `' /
', i、-----.、 `''"i`'''l
. ヽ ヾ゙゙゙゙ニニ'\ ,' ト、,
ヽ ヽ〈 i| Vi゙、
゙, ,ヽ===-'゙ ,' , // ヽ
. ',.' ,  ̄ , ' ノ /./ ヽ,
. ヽ.  ̄´ / ,、 ' / / \
ノ:lゝt-,-‐''" / ,.ィ゙ /
↑影武者
やる夫は影武者を置き、その日、ひっそりと江戸を出た。
164 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:37:49.24 ID:Cb6E1Os0
: :.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.: : :.::.::.::.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ::.:.:.:.:.:.:.:.
;;;⌒ヽ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
;; :. .);) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
ヾ);ヾ; :. .) : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
ヽ;;;;))ノ;;) ; ,.;;:。,.;i;';.,, : : : : : : : : : : : : : : : .;'":;. :.. ;'"'":; ;:,.;i;';.,,,:'':'`::
;;; ;⌒ヽ;;; ,.i,i,i,i,';.,,;:i;i;i;.;i;';.li:、;,.;;:。;:;;::、; ,.;i:、;:;":;";`;:;";`:、;:;":;";`;:;" ;:;..:,.;lili。;:;; (;;:'`) ::;;:
..;;liヾ; :. .) .;,,,,,,;li,i,;,.;lilii,:;;::、;。;:;;lililili.;'":;. :.. ;'"'":;ii:.. ii :、;:i;":、;:;ii`;:;"ii":;" ,.;;:。lili,i,:、;',: (;;:';;: ) :;`::
;;;;(;;;) ))⌒) '"' "'''.'::::''"'"' "'''.':''"'""'''""'"'"' "'''.'''"'"' "'''.''"'"' "'''.':::''"'"' "'''.':::::::::''"'"' "'''.:: (;':(;':i:;:',,, )::
ノソゝヾ⌒:::⌒.)) .:i;i;!;!;!i;;..i;i;...;!;!;!;!i;i;:;;.:.i;i;,, ..i;ii.i. ,,..'.;'":;. :..''"'" "''' '''.' (⌒' ) (;;(;'::(ii;;/;;,,,,ヾ
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;;;⌒,.:;:`:::::::"`"';) ;:':':':':':'::::::':':':':':::::':':'::::::::::::::-::::::::::::::::::::';''"'"'i;i;il;l;";!;!i;i;i;;'"' "'''.'(;;:'(;;i:;:;...):'ヽ;:'(i;;ヾ' );:' ):
;;;;;ヾノソ:;⌒) :;⌒) ) :.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.: ::: : : : ';i;i;i;''"'"' "'''.(;;:(;;:i';:' )::..)'(;;:';:' )';;;;ヾヾ)
ノ:、li":; / " `;:;");) .:.:.::::::::::::::::::::::::::::-:::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : :-:::;!;!;!;!;i;:;(;;:';(;;;:ii' /....):::|iii:::::::::::::::
:: li⌒) ⌒;) ;;(;;; :⌒;;) ::::::::::::::::::〜:::::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : : : ::''"'"(;;:''.';:' );:' ).. ):::|iii' "'''.':::::
ノソゝiliヽノ;/;;;;; :;;(;;; :ノ ::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::-::::::::::.::::::::.〜 : : : : : : : : : : : : : : : :::''"'"' "'''.'::|!ii::::::-:::''|!i|' "::::::::::
;;;ヾilili; ;;));ノ;;;; .:.:.:::::::::: 〜::::::::::::::::〜::::::::::::::::::::::::::::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._::::::''"'"' "'''.': .....:|i!i:: ' "'''.~~'::::::: ::::
: :|lili;!|;ヾ);;;);;;;;) :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::-:::::::''"'"' .;'":;.;'ヾiツィヾiツィ:,,,....、........ツィ''"'"' |!ii::.':::::::::::ヾiツィ ::
:.:.|lii;i|;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::-:::::::::::::''"'"' "'''.'''.;'":ソ''.':,、,、::::::。.. :::ヽシソ ::::::''"'"' "'''.':::ヽシソヽシソ ノノ
'.''|lilili|i;''.'''"'ヽヾiツィ "'''ヽヾiツィ:::ヽヾiツィ ,、 。.. ,、 ... :ヾiツィヾiツィ''.'''"'"' "'''.ヽノシソ ノノノ :::::::
やる夫は、身分を隠し、馬に乗って、たった一人。西へ、西へ。
……8月29日、たどり着いたのは、かつての領地、浜松の、浜名湖のほとり。
173 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:39:55.51 ID:Cb6E1Os0
゙" "''" "゙" ゙"/::ヽ____ ヾ"
゙" ゙" " ゙"'' ゙" |ヽ/:: ヾ''"
゙" ゙'" "゙" ゙" .|:: |::: | ゙ "
゙" ゙ ゙" ゙"'' |:: l: |
゙" ゙" "゙" ゙"|: :|: | ''゙"
゙" ゙" ゙""'"Wv,_|:: l |、wW"゙"
゙" ゙"''" ".wWWlヽ::'ヽ|:::::_::______:.|::\W/ ゙"゙''"
"'' ゙"''"゙" V/Wヽ`―――――――――lV/W "'
゙""' ゙"''" "゙"WW''―――――――wwww' ゙"゙''"
そこにあるのは、小さく、薄汚れた墓。そして、その前で。
____
/ \
/ ─ ─ \ ……やっぱり、やっぱり、
/ (●) (●) \ 来ていたお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) |
. | (__人__) | …………そりゃ、そうだ……
| ` ⌒´ ノ 今日は……瀬名様の、命日だからな。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
195 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:42:50.02 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ 数正……やる夫は……やる夫は……
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) ………………。
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ …………。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
……二人ははじめて瀬名の墓を訪れた。
東海が徳川の領土だった頃は、どこに徳川家臣がいるか解らない。
偶然、出会ってしまうかもしれない。
妻とは言え、謀反人である瀬名の墓を、参るわけにはいかない。
……それは、きっと、瀬名の遺志にも反することだろうから。
しかし、もう11年経った。瀬名もさすがに寂しがっているだろう。
そして、何よりも、浜松が徳川領ではなくなった。
皮肉にも、不本意な関東移封により、やる夫は自由に、
瀬名の墓を参れるようになったのである。
201 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:44:34.99 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
数正も同じであった。
豊臣家臣になってからは尚更である。
そして今、北条家が滅び、信濃の松本に10万石の大名として、
移封されてから、この場所にやってこれるようになった。
211 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:46:03.15 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) |
. | (__人__) | ……本来、オレが来ていいわけ、
| ` ⌒´ ノ ないんだろうけどな……
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ そんなこと……そんなことないお……!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
……数正が出奔してから、既に5年近くの月日が流れていた。
219 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:49:45.92 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄\
/ _⌒ \
| (●)(●)
. | ⌒(__人__)
| |r┬| .} ……殿様。オレよりも……
. | ー―' } 瀬名様に……
. ヽ }
ヽ ノ
___
/ \
/ \ …………うん、そうするお。
/ ⌒ ⌒ \
| /// (__人__) /// |
\ /
゙" "''" "゙" ゙"/::ヽ____ ヾ"
゙" ゙" " ゙"'' ゙" |ヽ/:: ヾ''"
゙" ゙'" "゙" ゙" .|:: |::: | ゙ " 「11年ぶりだお。瀬名……」
゙" ゙ ゙" ゙"'' |:: l: |
゙" ゙" "゙" ゙"|: :|: | ''゙"
゙" ゙" ゙""'"Wv,_|:: l |、wW"゙" 「数正だろ……久しぶりだな……」
゙" ゙"''" ".wWWlヽ::'ヽ|:::::_::______:.|::\W/ ゙"゙''"
"'' ゙"''"゙" V/Wヽ`―――――――――lV/W "'
゙""' ゙"''" "゙"WW''―――――――wwww' ゙"゙''"
229 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:52:49.78 ID:Cb6E1Os0
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒)
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
それから二人は、瀬名の墓の前で、色んなことを話した。
戦いや、秀吉のことなどではなく、
最近、趣味になっていることや、食事の話題、本の話題など、
友達同士がするかのような話題であった。
やる夫と数正は時が経つのを忘れ、いろんなことを話した。
238 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:55:28.97 ID:Cb6E1Os0
::::.:::.:.:.::.:.::.::.:.::.:.:.:.::.:::.:.:.::.::.::.:.:.::.:.::.:.:.:.::.::.::.::.::.::.:.::.::.::.:.::.::.::.:.::.:.::.:.:.::.:.::.:.:
...:..:.:..:...:.:.:..:..:.:.:..:.:..:.:.:.:..:..:.::..:.:..:.:.:.:.:..:.:..:..:.:.:..:..:..:.:.:..:.:.:..:.:.:.:..:.:.:..:.:.:.:.:.:.:..:
. ..:.:.. .. . ...:.:.:..:... ..:.:.:... . . .. .:.:.:.:.... ....:.:.:.. ..:.::..:... ....:..
... ... ...:.:. . ... ....:.:.:.:.::..
..,,;;;;;::::::::...
, '"" ""''` .
, ' `:、
,! l.
l !
""''''""""'"""''""""'""'''""""''""'""""''"'"'"""'"'"'""""'""""'""''
……やがて、西の空が、紅に染まり始めた。
____
/ \
/ ─ ─\ …………数正。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) …………。
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
241 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 22:58:33.79 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─\ 数正、戻ってこいお。
/ (●) (●) \ やる夫のところへ。
| (__人__) | 何か言うやつがいたら、
\ ` ⌒´ / やる夫が懲らしめるお。
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●)
. | (__人__) …………それは、できないだろ。
| ` ⌒´ノ 常識的に考えて。
. | } ……オレは裏切り者だ。
. ヽ }
ヽ ノ
247 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:02:08.03 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ u ノ \ やる夫は気にしないお!
/ u (●) \
| (__人__)|
\ u .` ⌒/
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| U ( >)(●)
. | (__人__) オレが気にするんだよ!
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((●)) ((●))゚o \ ……数正!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| U ( >)(<) 殿様。オレは裏切り者だ。謀反じゃないが、裏切った!
. | (__人__) どんな理由があろうと裏切り者なんだ!
| ` ⌒´ノ それをあっさり許して元通りなんて、
. | } それじゃあ、徳川家臣のみんなが納得しねえ。
. ヽ } ……それに、そうなったら、瀬名様と信康様の死が、
ヽ ノ 無駄になっちまう!
249 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:04:46.38 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ 数正……でも、でも!!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 殿様! いいか、よく聞いてくれ!
| ( ●)(●) オレが徳川家を出たのは、
. | 。゚~(__人__)。 あの時の関白殿下と殿様の戦争を避けたかったためと、
| ` ⌒´ノ 義伊丸様を助けたかったのと……
. | ゚ } 。 だけど、だけどな、オレは……オレは、
. ヽ } 関白殿下にあの時、惹かれていたんだ!
ヽ ノ
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ そんな、そんなの、ウソだお!!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ウソじゃない、ウソじゃないんだ……!
| ( >)(●) オレは徳川のことを考えつつも、
. | 。゚~(__人__)。 心のどこかで、殿下に魅了されてしまった!
| ` ⌒´ノ 天下統一に力を貸したいと思ってしまった!
. | ゚ } 。 力無い者が上に立つほどミジメなものはない、
. ヽ } と殿下は言った!それはオレと同じ考えだった!
ヽ ノ
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (○)(○) | オレは殿様では天下を統一できないと思ってしまったんだ!
. | 。゚(__人__)。 | でも関白殿下なら、それができると思ってしまった!
| ` ⌒´ ノ そして、それができちまった!
. | } 殿様。今のオレは……殿様のことは大切だ。
. ヽ } しかし、しかし、オレは……殿下にだって忠誠の心をもっちまった!
ヽ ノ
260 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:07:39.73 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。 ウソだお、ウソだお!!
| .:::。゚~(__人__)~゚j 数正はウソをついているお!!!!
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜ そんなこと、そんなことっ……!
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。 絶対信じないお!!!!
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ○)(○) ………………殿様。
. | 。゚~(__人__)。 オレは……今日を限りに、徳川を忘れる!
| ` ⌒´ノ それが一番いいんだ。お互いにとってな。
. | ゚ } 。 会うのは、今日が、最後だろ……
. ヽ }
ヽ ノ
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((○)) ((○))゚o \ 数正……! ま、待つお、数正ぁ!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
270 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:09:34.24 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) ……………………じゃあな。
. | ゚ (__人__)
| ゚ ` ⌒´ノ やる夫さん。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚((○)) ((○))゚o \ ………………!!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
やる夫が、数正に「やる夫さん」と呼ばれたのは、35年ぶりだった。
277 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:11:06.60 ID:Cb6E1Os0
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) オレは石川数正。
. | (__人__)
| ` ⌒´ノ っていうか三河からずっと一緒だったろ。
. | } やる夫さんの家臣だろ……
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
___
/ \
/ \ , , /\
/ (●) (●) \ 口のきき方に気をつけろだお!
| (__人__) | 仮にもやる夫はお前の主君……
\ ` ⌒ ´ ,/
. /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ
| ,___゙___、rヾイソ⊃
| `l ̄
. | |
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
/ ̄ ̄ ̄ \
/ :::::\:::/\
/ 。<一>:::::<ー>。
| .:::。゚~(__人__)~゚j
\、 ゜ ` ⌒´,;/゜
/ ⌒ヽ゚ '"'"´(;゚ 。
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
……そして、それから、やる夫は数正に三河に連れて行ってもらった。
292 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:14:26.67 ID:Cb6E1Os0
そこで、やる夫は家来達が苦労していることを知り、涙し、叫んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
____
/_ノ ヽ_\
/( >) (<)\
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ やってやるお!!!
| |r┬-/ |
\ ` ̄'´ /
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そこで、数正は初めて、やる夫のことを主君と認め、こう呼んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒)
. | (__人__) …………殿様。
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ \
/ く \ \
| \ \ \
| |ヽ、二⌒)、 \
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
299 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:18:10.80 ID:Cb6E1Os0
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| u ( ●)(●)
. | ゚~ (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | u }
. ヽ }
ヽ ノ
___
/ \
/ノ \ u. \
/ (●) (●) \
| ゚~(__人__)~゚ u. |
\ u.` ⌒´ /
やる夫と数正は別れた。それは、お互いに、もう二度と会えないだろう、
という別れであった。二人は振り返りざまに「またな」と言えなくなってしまった。
┏━━━━━━━━━━━┯
┃ / ̄ ̄\ く
┃ / ヽ_ .\ ゝ
┃ ( ●)( ●) | 〈
┃ (__人__) | 7
┃ l` ⌒´ | ノ
┃ . { |,イ
┃ { / | \
┃ ,-、 ヽ ノ、\ `ヘ、
┃ / ノ/ ̄/ ` ー ─ '/>< `?_
┃/ L_  ̄ / ト、,_
┃ _,,二) / 〔―ヽ、人,,r、__
┃ >_,フ / }二 コ \. Li\_,
┃__,,,i‐ノ l └―イ ヽ | ┃
┃ l i ヽl ┃
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
数正は、やる夫への忠誠と、秀吉への忠誠、両方を心に秘めてしまった。
人の気持ちが白か黒かではっきりと色分けできたら、どれほど楽だろう。
……数正は、徳川家への気持ちを、全て、心の奥底に封じ込めた。
後に、信康の命日もやってきたが、数正はもう現れなかった。
やる夫と数正。決別の日であった。
310 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:21:00.38 ID:Cb6E1Os0
.ω=丶
________. ∂6..ミミ-ъ
/ 直 / :ヘ::.i_ ̄丶
/ 訴 /⊃⊃⊃⊃⊃⊃⊆⊆[_____ノ_i.⊃⊃⊃
/ 状 / /∝ヽヽ
 ̄ ̄ ̄ i _/ ヽ_i.
止フ 止フ
さて、1590年の10月。
奥州で、秀吉の奥州仕置の結果、領地を失った葛西家や大崎家らの旧家臣団が、
大規模な一揆を起こした。葛西大崎一揆である。
この一揆の鎮圧のため、伊達政宗や、新領として会津をもらった
蒲生氏郷らが出撃し、一揆はそれぞれ攻め落とされてしまった。
しかし蒲生氏郷はこの一揆との戦いの最中、
この一揆の背後で操っているのは他ならぬ伊達政宗だという事実を突き止める。
政宗が一揆に与えた密書が、蒲生氏郷の手に渡ったのである。
323 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:24:01.58 ID:Cb6E1Os0
r ;;;;;;;;;;;;;;;; .'^-;,_ ;;;;;;;;;;; ヘ ;;;;;;; _, '^ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; /
ヽ ;;;;;;;;;;; i ` - ,_;;;; l `, ,.-' ヽ ;;;;;;;;;;;; /
ヽ ;;;;;;;i _,-、 ,;- 、i ;;;;;;; /
ヾ;;;;i "ヽヽ, ,.-'" ヽ;;;/,.,
r"`ヽi ─` "-,_. -,.'"-tuーュ i;;" ヽ
i ヽ, i;i l" `│::: `  ̄, i,' γ i よく見てください。
ヽ i i l`ヽ ,.i :::::. i , i
ヽ .i i ヽ┘- .'".i :::::::. i; .;' その密書には穴がないでしょう。
ヽi i i ::::::::.. !y'"
ヽヽ ,.: - 、_ヽ ' ,.: - :.,_, // 本物ならば穴があるはず。
ヽヽ`" ~,____,.. 、 //i
ヾ  ̄__,... ,.',/ .i
l ヾヽ ::::::... /,/:::: i
l ヾヽ /,/:::::::: !
_,.-='"l ヾ -=;;;;;;;;;;;;;=- './:::::::_,.'ヘヽ._
秀吉は政宗を上洛させ、弁明させた。
政宗は、本物の密書ならば鶺鴒(せきれい)の花押の目の部分に、
針の穴が開いているはずであり、それが無い以上、自分のものではないと主張した。
秀吉はかなり疑ったが、これ以上の証拠がなく、この追求はここで終わった。
336 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:27:21.00 ID:Cb6E1Os0
__
/: : : : :`ーv - 、
/: : : : : : : : : : i: : : :丶
l: : : : : : : : : : :ノ: : : : : }
」: : く  ̄ \: ll: : :_: : :ノ
(Iヽ_/ヽ,ニミ ` '_´ ィ: / ……くそっ!
r- 、 __ 千于i___ ノ <t:ァ`i'´
゛-'、ノ\_つl l l __ _ / / わしはこんなところでくじけぬぞ……!
/_>´ ̄ `i r`=y'` / いつか必ず、天下をとってやる!
」 ‐'二二) lヽ_ 二__/
... -‐' ヽ _二i ヽ:_:_:_:_:l ヽ‐-、
/ ̄ 〉 < ヽ__/、 .,l /l |  ̄\
ヽ ∧、__..ィ ヽ 八 l l
その後、政宗には一揆が起きた旧葛西領、旧大崎領の十二郡が与えられたが、
政宗の旧領六郡は蒲生氏郷に与えられた。
1591年の1月のことである。
343 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:29:04.92 ID:Cb6E1Os0
,,-‐''、_
__,-‐'' ̄''''‐-,_:::::=‐
《_,=' ̄》_:::::::::ヾ::`l
l __ ノ__‐i'::ヽ:::::::::l:::N
. ヽッ` ッ-、ヾ:ヽ_:::ノ:! 兄上……
l < .|:::| ノ:::! ` 私は兄上のお手伝いができて、
. ヽヽ , |::|:::::::l 幸せでした……
ー‐ ' i:::|l:::::::|
__,,/.l::l `X''i:::| l ヾ::|_
,-‐'´/,-l::レλ/::|/l_,、ヾ:l`‐-,
| i''´ ヾ! l/レ'ヽl `‐i .|
| .| ./ l、,| / / .|
( | | ト、/o|\/ /:l .|
豊臣 秀長
そして、1591年2月15日……
以前より体調を悪くさせ、小田原攻めには参加しなかった、
豊臣秀長が死んだ。秀長の死は多くの大名に悼まれた。
常に大風呂敷を広げ、巨大な戦略を立ててそれを実行していく兄と比較し、
秀長は調整役や、金の工面など、いわば裏方、補佐役としての仕事が多かった。
しかしその仕事ぶりは実に素晴らしく、秀長の裏の支えがあってこその秀吉と言えた。
360 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:31:23.26 ID:Cb6E1Os0
r'" ̄`i
!, !
_i=ニニ=!
,.-'"_,,... ...,,_`‐:、
,'.:'"´ `'‐`:, ヒデヨシくん……
,'" ,イ, ',
| /i,' !,'| |
r! __,,i-|!,i-|、,__ ,'、
', | .|i'i;;i'! '!l' |'i;;i'i| i ノ
`| |. .| |
| |.、 ー ,| |
_,! .|.r`i、.  ̄ _,.;.'゙;.! .|_
_,-' | |、`:,  ̄ ,.' .! | `:、
,:'" | r'''ヽ ':、 ,:' r‐'、! \
北政所(ねね)……秀吉の正妻。
, ,i!. ,;
,nソ!ッ」`!ゝ、!;/'!
,.. -‐---、....,..;=ヽ.<! |f .|、|_'!ヾ<.ト;_
.,r=‐‐‐-、 / f.iイ'! : : .' ´,^) .l と;`!
,/'~ ヽ. { f |! `! j、.ヾ ノ }!. | うううう……秀長……!
ノ.| '! .{ i' y='==_:、,ノヽ,、ソノ.)_! なんで死んだんだ!?
./ ゝ !ノ. | .ノ `ヽ,_, ク<ニ!, 鶴松もまだ小さい。
/ ヽ. 〈,>'<リ 〆f_/'T s! 秀長だけが頼りだったのに……!
ノ ヽ、 `y' O/ ノ! .q
秀長の死は、秀吉個人としても、豊臣政権としても、あまりに痛かった。
371 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:33:33.23 ID:Cb6E1Os0
. ,.--、
. l:. `:,,,__,..-―‐-..、
`:、,_:r'.,:' -‐'"´´´´´`':、
.|',:'´.::: , i ヽ
i .::::: |i i l.:::: ', ヒデヨシ君にとって
|. .:::::::: __,,/|'l' |、__:,r 心の支えだったのは
| :;.、::::::ri't;;j" i,ー'.l:| ヒデナガ君だった……
| l,r‐、-!_.` ' ' l:| ……大丈夫かな?
| ::| /,.:',.:'‐-、 ,.-‐ ,'::| 心配だよ……。
| ::`:、_ '^,',._. ´,:':| |
____.|,,;;..;:::`,:,_____) `iー,;;i.l
. ,.:' ::::: i::/',!-z-,!. , ソ,.-',',ー--、
/ ,'/'"i‐'''"i. ,.!'_!_.. ,!,', ヽ
378 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:35:12.40 ID:Cb6E1Os0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | …………ねね。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 心配をかけてすまなかった。
` ι,, `',ノ7 もう大丈夫だ……
`、 _,,, /'|,',,
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,,
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
i .i
_>==<,_
,.='"‐''"''‐-:`,、
,'" ヽ
,' イ/| .イ .i ヒデヨシくん!?
|i /-|i .l,:i'-_ , |
'i i'(,O) ' '(O,)i !','、 ……なんか、雰囲気が
/"| !、 _;;_ !< | \変わったね??
,:' ,'/、':、i" ゙i,:イ i.| .ヽ
i i.|_,!., ',`ー:'/,..'゙| | |
| i,'!,_r;!,_`y'r-'、_ノ|.| |
| , -',! '、_,r'‐:'、_ノ !,,!、 ,'
393 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:36:40.87 ID:Cb6E1Os0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` |
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| …………そうでもないさ。
` ι,, `',ノ7
`、 _,,, /'|,',, 秀長の後処理をしよう。
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, 手伝ってくれ……。
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
秀吉は秀長の遺した遺産や、仕事の処理をしはじめた……。
407 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:39:25.39 ID:Cb6E1Os0
倹約と、商業重視の政策により、秀長は相当量の財産を遺していた。
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | …………すごい蓄財だ。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 倹約、商業……もちろん、
` ι,, `',ノ7 それもあるだろうが……
`、 _,,, /'|,',, ……そのことを、
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, 一緒に考えていたのは……
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
|;,, | |_|/| || / |
秀長の蓄財の一旦を担っていたのは千利休だった。
「内々の儀は宗易(利休)、公儀の事は秀長に」
豊臣政権の両翼は、秀長と千利休の二人と言ってよい。
千利休は一級の茶人であり、とことんまで無駄を省いたわび茶の完成者である。
しかしそれと同時に、秀吉のブレーンでもあった。
茶道具や茶の湯……
茶道具は価値によっては家来に与える褒美として使え、
茶室は身分や外を気にせず密室の中での会議に使え、
茶の湯は権威をひけらかすことやイベントに使える。
秀吉の作った「黄金の茶室」……全てを黄金で作った茶室は、
秀吉の黄金所有量の見せびらかしに。
秀吉が1587年に主宰した身分無視の大茶会「北野大茶会」……
身分も茶器も問わず誰でも参加してよいという茶会は、
秀吉の人格のアピールに。
420 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:41:52.63 ID:Cb6E1Os0
`ヽ、llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`ヽ、_,-,
-―--`lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllノ
`ヽ、lllllllllllllllllllllllllll, - 、ll、_ll、ヽlllllllllllllllノ-,
 ̄ヾllllllll/⌒l、lllllll-- `ヾシノ|彡 茶の湯は便利なものだ。
_ノll/ ⌒l `|ll/´ _ / あれと利休のおかげで、
`)ll| (`Y´ _ 、_ | 僕も秀長もずいぶん助かった。
/lll`l`-| u ( U '´,イ
,-'´/|`ヽ-┐u ` ̄' ノ ……だが……
__, -‐/;;;;;;/ | | u l
;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;| `l l、 ` , -' 利休は少し、色々と、知りすぎた、な……
;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;| `l、 `ヽ、 -――-/
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X 秀長がいればこそ、
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | 利休と僕が組んで、色々とやった
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 悪どいこともばれずに済んだ。
` ι,, `',ノ7 秀長は本当に素晴らしい調整役だった。
`、 _,,, /'|,',, 秀長が死んだ今、利休のことは、
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, ……片付けたほうがいいかな?
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
430 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:43:57.85 ID:Cb6E1Os0
秀長の死から約一ヵ月後。
やる夫は所用で、堺まで来ていた。
そしてその時、千利休から、茶の湯の誘いをもらった。
____
/ \
/ ─ ─\ 利休殿、やる夫だお。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
、-―――――――-- 、
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. | これはやる夫殿。
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | 今日はよく来てくれたな。
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| まぁ、まぁ……
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r |
| └┬^, , ,__, 7 ノ わしが茶をたてて進ぜよう。
| `l ̄ ̄ン , ┬´
|  ̄ ̄ ≠ |
ゞ、 __≠ |
`| ̄゛゛ ノl
利休の屋敷には他に誰もいなかった。
やる夫と利休は二人だけで茶の湯を始めることになった。
438 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:45:44.51 ID:Cb6E1Os0
___
/ \
/ノ \ u. \ ……利休殿。
/ (●) (●) \ 何か、あったのかお?
| (__人__) u. |
\ u.` ⌒´ /
.., ‐ \
i゙,__-‐''"二 ̄丶 ヽ
|.., ‐'´ `\ i i
. | / ̄\/ \ _ | わはははは!
.| / | / \ |
ヽ/ i⌒i | i ∩ i | ……実はな、
/ L_| | | | わしは殿下に殺されるかもしれんのだ!
| /\ > | |
`'‐=、'"/ / | /`'‐、.. /
i.., ‐'" .| __/ `'‐─|
_|__/ _| .., ‐'"´i
/ _| .., ‐'"´ i
i ヽ/.., ‐'"´ _i
\ | i \/'"´ .., ‐'"´
450 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:47:39.60 ID:Cb6E1Os0
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\ な、なんでだお!?
/ (__人__) \ 利休殿は、天下一の茶人!
| ヽ |!!il|!|!l| / | それに殿下も利休殿がお気に入りだお!
\ |ェェェェ| /
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. |
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | 事情が変わったんだよ。
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| わしはただの古びた茶碗を
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r | 明や朝鮮の価値あるものだと鑑定して、
| └┬^, , ,__, 7 ノ 高く売ったり、大名の褒美にしたりした。
| `l ̄ ̄ン , ┬´ 他にも茶の湯を使って色々腹黒いこともした。
|  ̄ ̄ ≠ | それもこれも全て殿下のため、そして、権力者の力を借り、
ゞ、 __≠ | 茶の湯の素晴らしさを世間に広めるためだったが……
`| ̄゛゛ ノl わしは少し、殿下にとって都合の悪いことを知りすぎた!
457 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:49:37.28 ID:Cb6E1Os0
____
/ ノ \\
/ (●) (●)\
/ ∪ (__人__) \ ……利休殿。
| ` ⌒´ |
\ /⌒)⌒)⌒) //⌒)⌒)⌒)
ノ | / / / (⌒) / / / /
/´ | :::::::::::(⌒) ゝ :::::::::::/
| l | ノ / ) /
ヽ ヽ_ヽ /' / /
ヽ __ / / /
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. | がははは、そう暗い顔をするな。
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | わしはあの世に行っても、
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| エンマ大王相手に茶の湯を立てて
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r | 千利休、地獄に有りと知らしめてやるわ。
| └┬^, , ,__, 7 ノ
| `l ̄ ̄ン , ┬´ わしがやる夫殿を呼んだのは、
|  ̄ ̄ ≠ | そういったことではないんだ。
ゞ、 __≠ | 最後に、やる夫殿と、
`| ̄゛゛ ノl 話がしたくてな。
467 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:51:12.92 ID:Cb6E1Os0
___ ━┓
/ ―\ ┏┛
/ノ (●)\ ・
. | (●) ⌒)\ ……なんだお?
. | (__ノ ̄ |
\ /
\ _ノ
/´ `\
| |
| |
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. |
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | 二つある!
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| まず、一つ目……
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r | 殿下は明に攻め入る気だ。
| └┬^, , ,__, 7 ノ
| `l ̄ ̄ン , ┬´
|  ̄ ̄ ≠ |
ゞ、 __≠ |
`| ̄゛゛ ノl
471 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:52:47.63 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─\ 唐入り! ……前々から話は聞いていたお。
/U (●) (●) \ 昔、信長殿も天下統一後は世界に乗り出すつもりだったお。
| (__人__) | 秀、いや、殿下も本気でそうするつもりかお!
\ ` ⌒´ /
i゙,__-‐''"二 ̄丶 ヽ
|.., ‐'´ `\ i i
. | / ̄\/ \ _ |
.| / | / \ | 間違いないな。わしがこの耳で聞いた。
ヽ/ i⌒i | i ∩ i | 殿下が何故、明を目指すのかまでは知らん。
/ L_| | | | だが攻め入るのは確実だろう。
| /\ > | |
`'‐=、'"/ / | /`'‐、.. / 先日、朝鮮から使者が来たのは、
i.., ‐'" .| __/ `'‐─| やる夫殿も知っているだろう?
_|__/ _| .., ‐'"´i
/ _| .., ‐'"´ i
i ヽ/.., ‐'"´ _i
\ | i \/'"´ .., ‐'"´
 ̄ ̄ ̄ ̄ .., ‐'"´
4年前、秀吉が九州を平定した年……秀吉はその時、果たしてどれくらい本気で、
明に攻め入ることを考えていたのかは解らないが、
秀吉は九州を平定した時、対馬を治める宗氏に、
「いずれ秀吉は明に攻め入るので朝鮮に道案内をしてもらう必要がある。
朝鮮国王に対して、京都に上洛し、臣従の礼をとるように伝えよ」と言っている。
秀吉は、朝鮮が宗氏の支配下にあると思いこんでいた。
実際はそうではなかったのだが、宗氏は真実を伝えると怒られると思ったのか、
秀吉に真実を伝えず、朝鮮に「日本平定のお祝いとして来てくれ」と言った。
朝鮮は最初は渋ったが、宗氏の面子を考え、前年の1590年に使者を秀吉に派遣した。
477 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:54:58.00 ID:Cb6E1Os0
秀吉は京都の聚楽第で、朝鮮の使者を歓迎し、
朝鮮国王の祝賀の書簡に対し、こう返事した。
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_ 「日本国関白秀吉が、
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r' 朝鮮国王閣下に対して書を送る。
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' 秀吉は海を越えて大明国に進み、
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' 我が国の力を示し、明を日本のごとく、
/" | ._| 変えてみせる。こうした中、朝鮮が、
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r' 率先して日本に朝貢してきたのは良い事だ。
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'" 秀吉も間もなく準備を終える。
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_ 朝鮮と日本国の友好もますます深まるだろう。
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、 秀吉の目的は東アジアにその名を轟かすことだ。
. i く. ヽ .! .',`i".、 ヽ ヽ 貢物は確かに受け取った」
| `:.、. ':! .',.| ゚.l ヽ `':、
秀吉は明らかに朝鮮の使者を、臣従の使者だと誤解していた。
そしてその誤解を、宗氏は解こうとはしなかった。
前年の11月のことであった。
485 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:57:07.97 ID:Cb6E1Os0
____
/ \
/ ─ ─\ ……江戸や奥州の一揆のことで忙しかったから、
/ (●) (●) \ あまり詳しくは知らなかったお。
| (__人__) | そうかお……殿下は、明へ……
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | | ……そうかお。
.\ “ /__| |
\ /___ /
やる夫には、明に攻め入ることが、どのような結果になるのか、想像もつかなかった。
かつて、信長と共に世界を駆け回ろうと、夢を語り合ったことはある。
しかし、実際に、外国に攻め入るとなると、実感が湧かず、なんとも言えなかった。
494 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/08(金) 23:59:09.71 ID:Cb6E1Os0
、-―――――――-- 、
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: | 殿下の唐入りの動機まではわしは知らん。
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. | だが、これから本格的に準備は始まるだろうから、
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | それとなく上方を見張っておいたほうがいいぞ。
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、|
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r | と、いうのもだ……これは二つ目の話なんだが、
| └┬^, , ,__, 7 ノ 殿下はやる夫殿を警戒しておられる。
| `l ̄ ̄ン , ┬´ 口癖のようだったぞ……やる夫が怖い、
|  ̄ ̄ ≠ | やる夫が危ない、と。
ゞ、 __≠ |
`| ̄゛゛ ノl
____
/⌒ ー、\
/( ●) (●)\
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\ 殿下が……? やる夫を……?
| |r┬-/ ' |
\ `ー'´ /
、-―――――――-- 、
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. | おう。……殿下は恐れておられた。
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | 上杉、毛利、長宗我部、島津……
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| 数多くの群雄を降したが、徳川やる夫だけは、
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r | 心底から自分には下っていない、と……
| └┬^, , ,__, 7 ノ 敗北しても、苦しんでも、それでも秀吉に屈せず、
| `l ̄ ̄ン , ┬´ ……天下を狙っている。あれは、並の性根で、
|  ̄ ̄ ≠ | できることではない、と……。
ゞ、 __≠ |
`| ̄゛゛ ノl
501 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:01:16.21 ID:k6Ww.rw0
____
/ \
/ ─ ─ \ ………………
/ (●) (●) \
| (__人__) | 利休殿は、なぜ、そんなことを、
\ ` ⌒´ / やる夫に教えてくれるんだお?
i゙,__-‐''"二 ̄丶 ヽ
|.., ‐'´ `\ i i
. | / ̄\/ \ _ | がははは……なぜかな……
.| / | / \ |
ヽ/ i⌒i | i ∩ i | 死ぬことがうすうすわかってきたら、
/ L_| | | | 誰も知らない、天下人の弱音を、
| /\ > | | 誰かに話したくなってきた、
`'‐=、'"/ / | /`'‐、.. / ってところだな……。
i.., ‐'" .| __/ `'‐─|
_|__/ _| .., ‐'"´i
/ _| .., ‐'"´ i
i ヽ/.., ‐'"´ _i
\ | i \/'"´ .., ‐'"´
 ̄ ̄ ̄ ̄ .., ‐'"´
____
/ \
/ ─ ─ \
/ (●) (●) \ ………………。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
507 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:02:48.06 ID:k6Ww.rw0
i゙,__-‐''"二 ̄丶 ヽ
|.., ‐'´ `\ i i
. | / ̄\/ \ _ | やる夫殿。
.| / | / \ | その不屈の精神、
ヽ/ i⌒i | i ∩ i | 決してなくすなよ。
/ L_| | | |
| /\ > | | わしはあんたのような男が、
`'‐=、'"/ / | /`'‐、.. / 嫌いじゃないぞ……
i.., ‐'" .| __/ `'‐─|
_|__/ _| .., ‐'"´i
/ _| .., ‐'"´ i
i ヽ/.., ‐'"´ _i
\ | i \/'"´ .., ‐'"´
 ̄ ̄ ̄ ̄ .., ‐'"´
____
/\ /\
/( ●) (●)\ もとより、そのつもりだお。
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\
| |r┬-| | ……利休殿。色々、ありがとうだお。
\ ` ー'´ /
517 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:04:52.79 ID:k6Ww.rw0
、-―――――――-- 、
ヾ:::::::::::::::::::::::::::::::...... ヽ
〉 ̄`´ ̄ ̄ ̄`ヽ:::: |
レ ⌒ヽ_/ ⌒ヽ ヽ:::. |
γ⌒ヽ /⌒ヽ|l |:: | おう。……次に会うときは、
| ⌒。|_ノ ⌒。 〉 , -、| あの世だな。
〈  ̄「 ̄  ̄ 〃 |_l r |
| └┬^, , ,__, 7 ノ
| `l ̄ ̄ン , ┬´
|  ̄ ̄ ≠ |
ゞ、 __≠ |
`| ̄゛゛ ノl
____
/ \
/ ─ ─\
/ (●) (●) \ ………………。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
数多くの人の死に触れてきたやる夫である。
利休からは、どこか、死の気配が漂ってくるのを、やる夫は感じた。
これが、公式の記録で解っている、千利休最後の茶会である。
程なくして、利休は秀吉より、茶の湯の禁止、そして蟄居を命ぜられる。
利休最後の茶の湯の相手は、やる夫であった。
519 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:06:50.66 ID:k6Ww.rw0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | 安価な茶器を高く売り、
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 私腹をこやしたること、
` ι,, `',ノ7 許しがたし。
`、 _,,, /'|,',,
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, 千利休……死ね。
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
|;,, | |_|/| || / |
1591年4月21日、千利休に切腹が命ぜられた。
前田利家や細川忠興らが、助命に向けて活動するも、叶わなかった。
その死については、未だ謎が多く、なぜ秀吉が利休を殺したのが、
解っていないことも多い。しかしながら、豊臣政権の調停役であった
秀長が生きていれば、秀吉も、利休を殺すことはしなかったかもしれない。
秀長の死により、豊臣政権と、秀吉自身は、少しずつ、狂い始めていった。
530 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:08:51.16 ID:k6Ww.rw0
、-`=- `_`'''‐--:、,_
-=_- 、,,__`''‐-、 ヽ`‐、_
`=,‐- _- r‐-`‐-、 ! r'
'i i´)`r'".-、,_ `'i‐' これでいい……これでいいんだ。
|,!、'!. lT;j'‐ ,r' 利休は色々と僕の弱みや、
/" | ._| ばれてはまずいことを知りすぎた。
,.-'/ '、 ヽ `''‐-r' 利用価値はまだあったが、
r―,――‐:''"| ヽ. `‐:、` ,-'" 生かしておくほうが、まずいんだ。
,r'゙ ヽ !_. \ `/-i`,、_ 大名ならば殺すのも色々厄介だが、
'"´ ', `ニ=-\./、,, !',.ヽ`''ー,-:、 所詮は茶坊主ただ一人だよ……。
. i く. ヽ .! .',`i".、 ヽ ヽ
537 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:10:45.70 ID:k6Ww.rw0
___
/ \
/ \ , , /\ ……秀吉は、本当に利休殿を殺したお。
/ (●) (●) \ いくら利休殿が色々都合の悪いことを知ったとはいえ、
| (__人__) | 使い終わったらあっさりと殺すなんて……。
\ ` ⌒ ´ ,/
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/ ………………
| (__人__) l;;,´
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| | …………秀吉は、やっぱり、
.\ " /__| | どうも、スキにはなれんお。
\ /___
544 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:12:29.61 ID:k6Ww.rw0
ゴ オ ォ ォ …… ! ! \\ ;": ..;.;".;":
.;".;": _.;.;__ \\ ド カ ァ ン !
.;".;": ..;.;".; ζ /_.;_/| .;".;"_ \\ .;".;.;".;":
.;".;": ..;.;".;": ;:'.;| ΓΓ | |;":从へ_/| \\.;".;"_.;__..:
从へ从へへ从 ; ζ | Γ从 | |;:.. |从Γ | | \\ ∠___/|
( ⌒( ⌒ ) ζ | 从Γ | |.:;. |从Γζ.;"._ \\|ΓΓΓ| |
( ⌒ ⌒ ⌒ ); | ΓΓ | |.;;::|ΓΓ | | ( 从へ;: |从ΓΓ| |
Σ( ⌒( ⌒ ) ζ ( ( ) )⌒ ) ( 从へ从)_.;;:.;|Γ从Γ| |
( (( ( ⌒ )) ) 从 Σ( ⌒( 从へ从) ∠___/|
Σ (( ( ⌒ )) ) )(( ⌒ ( 从へ从) .;".;:;|ΓΓΓ| |
(( ⌒ ( ( ) )⌒ );:; .;".;": ..;.;".;":|从ΓΓ| |
さて、奥州……
葛西大崎一揆を鎮圧したと思ったら、奥州はまたも荒れた。
陸奥の、現在の岩手県にあたる地域で九戸政実が、
南部信直に対して挙兵した。政実は、南部家前当主の晴政が死んだ後、
九戸政実の弟であり、晴政の娘婿である実親を推したが、
結局、南部家の当主は晴政の養子の南部信直に決まってしまう。
そのことに不満をもった政実は反乱を起こしたのだ。
553 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:14:31.27 ID:k6Ww.rw0
`;::`-、_ `i;;::、_ ,
、____;;;::::::;;;;;;;i;;;:::::;`V,
`''、;;;:::;;;;:::::::;;::::;;;;;;;;::|_ オレに任せろ!
、-;;;;;;::::;;_::_:'''''''''、:::::;i
く::;i: _,,、!;;;;;/ ___
l ,-、..., -' __::::l;ノ- / :::i
(;。:::> ,:: 、' “ '.゚lィ.ノ. l ::|
`l_:: 、, 、::|ノ ,i、.....::l
ヽ`-'-〜-'´:/ |;::::::::::i
, 〉_,,;i;,, :::,゚.'::|-、 l;;::..:..;::i
,/;::l;;;i:::`ll!''::::::''/、;::l___ _,,,/:::,;:---'---、_
______,,,:-/;;::/':::|: :::::::::: l:::/;::;;i;;::::::;/,::i'......::....:::;;;;::::ノ
/;i;::;;;;;:::::;/::;;;;;;;;i_:::`::、:::,―::-:ノ;:;;;;;::i;::;/::i;::>-::--:-:::::;:'、
i:;;l;;::::;;;;;;;;;;`、::::;;l_lll`;;-;;--;;-ill|!;;;;;;;::::〉l;;i:;:7;!;;;::...::...:::::::::ノ
____
/ \ /\ キリッ
. / (ー) (ー)\
/ ⌒(__人__)⌒ \ 殿下のご命令なら、
| |r┬-| | やる夫はどこへでもいきますお。
\ `ー'´ /
南部信直は苦戦した。
そこで、中央の秀吉に援軍を求めた。やがて、
豊臣秀次を総大将、副大将をやる夫とする軍勢が奥州にやってきた。
戦いの結果、九戸政実は敗北し、秀次の手で九戸一族は全員殺され、
九戸政実の乱は終わった。
558 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:16:35.00 ID:k6Ww.rw0
(ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \
/( ●) (●)\ )
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
| (⌒)|r┬-| |
,┌、-、!.~〈`ー´/ _/
| | | | __ヽ、 /
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄
その後、陸前(宮城県北部)の土地を、
やる夫は秀吉の命によって検地した。
やる夫は岩手沢城に滞在していたが、この後、
葛西大崎一揆の後処理が済んだ政宗が来ると聞き、
改修や修築工事を行った上で、政宗に引き渡した。
563 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:17:54.86 ID:k6Ww.rw0
__
/: : : : :`ーv - 、
/: : : : : : : : : : i: : : :丶
l: : : : : : : : : : :ノ: : : : : }
」: : く  ̄ \: ll: : :_: : :ノ
(Iヽ_/ヽ,ニミ ` '_´ ィ: /
r- 、 __ 千于i___ ノ <t:ァ`i'´
゛-'、ノ\_つl l l __ _ / / かたじけない、やる夫殿。
/_>´ ̄ `i r`=y'` / 政宗、恩に着る。
」 ‐'二二) lヽ_ 二__/
... -‐' ヽ _二i ヽ:_:_:_:_:l ヽ‐-、
/ ̄ 〉 < ヽ__/、 .,l /l |  ̄\
ヽ ∧、__..ィ ヽ 八 l l
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ いえいえ、お安い御用ですお!
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ (この男は油断ならん、頭の切れる男だお。
| |r┬-| | だけどうまく使えば、色々と役立つかもしれんお。
\ `ー'´ / 関東の安定のためにも、仲良くしておくべきだお)
政宗は岩手沢城を岩出山城と改名し入城した。
この城は、後に仙台城に政宗が入城するまで、
伊達家の居城となった。
九戸政実の反乱が鎮圧されたことにより、奥州は一応の安定を見た。
573 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:19:50.98 ID:k6Ww.rw0
..,,,,,,,,,,... ,,.z
/~'''''" ` ´ l
/ ,.. -- - --z.,,__ '‐ッ
/ /, ''''' ゙ ヾ ./
./ /'''/ ,,.ィ '' ヽ、_ > ヽ おおおおおああああああ
/ / ( ,_,-''"_ , _,....゙_''Y./ あああ!!!!!!!!!
/ / // ' ,. ヒニ゙.l, ヾ l.l''';. l .V
゙''-,/ / ゙> ' ヾ'' ヽ ゙゙ l 鶴松うううううう!!!
゙ー, ,l;''';';;、l .; .; ! l
゙-、 i'ッ' _,.. -‐-、 .l うおおおおおおおおおん……!!
ヾ;:-` ,ィェェニニニ.l l おおおおおおおおお……!!!!
`'ァヽ, ゙''゙ ‐''' /
゙l ゙'‐ .,_ /
.,, --‐┴‐‐‐‐`‐‐ー‐'''"└------、.
そして1591年9月22日。
秀吉の息子、鶴松が死んだ。
生来、病弱だったという。
秀吉は年をとってからできたこの子供をひたすらに可愛がっており、
その死には、もはや狂ったかのごとく、泣き喚いた。
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | ………………
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 秀長が死に、鶴松が死んだ。
` ι,, `',ノ7 何故だ……何故に、こうも、
`、 _,,, /'|,',, 悪いことばかりが……
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, いや、そう続くものか……
/ /, ̄ , /,,> `) そうは……続くもんか……
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
585 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:21:31.02 ID:k6Ww.rw0
_,:-=====‐-、
/''二 ̄ ) ゙ヽ
ir'"r-__,,,,,,.:-'" ヽ 殿下。行長です。
r_,,r''"´`i'''ヽ r‐:、 l
/"r'.!__..-' `'";'ノ,! ,' お申し付けの件ですが……
ヽ_,r'i゙ 、 'r:< ,' その、やはり……
ヽr‐=''''` ,!. 丿, `i
`( _,,-‐'" l _,.!>、__
`'''".)、i ,.:-:'" ,.:' i. `'''ー--,-.、
,.:|.i゙''ヽ / .| r'" `:、
,:r' |,!,ノ.ヽ/_ | ,' i
,-'"/ ,ィ゙i | ,' `‐<" ,' .|
i'| .<,:' .|.,' | ,' ,:' i |
小西 行長
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | ……ああ、そうかい。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 教えてくれ。……うん、うん……
` ι,, `',ノ7
`、 _,,, /'|,',,
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,,
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
秀吉は行長の報告を聞きつつ、明に攻め入ることを、心の中で決め始めていた。
行長の報告は、明についてである。
600 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:24:33.05 ID:k6Ww.rw0
_,,....,_
,.-‐''" -- 、`"'‐- ,,_
‐=、'ニ´-  ̄` zー'ー- 、 ',
-=ニ,.=-‐,..、 z` - ,_ `´!'
`ーz‐' i.r ;ヽ' rr;jー r'
`i. '、(i l
',,.r`'i.. i´ ,、_
| `  ̄,' / `'' - .,_ _,,
. ,. '/`'‐.、 'ーr- ' / `''ー '",.'
__ ,.-i" .ヽ `'ー ,、'、. ,.、 / , '
,.-'-´- 、 l ヽ ,'""i;\ | ',、. / ,.'
,.' ヽ '--.、,. '´'、-.、l、_!',. ヾ'.、 r'=! l. i ./ , '
! i ./ ヽ ` l '、!ヽ,ゝ/.,ノ ,! l ./ , ,.'
l 、 `' 、. ヽ. | ヾ ゚,.' ' ィ i/ r;- .,_ ,.'.,.'
九州平定の頃、キリスト教の宣教師や、キリシタン大名の一部が奴隷貿易を行っていた、
……もちろん、全てのキリシタンがそうではなかったし、また、
全てのキリシタンを弾圧することで、かつての一向一揆のように反乱を起こされることを、
秀吉は恐れたため、一般人の信仰などについては、あまり厳しく咎めなかった。
以上のことは、既に触れた。
そして、その奴隷貿易を行う理由は、火薬の製造に必要な硝石の輸入にあることも触れた。
608 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:26:29.91 ID:k6Ww.rw0
秀吉は全国各地の金山、銀山を直轄地とし、金には困っていなかった。
だが……
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X 硝石の輸入をいつまでも、
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | 南蛮頼みにしていてはいけない……。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,|
` ι,, `',ノ7 聞けばルソンはスペインの手にあるという。
`、 _,,, /'|,',, スペインが北上し、日本に攻めて来たらどうなるんだ。
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, 日本は火薬の自給ができないんだぞ。
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
この時期、ルソン(フィリピン)は、スペインの植民地であった。
(南部はまだ植民地ではなかったが、北部はそうだった)
今はまだ、スペインはフィリピンで留まっているが、その後、日本に、
侵略の手を伸ばしてきたらどうするのか?
火薬製造に必要な硝石は、そのスペインから輸入しているのだ。
ならば、スペインが輸出を止めれば、日本は火薬、そして鉄砲が、
使用不能になってしまうのではないか?
秀吉はそう考えた。常に侵略ということを考えるのは戦国武将の常である。
615 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:28:32.40 ID:k6Ww.rw0
_,:-=====‐-、
/''二 ̄ ) ゙ヽ
ir'"r-__,,,,,,.:-'" ヽ 明は直接貿易に応じる
r_,,r''"´`i'''ヽ r‐:、 l 考えはないようです。
/"r'.!__..-' `'";'ノ,! ,'
ヽ_,r'i゙ 、 'r:< ,'
ヽr‐=''''` ,!. 丿, `i
`( _,,-‐'" l _,.!>、__
`'''".)、i ,.:-:'" ,.:' i. `'''ー--,-.、
,.:|.i゙''ヽ / .| r'" `:、
,:r' |,!,ノ.ヽ/_ | ,' i
,-'"/ ,ィ゙i | ,' `‐<" ,' .|
i'| .<,:' .|.,' | ,' ,:' i |
`ヽ、llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`ヽ、_,-,
-―--`lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllノ
`ヽ、lllllllllllllllllllllllllll, - 、ll、_ll、ヽlllllllllllllllノ-,
 ̄ヾllllllll/⌒l、lllllll-- `ヾシノ|彡
_ノll/ ⌒l `|ll/´ _ /
`)ll| (`Y´ _ 、_ | どうしてだ……
/lll`l`-| u ( U '´,イ
,-'´/|`ヽ-┐u ` ̄' ノ わけがわからん……
__, -‐/;;;;;;/ | | u l
;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;| `l l、 ` , -'
;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;| `l、 `ヽ、 -――-/
┌‐┴───┐ ヽ、 `ヽ、 人
│ ヒデヨシ | `ヽ、 `>┬イ `、
日本に最も近い国で、硝石が産出されるのは明(中国)の内陸部であった。
スペインも、明から買い上げ、日本に輸出して利益を出している。
日本と明は古くから勘合貿易を続け、室町幕府が衰退した後は、
中国地方の大名の大内氏が貿易を続けていたが、
大内氏が陶晴賢の手によって滅び(第9話「平安楽土の階」参照)、
それ以来、日本と明の正式な貿易は途絶え、密貿易だけが続いていた。
秀吉は、密貿易ではなく、正式な貿易を行い、
スペイン以外からの硝石輸入ルートを確保しようとしたのだが、
明はこれを拒否した。
624 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:30:55.95 ID:k6Ww.rw0
( _,, -''" ', __.__ ____
ハ ( l ',____,、 (:::} l l l ,} / \
ハ ( .', ト───‐' l::l ̄ ̄l l │
ハ ( .', | l::|二二l | ハ 日 .|
( /ィ h , '´ ̄ ̄ ̄`ヽ | ハ 本 │
⌒⌒⌒ヽ(⌒ヽ/ ', l.l ,' r──―‐tl. | ハ 人 │
 ̄ ', fllJ. { r' ー-、ノ ,r‐l | ! め │
ヾ ル'ノ |ll ,-l l ´~~ ‐ l~`ト,. l |
〉vw'レハノ l.lll ヽl l ', ,_ ! ,'ノ ヽ ____/
l_,,, =====、_ !'lll .ハ. l r'"__゙,,`l| )ノ
_,,ノ※※※※※`ー,,, / lヽノ ´'ー'´ハ
-‐'"´ ヽ※※※※※_,, -''"`''ー-、 _,へ,_', ヽ,,二,,/ .l
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `''ー-、 l ト、へ
このあたり、少しわかりにくいのだが、
中国には「中華主義」というものがあり、
周辺国家と対等の関係を認めない。全ての国家は中国の下だという発想である。
スペインとの貿易も、かつての日本との貿易も、
外国が貢ぎ物をもってきたので、代わりに中国が、
家臣である外国に、望むものをくれてやろう、というやり方であった。
対等な形での交易は、明とは成立しなかった。
635 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:33:12.75 ID:k6Ww.rw0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X 明はこの僕をバカにしているのか!
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | 朝鮮からも、道案内について、
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 何の返事もない。
` ι,, `',ノ7 この秀吉をなめているのか!?
`、 _,,, /'|,',, ……少し、おどしてやるか。
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,,
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
______
/ . ,−、 ,− \
/ __| ・|・ | ヽ
/ / `−●-´ \ .| 風雲ドラえもん城じゃだめ?
| / ──. .| ──ヽ|
| | ── | ── .| だめですかそうですか。
', . | . ──. | ──. |
ヽ . | ____|__). /
ヽ ', /
┝━━━━(t)━━l
加藤 清正
1592年10月、秀吉は、加藤清正を普請奉行として、
肥前(佐賀県)に名護屋城を作らせた。
朝鮮半島に渡り、明に攻め入る為の下準備のひとつであった。
これは明と、朝鮮に対する脅しでもあり、そして、
両国が態度を改めないならば、本当に攻め入るつもりであった。
651 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:35:57.03 ID:k6Ww.rw0
/ ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::___:::::::::::::::::::;:ゝ / ヽ.}
/ ..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/,. ヘ`!:::::,、‐'" / l
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;' / ノ |::f / l |
、 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽヽ < L| `iヽ、 l | 殿下……
丶 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`、ヽ ミ ゙ーtッ-、 ,ゞ
丶 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/し' `ヾ, f´ 明はいわずもがな大国、
ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::::/ i / ', 朝鮮も、風習などが異なる、
\ ::::::::::::::::::::::/ / ,. ' ', 異国です。
`ヽ、::::::::::;、 " 〈 r、 '、
,..、..,r- '`ー'"ー-、、、..,,_ ヽ `ヽ、 ..f´`` ′攻め入るにしても、
r'''´ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,``丶、 r┴、 もう少し、明や朝鮮の情報を、
〈 ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,, ヽ、 ノ } 調べてみてはいかがでしょうか。
ノ ,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ ( /`ヽ、
/ ,,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ`7 ,ィ ヽ
ゝ- 、_;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r 、;;;;;;;;;;;;;;;;ヾ、/ `‐,
ノ `ヽ 、、;;;;;;;\ / !
石田 三成
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | いや、ここは迅速に行くべきだ。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,| 長引けば長引くほど、
` ι,, `',ノ7 明も朝鮮も、僕を甘く見る。
`、 _,,, /'|,',,
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, 清正にも連絡してくれ。
/ /, ̄ , /,,> `) 急いで城を造れと。
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,, 人間や金はいくらかかっても構わないぞ!
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
急ピッチで築城されていく名護屋城。
その築城のために、金や人が必要になり、
そのため、民や大名は疲弊しはじめていた……。
658 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:37:51.06 ID:k6Ww.rw0
この時期、やる夫について、ひとつのエピソードが伝わっている。
:.:/.:/:.:./:.l!::.:.ハ:.V:.;、:i:.:.|:.:.ヽ|:.i:.i:.:.',:.゙:,
/l!:/.:.:/|!.|:.:./ハ:',:|:ヽ:、|!:.:.:.ハ:.||:.',:.i:、:',
!|l,:!:.:.:.:|.| |レ/∧:l:メ!:.ヽ:.:|:.|/:.i:.リ:、',:|:.i:.i
:|l.|:.:.:.:|!.:|:.//¬i:.{‐、.:|.ト、:l:|、:.!:.:.i:ヽ|:.|:|
i:.:| |:.:.|l:.:.l/ィ示ヽミ !.メ| 〉ヽ!:|_!:.|:i.:N:.| 殿様は、朝鮮に渡海されるのですか?
:.:.l!:l、.:.:l、:l`ヽ::ノ_, ' リ |i |.,.ィl、.|::!||:.メ:リ
、:.l!.N、:い!. !く:::ソ } |:.:|/:/
!:i、.i!リ ヽ! , `~ /|:ノ:/
:.i|:iN ` .: ノ /:!レ/′
:、l:|ハ 、____ /::i/'′
小| ヽ `''ー‐`'' /|/l
:.:トヽ \ /
N|`ヽ ヽ、 , '´
``'''‐- ..,_ iT"´
本多正信がそう聞いたところ、
____
/ \ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ__\) ;;;;)
/ (─) (─ /;;/ やる夫が朝鮮に渡ったら、
| (__人__) l;;,´ 誰が箱根を守るんだお?
/ ∩ ノ)━・'/
( \ / _ノ´.| |
.\ " /__| |
\ /___
と、返した、という逸話である。
「常山紀談」にある話だが、しかし、これは江戸時代中期の史料であり、
実際にやる夫と正信の間にこのようなやりとりがあったかどうかは、
同時代の史料からは確認できない。
663 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:39:46.30 ID:k6Ww.rw0
ヾ;;ー、|ヽi、_
ヾ;`;;;;;:::::::::;;;;:゙ヽ!、
\;;;;:::::;;;:::::::;;;;;;::::''i
<;;;;r''´`ヾ;;;;;;;;、;;;;|
|/ -、_ _,、 i;;;゙、 跡継ぎはオレ!
r !゙ ra、ソ i´__ |;;;/
! ! i ! ´゙` !/ 任せてよ、おじさん!
ヾ ,、_ `-' /゙!
| !゙'ミ=-ァ /ノ
_,、 !゙、 `゙''''゙´/、
/i゙ | ゙'l||i> '´i_`!;`、_
/;;;;|'''"i i , / ! `!;;;;'、;;;;;;゛;;'';ァヽ,
_,,、-ァ;;;;;;;;!_丿_ i ` /-┴-|;;;;;;;゙、;;;;;;;;/;;;;;;;;;;!
,'T;;゙´;;;;;;;<;;;;;;;;;i゙''ー 、 _ _,、-‐''゙´!;;;;;;;;_ゝ;;;;i;;;;;;;;;;;;;゙;
l;;;i;;;;;;;;;;;;;;;;;>;;;;;;|`''ー、_,、-''゙ ´l;;<;;;;;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;i
豊臣 秀次
12月27日、豊臣秀次関白就任。
鶴松が死に、もはや男児の誕生はあるまいと諦めた秀吉は、
跡継ぎを甥の秀次に定め、関白職を譲った。
秀吉はこの時から太閤(関白職を譲った人はこう呼ばれる)になった。
そしてこれは、関白職は豊臣宗家が独占することと、
国内は秀次に任せ、秀吉自身は外征に集中する、ということの、
発表の意味もあった。
670 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:41:36.84 ID:k6Ww.rw0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` |
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,|
` ι,, `',ノ7
`、 _,,, /'|,',,
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,,
/ /, ̄ , /,,> `)
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-,
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
|;,, | |_|/| || / |
|::::,,,,,|,, ~ |ヽ, ,,| |
明けて1592年3月。秀吉は、2月に完成した名護屋城に移動した。
当時、大坂城に次ぐほどの大きさだったこの城が、
着工からわずか4ヶ月で完成したという事実は、清正の腕もさることながら、
いかに働いた人間が多かったか、
そしてそれに金がかかったか、ということを、示している。
680 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:43:38.38 ID:k6Ww.rw0
____
/ \
/ ─ ─\ ……ついに外国を攻めるお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | 信長殿の夢を、太閤がかなえたお。
\ ` ⌒´ /
やる夫もまた、名護屋城に在陣した。
____
/ \
/ u ノ \ ……しかし何もかも早すぎるお。
/ u (●) \ 疾風のごとく、早い出陣は、太閤の得意技……
| (__人__)| だけど、あまりにも急すぎるお。
\ u .` ⌒/ 太閤は……何を焦っているんだお?
687 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:45:43.91 ID:k6Ww.rw0
,,- ┐‐┐- ,,
/''| / |_ヽΡa `ッ
| ,ト-‐‐/ ooヽ-,, X
. |' , __,,,,乂_O丿 .` | 出陣だ。第1陣は小西行長に任せる。
. |/ィェァ | ィェァ 'iii;‐,|
` ι,, `',ノ7 僕をコケにした朝鮮を降し、
`、 _,,, /'|,',, そのまま明に攻め入るんだ。
,,,-ヽ ̄__,,/ i,,,_`‐ ,, なんとしても成功しろ。
/ /, ̄ , /,,> `) ……で、なければ首だぞ。
___,,,-┤ i ヽ /_/ _,,-‐''' i ,,,,行長、お前の首が飛ぶぞ。
/| ヽ i‐---‐'' ,,,/,,,,-‐'''' ` `'-, あっはっは……!
/ | ヽ i(;;)/-‐',-‐' /' ̄ヽ
| | /|ヽ--‐||‐ / |
|;,, | |_|/| || / |
|::::,,,,,|,, ~ |ヽ, ,,| |
,.イイ
/二 ゙゙̄ヽ、
,.へ ー-、 )ヽ
__l___!__,.r===ァ'<ミミ は、はいいーっ!!
| jハ、___ノ ヽミ}
`┬プ ゚ー、 ノ/))
i ヾ===、 } rノ ,._'フフ
,. ‐--、_ ゙、} /γ} } ィj,.-''"ノノ
,.r-=ニ二二ニ=ー---L`==',.-‐''" -'',-'
,.-''"  ̄! | _-'_ノ--っー--、-、
r' | |_ノ ,r‐''"~、 `i `!
| O O { し`ー´ j ヽ | ヽ
\ _Y" |:::::| ノ-、∠ | \
この時期になると、朝鮮に、明への道案内をする意思がないことが解っていた。
703 :1 ◆QznAE2I9mA :2008/08/09(土) 00:48:48.72 ID:k6Ww.rw0
1592年4月、総勢16万人にもなる豊臣軍は、小西行長を第1陣とし、
朝鮮半島へと渡った。小西軍は4月12日、釜山に上陸。
翌日より、朝鮮軍に対して攻撃を開始した。
____
/ \
/ ─ ─\
/U (●) (●) \
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
更に豊臣軍は、加藤清正を第2陣、黒田長政(黒田如水の息子)を第3陣の、
それぞれ大将として、朝鮮半島に渡らせた。
……後に「文禄の役」と称される戦いの始まりであった。
第20話「明国への道」終わり
第21話「沈みゆく日輪」へと続く
出典:やる夫が徳川家康になるようです 友情編
リンク:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=part4vip&key=1217773548&ls=50
出典:やる夫が徳川家康になるようです 別離編
リンク:http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi?bbs=part4vip&key=1218200266&ls=50

(・∀・): 15 | (・A・): 9
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