命賭しうその暗証番号
2008/10/15 11:04 登録: えっちな名無しさん
「2960…」。手錠を掛けられ、太ももには包丁が突きつけられていた。男3人に「暗証番号を言え」と脅され、体を震わせていたが最後には小さな声で銀行口座の番号を告げた。名古屋市千種区の会社員磯谷利恵さん=当時(31)=が昨年8月、拉致、殺害された事件。だが、その番号はうそだった。利恵さんは命を賭して、何を守ろうとしたのか。
「死ぬまでに最低5、6回刺さないと死ねないかな」「もう、待てねーんだよ。殺しちゃうぞ」
検察側は9月に開かれた初公判の冒頭陳述で、強盗殺人罪などに問われた神田司(37)、堀慶末(よしとも)(33)、川岸健治(41)の3被告による脅迫の詳細を明らかにした。
暗い車内の床に座らされ、動くことができない。川岸被告が乱暴しようとした直後に3人で利恵さんを取り囲み、暗証番号を言えと脅した。番号を聞き出したと思うとすぐに殺害した。だが、銀行などで3度引き出そうとしたがうまくいかない。「まさか、あの状況でうそをつくとは」と、3人はあぜんとしたという。母親の富美子さん(57)は「殺されると覚悟していたから。むざむざお金までとられたくないと思ったのでしょう」と話す。
事件後、マイホームを買い、母を喜ばせたいと計画していたことを娘の友人から聞いた。数年前の光景が浮かんだ。「お父さんとの約束で果たせてないのはマイホームだけだわ」と一人娘の利恵さんにこぼすと、目を細めて笑ってうなずいていた。夫は利恵さんが一歳の時に病気で亡くなっていた。
「だからだったのか」
利恵さんの夢を、母は娘がいなくなった後に知った。
3被告の第2回公判は10日に開かれる。
出典:2008年10月10日
リンク:中日新聞
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