中2の理科の先生

2008/08/10 02:00 登録: えっちな名無しさん

中2の時の理科の担当は、新学期に転入してきた女の先生だった。
先生は年齢が20代半ばで、身長160?くらいの細見体型。
ロングヘアだけど清潔感のある、優しいお姉さんっぽい雰囲気の人だった。
実際見た目どおりの優しい先生で、教え方もわかりやすく、生徒達からも当然のように人気があった。

そんな先生とのちょっとした話。
ある日のこと、午後最初の授業が終わった後だったと思う。
午前中の理科の授業で気になる点があった自分は、先生に質問しに行こうと職員室に向かった。
途中階段を上ってる時、小走りに階段を降りてくる先生とばったり出会った。
ちょうどいいと思い、先生に声をかけた。
「あ、先生、ちょっと質問が…」
「ごめんF君(自分の仮称)、悪いけど後でね」
最後まで言い終わらないうちに、ぴしゃりと言葉を遮られてしまった。
先生の声色は、珍しくちょっと怖い響きを含んでいた。
表情も険しくて、いつもの優しげな雰囲気とはまるで違う。
そのまま先生は自分の横を通り過ぎると、走って階段を駆け下りていく。
いつもと違う先生の様子に心配になり、自分も走って後を追いかけた。
全力ダッシュで先生に追いついた自分は、
「先生どうかしたの?何か変だよ?」
と尋ねながら、思わず先生の手首を掴んでしまった。
我ながら大胆かつ失礼な行動をしたもんだと思うけど、この時は本気で心配だったのだ。
先生はびっくりした顔でこっちを振り向いた。
かと思うと、掴まれた手を振りほどこうと腕をすごい勢いでぶんぶん振り、焦った声で叫んだ。
「ちょっと…もれちゃう!」
………!?!?
「ご、ごめん先生!」
その一言で全て納得がいった自分は、慌てて掴んでいた先生の手を離した。
自分の手が離れると、先生はわき目も振らず一目散に近くのトイレへ走って行った。
残された自分は思いもよらぬ展開に、しばしその場で呆然となった。
先生も授業中にトイレ我慢してることがあるんだなぁとか、そんなことをぼんやりと考えた。
少しずつ時間が経つにつれ、今目撃した先生の姿、しぐさ、声などが勝手に脳裏に浮かび始めた。
何よりも、もれちゃう!という叫びが頭の中で何度も再生されてしまい、心がドキドキした。

しばらくして、先生はトイレから出てきた。
先生は申し訳なさそうな表情で自分の方へ近づいてくると、
「さっきはごめんね。ちょっと本気で危なかったから…本当にごめん」
と、別に何も悪くないのに謝ってくれた。
「こっちこそ本当にごめんなさい」
自分も同じように謝ったが、『本気で危なかった』の辺りでよからぬ想像を掻き立てられ、ますますドキドキしてしまった。
気を取り直し、改めて本来の目的、授業中疑問に思ったことを先生に質問した。
先生は授業の時みたいにわかりやすく、親切丁寧に教えてくれた。
「ありがとうございました」
お礼を言って教室に戻ろうとすると、
「あ、ちょっとF君…」
と呼びとめられた。
「恥ずかしいから、さっきのことは絶対に内緒にしてね?」
先生は恥ずかしそうにはにかみ、自分に釘を刺してきた。
もちろん言いふらすつもりは最初からなかったけど、試しに聞いてみた。
「もし誰かに言ったらどうなりますか?」
「………」
数秒の沈黙。
すると突然、先生の表情が一転して悪戯っぽいものへと変わった。
にやっと薄く笑いながら、
「くすぐりの刑にしちゃおっかなぁ〜」
と冗談っぽく言い、指をこちょこちょと動かしながら手を自分の方へと伸ばしてきた。
自慢じゃないが超くすぐったがりな自分は思わず、
「うひゃっ!」
と情けない声をあげ、身をのけぞらせてしまった。
自分のオーバーな反応がおかしかったのか、先生はくすくす笑い出した。
「約束ね!」
先生は自分にウインクをして、ふわっと微笑んだのだった。

先生が自分の中学にいたのは結局1年間だけ。
次の年度には、再び別の学校へ転出していった。
あれからかなりの月日が経つけど、今ごろどうしてるんだろうか?

そういえば実験の授業中、誤って試験管を割ってしまったとき。
怒られると思い憂鬱な気分で先生に報告すると、
「大丈夫?ケガはない?」
と言いながら手のひらをさすってくれ、
「誰にでも失敗はあるんだから、気にしないでね」
と優しく慰めてくれたこともあった。

先生との思いでは、今も自分の心に刻まれている。

出典:オリジナル
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