女「そんなとこにいないで入ったら?」

2008/08/21 13:40 登録: えっちな名無しさん

男「え、あ、あの・・・」
女「どうかした?」
男「あの、ここの・・・人ですか?」
女「ええ、店番を任されている女って言うの」
男「えっと、それじゃあ」
女「なにかしら?」
男「ここってその・・・壊れたものを直してくれるって聞いたんですけど」
女「ええ、修理の方も承ってるわよ」
男「・・・これって修理できますか?」

女「・・・これは?」
男「えっと、大分前にその、友達に貰ったものだったと思うんですけど・・・」
女「だったと思う?」
男「あっ、いや、貰ったのが僕が大分小さい頃だったんもので・・・」
女「ふ〜ん・・・これは、万華鏡かしらね?」
男「あっ、はい。何か、古いものらしいんですけど」
女「ここのレバーをまわすと・・・あれっ?回らない」
男「はい、この前久しぶりに出したんですけどそのレバーが回らなくなっていて・・・」
女「ふ〜ん、ちょっと具合を見てみるから店内でも見てて頂戴」
男「はい」

女「・・・そういえば」
男「は、はい!何ですか?」
女「入ってきたときに驚いていたみたいだけど?」
男「あっ、それはその・・・ここの主人って確かおじいさんだったはずなのに・・・」
女「なのに?」

男「・・・キレイなガイジンの女性が店番してたもんだから驚いたんです」

女「フフフ、キレイだなんてお世辞でも嬉しいわね」
男「いえ、お世辞だなんてそんな・・・」
女「っと、ふむふむなるほどね」
男「・・・直りそうですか?」

女「ええ、少し時間を貰うけどところかしら?」
男「・・・直るんですか?」
女「モノが古いから少し骨が折れそうだけど何とか・・・ね」
男「ありがとうございます!」
女「お礼は直ってからでいいわ、それにしても・・・」
男「はい?」
女「随分お気に入りなのね?」
男「何がですか?」
女「これよ、万華鏡」
男「ああ、まぁ一応小さい頃の思い出っていうか・・・」
女「・・・・・・」
男「大事な人に貰ったものなんで・・・」
女「そう・・・そんなに大事なものなら腕によりをかけて直さないとね」
男「ありがとうございます!」
女「それじゃあ、これは預かるわね」
男「はい、お願いします」

女「・・・変わってないな・・・これも・・・あの子も」

男「おう、待たせてゴメンな」
少女「遅い!待ちくたびれた〜」
男「だから謝ってんじゃん」
少女「な〜んて、別に怒ってないよ〜。それより直りそうだって?」
男「ああ、一週間くらい掛かるけど」
少女「ふ〜ん良かったね」
男「まぁな」
少女「それじゃ、早くアイス食べ行こう」
男「おう」

男「こんにちわ〜」
女「あら、いらっしゃい」
男「どうですか、万華鏡?」
女「どうですか、って言われても昨日の今日で直るわけないでしょ?」
男「ハハハ、それは冗談なんですけど」
女「?」
男「この前はちゃんと店内見れなかったんで、見てみたいなって思って」
女「それは良かったわ、何か買ってくれるとなお良いけど」
男「僕の小遣いで買えるものがあればいいんですけどね」
女「そうね、お年玉全部つぎ込めば一番安いものは買えるんじゃない?」
男「・・・お邪魔しました」
女「冗談よ」

男「こんにちわ・・・あれ、女さんは?」
店主「なんじゃ?ワシの店でワシが店番をしているのはおかしいか?」
男「い、いえ、そういうわけじゃ・・・」
店主「あの子なら、今日は休みじゃ」
男「そうですか・・・」
店主「ん、帰らんのか?」
男「だって、元々お店を見に来てるんですから」
店主「・・・お前さんのような若い者にはうちのような店は退屈なんじゃないのか?」
男「そうでもないですよ・・・結構アンティークな物って好きなんです」
店主「ふむ、若いのに見る眼があるな」
男「いえいえ」

男「そういえば」
店主「なんじゃ?」
男「女さんて、何でここで働いてるんですか?」
店主「どういう意味じゃ?」
男「いえ、変な意味じゃなくて、・・・何で外人なのにあんなに日本語上手いのかとか」
店主「・・・・・・」
男「僕もここらへんにに小さい頃から住んでますけど、あんなにキレイな人見たことがなかったんでその・・・」
店主「・・・母親がアメリカの方なんだそうじゃ」
男「えっ?じゃあハーフ・・・」
店主「そんで、生まれてから十歳くらいまでは日本にいたそうじゃ」
男「・・・ふ〜んそうなんだ」
店主「今は、こっちの大学に短期留学しに来とるそうで、ついでにここでバイトしておるわけじゃ」
男「ふ〜ん」
店主「これで満足か?」
男「えっ、いや僕はその、そんなつもりは・・・」
店主「隠さずとも良いわ、ここに来る男は大抵があの娘目当てじゃからな」
男「はぁ・・・」

店主「・・・あんな感じで良かったかの?」
女「ええ・・・ありがとう、おじいちゃん」
店主「礼には及ばんよ」

少女「ねえ」
男「ん、どうした?」
少女「最近なんかさ・・・」
男「何だよ?」
少女「付き合い悪くない?」
男「・・・そうか?」
少女「そうだよ、この間から買い物付き合ってって言ってるのにさ!」
男「あぁ〜、悪い。忘れてた」
少女「まぁいいけど。何してるの最近」
男「いや、別に何も・・・」
少女「ふ〜ん(怪しい)」
男「まっ、明日は一日付き合うから勘弁しろよ」
少女「ふふふ、しょうがないなぁ〜」

男「コラコラ、胸押し付けるな」

女「・・・」
男「何か考え事ですか?」
女「っ!」
男「す、スイマセン!そんなにビックリしましたか?」
女「あぁ、男君か。ゴメンね、少し考え事してたの」
男「何か、悩みでもあるんですか?」
女「悩みって程でもないのよ、ただ・・・」
男「もしかして彼氏のことですか?」
女「ふふふ、近からず遠からずってとこね」
男「へぇ〜、でも何か女さんてモテそうですもんね」
女「・・・そう?」
男「そうですよ、その・・・美人だし・・・周りの人がほっとかないでしょ?」
女「そうでもないわよ・・・」
男(・・・どうしたんだろ?少し悲しそうな・・・)
女「ん、どうしたの?もしかして見蕩れてた?」
男「あっ、いえ、はいっ!じゃなくて・・・えっと・・・」
女「ふむ、正直でよろしい」

女「そういう君こそ彼女とかいないの?」
男「彼女ですか?いるように見えます?」
女「・・・・・・」
男「スイマセン。聞いた僕がバカでした」
女「冗談よ、中々可愛い顔してるし、意外と女の子泣かせてるんじゃない?」
男「そうだったらいいんですけどね〜」
女「あっ、特定の彼女は作らないとか?」
男「そんなわけ無いでしょ!たくっ・・・そういう女さんはどうなんですか?」
女「私?私はすごいわよ〜」
男「どういう意味ですか?」
女「今までに好きになった人がなんと!」
男「なんと?」
女「たったの一人だけ!」
男「おぉー」

女「どう、一途でしょ?」

『どう、一途でしょ?』

男(今日のあのセリフ・・・なんか引っ掛かるんだよなぁ・・・)

ブルルルル

男「おっとメールだ・・・少女からか」

少女『明日の約束忘れないでね!』

男「ハイハイ、忘れてませんよ」

男「・・・あれ?・・・今のメール」

『約束だよ!忘れないでね!』

男「・・・誰だっけ?あの赤毛の子・・・」

少女「ふふふふ〜ふ〜ん♪」
男「・・・何か楽しそうだな?」
少女「え〜、だって久しぶりのデートだし〜」
男「一応言っておくけどこれはデートでは・・・」
少女「あっ、あそこ!」
男「ん?」
少女「あそこってこの間、万華鏡直しに行ったところでしょ?」
男「あっ、ああそうだな」
少女「へぇ〜、アンティーク雑貨のお店なんだ?」
男「そうらしいな」
少女「へぇ〜、ちょっと寄ってこうよ!」
男「へっ?」
少女「私、雑貨とか見るの好きなんだよね〜」
男「えっあっ、ちょ・・・」

女「いらっしゃい・・・あら?」
少女「へぇ〜、雰囲気いいお店ね〜」
男「・・・・・・どうも」
女「ふふふ・・・今日は随分可愛い子連れてるのね?」
男「あ〜、いえそのこいつは・・・」
少女「わぁ〜!外人さんだ!すっごい美人!」
女「あら、ありがとう」
少女「ふ〜ん・・・そういうことか・・・(ニヤニヤ)」
男「・・・何だよ」
少女「いえいえ」
男「ったく、もう行くぞ!女さん、お邪魔してスイマセンでした」
女「ううん、構わないわよ」
少女「あっ、ちょっと待ってよ〜」


女「何よ・・・可愛い彼女がいるんじゃない!」

男「こんにちわ」
主人「おぉ、懲りずにきおったのか?」
男「懲りずにって・・・僕は別に・・・」
主人「あの子ならおらんぞ?」
男「あっそう・・・ですか・・・」
主人「ふむ・・・確か遊びに行くと言っておったな〜」
男「えっ!」
主人「う〜ん、そういえば中々めかし込んでおったようだし、ひょっとすると・・・」
男「・・・・・・」
主人「男かも知れんな・・・」
男「・・・スイマセン、具合悪いんで帰ります」
主人「おお、そうか気をつけて帰れよ」
男(トボトボ)
主人「・・・まぁ男は男でも・・・」


主人「父親じゃがな」

男「あ〜、あんなとこ見られたからせめて誤解だけでも解きたかったのに・・・」

男「女さん・・・ホントに他の男とデートしてるのかな・・・?」

男「そりゃああんなに美人なんだしな・・・高校生の俺なんかが相手にしてもらえるわけ・・・」

男「でも・・・でも・・・・・・」

父「元気そうで安心したよ」
女「そうですか?」
父「・・・それで」
女「はい」
父「いつ頃こっちに戻ってくるんだ?」
女「夏が終わったら・・・帰ろうと思ってます」
父「そうか・・・」
女「我がまま言ってごめんなさい」
父「ハハハ、子供は親に我がままを言うものだよ」
女「ありがとう・・・お父さん・・・」
父「それじゃあ、私は一足先に帰るとしよう」
女「お父さん、また・・・」

父「ああ、夏が終わったら後に・・・な」

男「はぁ〜」
少女「・・・どうしたの?ため息なんかついて」
男「男にはため息をつきたくなる時くらいあるんだよ・・・」
少女「ふ〜ん、雑貨屋さんの人?」
男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少女「図星じゃん」
男「うるせえよ!」
少女「まぁね〜、あんなに美人さんが彼氏の一人や二人居ないほうがおかしいもんね〜」
男「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少女「何か言ってよ〜、私が虐めてるみたいじゃん?」

男「笑顔で言われても説得力が無いんだが?」

少女「でもね」
男「ん?何だ?」
少女「私、何となくあの人見たことある気がするんだよね〜」
男「・・・馬鹿か?相手は金髪でアメリカ育ちのお嬢様だぞ?」
少女「お嬢様なの?」
男「・・・さぁ」
少女「でもさぁ・・・何かあの笑ったときの顔が・・・」
男「まぁ、小さいときに日本に住んでたって言ってたけどな」
少女「それってここらへんなの?」
男「さぁ、短期留学で来てるって言ってたから違うんじゃね?」
少女「う〜ん・・・じゃあやっぱ勘違いかな〜」


男(・・・とはいえ、俺もデジャブみたいなもんを感じていたりするけどな)

女「あっ、いらっしゃい」
男「どうも」
女「今日はどうしたの?」
男「その・・・少し聞きたいことがあって」
女「ん?なに?」
男「えっと・・・女さんて昔ここらへんに住んでたりしましたか?」
女「・・・えっ?」
男「その、前にここの主人のじいさんから、女さんは小さい頃に日本にいて
男「その後アメリカに家族で移ったって聞いたんで」
女「・・・・・・」
男「それでその、何でか分からないんですけど」

男「俺・・・女さんに会ったことがあるような気がするんですよね」

女「・・・・・・」
男「・・・あの、女さん?」
女「・・・フフ・・・フフフフフ・・・」
男「・・・あの、どうしました?」
女「・・・プッハッハッハッハッ!」
男「あの〜、何かおかしなこといいましたか?」
女「いやいや、ゴメンね男君。いや〜中々君もロマンチストだなって思って」
男「ロマンチスト・・・ですか?」
女「まったく、女性を口説くならもう少し気の利いた言い回しを考えてから来なさい」
男「へっ?えっ?」
女「大人からかっちゃダメだよ?」
男「えっ、あ・・・スイマセンでした」

男(勘違いか・・・)

女「そういえば、今日は彼女は連れてないの?」
男「えっ?かのじょ・・・ですか?」
女「この前一緒に来たじゃない?可愛い彼女連れて」
男「あ・・・あぁ!そうだ!その、あれは全くの誤解でして・・・」
女「ホント、見せ付けてくれちゃって、独り身のお姉さんは寂しかったわ〜」
男「いえ、ですから違うんです・・・」
女「コラコラ、とぼけなくてもいいのよ?聞いたときに実はいるかもなんて思ってたらまた・・・」
男「違うんですって!!」
女「へぁっ!?」

男「・・・違うんです・・・あいつは・・・少女は・・・」

男「俺の妹ですよ」

女「・・・妹?」
男「はい」
女「ホントに?」
男「ホントです」
女「・・・そっか」
男「はい、それでは」
女「うん」
男「帰ります」
女「えっ?」
男「用件は済んだので」
女「あっそう?」
男「さようなら」
女「さよう・・・なら」


女「・・・フフフ、そっかぁあの時の妹さんか・・・そっかぁ・・・」

女「・・・覚えててくれたんだ」

男「ただいま〜」
妹「あっ、おかえり〜」
男「やっぱ勘違いだった」
妹「何が?」
男「いや、女さんがさ」
妹「女さんて・・・アンティーク雑貨のお店の?」
男「そうそう、今日聞いてみたんだけど笑われた。だから多分違うんだろ」
妹「ふ〜ん、でも何となくあの子・・・なんだっけ?」
男「?」
妹「小学校に入ったばっかくらいのころにさ・・・一人・・・」
男(小学校?)
妹「そうだ!思い出した!」

妹「アンだよ!赤毛のアン!」

男「・・・・・・はぁ?」

男「どうした、イキナリ?」
妹「覚えてないの?いたじゃん近所に!」
男「・・・覚えてるような・・・覚えてないような」
妹「ほら、夕方くらいによく近所の神社とか公園で遊んでさ」
男「・・・・・・」
妹「それでさ、確かその子もハーフかなんかで髪の色が赤っぽくてさ」
男「う〜ん・・・」
妹「それでそのまんま、赤毛のアンだからアンって呼んでさ・・・」
男「何となく赤毛の子と遊んだような気はするんだけど・・・」
妹「お兄ちゃんの方が私よりずっと仲良かったと思ったんだけど・・・」
男「まっ、いずれにしてもその子が女さんとは考えにくいだろ」
妹「何でさ?」
男「だって女さんはキレイな金髪だぞ?」
男「いくら小さかったからって大人になって金髪になるなんてことはないだろ?」
妹「染めてるのかもしれないじゃん?」
男「染める必要が無いだろ?それに本人が違うって言ってるんだし・・・」
妹「それはそうだけど・・・」
男「あ〜、何か今日疲れたな早めに寝るか・・・」

妹(女さんは笑っただけで違うとは言ってないじゃない)

男(・・・・あれ、何だこれ・・・あっ・・・これ・・・夢か?)


「ねぇ〜、アンちゃん」
「どうしたの?」
「アンちゃんはさ〜、ガイジンさんなの?」
「う〜んとね、私はハーフなんだって
「ハーフ?」
「半分ガイジンさんなんだってお母さんが言ってた」
「へぇ〜、何かかっこいいね」
「かっこいかなぁ?」
「半分てことは普通のガイジンさんでも、にほんじんでもないんでしょ?」
「うん」
「じゃあ、アンちゃんは「アンちゃんじん」なんだね!やっぱりかっこいいよ!」
「・・・そうかな?」
「そうだよ!」
「・・・ヘヘヘ」

(チュッ)

「どうしたの?」
「・・・びっくりした」
「ヘヘヘ〜、おまじないなんだって」
「おまじない?」
「そう」

「好きな人にかけるおまじない」

男「・・・ホントだ」

妹の言うとおり、俺は確かにアンちゃんという
ハーフの赤い髪の女の子と友達だったようだ
しかしながら、遊んだ記憶は僅かに残っているものの、
彼女がその後どうなったのかはまったく思い出せない
近所に住んでいたのなら引越ししたりすれば分かりそうなはずだが・・・

男「・・・あれ?そういえば・・・」

男「あの万華鏡は誰に貰ったんだっけ?」

主人「おや?」
女「あっ、おじいちゃん」
主人「ふむ、直ったのかい?」
女「・・・うん」
主人「直ったわりには浮かない顔しとるの」
女「そ、そう?」
主人「何か、悩みでもあるのかい?」
女「ううん・・・ちょっと昔のこと思い出してただけ」
主人「・・・そうかい」
女「あっ、おじいちゃん」
主人「なんだい?」
女「我がまま聞いてくれて・・・ありがとね」
主人「ハハハ、孫のわがままなんてこの年になると嬉しいもんさ」


『あれ、アンちゃん今日はかみ・・・』
『かみなんてどうでもいいの・・・それより』
『・・・なぁにこれ?』
『あげる』
『いいの?』
『うん、でもねこれこわれてるの』
『え〜、こわれてるの』
『だからね、やくそくっ!』
『やくそく?』

『こんど会うときに直してあげるから!』

男「こんにちわ」
女「いらっしゃ・・・あら、男君」
男「そろそろ直ったかな〜って思いまして。どうですか?」
女「えっと・・・明日には何とか返せそうね」
男「へぇ〜、もうちょっとですね」
女「そうね・・・」

女「あの、男君?」
男「何ですか?」
女「あの万華鏡って誰にもらったものなの?」

男「誰に・・・ですか?」
女「えっと、珍しいものだったから・・・どこでもらったのか気になって・・・」
男「あれですね・・・実は・・・」
女「・・・・・・・・・」
男「誰に貰ったのか覚えていないんです」

女「・・・・えっ?」

男「もらったって言うのは覚えてるんですけどそれが誰かまでは・・・」
女「・・・そう」
男「万華鏡にしても、このまえ部屋の整理してたら見つけたんで」
男「箱から出してみたら、壊れてて・・・それでどうせだから直してみようかって感じで・・・」
女「・・・そっか」
男「あっと、これから行くところがあるんで失礼します」
女「え、ええ。」
男「えっと、明日なら受け取れるんですよね?」
女「そうね、渡せると思うわ」
男「分かりました、また明日来ますね」


女「自分だけ覚えてるのっていうのも・・・結構悲しいものね」

妹「あっ、こんにちわ〜」
女「男君の・・・」
妹「はい、男の妹の妹って言います」
女「フフフ、男君から聞いてるわ」
妹「突然のですが」
女「な、なに?」

妹「あなたはもしかして、『アンちゃん』ではありませんか?」

女「えっ?」
妹「お兄ちゃんは違うって言ってたんですけど、どうしても気になって」
女「・・・・・・」
妹「う〜ん・・・顔の印象は近いと思うんだけどな〜・・・」

女「人違いだと思うわ」

妹「あっ・・・やっぱそうですか?」
女「ええ、私の髪はブロンドに近い茶色。アンちゃんて子は赤い髪をしているんでしょ?」
妹「はい」
女「じゃあ、違うわね」
妹「そうですか・・・・スイマセンでした。いきなり変な質問して」
女「構わないわ」
妹「それじゃあ失礼します」
女「ええ、気をつけて帰ってね」


妹「・・・あれっ?私赤いって言ったっけ?」


(・・・あれ?また夢?)

『                』

(誰だ・・・アンちゃんと・・・俺?)

『                』

(何言ってるんだ?聞こえない・・・)

『                』

(違うんだ・・・違うんだよ・・・)

『                』

(そんな顔をしないで・・・しないでよ・・・)

『   ね           ゴメ    』


『泣かないで、アンちゃん』

妹「あっお早う」
男「・・・・おう」
妹「どうしたの?」
男「いや、何か・・・変な夢見た」
妹「ふ〜ん、怖い奴?」
男「いや、ちがくてなんか・・・こう・・・痛い夢」
妹「どんなの?」
男「何かこう、階段とかから転げ落ちる感じの」

妹「それって、小学校の時に神社の石段から落ちたときじゃない?」

男「・・・はぁ?」
妹「違うか?」
男「俺、そんなことした覚え・・・」
妹「え〜、あったよ〜。確か小学校二年生くらいの今の時期に」
男「・・・全然覚えてねえ」
妹「でも、お兄ちゃんの後頭部にあるのって確かその時に出来た傷でしょ」
男「・・・・・・・・・」
妹「気になるなら、お母さんに聞いてくれば?」
男「そうするわ」

男「母さん」
母「なぁに?」
男「俺、小学生の頃神社の石段から落ちたってホント?」
母「あら?覚えてないの?」
男「ああ、全然」
母「そうね〜、頭打って少し前後の記憶無かったみたいだからね〜」
男「ふ〜ん」
母「心配したのよ〜、病院着いたらあんたぐったりしてて」
男「・・・俺なんで落ちたの?」
母「一緒にいたこが言うには、石段降りてるときに持ったた箱が重くてバランス・・・」
男「・・・一緒にいた子って誰?」
母「あの子よ、あんたがよく遊んでもらった・・・」


母「あの金髪の女の子」

女「いらっしゃい」
男「どうも」
女「待ってたよ」

ドン

女「一応確認してみて」
男「あっ、はい」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

女「どう?」
男「はい、問題ないです」
女「そうじゃなくて」
男「えっ?」
女「万華鏡、見るの初めてなんでしょ?」
男「あぁ、はいすごいキレイです」
女「そう・・・良かった」

男「えっと、御代は?」

女「いらないわ」

男「えっ?」
女「時間はかかったけど、パーツは余りものだし」
男「でも、そういうわけに・・・」
女「フフフ、年上の言うことには黙ってハイって言うものよ」
男「・・・分かりました」
女「よろしい」

男「その代わり、お礼させてください!」

女「お礼?」
男「はい、その・・・明日お暇ですか!?」
女「明日?」
男「はい、良かったら何か奢らせてください」
女「・・・・・・」
男「・・・嫌ですか?」
女「・・・・・・」
男「そ、そうですよね、僕みたいなガキとじゃ」
女「違うの」
男「えっ?」

女「私・・・明日アメリカに戻るの」

女「ありがとうございました」


主人「ご苦労さん」
女「ふぅ、ホント。今日はなんか疲れちゃった」
主人「明日は何時に出るんだ?」
女「うん、夕方くらいに。乗るのは夜の便だから」
主人「そうか・・・また寂しくなるな」
女「また来・・・その内くるよ」
主人「ああ」

主人「それにしても良かったのか?」
女「何が?」
主人「あの坊主が来るのを毎年待ってたんだろう?」

女「・・・うん」
主人「ワシからしたらあの坊主のどこがいいのか分からんが・・・」
女「あれでもいいところあるのよ」
主人「ほぉ」
女「あの子ね、昔私に言ってくれたの」


『アンちゃんは、「アンちゃんじん」なんだね!」


女「私、その言葉に救われたんだ〜。私、ハーフで金髪で目青いでしょ?」
女「だから友達できなくて・・・でも男君はいっつも神社で一人で遊んでた私と友達になってくれて・・・」
主人「・・・そうか」
女「ずっと好きで・・・この年になっても忘れられなくて・・・」
主人「・・・そうか」

女「私って一途でしょ?」

主人「どうして・・・」
女「ん?」
主人「その・・・気持ちは伝えなんだ?」
女「・・・伝えたいとは思うんだけど」
女「男くんね、多分私のことほとんど覚えていないの」


私がアメリカに行く前日に、神社で約束したの
でね、その帰りにあの子石段でバランス崩して落ちて・・・
どうも頭打ったみたいなの・・・
その後遺症なのか、わたしがお見舞いに行ったら私を見て「誰?」って言うのよ
一種の記憶喪失みたいなものらしいんだけど、幼い私にはショックだったわ

その後、すぐに私はアメリカに渡っちゃったもんだからその後は良く知らなかったの
でもこの前話した限りじゃ、やっぱり私が万華鏡をあげたこととか忘れてるみたい
・・・忘れられてるのに一方的に気持ちを伝えても虚しいだけでしょ?

主人「・・・おや、どうしたんじゃ?」
男「こんにちわ」
主人「どうしたんじゃ?万華鏡はもう直ったじゃろ?」
男「あの・・・女さんは?」

主人「おらんよ」

男「・・・そんな」
主人「早とちりなさんな、ここには居ないといっただけじゃ」
男「・・・それじゃあ?」

主人「ふむ、空港に向かう前に神社に寄ると言っておったかの?」

女「・・・ここは変わらないな」

『アンちゃんは「アンちゃん」じんなんだね!』

女「ふふふ、男君のせいでお母さんに言ったら笑われたんだぞ」

『こんど会うときに直してあげるから!』

女「・・・直してあげたよ。ばっちり」

男「スイマセン、また壊しちゃいました」

女「はい?」
男「良かった、まだいて」
女「おとこ・・・くん」

男「スイマセン、さっき持ってくるときに石段でこけて・・・」
女「・・・!?ちょっと、前より酷くなってるじゃない!?」
男「その・・・結構勢いよく落としたみたいで・・・」
女「・・・・・・・(落としたって、明らかに人の手で壊されてるじゃない)」
男「それでその・・・もし良かったらもう一度直していただけないかと・・・」
女「私じゃなくても、雑貨屋のおじさんに頼めばいいじゃない」
男「女さんに直して欲しいからです」
女「私、今日でアメリカに帰るんだよ?」
男「また来るときまで待ちます」
女「何言ってるの?そんなの・・・」


男「約束したからです!!」

『だから、やくそく!』
『やくそく?』
『こんど会うときに直してあげるから!』

男「『アンちゃん』と・・・約束したからです・・・」
女「おもい・・・だしたの?」
男「はい」
女「いつ?」
男「一昨日、ですかね」
女「・・・そっかぁ・・・!?」

チュッ

『でね、直してあげる代わりにね・・・』
『アンちゃん、どうしたの?』
『今度は男君が私にチュってしてね』

女「・・・不意打ちなんて・・・年下のくせに」
男「スイマセン」
女「謝らないの!」
男「ス、スイマセン・・・」

チュッ

男「!?」
女「まっ、せっかく思い出してくれたし、このくらいで許してあげる」
男「ハハハ、ありがとうございます」
女「ホントはね、あの万華鏡・・・三日目には直ってたの」
男「そうなんですか?」
女「でもね、直ったら男君が来なくなっちゃうと思ってその・・・」
男「助かりました」
女「えっ?」

男「だって、女さんがそこで僕に万華鏡を返していたら、僕は一生思い出せなかったかも知れませんよ」

女「・・・さてと、そろそろ行かなくちゃ」
男「もうこんな時間か・・・あっ!」
女「どうしたの?」
男「いや、やっと謎が解けたなって思って」
女「何の?」

男「金髪が夕日に照らされて燃えるような赤い髪に見えたってことです」
女「それで赤毛のアンってわけだったのね?」
男「そうみたいです」

女「じゃあ、そろそろ行くわね」
男「はい」
女「また来るまで浮気するなよ!」
男「しませんよ、僕は女さんのほうが心配です」
女「言ったわね、言っとくけど私はねー・・・」


『今まで君以外に好きになった人なんていないんだからね』


糸冬































ここで書くのは毎度疲れる・・・
というわけで読んでくれた人ありがとう




というわけでそろそろ寝るわ
八時から仕事だ・・・○| ̄|_

支援、感想ありがとう
たまに似たような感じでスレ立てしてるんで
見つけたら生暖かく見守るといいよ

そんじゃノシ









1です
後日談書きたいんだけど、少し手が離せないから
六時過ぎから書き始めます
焦らせてゴメンな







拝啓(であってるんだよね?)

男君へ
こちらはそろそろ雪がちらつき始めて
いよいよ「冬」っていう感じになってきました
私の方は九月から学年も変わって、二ヶ月が過ぎて
ようやく新しい環境に慣れてきたかな?ってところです
男君はどうかな?
そっちの高校生活は楽しいですか?
そういえばアルバイトを始めたそうですね?
アルバイトもいいけどちゃんと勉強しないとだめだよ?
私、頭の悪い人は嫌いなんだからね

さて、十二月といえばクリスマスですね
こっちは基本的に家族や友達とホームパーティーだけど
日本では恋人たちが一緒に過ごすのが当たり前だそうですね
私も男君と一緒にクリスマスを過ごしたいな・・・なんてね
さて、それではそろそろさよならです
私がいなくて寂しいとは思うけど、浮気とかしちゃダメだよ?

31 November

女子より





手紙をしまった後…しばらくにやけが止まらなかった

男「女さん、元気そうで良かったな」
妹「何マヌケ面してるのかしら、このおにいちゃんは」
男「うを!お前いつの間にいたんだよ!?」
妹「えっと〜、二回目に声出して読み始めたときくらいから?」
男「…ノック位しろよ」
妹「したけど、返事しなかったのはお兄ちゃんでしょ!それより」
男「なんだよ?」
妹「友達、迎えに来てるよ」
男「おぉ、もう来てたのか」

ドタドタドタ

男「わりぃ、待たせたな」
友「いや、別にかまわねえよ」
男「そんじゃ、行こうぜ」

友「それにしても…」
男「ん?どうした?」
友「妹ちゃん可愛くなったな」
男「お前、ああいうのが好きなの?」
友「ああいうのって…お前実の妹に向かって」
男「実の妹だからだろ?」
友「まぁいいけど…あぁ、でも可愛いよな〜」
男「悪いけど、お前の義兄になるのとかは勘弁な」
友「いや、今日からお前のことお兄様と呼ぶわ」
男「…まぁ狙うのは構わないけど…あいつ彼氏いるからな」
友「…先に言えバカ」
男「ちわぁ〜っす」
女子「あっ、早いね男君」
友「女子ちゃん、俺もいるんだけど?」
男「女子ちゃんの方が早いじゃん、インの時間一緒なのに」
女子「私は、家近くだからってだけだよ」
友「あの〜、無視ですか」
女子「あっ、友君おはよう。気づかなかった」
友「…そうですか」

夏が終わった後すぐ
俺は、友達に誘われてファミレスのバイトを始めた
幸いなことに、勉強の方はそこそこ出来の良かった俺は
まだ高二ということもあり、親から許しをもらうことができた
まぁ誘われなくても始めるつもりではいたのだけど、
とにかく冬までにまとまったお金が必要だったのだ・・・

男「んじゃ、俺着替えてくるわ」
女子「うん、後でね」

友「…だから俺は?」

友「…なんでお前ばっか」
男「何ブツブツ言ってんだよ?」
友「なんでお前ばっかモテるんだよこの野郎!」
男「はっ?俺ってもてるの?」
友「おまっ・・・もういい。天然と話すとみじめになってくる…」
男「…?」

男「あっ、お早うございます店長」
店長「男君おはよ〜」
男「あの〜、シフトでちょっと相談したいことがあるんですけど…」
店長「クリスマスならダメだよ〜?」
男「えっ、ちょ!」
店長「だってさぁ〜、クリスマスってみんな相手居る人は当然として」
店長「相手いない人も見栄はって休んだりするじゃん?ただでさえ人いないのに…」

女子「男く〜ん、ちょっといいかな?」
男「あっ、今行く。スイマセン店長、話はまた今度」

女子「ふふふ、また店長のぐち聞かされてたの」
男「いや、未遂。助かったよ」

女子「男君てさぁ〜、何か話しやすいんだよね。聞き上手って言うか」
男「そうかな?」
女子「そうだよ、だから店長も男君相手だとつい愚痴でちゃうんだよ」
男「う〜ん…あんま、嬉しくない特技だな」
女子「ふふふ、私は男君のそういうとこいいと思うけどな」

女子「そういえば何の話してたの?」
男「ん〜、シフトの話」
女子「あっ、もしかしてクリスマス?」
男「ん、まぁ…ね」
女子「何々?もしかして何か予定あるの?」
男「いや、入りそうな…入らなそうな…」
女子「ハハハ、どっちなのさ?」
男「いや、いれたいんだけど難しいかな?みたいな感じなのさ」
女子「そっかぁ…そういえば男君てさ」

女子「彼女いるの?」

男「…えっ?」
女子「だから…その…彼女居るのかなって…」

先輩「男君、レジお願い」
男「あっ、はい。すぐ行きます」

男「ゴメン、女子さん。後でね」
女子「あっ、うん」

女子「…いるのかな、やっぱ」

友「おい」
男「何だよ?」
友「さっき女子さんと何話してたんだよ?」
男「別に、世間話」
友「どんな?」
男「何だよ急に…えっと俺が聞き上手だとかそんな話」
友「そんだけか?」
男「そんだけだよ、どうしたんだよ急に」
友「お前と話した後から何か女子ちゃん元気ないんだよ」
男「えっ、俺何もしてねえぞ?」

友「…お前ってホント鈍感だな!」

男「何がだよ?」
友「いや…何でもない」
店長「こら〜、話してると給料減らしちゃうぞ〜」

男友「店長サーセンした!」


友「ふぅ〜、お疲れ様でした〜」
男「おう、お疲れ」
友「あれ、お前帰らないの?」
男「ああ、稼ぎたいから時間延ばしてもらった」
友「へぇ〜、頑張るな。んじゃお先」
男「ああ、また明日な」

男「よし、俺もそろそろ上がるか」
女子「あっ、男君も上がりなんだ?」
男「あれっ?女子さんも?」
女子「うん、そうだよ」
男「ふ〜ん、それじゃあお疲れ様」
店長「あっ、ちょっと男君」
男「何ですか?」


店長「どうせだから女子ちゃん送っていってあげなさい」
男「えっ、俺がですか」
女子「て、店長!私家近いですしそんな…」
店長「いいからいいから」

チョイチョイ

(クリスマスの件…聞いてあげても…)
(送ります!送らせていただきます!)

男「よし、じゃあ帰ろうぜ女子ちゃん」
店長「は〜い、お疲れ様〜」
女子「えっ、ちょっ…」

先輩「強引すぎやしませんかね?」
店長「いいのよ、あれくらいやんないと。引っ込み思案と朴念仁なんだから」
先輩「それにしても店長…」
先輩「なぁに〜?」

先輩「ああいう、ちょっかい好きですよね?」
店長「だって、見てて楽しいんだも〜ん♪」

女子「あの、ホントにゴメンね?」
男「何が?」
女子「その…送ってくれて」
男「う〜ん、そういう時はさ、「ゴメン」じゃんくて「ありがとう」の方がうれしいかな?」
女子「あっ、そっか。じゃあ…ありがとう」
男「どういたしまして」

女子「あっ、そこの角曲がったらすぐだから」
男「へぇ〜、あそこなんだ」
女子「ここまでで、大丈夫」
男「へっ?何で?」
女子「家、お父さんがうるさいから、男君と一緒にいるの見られたら…」
男「あ〜なるほど、彼氏と勘違いされたら困るもんね」
女子「//////////」
男「じゃあ、ここで。また明日ね女子ちゃん」
女子「うん、また明日」


女子「…勘違いされてもいいんだけどな」

※以下、一人鎖国状態の1のアメリカのイメージであり
アメリカを馬鹿にした表現では無いことを苦慮した上でご覧ください

OTOKO「ヘイ、女。」
女「ハイ、OTOKO」
OTOKO「君は今年のクリスマスはDOするんだい?」
女「ふふふ、それはトップシークレットよ」
OTOKO「オゥフ!ジーザス!そいつはCIAでも」
OTOKO「調べるのにボーンがブロークンしそうだ!」
女「そういうOTOKOこそどうするの?」
OTOKO「あぁ、僕の家でパーリーでも開こうと思って、
OTOKO「どうせだから君をインビティーシュンしようと思ったんだけど…」
女「そう、残念ながら今年は既にリザーブ済みなのよ?」
OTOKO「オゥフ!君をリザーブできるなんてそいつは大統領選の時の
OTOKO「ジョージ・ブッシュ以上に幸運な奴にちがいないね」
女「ふふふ、ありがとう。それじゃあ、私ベビーシッターのバイトがあるから」

OTOKO2「HEY、OTOKOどうしたんだ?MAKEBONOみたいな顔をして」
OTOKO「…見事にハートブレイクさ。俺はこれからセンティメントゥジュアーニュィーに出てくるよ」
OTOKO2「…ウェイトゥだOTOKO」
OTOKO「なんだ?」
OTOKO2「俺前からお前に・・・フォーリィンルァブ!」

OTOKO「AHっーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

男「ただいまー」
妹「おかえりー」
男「飯は?」
妹「ちゃんとありますよ」

男「おー、美味そう!」
妹「私が作ったんだから、味わって食べてね」
男「ハイハイ、いただきま〜す」

妹「ねえ、お兄ちゃん」
男「ん、なに?」
妹「結局お兄ちゃんと、女さんて付き合ってんの?」

男「…何を言い出すんだお前は?」
妹「いや、別にお兄ちゃんが誰と付き合おうが構わないんだけどさ」
男「じゃあ、いいじゃんか」
妹「でもさ、付き合ってるとしたら超遠距離になるわけでしょ?」
妹「手紙とか、国際電話とかもいいけど、付き合ってるならやっぱ生身の相手に・・・」
男「ご馳走様!」
妹「あっ、ちょっとお兄ちゃん」
男「明日もバイトあるし…寝る」


男「…付き合ってるのかなんて聞かれても…自身持って答えられねえんだよ」

友「…おい、おい男!」
男「へっ、何だよ?」
友「何だよじゃねえよ!お客さん来てんだろ!」
男「あっ、わりぃ」


先輩「ふ〜む」
店長(ニヤニヤ)
先輩「何かあったんですかね?」
店長「あったんじゃないの〜?」
先輩「すっごい楽しそうですね」
店長「すっごい楽しいよ!」
先輩「…仕事戻ります」
店長「あっ、先輩ちゃん」
先輩「何ですか?」
店長「ゴニョゴニョゴニョ…」

先輩「懲りませんね店長も」
店長「まかないサービスするから」
先輩「全力で任務に当たります」

先輩「女子ちゃ〜ん」
女子「あっ、先輩さん。なんですか?」
先輩「昨日、男に送ってもらったんだって?」
女子「はい!」
先輩「大丈夫?何かされなかった?」
女子「な、何かって、えぇ〜!?」
先輩「いやいや、男が何か今日ぼーっとしてるから、もしかしたら
先輩「女子ちゃんに告白してこっぴどく振られたのかと思って」
女子「そっ、そっ、そっ、そんなわけないじゃないですか!」
先輩「へ〜、じゃあ何も無かったんだ?」
女子「はい…残念ながら」

先輩「へぇ〜残念だったんだ」

女子「あっ、いえ!残念とかじゃなくて…その…」
先輩「ふふふ、そんな必死に隠さなくても大丈夫だよ」
女子「///////////////」
先輩「好きなんでしょ?男のこと」
女子「…好きっていうのとは違うかも知れません」
先輩「どういうこと?」


女子「男君は…私の小学校のときからの憧れなんです」

友「…あ〜あ、なんてタイミングの悪い男なんだ俺は…てか、こんな話店の外で…」
男「何がタイミング悪いんだ?」
友「あー!ちょっ、そうだお前に頼みたいことあったんだ!あっちへ行こう、さぁ行こう!」
男「ちょ!俺、次休憩なんだけど…」

先輩「ふ〜ん、そっか。そんなことがねぇ〜」
女子「あのっ…この話男君には…」
先輩「ふふふ、しないよ」
女子「ありがとうございます」
先輩「いやいや。さて、そろそろ仕事に戻らないと」
女子「はい!」


友「ふぅ、何とかごまかせた」
先輩「友!」
友「うわぁ!」
先輩「あんた、意外といいとこあんじゃん?」
友「…小心者なだけですよ」
先輩「小心者ね…もっと自身持たないと彼女できないぞ〜」
友「言われなくても分かってますよ!」

店長「ふむふむ、何やら空気が面白くなってきましたな」


妹「あれ?何書いてんの?」
男「…お前何度ノックしろと…」
妹「そんなことより、何書いてんの?」
男「手紙だよ、手紙」
妹「あ〜、女さんへの?」
男「ああ」
妹「そういえばクリスマスどうするの?」
男「…どうするんだろうな〜」
妹「女さんは何て言ってるの?」
男「何も」
妹「…そっか、まぁいいやご飯だから来てね」
男「ああ」


グシャグシャグシャ!

男「…やっぱ自身ねえよ」

友「男〜」
男「何だよ?」
友「お前、クリスマスもイブも出勤になってんじゃん」
男「ああ」
友「予定ねえのかよ?」
男「…ああ」
友「ふ〜ん…俺予定入った」
男「!?」
友「…驚きすぎで何かムカつくんだけど」
男「心臓とまるかと思った」
友「ムカつくけど何言われても今は許せるぜ!まぁ先輩のセールの荷物持ちだけどな」
男「ふ〜ん、良かったな。頑張れよ」
友「サンキュ」

男「ありがとうございましたー」
女子「あの…男君?」

男「女子さん…どうしたの?」
女子「男君…クリスマス出勤するんだね?」
男「あぁ、うん…その予定の方がちょっとね…」
女子「そうなんだ…」
男「うん…そうなの…」
女子「あ、あの!」

女子「23日は空いてますか?」

男「23日?」
女子「う、うん。その…暇だったら映画でも行かないかなって…」
男「……」
女子「あの、予定があったら別に…」
男「いいよ」
女子「ふぇ?」
男「俺も丁度予定無かったし、俺なんかで良ければ」
女子「じゃ、じゃあ!23日!約束ね!」
男「うん…約束」
先輩「以外にもOK出ましたよ」
店長「やはり本命とグラついているという私の勘は間違っていませんでしたね〜」
先輩「えっ、ちょ!男って本命いるんですか!?」
店長「いるみたいですよ〜、アメリカに〜」
先輩「アメリカ…遠距離?でもそれって、まずくないですか?」
店長「でも、OKしたのは男君自身ですよ〜」
先輩「女子ちゃんをけしかけたのは私たちですけどね」
店長「まぁ、男君にその気が無ければ断りますよ〜…それよりも」
先輩「何ですか?」

店長「23日、店閉めてスネークしたいですね〜」
先輩「大丈夫じゃないですか?店長の今後さえ気にしなければ」

妹「ねぇ〜」
彼「どした?」
妹「クリスマスどうする〜?」
彼「…ネズミーランドにでも行くか?」
妹「27点、却下」
彼「ちょ!低くね!?」
妹「もっとさぁ〜、目新しい意見は無いわけ?」
彼「…無い」
妹「はぁ〜、何でこんな奴と付き合ってんだろ?」
彼「それは俺のセリフだよ。何で俺と付き合ってるの?お前ならもっとイケメンとか…」
妹「ん〜、なんか雰囲気にてるんだよね」
彼「誰と?」
妹「私の初恋の人と」
彼「ふ〜ん」
妹「それよりさ、イブなんだけどさ、家においでよ!」
彼「えっ、マジで?」
妹「残念ながら両親いるけど」
彼「…なんだよ」
妹「でも、次の日は朝からどっか行こうね〜」
彼「ハハハ、俺お前のそう言うとこ好きだわ」

男「待った?」
女子「ううん、今来たところ(ホントは一時間前に着いたんだけど)」
男「そんじゃ行こうか」
女子「うん」


友「…先輩」
先輩「何?」
友「急に呼び出してこれはないんじゃ…」
先輩「だって店長が勤務扱いにしてやるからスネークして来いって」
友「そうじゃなくて…」
先輩「大丈夫だって、ある程度見届けたらデートしてあげるから」
友「…しょうがないっすね」
先輩「もっと嬉しがりなさいよ」

※ここからは「先輩」「友」両名による、よく分からない実況でお送りいたします
一部不適切な表現がありますが、全く気にせずに、妄想力全開でお楽しみください

友「映画館ですね」
先輩「ですね」
友「恋愛映画ですね」
先輩「ベッタベタですね」
友「早速お決まりの、『チケット代どっちが出す』が始まりましたね」
先輩「『いや、俺男だし』『いいえ、誘ったのは私だから』ですね」
友「おっと、結局自分の分を自分で払うことで決着が付いたようです」
先輩「もう、周りの『俺は映画が好きなだけだ』みたいな独り身の方々の視線が痛いですね」
友「きっとすれ違いざまに『ザラキ』とか呟くんでしょうね」

※引き続き、古館さんも真っ青な二人の実況をお楽しみください

「さぁ、中に入りました」
「23日ですが平日ということもあり空席が目立ちます」
「おっと、真ん中の結構ベストポジションに陣取りました」
「あれは、大変ですよ」
「何がですか?」
「トイレに行くのが大変ですよ」
「それは中々重要ですね」
「おっと男が席を立ちました」
「どうやらトイレに行くようですね」
「ナイス判断です。上映中に立つのほど気まずいことは無いですからね」
「さぁ、トイレに行き…おっとここで男が」
「これは『ついでだから買ってきた』ですね。女の子はこういうの弱いですよ」
「さぁ、二人分の飲み物を買って…席に戻った…だが!」
「あ〜、やぅてしまいましたね」

「なんと女子ちゃんも飲み物を二人分買ってきていた〜!!」
「もう、四人分とかトイレ行った意味ありませんね」


続けてもいい?
それとも先進んだ方がいい?

※引き続き、実況されてる本人たちが気づいたら地味に嫌な顔をしそうな
二人の実況でお楽しみください

「さて、映画が始まりましたね」
「ちなみに私たち二人は最後尾の端から男君と、女子ちゃんを見守りたいと思います」
「コレは…」
「どうしました?友さん?」
「非常につまらないですね」
「あっとコレは確かに・・・スイーツ(笑)」
「大変なこととなりました、まさか今頃…「恋空」を上映しているとは思いませんでした」
「これは非常事態ですね」
「案の定、男君は飽きはじめています、彼はアクションしかみませんからね」
「女子さんに至っては、内容そっちのけで男君の横顔ばかり見ていますね」

二人「スイーツ(笑)」

※引き続き(ry

「さぁ、そろそろ映画もクライマックスに近づいてきました」
「なんかよく分からないうちに主人公の男の子が死にそうです」
「私たちは二人の様子しかみていませんので内容そっちのけです」
「あっと、ここで女子ちゃんが男君の肩に急接近!」
「彼女にこんな積極性があったとは驚きです。あの子たちの悪そうな客には絶対オーダー行かないのに」
「おっと、しかしこれは?」
「どうしました?」
「これはどうやら映画がつまらなくて寝てしまっただけのようですね」
「まぁ仕方ありませんね、つまらないですから」
「さて、そんなこんなで映画が終了しました」
「結局スイーツはどうなったんでしょうか?興味ありませんが」
「おっと意外にもいい雰囲気で話していますね」
「しかし、手に握られた二本ずつのペットボトルが悲しげですね」

「…えー、今入った情報によりますと」
「ちょいとこ洒落たオープンカフェに二人の姿を見つけたそうです」
「まぁ見つけたの私たちですけどね」
「それはさておき、正面のマクダネルズの二階から中継を再開したいと思います」
「さて、男君は無難にコーヒー、女子ちゃんは可愛らしくメープル入りのカフェラテを注文したようです」
「可愛いですね、意外と男性はこういうところしっかり見ますからね」
「以前、ウィンナーコーヒーを女の子が頼んだときにウィンナーの意味知らなくてあせった経験を思い出しました」
「…あなただけですよ」
「…はい、気を取り直して。メープルって言うの意外とポイントなんでしょうね」
「所詮は楓の葉の樹液ですがね、男性からは可愛く見えてしまうものです」
「おっとしかしここで問題が発生したようです」
「どうしましたか?」
「二人して、非常に寒そうです」
「あ〜、外の席に座ったんですね」
「てか、今真冬ですよ?中が空いていないのでしょうかね?」
「それにしても、外に座るくらいなら他の店に移るという選択肢は無いのでしょうか」


「さて、ここでも『どっちが出す』論争を繰り広げた後に」
「はい、今回は男君が出したようですね」
「男らしさを見せましたね」
「しかし、見ててアレですが…」
「はい」
「会話が弾んでいませんね」
「そりゃあそうでしょう」
「お互いに映画の話していいものか、むしろどう話せばいいか探っている状態ですね」
「それにしても寒そうですね」
「今日は気温7度だそうですからね」
「じっとしてると余計に寒そうですね」
「外の席に彼ら以外いませんからね」
「…これはもうお互いの体温で暖め(ry」

男「あ〜、なんか俺映画の内容あんま覚えてないや」
女子「わ、私も実はあんまり」
男「あっ、マジで」
女子「うん、なんか頭に入ってこなかった」

男(女さんのこと考えてて)
女子(男君のこと考えてて)

男「…寒いねここ」
女子「う、うん」
男「場所、うつろっか?」
女子「うん」

友「場所移るみたいですね」
先輩「そうね」
友「まだ、スネーク続けますか?」
先輩「う〜ん、もういんじゃない?」
友「ですよね」
先輩「じゃあ私たちもどっかいこっか?」
友「お供します」


父「…ホントに行くのか?」
女「…うん」
父「そうか…お父さん楽しみにしてたんだけどな」
女「ゴメンね、来年のクリスマスは絶対家ですごすから」
父「そうか、まぁお前も年頃出しな。友達とスキーに行くなら仕方ない」
女「お土産買ってくるからさ」
父「…男はいないんだよな?」
女「うん、女友達だけだよ。ミリーとかデイジーとか」
父「そうか…男と旅行に行くなんて行ったら父さん…泣いてたぞ」
女「ふふふ、大丈夫よ。それじゃあ行ってきます」
父「ああ、気をつけてな」


女「お父さんゴメンなさい…待っててね男君」

女子「男君?何食べる」
男「えっと…俺は…トマトはいってなければ何でも」
女子「ふふふ、そうだったね」
男「えっ?」
女子「すいませーん」

女子「これ美味しいよ」
男「うん、こっちも美味しいよ」
女子「…ホントだ美味しいね」
男「ハハハ」

女子「あのお店美味しかったね」
男「そうだね」
女子「また行こうっと」
男「……」

女子「今度は別の人と…ね」

女子「あのね男君」
男「……」
女子「私ね、男君に憧れてたの。小学校の頃から…」
男「…忘れててゴメンね」
女子「いいよ、私男君とそんなに話さなかったし」

女子「私ね…好き「だった」んだぁ…男君のこと」


小学校の頃の私は、引っ込み思案で、可愛くなくて、
目が悪くてメガネとかかけてたしね〜
男君は私と違って、元気で勉強できて、友達も多くて…
そんな男君が私は、こっそり好きだったの

一度ね、体育で男君と二人三脚のペアになったの
私、ドン臭かったから絶対嫌がられると思ったのに
男君はそんなこと言わなくて、むしろ頑張ろうって言ってくれて・・・
私のせいでビリになったのに、男君は

『ビリになっちゃったね』

って笑って…その時の笑顔が忘れられなかったんだよね…

女子「だから、男君があのファミレスに入ってきたとき嬉しかったんだ」

男「……」
女子「だからね、これは神様がきっと私にチャンスをくれたんだって、そう思ったの」
女子「そう思ってたの…」

女子「でもね、男君をさぁ…こうね毎日見てるとね…気づいちゃうんだよね」
女子「私以外の誰かが男君の中にいるのが…ね…」

男「…そっか」
女子「だからね、ずるいけど…卑怯だけど…とにかく気持ちだけ伝えて逃げようって…ヘヘヘ、ゴメンね」
男「ゴメンだなんて…そんな…」
女子「だからね、これで終わり!」
男「えっ?」
女子「『好きでした』のままで…キレイなままで仕舞っておくの。私の心に」
男「…ありがとう。俺なんかを好きになってくれて…ありがとう」
女子「最後にもう一回だけ言わせてね」

『男君大好きだったよ!!』

タッタッタッタッタ…

男「女子ちゃん…ありがとう…おかげで…」

『おかげでどうすればいいのか分かったよ』

店長「いらっしゃいませ〜…あら〜、どうしたの女子ちゃん」
女子「……」
店長「そっかぁ…もうお店閉めるとこだからちょっと待っててね」
女子「……」

店長「…よし、それじゃあ…泣いていいよ」
女子「…ヒック…ヒック……ウワァー!!」

店長「泣けるってことはね〜。いい恋をしたってことなんだよ〜。だから思いっきり泣いちゃいなさい」

妹「あれ、お兄ちゃんお帰り」
男「ただいま」
妹「遅かったね?どうしたの?」
男「ん、ちょっとな」

妹「なんかスッキリした顔してる」

男「えっと…結構高いな…時差が14時間くらいだから…よし!」
妹「お兄ちゃん、明日私の友達が来るから…」
男「あっ、明日俺いないから安心しろ」
妹「えっ?どっか行くの?」
男「ああ」

男「ちょっと地球の反対側まで」

女「う〜ん…久しぶりの日本だぁ!」
女「えっと空港から…相変わらず遠いな〜。まぁいっか、夜までに着ければ」

男「えっと…12〜3時間か…遠いな…住所は手紙にかいてあったし…よし行くか」


「男君
    待っててね!」
「女さん

男「あっ、コーヒーで」
男「それにしても…初めての海外が一人旅…おまけに止まる場所なしの突貫…」
男「一応「るるぶ」買ってきたけど…観光しないんだよね…」


女「ふぁ〜、日本も寒いなあ…当たり前か」
女「どうしようかな、手紙で行くって言ってあるからすぐに行ってもいいんだけど」


妹「あれ?お母さん、このエアメール何?」
母「ああ、お隣に間違えて届いてたらしくて、今日もって来てくれたのよ」
妹「…これ女さんからじゃん」

男「…やべぇ…ニューヨーク寒いよニューヨーク」
男「えっと…この手紙の住所だと…タクシーで市内に出て…」


女「おじいちゃん、久しぶり!」
主人「おぉ、よく来たの」
女「こっちも寒いねえ」
主人「まだ雪は降っておらんがの」
女「…夜には降るといいなあ」


妹「お兄ちゃんの携帯繋がらない…まさか…地球の反対って…」

男「さて…ヘイ・タクシー!」

運転手「どちらまで?」
男「えっと、この手紙の住所まで」
運転手「はいよ、観光かい?」
男「いえ」
運転手「じゃあ留学か何かかい?」
男「いえ」

男「好きな人に会いに来ました」

運転手「ヒュー、そいつは結構なこった。サービスして超特急で送ってやるよ」


女「ありがとうございました」
主人「店番なんかしてていいのかい?」
女「うん、一応手紙で夜に会おうって言ってあるから」
主人「そうかい」
女「ん?どうしたの?」
主人「いや、ここ数年で一番言い顔しているなぁ」
女「ふふふ、ありがとう」

妹「…これ空けるべきかな?」
母「私に聞かれても」
妹「でもさ、23日の朝着になってるんだよ?もし会いに来るとかだったら…」
母「う〜ん、クリスマスカードとかじゃないの?」
妹「それだったらクリスマスに届くように送るでしょ!」
母「何で、あんたが怒るのよ?」

運転手「あの家みたいだぜ」
男「あっ、じゃあ家の前で止めてください」
運転手「あいよ」

運転手「それにしても、どんだけ急だったんだ?荷物がバックパック一つって」
男「ハハハ、昨日思い立ったんで時間が無くて」
運転手「あんたみたいな奴に好かれて、彼女は幸せだな」
男「ありがとうございます」
運転手「会ったら、すぐに抱きしめてやんな!そんでそのままベッドにGOだ」
男「ハハハ、殴られなかったら頑張りますよ」

妹「あっ、私そろそろ出ないと」
母「出掛けるの?」
妹「うん」
母「そう、帰りは?」
妹「う〜ん、友達と遊ぶだけだから八時くらいかな?」
母「お父さんとお母さん、外で食事してくるから帰り11時くらいになると思うわ」
妹「分かった〜」

妹「お父さん、お母さんゴメンなさい。妹は悪い子です」

女「そろそろ行こうかな」
主人「どこで待ち合わせしてるんだい?」
女「う〜ん、普通に駅前って行っといた」
主人「今日はその…帰ってくるのかい?」
女「えっと//////分かんない/////」
主人「大丈夫だよ、お前のお父さんに行ったりはしないから…楽しんでおいで」
女「うん!おじいちゃんも良いクリスマスを!」

ピンポーン

父「はい、どなたですか?」
男「あっ、(お父さん?)あの僕女さんの友達(って言っておくべきだよね)の男…」
父「ん?君はもしかして、私たちが日本に住んでいたときの…」
男「覚えているんですか!?」
父「あぁ、もちろんだよ。あの時は娘と遊んでくれてありがとう」
男「いいえ、こちらこそ女さんにはお世話になりました」
父「まぁ上がりなさい。わざわざ会いに来てくれ嬉しいよ」

女母「あら、どなた?」
父「ああ、覚えているかい?日本にいたときに女と遊んでくれた男君だよ」
女母「あら、覚えているわ。何度か家にも遊びに来たもの」
男「お久しぶりです」
女母「まぁまぁ、懐かしいわね〜。でもまさかこんなタイミングで来るなんて」
男「スイマセン、イブなのに連絡もせずに来て…」
父「いや、それは構わないんだがその…」

「女は26日まで、友達とスキーに行っているんだ」


女「…ちょっと早く来すぎたかな?」

妹「…何してんのあいつは?私がこんなに早く来てるのに」

女「…あれ、男君…えっ?」

彼「ゴメン待った?」
妹「遅いよ!」
彼「なに怒ってるんだよ?」
妹「怒るの!今日は時間が無いの?」
彼「何言って…」
妹「十一時までしか、二人じゃないの!」
彼「…はぁ?」
妹「だから、両親が十一時までならいないの!」

女「あれ、男君だよ…ね?隣の女の子…いや、人違いだよね」

男「…タイムズスクエアすげ〜〜〜〜〜〜…どうでもいいわ」
男「何俺?何してんのクリスマスイブに?一人で…
男「何だよあのカップヌードルの看板…何人前だよ?」

プップー!

運転手「おう、さっきのあんちゃんじゃねえか?広いNYでまた会うなんて奇遇だな?」
男「何でこの人にまた会えて女さんに会えないんだろう?もしやこの人が運命の人?」

女「…遅いな…もう二十分過ぎてるよ?」
DQN「うほっ、いい女!ねぇ、お姉さんイブに一人なの?」
女「あの、人待ってるんで」
DQN「そんなこと言わないでさぁ〜、どっか遊びに行こうよ〜」
女「五月蝿いわね!あんたみたいな頭悪そうなのお呼びじゃないのよ!」
DQN「ちょ!この女マジ怖いんですけど〜」

女「…早く来てよ…ばかぁ〜」

男「…というわけなんですよ」
運転手「そっか、そいつは災難だったな」
男「やっぱノープランで会いに来たのがダメでしたね、せめて事前に連絡してれば」
運転手「まぁそんなに気を落とすなよ。よし、これもなんかの縁だ」
男「?」
運転手「俺が少しだけNYを案内してやるよ。このまま帰るよりはいいだろ?」
男「…ありがとうございます」

運転手「礼はいいさ、乗りな」

女「もう一時間…私嫌われたのかな?」
女「どうしよう…さっきのやっぱり…」
女「ううん、もしかしたら手紙読んでないだけかも…」

「男君の家に行ってみよう」

彼「これ全部お前が作ったの?」
妹「そうだよ」
彼「すげえな、家のおかんより上手いんじゃね?」
妹「まぁね〜、小さいころからやってるし」
彼「そんじゃ、いただきま〜す」
妹「召し上がれ〜」

彼「ふぁ〜、もう食えない」
妹「ケーキ余っちゃったね」
彼「お兄さんにあげれば」
妹「今日いないんだよね〜」
彼「ふ〜ん、そういえばさ…お前の初恋の人って誰なの?」
妹「どうしたのイキナリ?」
彼「前に行ってたから気になってさ」
妹「知りたい?」
彼「うん」
妹「実はね〜」
彼「うんうん」
妹「私のお兄ちゃんなんだよね〜」

彼「何か複雑だなそれ」

運転手「あれが自由の女神だ」
男「すげ〜!当たり前だけどお台場のよりずっとでかいですね」
運転手「こことフランス以外に女神があるのか?」
男「ええ、日本にもこれの小さい奴が…」
運転手「ふ〜ん…じゃあこんな話は知っているか?」

昔、ヨーロッパから新天地を目指してやって来た人間にとって自由の女神は希望そのだった。
沖合に浮かぶ自由の女神が見えると人々は甲板に飛び出して行き、これからの生活に夢を馳せたそうだ。
ある時、ポーランドからやって来た一人の少女が、女神を見て父親に聞いた。
「お父さん、あの女の人は誰なの?」
その言葉を聞いた人々は少女に言ったんだ。

「あれがアメリカの神様だよ」

ってな。

運転手「俺は、クリスチャンだがイエスキリスト以外に別の何かを信じろと言われたら」
運転手「迷うことなく自由の女神を選ぶよ。お前さんも騙されたと思って祈ってみたらどうだい?」

男「再会をですか?」
運転手「いんや…ハグしてキスしてその先までさせてくださいってな」

女「…家の電気付いてる…やっぱり中にいるのかな?」

女「あれ、確かあの部屋って……ふたり……!?」

女「…電気消えた…ウソだよね?だって…人影」

女「出てこない、やっぱりそうなんだ……私のこと……

女「今頃……別の子を抱いてるんだ……」


妹「…いい?痕跡を消して直ちに現場から立ち去るのよ?」
彼「どこの特殊部隊だよ」
妹「いいから、あんたも証拠隠滅手伝いなさいよ、もうすぐ帰ってくるんだから」
彼「はいはい」
妹「もう、何でよりによってこんな日に…お母さんのバカ!」


『妹、もう家に帰ってるか?言ってた通り母さんと食事に行ったんだが、
母さんが食べすぎで具合が悪くなったので早めにつれて帰る。
十時くらいには帰れると思うからお母さんの布団を用意して置いてください

PS お父さんお前にプレゼント買ったから楽しみにしてなさい

パパより』

彼「まぁ仕方ないじゃん。お母さん具合悪いなら」
妹「…ゴメンね」
彼「いいって、ちょっと残念だけど」
妹「……」

チュッ

妹「続きは今度ね/////」

主人「おや、どうしたんだい?」
女「ん……会えなかった」
主人「そりゃまたどうして?」
女「…ちょっとね」
主人「…そうかい」
女「おじいちゃん、私明日帰るね」
主人「帰るのは、明後日じゃ無かったのかい?」
女「うん…でも…」

「日本にいる理由がなくなっちゃったから」

運転手「ここのホテルは安いけど安心だぜ」
男「色々ありがとうございました」
運転手「何、ニューヨーカーは困ってる人をほっておかねえのさ。明日帰るのか?」
男「はい、また今度はゆっくり会いに来ます」
運転手「それじゃあ次はハネムーンだな」
男「まだ早いですよ」
運転手「それもそうか。じゃあな!お前に神の加護があるように!」

男「ハハハ、あの人に会えただけでもきてよかったかも」

女「それじゃ、ゴメンね昨日来たばっかで」
主人「あぁ、また何時でもおいで」
女「うん…また来る…じゃあそろそろ行くね」
主人「元気でなぁ〜」

『成田空港行き、快速エアポート成田は…番線から…』

女「じゃあね、男君…お幸せに」


女「えっと…時差が十二時間だから…あっちはまだクリスマスの最中か」
女「どうしようかな…帰るのは26って言ってるのに…メアリーのとこでも遊びに行こうかな」

妹「お母さん、大丈夫?」
母「…なんかすぎもたれてるわ」
妹「胃薬出すからのみなよ」
母「ありがと。あっそういえば」
妹「何?」
母「お兄ちゃんから電話あってこれから飛行機乗るって言ってたわ」
妹「あぁ、やっぱ言ってたんだアメリカ」
母「我が子ながらやるわね〜…男も…あんたも」

妹「な、何のことかしら?」

男「さて、帰りますか…」
男「次に来るときは会えるといいな…」

CA「ひざかけはご利用なさいますか」
女「あっ、大丈夫です」
CA「あら、日本語お上手ですね」
女「はい、生まれがこちらなもので」
CA「それじゃあこれから帰られるんですか?」
女「はい」
CA「そうですか…それでは失礼します」

女「次に来る理由が…無くなっちゃったな」

女「あっ、メアリー?うん私、そうそう帰ってきたのそれでさ、これから…」
女「そうなんだ、ううん、いいの。気にしないで、また電話するね」
女「どうしようかな…とりあえず家に帰ろうかな?早く帰ってきちゃったとかい言って…」
女「いいや、疲れたから…帰って寝よう…」

女「ハイタクシー」
運転手「どちらまで?」
女「えっと○○まで」
運転手「…こんなことがあるんだな」
女「えっ?」

運転手「昨日、この住所に一人の日本人を乗せたんだ」

女「まさか、その人って!?」
運転手「走りながら話そうか…ん、何だ?エンストしやがった!」
女「それで、その人はなんて」
運転手「好きな人に会いに来たって。だけど連絡なしで来たもんだからすれ違いで会えなかったッて」
女「…そんな」
運転手「中々いい男だったぜ、ホントにあんたに惚れてる感じでよ」
女「…そうですか…そうだったんですか…」
運転手「顔もアジア人にしちゃあ男前だったな…そう…」


運転手「窓の外にいる奴みたいな顔だ」

ドンドン!

男「女さん!やっぱり女さんだ!」
女「男君…どうし…て?」
男「帰ろうとしたんですけど、空港がストで飛行機が飛べなくて…」

ブロロロロロ

運転手「よっしゃかかった!これも神のお導きだな!とりあえず乗りなお二人さん」
男「あっはい」

男「それで、空港で立ち往生していたら…見覚えのある人が歩いてて…!?」
女「もういい…何も言わなくて言い…だって…だって…」
男「女さん……?」

女「あなたにまた会えた!」

運転手「ヒュー、お二人さん俺がいること忘れんなよ?」

男「女さん…その…そろそろ離してくれませんか?」
女「…やだ」
男「…あの、女さんはハグとか慣れてるんでしょうけど僕はその…」
女「慣れてないもん!」
男「えっ?」
女「他の人に抱きついても…こんなにドキドキしないもん」
運転手「…日本語は分かんないが痴話げんかは世界共通だな」
運転手「お二人さんそれでこれからどこいくんだい?何なら今日はあんたらのために貸しきってもいいが?」
女「それいいわね!私がNY案内してあげる!」
男「…チケット払い戻せるかな?」
女「そんなの気にしないの!」
男「…そうですね…」
ビリビリビリッ!
女「さぁ、クリスマス始まったばかりよ!まずは…

「世界の中心…タイムズスクエアでキスっていうのはどう?」
「いいですね、それじゃあタイムズスクエアで!」







ゴーン ゴーン

「いいのか?俺なんかよんじまって?」
「構いませんよ、俺たちにとってあなたはキューピッドみたいなもんですからね!」
「ハハハ!汚ねぇキューピッドもいたもんだな!」
「おっと、そろそろ行かないと」
「おう、行って来い・・・それにしても本当に結婚するとはな・・・」

「…キレイ」
「ふふふ、ありがとう」
「いいなぁ、花嫁衣裳」
「そのうち着ることになるわよ」
「だといいんだけどね〜」
「そろそろ時間だわ」
「…行こうか彼が待っているよ」
「うん、お父さん」

「……キレイです」
「それだけ?」
「それ以外に言葉が見つかりませんよ」
「フフフ、よろしい」
「それじゃあ行きますか、女さん」
「ええ、行きましょうか……」

『あなた』

糸冬





というわけでね、昨日から?延々続けてここまで来てしまいました
いや〜、やっちゃったね最後www
てかさ、セリフだけで背景描写無いときついよバカwww

というわけでお前ら感想書け!
絵師も来い!いや、来てください!

そしてまた明日七時おきの俺の労を労うといいよヽ(*´∀`)ノ

出典:女「そんなとこにいないで入ったら?」
リンク:http://yutori.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1219156247/

(・∀・): 652 | (・A・): 191

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