逆転の発想
2009/01/09 18:04 登録: えっちな名無しさん
昼。俺はメシを食い終わり、教室に戻ってきた。
イスに座り、ふと出入り口を見てみると、タクヤとアヤも教室に戻ってきた。
どうやらまた、体育倉庫で事におよんでいたらしい。
俺 「お前ら・・・メシはどうしたんだ・・・」
タクヤ「え?ああ・・・ちょっと夢中になっちゃって・・・」
アヤ 「食べてないや」
俺 「・・・」
そんな夢中にならんでも・・・
メシ抜いてまでやる事もないとおもうんだが。
頭ん中でそんなツッコミを入れていたら、三沢達が教室に入ってきた。
石嶋 「だいたいだな、ふりかけが目の前にあるのに、それを無視するなんてあまりにも寂しすぎるだろ。
フリカケの気持ちも考えてだな・・・」
志村 「確かに、フリカケの意思を尊重するのも大事かもしれん。だが、もしそうなってしまえばオカズはどうなるんだ。
オカズこそゴハンと一緒に食べるために存在しているようなもんだろ。」
石嶋 「じゃあフリカケには出る幕は無い、とでも言うのか?そんな殺生な。フリカケにも使命というものがあるんだよ」
西尾 「うるせえなお前ら、どうでもいいだろ、んな事。ハラん中入っちまえば同じだろ」
三沢 「何を言っている。このようなどうでもいい事でも、後に多大な影響を及ぼす事もあるかもしれんだろう。」
西尾 「お前もアホだろ・・・そんなワケないだろ」
三沢 「いいや、どんな些細な事でも、気をつけておくに越した事はない。愚かな油断が命取りになるかもしれんしな。」
西尾 「言ってる意味がよく分からん・・・」
あいつらもあいつらでまたくだらない世間話に華を咲かせている。
よくもまあ話題が尽きないものだ。
そしてタクヤとアヤもまだ教室には人が少ないからといって、イチャイチャしている。
これじゃあ単なるバカップルだ。そして気づかない周りもバカだ。
アヤ 「あ・・・ちょっと、こんな所で・・・イヤッ」
タクヤ「いいじゃん、ほら」
アヤ 「やめてって・・・」
タクヤ「そんな事言って・・・パクッ」
アヤ 「ん・・・指舐めないで・・・」
すると・・・
石嶋 「ん?何やってんだお前ら」
アヤ 「えっ!?」
タクヤ「あっ!?い、いや、別になんでも・・・」
三沢 「ふん、お前ら・・・」
アヤ 「な、何よ・・・」
・・・ついにバレたか・・・?自業自得だが。
三沢 「・・・ツバつけりゃあ治るってモンじゃねえぞ」
タクヤ「・・・はぁ?」
アヤ 「・・・へぇ?」
三沢 「指をケガしたんだろ」
アヤ 「あ、ああ、そ、そうなのよ!痛くて痛くて・・・」
タクヤ「そ、そうなんだ!あまりにも痛そうだったから・・・」
三沢 「だからってツバつけたって何もならんぞ。ちゃんと消毒して絆創膏でも貼っておかんといかんだろう」
・・・こいつらはワザとやっているのだろうか。そしてここからまた脱線話が始まっていく。
志村 「ちよっと待て。俺のじいさんはキズはツバでもつけときゃ治るって言ってたぞ」
三沢 「そうか?」
志村 「そうだよ。別にそんな大怪我してるってワケでもねえんだろ?」
アヤ 「ま、まあそうだけど・・・」
志村 「じゃあそれで十分だろ」
三沢 「確かに、そう大騒ぎする程のケガでもないかもしれん。だが、その説に確証はあるのか?」
志村 「それは・・・さすがにそこまでは分からんよ、でもそうした方が治るんじゃないか?」
三沢 「それは甘いな。お前達は騙されている」
志村 「何!」
タクヤ「はぁ・・・」
三沢 「いいか、よく考えろ。人間の口の中では菌が大量に繁殖しているんだぞ。
その中で分泌された唾液に、治癒効果が期待できると思うか?」
志村 「ま、まあ、それもそうだけど・・・」
三沢 「ちなみに、寝起き直後の人間の口の中の菌の数は何に匹敵するほどの物だと思うか?」
西尾 「うーん・・・ゴミ箱とかか?」
三沢 「フッ、便器だ」
志村 「っ!」
石嶋 「っ!」
西尾 「っ!」
三沢 「寝起きの人間は、便器を舐めているようなものなんだよ」
石嶋 「べ、便器を・・・うぐ・・・」
三沢 「配管のヌメヌメを舐めているようなものだ。」
石嶋 「おぇっ!ちょっ、ちょっとタンマ・・・」
三沢 「ヘドロを飲んでいるのと大して変わりはしないんだよ」
石嶋 「むぐっ!!」
西尾 「うわっ!ヤバい、早くトイレ行け!!」
そして・・・
石嶋 「ぜぇ、ぜぇ・・・」
西尾 「だ、大丈夫か・・・?」
石嶋 「おい、三沢・・・頼むからゲテモノ系の話振るのやめてくれ・・・」
三沢 「軟弱な奴だ。今回はゲテモノとはちと違うだろう」
石嶋 「ちと違っても気持ち悪い話はやめてくれ!俺がそういうのに弱いの知ってるだろ!ワザとやってんのかお前!」
三沢 「失礼な奴だな。俺がそんな人間に見えると思うか?今回だって、気を遣ってゲテモノ系じゃなくて汚物系にしてやったんだぞ」
石嶋 「ほらみろ!ワザとやってんじゃねえかお前!第一気を遣う所が違う!」
西尾 「ま、まあまあ、落ち着けって」
三沢 「分かったよ、今度からは気をつけよう」
石嶋 「気をつけるだけじゃ足りん、絶対に無しだ」
志村 「んで、何の話をしてたんだっけか?」
三沢 「・・・」
西尾 「細菌の話だろ。忘れるぐらいならいちいち脱線させたりするなよ・・・」
三沢 「おお、そうだったな。」
石嶋 「でもよ、たとえ細菌の塊のツバをキズにつけても、良くはならないけどよ、悪くもならないよな」
西尾 「確かに。ツバつけて炎症起こした、って話も聞かないな」
志村 「じいさんもそんな事は言ってなかったな・・・」
三沢 「ふうむ、おそらく志村の爺さんは昔の人間だからな。今の貧弱な若者とは違い、ある程度は免疫があるんだろう」
石嶋 「あ、それもそうだな。でも、いくらそうだとして、細菌の塊をキズに塗りつけるってのはなぁ・・・」
三沢 「・・・待てよ。免疫・・・そうか、そういう事か」
志村 「どうした?」
三沢 「免疫だ。昔の人間は迷信を信じていた。だからケガをすればツバをつければ治る、という事を信じて
ケガをすればツバをつけるという行為をずっと行っていたわけだ。」
西尾 「だからそう言ってんだろ?」
三沢 「最後まで聞くんだ。つまり、そのような行為をずっと行った結果、細菌に対しての免疫が出来て、
キズの治りも早くなっていった、というワケだ。」
志村 「つまり、それをツバをつれたおかげだ、と勘違いしていたって事か!?」
三沢 「そういう事だ。」
石嶋 「なんてこった・・・じゃあ俺達は、志村の爺さんに騙されたってワケか!あのじじいめ!」
志村 「おい!俺の爺さんだぞ!」
三沢 「まあ待て。志村の爺さんもあながち間違ってはいない。そのお陰で免疫は出来たわけだしな」
志村 「なるほどねぇ・・・じゃあ石嶋のゲテモノ嫌いも、ゲテモノを摂取し続ける事によって免疫が出来るんじゃないか?」
石嶋 「やめてくれ・・・そんな抗体なんかいらん」
三沢 「ふむ、試してみる価値はあるかもな」
石嶋 「やめろっつの!」
志村 「そういや、今日俺、喉が痛いんだよ。つまりこれも・・・」
三沢 「・・・そうだ。逆に菌を取り込んでやれば抗体が出来て、治りが早くなるというワケだ」
石嶋 「す、すげぇ!」
西尾 「い、いや、それは違うだろ・・・」
志村 「よっしゃあ!じゃあ早速試してみるぜ!ワザと人ごみの中で深呼吸してきてやるぜ!」
石嶋 「おう!思い切り菌を取り込んでやれ!」
三沢 「その意気だ。しっかりやってこい。」
西尾 「いやだから違うって・・・」
そして翌日・・・
石嶋 「よう志村!喉はどうだ?」
志村 「ゲホッ・・・悪化したよ・・・」
三沢 「何・・・?」
西尾 「そりゃそうだろ・・・」
三沢 「一体何故だ・・・?俺の考えに間違いはなかったはず・・・」
西尾 「お前もアホだ」
こうして今日もくだらない世間話に華を咲かせている。
そしてタクヤとアヤの関係は何故かバレてもいない。
出典:オジリナル
リンク:オジリナル

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