優良さんの渡辺さん筆下ろし
2008/11/05 16:13 登録: えっちな名無しさん
「いってらっしゃい」
今朝も夫の真を会社に送り出した優良は、
キッチンに戻って椅子に腰掛けた。
(もう、真さんたら、あんな変なこと言うから……)
結婚して1年経っても、未だアツアツの二人は
一緒に夕食を取る時には、様々な会話を交わす習慣が残している。
普段は、会社や家の他愛の無い出来事の話なのだが
昨夜は真が語ったことは、妻の優良と他の男の情事の妄想だったのだ。
愛が冷めたわけではないとはいえ、刺激に飢えているのかもしれない。
優良は夫の妄想力の奔放さをあきれる思いで聞いていたのだが、
その夜の生活は、二人とも燃え上がった。
それは優良も刺激に飢えていることを示しているのかもしれなかった。
そして……。
優良は昨夜、見た夢を思い出して、一人顔を赤らめる。
夫とのセックスを終えて、夫の横で眠りについた優良が、
その夜見た夢は、彼女が他の男に抱かれる夢だったのだ。
おかげで朝起きてから、まともに真の顔を見れないままで
会社に送り出すはめになってしまった。
(そうよね、真さんがあんな変なこと言ったから……
私にそんな欲求があるわけないわ)
だけど、と優良は、すでにおぼろげになった記憶を辿る。
(よく憶えていないけど、確か相手は隣りの渡辺さん……)
慌てて、ブンブンと頭を振って勢いよく立ち上がる」
「何、バカなこと考えているの!さぁ、お掃除しなくちゃ」
その頃、隣りの渡辺さんは……
「ふう……どうしたんだろ」
自分の部屋のドアの前で、一息ついていた。
思えば朝目覚めた時から少し体調が悪かった。
勤務先の女子高に向かう途中で、
耐えられなくなるくらい気分が悪くなった。
欠勤の電話を学校に入れ、ようやく自分の部屋にたどり着いたのだ。
(風邪かなぁ、一日寝れば良くなると思うけど・・・・・・)
でも、と思い出す。
(そういえば風邪薬の買い置きもう切らしていたんだっけ)
自然に目が行ってしまうのは隣の部屋。
朝、優良が真を送り出すところを渡辺は見ていた。
(そうだ、奥さんに、風邪薬を貰おう……)
渡辺は優良の部屋へと向かった。
ピーンポーン
「はーい」
水道の蛇口を閉め、エプロンで手を拭いながら
優良は玄関に向かう。
ドアを開けて、少し驚く。
「ど、どうしたんですか、渡辺さん」
「奥さん」
ふらりと渡辺の身体が一歩ドアの内側に踏み込み、
押されて優良の身体が後ろに一歩退く。
「キャ!」
抱きついてきた渡辺に、優良は玄関で押し倒されてしまった、
「だ、駄目です!渡辺さん!!」
真の妄想が、昨夜見た淫夢が、優良の脳裏をよぎった。
「いけません!私には夫が!・・・・・・?」
渡辺の身体を押しのけようとしてようやく優良は気づく。
渡辺が気を失っていることを。
「もう、何なのよ!」
数日後。
「あはは、姉貴も災難だったんだねぇ」
「もう笑い事じゃないわよ、梨香。
ご近所中の誤解を解くのに大変だったんだから」
亭主を送り出した主婦一人の部屋から、
若い男が救急車で運び出されれば
確かに隣り近所の噂の的になるだろう。
「それでお兄さん以外の男の人に押し倒された感想は?」
性に奔放な妹は、探るように姉を窺う。
「濡れた?」
「そんなことあるわけないでしょ!」
怒る姉に構わず、梨香は勝手に話を進めていく。
「渡辺さんって、確か姉貴のことが好きな童貞君だったわよね
可哀想だから、一度くらい相手してあげたらいいのに」
「何を言ってるのよ」
「人妻が童貞の男の子に色々と教えてあげるって話、よく映画や小説にあるじゃない」
「もう梨香ったら怒るわよ」
ピーンポーン。
ドアベルの音が二人の会話を中断させる。
「あら、渡辺さん」
ドアを開けて、優良は少し驚く。
ただ今日の渡辺は、元気そうだ。
「風邪はもう大丈夫なんですか?」
「ええ、今日退院して来ました。
どうも御迷惑をおかけしまして」
「いいんですよ」
「渡辺さん、お久しぶりです」
「あなたは・・・・・・梨香さん。お久しぶりです」
「姉がいつもお世話になっています。
こんなところでなんですから、どうぞ部屋に上がってください」
「え、でも今日はお礼に来ただけで」
「ささ、遠慮なさらずにどうぞ。いいわよね姉さん」
「ええ、どうぞ上がってください」
優良と渡辺をリビングに座らせると、梨香は手を撃つ。
「あ、そうだ」
その声は幾分、わざとらしい。
「今日は山田と約束があったんだっけ。
ごめんなさい。私はもう帰らないといけないの」
「な、なら僕も帰ります」
梨香は立ち上がろうとした渡辺をやんわりと
だが強く押しとどめる。
「渡辺さんは、残って姉さんの相手をしてあげて。
姉さん、昼間はいつも一人で寂しいのよ」
「何を言うのよ、梨香!」
渡辺をリビングに残して、玄関で優良と梨香は囁きあう。
「何考えてるのよ、梨香?」
「姉貴の話の相手してもらうだけじゃない。
あれ、姉貴、なにか疚しいこと想像した?」
「そんなこと……」
「ふふ、後で全部話してね」
「梨香!」
「「あの」」
「あ、渡辺さんからどうぞ」
「いえ、奥さんからどうぞ」
リビングでテーブルを挟んで座る二人の間に沈黙が下りる。
(もう、梨香ったら、変なこと言うから意識しちゃうじゃないの)
(ああ、奥さんと二人きりで居られるなんて。でも何を話せばいいんだろう?)
「そ、そういえば今日はお仕事は?」
「は、はい、今日は休みを貰いました。明日から学校に出ます」
「渡辺さんって女子高の先生でしたわよね」
「はい」
「女子高かぁ、懐かしいわ。私も女子高だったんですよ」
「え、奥さんはそうだったんですか」
女子高という話の糸口を見つけた二人の間で、
ようやく会話が弾み始める。
「ええ、そうそう、僕もそういう話は聞いたことがあります」
「女子高は女子ばかりだから、少ない若い男の先生にはみんな興味を持つんですよ。
渡辺さんも生徒から好かれてるんじゃないですか」
「いや、僕なんかもう生徒にからかわれるばかりで、
女性のことはよく判らないんですよ。訊ける人もいませんし」
(そういえば、あんまり女の人とお付き合いした経験なさそうね)
(「渡辺さんって、確か姉貴のことが好きな童貞君だったわよね」)
梨香の言葉が脳裏に浮かぶ。
(やっぱりまだ経験ないのかしら。そういえば初めて会った頃の真さんと雰囲気がよく似てるような
……どことなく自信なげな感じが……やっぱり男の人ってそういうことが大事なのかしら)
「これを機会に、奥さんには色々と女性について教えて貰えませんか?」
(え!)
(「人妻が童貞の男の子に色々と教えてあげるって話、よく映画や小説にあるじゃない」)
優良の顔が真っ赤になった。
それを見て、渡辺の顔も、真っ赤になる
(私が渡辺さんに……ち、違うわ、優良。渡辺さんはそういう意味で言ったんじゃ……)
(女性を教えて貰うってそういう意味では……でも、奥さんが相手なら僕は……)
二人の雰囲気は、また初めに逆戻りである。
「あ、あの、お茶、入れなおしてきます」
二人の前のテーブルに置かれたお茶は、口を付けられないまま、冷めてしまっている。
優良は立ち上がった。
「ぼ、僕はもう帰りますので、お気を使わずに」
渡辺も立ち上がる。
その時、運命の悪戯が起きる。
「きゃっ!」「わっ!」
テーブルに足を引っ掛けた優良が倒れこんだのは、渡辺の腕の中。
渡辺は優良を抱きとめる形になってしまっていた。
チクタク、と時計の音ばかりが、リビングに響く。
渡辺の頭の中は混乱している。
ただ自分の胸元から匂う芳しいも甘い香りと
掌から伝わる柔らかくも豊かな感触に酔う。
本能が今が勝負の時だと語りかける。
「あの……教えて……教えてください……女性のこと……あなたのこと」
「え!?」
腕の中から見上げる優良の眼が、真剣な渡辺の眼と重なった。
二人の間に下りる沈黙。
優良の脳裏に数日前見た淫夢の断片がよぎる。
そして優良は……。
「……わ、私でよければ……」
「お姉さんがそんなことするわけないだろう」
山田の声からは、すっかりあきれ返っている様子がわかる。
「お前みたいに淫乱じゃないんだから」
「誰が淫乱よ!」
梨香はケイタイの向こうの恋人を怒鳴りつける。
「あのねぇ、姉貴はあれで押しに弱いというか、流されやすいところがあるから
そういう機会があればわからないわよ。
それになにより、私の姉だもの、絶対そういうの、嫌いなはずがないわ」
優良はシャワーを浴びている。
他の男に委ねる決意をしたその柔肌を、乳房を、下腹部をシャワーの水流が清めている。
(これから……しちゃうのよね。やっぱり……)
あれから、渡辺にシャワーを使わせている間に、寝室をかたずけ、
シャワーから出てきた渡辺を寝室に待たせて、身を清めている自分。
「初めての浮気」「初めての不倫」という言葉が頭の中を駆け巡る。
(ごめんなさい。真さん……でも、私……)
夫に対する罪悪感は勿論ある。
夫に対する愛情の存在も断言できる。
しかし、何故かそれらが事を思い直すことに繋がらない。
むしろ、それを思う度に、胸の鼓動は高まりを増していく。
「奥手で真面目な優良」
古い友人たちから張られていたレッテルを、今自ら剥ぎ取り、
新しい世界を知ろうとしている自分に、優良は新鮮な驚きを感じていた。
腰にバスタオルを巻いた姿の渡辺は
夫婦の寝室でベッドに腰掛けて待ちながら、
未だ事の成り行きを信じられない思いでいた。
ドアノブが回って、ゆっくりと扉が開くと、
そこには優良が立っていた。
渡辺と同じく身体にバスタオルを巻きつけただけの姿である。
「奥さん……」
渡辺は立ち上がると、一言呟いた。
だがそれ以上は身体が動かせない。
無言のまま、部屋に入った優良は
自分から渡辺に近づくとその胸にピタリと寄り添った。
そして渡辺の顔を見上げて微笑む。
ようやく金縛りが解けた渡辺の手が優良の身体を包み込む。
優良の手も渡辺の背中に回る。
二人は顔を近づけ、唇を交える。
(お、俺、あの奥さんとキス、してるよ)
薄目を開けると、女性の顔がかってないほど近くにある。
しかも、その顔は初めて会った時から好意を持っていた隣の部屋の美人妻である。
その美人妻の舌が口内で、自分の舌と絡み合っている。
二人の唾液が触れ合っている。
正直、初めてキスする前は、女性とのキスが想像上の出来事でしか無かった時は、
他人の唾液に触れるといことに抵抗感が無いわけではなかった。
しかし実際に経験してみると、そのような抵抗感など消え去ってしまうものなのだと
渡辺は知った。
足元にバスタオルが落ちた。
一枚、そして二枚。
産まれたままの姿で抱き合っている二人。
キスを終えた優良は、そのまま渡辺の顔を見つめている。
渡辺は優良の腰に手を廻し、ベッドへと誘う。
優良は素直にそれに従う。
全裸の優良がベッドに横たわっている。
優良は両手を交差させて胸を隠し、両膝を硬く閉ざして、両眼はしっかりと渡辺を見据えている。
だが、渡辺を拒んでいたのではない。
渡辺が震える両手を伸ばしてきた時、避けようとしなかった。
渡辺の手が手首を掴んでも、抵抗しなかった。
覆っている手が外されていく時、顔を背けて眼を閉じた。
朝出かける時、夕方帰ってきた時、休日スーパーで出会った時、
フリルのついたエプロンを、柔らかなセーターを、清潔な白いブラウスを、
内側から柔らかく持ち上げて、渡辺の眼を引き付けて離さなかった「憧れ」が
今、隠すもの無く、目の前に露になっている。
横になっても潰れたりせず、形を保ったまま、高くそびえる二つの乳房。
シーツに負けないくらい、白く抜けている肌の色。
処女かと見間違うくらい鮮やかなピンクの乳首。
そこには、男が思い浮かべた理想があった。
渡辺は、夢かと疑いながら、両手で二つの塊を挟んで、揺らしてみる。
この手に伝わる重みは夢ではない。
優しく撫でさすってみると、滑らかな感触が伝わってくる。
触れている指に力を入れると、指が沈み、そして跳ね返してくる。
親指で乳首をいじってみると、優良は両手で自分の顔を隠した。
ピンクの頂を口に含むと、顔を隠したままの優良の口から吐息が洩れる。
舌で転がしているうちに、本で読んだとおり、乳首が硬くなっていくのには感動を覚えた。
厚手のカーテンで締め切られた室内は、昼なお薄暗い。
部屋の空気が、吐息と呻きで満たされていく。
今度は渡辺がベッドの上に横たわっている。
「ふふ」
覆いかぶさった優良の右手が、渡辺の下腹部に伸びた。
「あっ!」
順手に、逆手に、
形を確かめるように、大きさを確かめるように、硬さを確かめるように、
優良の細い指が絡みついている。撫で摩っている。優しく剥いている。
優良は髪を掻き上げながら、渡辺の股間に顔を伏せた。
ビクン、ビクンと震え、腫れ上がったように赤い渡辺の尖端に
チュッと軽くキスをする。
「んっ!」
息を吹きかける。
「んっ!」
舌先で軽く触れる。
「んんっ!」
優良の行為のたびに息が弾むことを抑えることができない渡辺。
そんな渡辺の姿を見て頬を緩ませる優良。
軽く口を開き、自らの喉の奥へと、渡辺の陰茎を迎え入れていく。
「奥さん!そんなこと……!」
こんな綺麗な奥さんが、俺の汚らしいチン○を口に含んでいる。
奥さんの柔らかい唇が、俺のチン○の形をなぞっている。
奥さんの唾液で、俺のチン○が濡れている。
奥さんの口内の体温が、俺のチン○に伝わってくる。
奥さんの蠢く舌が、俺のチン○の尖端に絡み付いている。
優良は一度、口を離すと、
竿を手で持ち上げ、裏筋に舌を這わせた
優良は袋ごと、睾丸を口に含んで口中で転がしたこともした。
優良は袋を持ち上げ、その裏側に至るまで舐め上げることまでした。
そしてまた、渡辺の竿を口の中に収めて上下に動く。
渡辺はただ呻き、身悶え、喘ぐのみである。
初めてではあるが、優良のテクニックがかなりのものであることを渡辺にはわかった。
(やっぱり、あの旦那さんが教え込んだのか!?)
とてもそのような性の達人には見えない真の姿を思い浮かべ、
内心、畏怖と尊敬の念を真に対して持つ。
(確かこうすると男の人は気持ちいいと梨香は言っていたわね)
本当は、優良はかって梨香に聞いたことを試していたのだった。
夫相手には恥ずかしくて出来ないことでも、他の男相手になら
試してみることが出来る女の気持ちとは謎である。
バフン!
「きゃっ!」
勢いよく転がった優良の身体をベッドのスプリングが受け止める。
優良の奉仕を受けるうち、射精感がこみ上げてきた渡辺は、慌てて、優良を己の身体から引き離した。
焦っていたので、少し手荒になってしまったかもしれない。
しかし初めて女性の中に精を注ぎ込むときには、口ではないところに注ぎ込みたかったのだ。
渡辺は、優良の足元で膝立ちになっている。
優良が口で大きく育てた男性器を臍につくまでそそり立たせたその姿は
それまでの気弱な好青年のイメージをすっかりかなぐり捨てていた。
女を鋭い眼で凝視し、荒く激しい息を吐き、男性自身を硬く大きく膨らませるその姿は
まさに発情したオスの獣の様相を呈していた。
そしてその獣の前に無防備な身を晒しているメスである私。
そのイメージに優良の心臓は激しく高鳴っている。
(今、私はこの男に身体を奪われようとしているのね)
強姦ではないにもかかわらず、強くそう思った。
真相手のセックスでは一度も感じたことのない感覚であった。
優良はおずおずと膝を立て、そして左右に開く。
露になった優良の中心はすでに濡れそぼっていた。
渡辺は優良の膝の間に割って入り、覆いかぶさっていく。
シーツを膝で擦って、身体を前に推し進める。
背中から回した手で肩を掴んで、身体を引き寄せる。
「んんっ!」
「はぁっ!」
二人が同時に呻いた。
今、渡辺は真だけがたどり着いていた場所に、至ったのだ。
(……しちゃった……)
優良の脳裏に真の笑顔が、真との思い出が走馬灯のように走る。
自分の意思でしたことなのに……
覚悟を決めてしたことなのに……
繋がった瞬間、渡辺はすぐ下に組み敷いている優良の顔を見た。
優良の眼には涙が浮いていた。
渡辺は、優良が人妻であり、夫に貞操を守る義務を負っていたことに
今更ながら気づいた。
自分の罪深さに、このまま進めてよいものか逡巡が走る。
だが、渡辺の逡巡を見抜いたかのように、優良は渡辺の背中に手を回して呟く。
「動いて」と。
十分に濡らし、受け入れる体制が出来ていたにも関わらず、
真が賞賛する優良の女は、本来許されざるモノの侵入を
きつく門を閉ざすことで防ごうとしたかのように思えた。
だがその無益な抵抗は、一度侵入されれば、逆に侵入者に快楽を約束する。
(おおっ!!)
優良の中は、何もしなくてもきつく締め付けてくる。
腰を前後左右に動かして、その締め付けを男性器全体で味わっていく。
優良もゆっくりと腰を使い出したことで、快感は倍増する。
優良の形の良い大きな胸が、渡辺の胸板に押しつぶされて形を変える。
渡辺の唇が、優良の唇や耳や首筋をなぞる。
優良の爪が、渡辺の背中に痕を残して行く。
真と優良のベッドのスプリングが軋んだ音を立てた。
「はぁ、はぁ。奥さん……僕は……幸せです」
「ん、優良……と呼んで。渡辺さん」
「優良さん……素敵だ……僕は……恵介です」
「ああ。恵介さん。好きよ」
きつく、どこまでもきつく抱きしめあう二人。
まるで二つの身体を一つにするかのように。
しかし、終わりのときはやってくる。
「「あああっ!」」
二人が声を合わせると同時に、優良の胎内に渡辺の精子が放たれ、子宮へと向かう。
この時点で二人とも「避妊」については完全に失念している。
次の月の生理が遅れて、二人の顔が青くなってしまったのは、またその後の話である。
静かになった室内で二人は無言で横たわっている。
しかしこの無言は、リビングでお互いに戸惑っていた頃の状態とは空気が違う。
お互いの眼を見つめ合い、指を絡めあう。
(これが女性……なのか)
勿論、渡辺にはわかってる。
自分の初めての女性が、滅多にいない素晴らしい女性であり、
そんな彼女に全てを許された自分は、たとえ様も無く運が良かったのだと。
その運がいつまでも続くことを、渡辺は願った。
(これが……不倫なのね)
何故、梨香や淳ちゃんが、複数の男に体を許すのか。
自分が経験して初めて分かった気がする。
真とのセックスとは全然違っていた。
処女と童貞で結婚した後、毎夜、お互いの身体を交え、
順調に性のステップアップを重ねてきた優良。
そして今日、優良は次のステップへとアップした。
「他の男と比較する」というステップへと。
忘れ物が無いことを確認し、渡辺は玄関のドアを開けた。
ちょうど隣の部屋の、小野田夫妻が玄関先で「行ってきます」のキスをしているところだった。
渡辺に見られたことに気づいた夫妻は、照れながら「おはようございます」
「おはようございます」朝の挨拶を交わす。
「エレベーターまで一緒に行きましょう」
真に促され、後ろ髪を引かれる思いで渡辺はエレベーターに向かう。
エレベーターフロアに続く曲がり角まで来たところで
「あ、すみません。忘れ物をしました。先に行っていてください」
渡辺は部屋の前まで駆け戻る。
優良はまだ待っていてくれた。
「行ってきます。優良さん」
「行ってらっしゃい。恵介さん」
人がいないことを確認して、今朝もまた、キスを交わす。
「いつもより遅い出勤だったんですね。今日はキス出来ないかと思いました」
「ええ、準備がありましたから。今日から真さん、出張なんです」
「え、じゃあ」
小野田優良はにっこりと微笑んだ。
おわり
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