彼女を殺したい

2004/12/13 12:26 登録: えっちな名無しさん

ここでなら彼女を殺せると思います。
私と彼女は24歳のOL。同じ中学高校を卒業。同じ大学に入学して、
同時期に退学。同じ会社に就職して、そろそろ4年が経ちます。彼女と
私は親友です。


大学を中退した理由は、行くのが面倒になったから。私が辞めた1ヶ月
後に彼女も退学届を出しました。どうして辞めたの、とは尋ねませんで
した。それが自然に思えたからです。
私が就職した会社に、二ヵ月後彼女も就職しました。

「私達って精神的な双子なの」私と彼女の口癖でした。仲良し、親友、
そんな言葉を使いたくないと思うほど、私と彼女の仲は親密でした。
彼女の友達は私の友達、新しい友達を作るときも二人一緒。彼女との
会話の中で知らない人の名前が出てくることはまずありません。読む
本も一緒、好きな音楽も一緒。彼女に合わせようとか、彼女を従わせ
ようとか、無理は一切していませんでした。その証拠に、いつも二人
でいても周囲の人間から「気持ち悪い」とか「同性愛者なのでは」とか
いうことは言われませんでした。私達の関係は不自然なものではなか
ったと思います。彼女の事を愛しているとか大切だとか強く思った事は
ありません。ただ、私に一番近い存在でした。私と同じ道を歩いている
もう一人の私を見ている気分でした。

私と彼女の関係が変わり始めたのは、一昨年頃からでした。
変わったのは私でした。社会人になって、初めて仕事をしてお金を稼ぐ
という事の楽しさをしりました。アルバイトはいくつかしましたが、
どれも遊びの一環といった感じで(もちろん彼女と一緒でした)、つらく
なってはすぐに辞め、責任を問われる事も無く、ただ彼女と「楽しいね」
と笑っているだけのものでした。正社員として入社した私は、まずまず
上手く会社に溶け込み、二ヵ月後彼女が私の推薦で入社する頃には上司
に目をかけてもらい、同じ会社のアルバイトの指揮を任されたりもして
いました。
彼女は入社早々痛い目を見ることになりました。


会社の中で、彼女は私との関係を自慢し始めました。これは新しい人
と出会った時に、私と彼女がいつもしている事です。例の「私達は精神
的な双子なのよ」から始まり、いかに自分達の性格や生い立ちが似ている
かをとうとうと喋り、自分達は二人でワンセットである事を印象付ける。
でも、会社はこれまでの世界とは違いました。年の離れた人たちが殆ど
である社内で、その話は「だから?」と軽く聞き流され、一部の人たちに
は、「会社でお友達ごっこをされてもねぇ」と反感をもたれました。
私は初めて、彼女と自分の関係を隠しておきたい、と思いました。私の仕事
や人柄に対する評価を、彼女に左右されたくない。有体に言えば、彼女に
足を引っ張られたくなかったのです。
彼女は、いつになくノリの悪い私を不満に思ったのでしょう。しつこい
程に「私と彼女は一心同体も同然」とアピールしてまわり、その度に私に
同意を求めました。はじめのうちは「そうだね」と流されるようにして
頷いていましたが、ある時、とうとう「でも、所詮他人だしね」と言って
しまいました。彼女は酷くショックを受けたようです。別に、私は彼女は
嫌いになったわけではありませんでしたが、正直鬱陶しくも感じていました。
彼女はその日から異常に私に執着するようになりました。
今までは、お互い執着したことなんてありませんでした。束縛した事もあり
ません。そんな事をしなくても、お互い相手の事をわかっていたので、
ちょっと会わない期間が出来ても不安はありませんでした。
彼女より早く入社した私は残業も多く、退社の時間が遅くなることも
しばしばでした。彼女は自分の仕事を終えると、一旦タイムカードを
押して、私の仕事が終わるまで喫茶室などで待っていました。「先に
帰っていいよ」と言っても、彼女は待つことをやめませんでした。
以前の私だったら、ごく自然に彼女を待たせておき、逆に彼女が遅い
時は待っていたでしょう。でも、その時はその行為が異様に不愉快で
不自然で、また回りから奇異な目で見られているのを感じました。


ある日、彼女は遅刻をしました。機嫌の悪かった部長が彼女を呼びつけ、
一通り遅刻を叱ると、「いつも君は用もないのに友達の退社を待っていて、
そんな時間の余裕があるなら、早く帰って休むといい。まるで金魚の
フンのようにべたべたとくっつきまわって。ここは会社だ。友達も
いいが、まず社会人としての責任というものを考えろ」と同僚達の
前で言い放ちました。私は顔から火が出るほど恥ずかしくなりました。
私が「でも、他人」という発言をした日から、彼女は常軌を逸して、
「私を一緒」という事にこだわり、私のシフトに合わせて休みを取り、
休憩も無理に合わせてきたり。目に余るものがありました。
私は彼女を避け始めました。
勤務中は自分の仕事に没頭し、退社後や休みの日は何かと理由をつけて、
彼女と会わないようにしました。それでも、彼女が嫌いになったわけでは
ありませんでした。「彼女が恥ずかしい」そういう気分でした。
意外な展開だったのは、回りの同僚が私の心中を察したのか、妙に私に
同情的になってきた事です。遠まわしに「付きまとわれて大変ね」と
慰められた事もありました。女性の先輩はお昼の休憩になると、彼女が
私を誘う前に私に声をかけ、一緒に休憩に連れ出してくれました。
そうすればするほど、彼女は私を追いまわし、付きまとい、それ比例して
職場の中での彼女に対する反感が大きくなっていきました。
彼女から一通の手紙を貰いました。

「どうして私を避けるのですか。私のことが嫌いになったのですか。
あまり自分勝手に行動しないで下さい。私を無視しないでください。
ひどいです。許せません。」


気味が悪い。そう思いました。それでも彼女が悩んで傷ついているのが
わかりましたので、私はその日のうちに彼女に会いに行きました。
彼女は私の家から徒歩十分位のところで一人暮らしをしています。(私
も一人暮らしです)
彼女は暗い顔で私を迎え、「手紙の件は気にしないで。感情的になって
書いてしまったから」と謝ってきました。玄関で5分程立ち話をして
別れました。
それから彼女の方が私を避け始めました。仕事は彼女とはまったく別々
だったので、仕事でも私生活でも彼女と話す事は皆無になりました。
元来明るい性格の彼女なので、社内で仲の良い女友達もできたようで、
何人かで喫茶室で談笑している姿も良く見かけました。
少しさびしい気持ちもありましたが、私の方も仕事や人間関係が円滑
に進んでいましたので、対して気にもかけずに何ヶ月かが過ぎました。
そして、私に恋人ができました。同じ部署の同僚です。社内恋愛だった
ので、まわりには秘密にしていました。でも、とても幸せでした。
また、彼女から手紙がきました。朝出社すると、机の引出しの中に
彼女からの手紙が入ってしました。中には写真も入っていて、それは、
学生時代の友達と彼女がうつっていました。飲み会の様子を撮った
もので、日付は最近でした。私は招かれた覚えはありません。添えて
あった手紙には、飲み会がいかに楽しかったかが綴られていました。
ショックでした。どうして彼女が誘われて、私は誘われなかったの
だろう・・・。
気になったので、飲み会の写真に写っていた友達の一人に電話していま
した。様子が変でした。刺があるというか、私に悪意を持っているようで
した。どうしたの?としつこく問い尋ねると、彼女は不機嫌そうに理由
を話しはじめました。終始私を責めるような口調で。


女友達の言葉
「この前の飲み会の時もさ、あんたからやろうとか誘っておいて、直前
に彼氏と会うからってすっぽかすなんて常識ないって。みんな怒ってた
よ。みんなを集める役とかをあの子に押し付けておいてさ。そういえば、
あの子が愚痴ってたよ。最近人が変わったって。お金とか借りてるらしい
じゃない?彼氏が出来て楽しいのはわかるけどさ。あんまりそういうこと
しない方がいいよ?会社とかでもあの子の悪口いったりして、回りを
巻き込んであの子の事ハブにしているらしいじゃない。見損なったって
いうか、がっかりだよ」
その後の事はあまりよく覚えていません。感情的に女友達に「それは
誤解だ」と喋り捲り、事実を話しつづけました。女友達は始めのうち
は「マジ!?」とか言って驚いていましたが、私と彼女から話される
あまりにかけ離れた事実に、どちらを信じていいものやら、戸惑って
いるようでした。最後には、「あなたの言っていることが本当なら、
早いうちにみんな(学生時代の友達)に申し開きをしたほうがいい。
みんなあなたのことを悪く思っているから」と言っていました。


彼女へ電話をしました。留守番電話になっていたので、とりあえず何も
吹き込まずに切りました。世界中の人間に嫌われているような錯覚に
捕らわれ、気持ちは最低まで落ち込みました。彼氏に電話して事情を
話すと、少しは気も晴れましたが、彼女に対する怒りは考えると頭痛が
する程激しいものでした。
何度か彼女に電話をしましたが、いつも留守番電話でした。居留守かも
しれない、とは考えましたが、家まで押しかけて問い詰める気にはなれ
ませんでした。
その後彼女とは会社で顔を合わせました。意外な事に、彼女は笑って挨拶
をしてきました。話があるから、と喫茶室まで彼女を呼び出しました。
どういうこと?と聞くと、彼女のところに電話をした女友達から電話が
行ったらしく、彼女は悪びれもせず、「ちょっと嘘ついちゃった。友達
にも嘘ついてごめんって謝っておいたから許してよ」とニコニコしなが
ら答えました。信じられない、と思いました。「許せない。もうあなた
とは付き合いきれない」と言って私は席を立ちました。彼女は追っては
きませんでした。不快でしたが、もういいや、という感じでした。
その日、家に帰ると、留守電が10件以上入っていました。彼からの
留守電が一件、残りは全部彼女からのものでした。
「ごめんね、ごめんね、許して。」と、言い訳だけが延々吹き込まれて
いました。そして、彼からの留守電には、「おまえの女友達が一緒に
飲みに行こうって誘ってくるんだけど。この前の話のヤバい女だよな?」
と入っていました。


奇行、としか言いようがありませんでした。
会社でも彼女は私を見るなり駆け寄ってきて、一緒に遊びに行こうと
か、怒ってる?とか話し掛けてきました。私は徹底的に無視しました。
会社の人たちからは好奇の目で見られ、「きみたち何かあったの?」
と聞かれることもありました。全てがいやになって、退職して引っ越して
、彼女から逃げようかとも思いました。仕事を投げ出すのは気が引け
ましたが、食欲もなくなり体調も崩れて、このままでは病気になって
しまう、と思いました。彼に相談すると、「そんな女の為に退職するの
はバカバカしい」と言われ、励まされました。彼の事が大好きで、信頼
しきっていた私は彼の言葉をもっともだと思い、しばらく様子をみる
事にしました。
彼女からの留守番電話はずっと続きました。平謝りに謝ってきたり、
開き直ったように私が無視しているのを責めたり。恐ろしくなりました。
更に彼女は入社当時のように、私の退社を待つようになり、休憩時間も
どこからかやってきては私の隣りに掛けるようになりました。女性の先輩
は、「無視しなさい。そのうち諦めるから」と言ってくれましたが、
彼女は諦めるどころか、まるでストーカーのように私を追い掛け回しまし
た。これは後からわかったことですが、彼女は私の親にも電話して、
私の態度(無視等)を改めるように叱ってくれ、と頼んでいたようです。
そのうち、会社で私のものが次々と無くなるようになりました。携帯電話
から始まり、筆記用具、その後は書類や伝票等。始めの内は、「そそっか
しいな」で済みましたが、書類が立て続けになくなると、私の管理能力
が疑われ、信用もがた落ちになりました。まさか、「盗まれているんです」
とはいえません。私は必要な書類は鍵のかかる保管庫に入れるようにしま
した。


物が盗まれるのが止むと、次は匿名での嫌がらせが始まりました。
引き出しにコーヒーを流し込まれる、椅子のクッションが裂かれる、
私を中傷する落書きがホワイトボードに書かれる。
回りも私もその嫌がらせの犯人が彼女であることはわかっていました。
彼女の会社での友人達も彼女の異常な行動を不気味に思ったのか、
彼女から離れていきました。これも後から知った事ですが、彼女の友人
達が、彼女に忠告したそうです。「あまりバカなことはしない方がいい」
と。その時は友人達が彼女を取り囲み、非難するような感じになって
しまい、彼女は萎縮して、無言で泣きながら逃げていってしまったそう
です。そういう事があったせいか、嫌がらせは一旦止みました。嫌がらせ
をされていた期間は一ヶ月位でしたが、精神的に私はかなり参っていま
した。
彼女から再び手紙が来ました。写真だけでした。写真には、私の彼と
彼女が写っていました。彼女が腕を伸ばして撮った写真らしく、顔が
大きく写ったものでしたが、二人とも裸であったのが見て取れました。
にっこり微笑んだ彼女と驚いた顔をしている彼。写真には修正液か
何かで、「私の彼で〜す。らぶらぶ!」と書かれていました。目の前
が真っ暗になりました。写真はすぐに捨てました。彼に尋ねるべきか、
黙っているか悩みました。裸でいたということは、そういうことでしょう
し、彼女から誘ったにしても彼が私を裏切った事に変わりはありません。
私は会社を辞める事を決意しました。彼と付き合いつづけるつもりは
毛頭ありませんでした。
夜、彼女から電話が掛かってきました。なんとなく、電話をとってしまい
ました。


彼女からの電話
「写真見た?彼、あなたの事も好きだけど、私のことも好きなんだって。
そうだよね、私達よく似てるしね。彼、とっても優しいよね。私のこと
かわいいっていって、何回もHしちゃった。あなた、Hの時ってあまり
感じないんだってね。彼不満だったみたいだよ。あとね、私のあそこ見て、
「女ってみんな違うんだよな〜」って感心してたよ。」

私はもう怒る気力もなく、話しつづける彼女を遮るように、
「気に入ったなら、彼、あなたにあげるわ」
と言って電話を切りました。
何も考えたくなくて、すぐに布団に入り、眠れないまま朝を迎えました。
会社に行くと、同僚たちがうんざりしたような顔で、ざわざわしていま
した。うんざりしたような顔はしているんですが、妙に興奮したような
雰囲気でした。
掲示板に、前日彼女が私に渡してきた写真と同じ物が貼ってあったので
す。ご丁寧に、修正液で書かれた文字まで一緒でした。
彼女は出勤していませんでした。
誰も私に話し掛けませんでした。彼は同僚たちに囲まれて自己弁明を
していました。誰が貼ったの?と私が尋ねると、同僚たちは一斉に
私に話し掛けてきました。私に気を使って誰も話し掛けてこなかった
みたいでした。彼も出勤してきて間もなかったらしく、私と同僚達が
話している間に写真をはがしに行っていました。同僚たちは、「彼は
無理やり彼女に写真を取られたといっている」と私に話し、彼のことを
誤解しないでくれ、と言いました。みんな、私達が付き合っていた事は
知っていたのでした。写真は彼女が貼ったものだ、というのがみんなの
統一した見解でした。彼女が欠勤しているのがいい証拠だ、と。口々に
彼女を非難している人たちを見て、私は、「ああ、おもしろがっている
んだな」と悲しくなりました。
彼からは予想していたような話を聞かされました。


彼の話
「本当に、彼女に騙されたっていう感じなんだ。誘惑に負けて彼女と
関係してしまったのは俺が悪いけど、彼女は初めから俺と寝てその写真
をおまえに見せることが目的だったんだ。俺も彼女もお互いの事は全然
好きじゃない」

ふざけるな、でした。写真は捨ててしまったけど、あの写真は確かに
彼女の部屋で撮られた物でした。

彼女の欠勤は意外でしたが、前日の夜(丁度私に電話してきた頃)に
申請されていたものでした。部長と課長が出勤してきてからわかりま
したが、彼女の親が倒れたそうで3日間有給を使うとの事でした。
そのまま辞めてしまえ、と思いました。どちらにしろ、私は今度こそ
会社を辞めるつもりでしたが。
今だから冷静に書いていられますが、その時は本当に狂ってしまうの
ではないか、と不安になるほど落ち込みました。


長い話もそろそろ終わりに近づきました。
明日には終わるでしょう。書き終わったら、ここのアドレスを彼女へ
メールで送りたいと思います。長い文を載せてしまって申し訳ありま
せん。


彼女は案の定三日を過ぎても出社してきませんでした。
私を含めて殆どの人間が、このまま彼女は退社(クビでしょうか)する
と思っていました。彼女の親が倒れたという話も嘘のようでした。
夜に彼女の部屋の前を通ると明かりがついていましたから。
困ったものだね、と部長から相談されました。君が推薦した人間なのだ
から、一度彼女に会ってこれからどうするのか聞いてくれないか、という
ような事を半ば押し付けられるような形で頼まれました。このままクビ
というわけにもいかないだろう、と。私は「一応一度だけ話をしてみま
す」と答えました。正直なところ、彼女や会社、彼のことはどうでもよく
なっていたので、一度電話でもしてみて、駄目だったらそれを部長に伝えて
自らも退社する意思でいました。
彼女のところへ電話をすると、「私です」というなり切られました。
二度目は掛けず、その日のうちに辞表を書きました。
大げさな言いい方かもしれませんが、彼女のおかげでこんな風に人生をめちゃ
めちゃにされるとは思ってもいませんでした。
彼女との関係がおかしくなるまで、彼女のことはごく一般的な性格の女性だ
と思っていましたし、異常だと思った事も一回もありませんでした。
翌日私は公休日でしたので、翌々日辞表を持って出社しました。
出社すると、部長に呼ばれました。課長もその席にいました。
彼女は昨日のお昼頃会社に来て、辞表を提出して謝罪すると(何に対しての
謝罪かはわかりませんが)私物をまとめて会社を去ったそうでした。
またしてもバカにされているような脱力感を感じましたが、この際、
と思って部長に辞表を提出しました。


部長は私を引き止めました。でも、決して好意的な引き止め方ではあり
ませんでした。今抜けられると非常に迷惑だ、彼女も君が紹介した人物
で、自分勝手な都合で会社を辞めていき、会社としては大損害だ。人員に
余裕のあるときなら、とっとと辞めていってくれてかまわない。そのよう
なニュアンスでした。つまり、「責任を取れ」という事だと私は理解し
ました。
それが半年前の事です。
私はまだ同じ会社に勤めています。本当は仕事が一段落したらもう一度
辞表を出しなおそうと思っていたのですが。何だかんだしているうちに
、半年もたってしまいました。最近まで会社に言って回りの目を気にし
ながら仕事をするのが苦痛でしたが、今ではさほどではありません。
元彼(結局別れてしまいました)も同じ職場にいますが、顔を合わせても、
付き合う前と同じような感じで話が出来、避けてしまうようなことは
ありません。私と彼も含めて、みんな一連の出来事は覚えていても、
年配の方の多い職場なので、陰口を叩かれている雰囲気はありません。
彼女はどうなったかというと、まだ私の近所で一人暮らしをしていて、
職にはつつかず、親からの仕送りで生活しているそうです。彼女の親
から電話がありました。

彼女の母親からの電話
「この頃さっぱり電話も寄越さないし、手紙はくるけれどお金の無心
ばかり。元気で暮らしているのかと尋ねてみても、忙しいといって、
部屋にも入れてくれない。仕事にはちゃんと行っていると言っている
けど、仕事を持っている人間がなんで月に20万もお金が必要なのか」


彼女の母親には、私はなにも知りません、と答えました。彼女の母親
は当惑していました。彼女は母親に「一人暮らしだけど、親友も同居
しているようなものだから大丈夫だ」と言っていたそうです。
この半年に彼女からの電話も何回かありました。私にはどう考えても
彼女は異常だとしか思えません。留守番電話だったり、私が直接電話
を取ったりしましたが、その時々で彼女の態度はくるくると変わり、
いずれも平常心で話しているとは思えないものでした。大分昔の事
を持ち出しては「あの時はこうだった」と私を責めてみたり、甘えて
きたり、訳もなく泣き出したり。一番最近の電話では、「彼氏ができ
たから、もうあなたなんていなくても平気」というものでした。声は
弾んでいたようですが、その三日目程に「もう自殺したい。今から首
を吊る」と言っていたので、果たしてどれが真実だかわかりません。
彼女からの電話が来るたび、薄情な話ですが私は相手にわかる程、
うざったそうに「ハイハイ」と相槌を打って早めに電話を切り上げま
す。かといって、即電話を切る事もできません。彼女が気にかかると
同時に、冗談じゃなく彼女が自分や私に危害を加えるかもしれない
という恐れがあるからです。でも、もうこれきりにします。


私から彼女への手紙
「幸子へ
以上の文章が、私から見た真実であり本音です。これが最後の手紙になる
でしょう。私はあなたのした事が許せません。これ以上あなたに振り回さ
れるのもご免です。どうしてこんな事になってしまったのでしょうか。
私は実はもうあの部屋には住んでいません。まだ引き払ってはいませんが、
荷物は殆ど新居に運んでいます。私はおそらく今年の春の内に結婚します。
相手は川本さんではありません。まだ出合ってから3ヶ月の会社とも
あなたとも無縁の男性です。子供も出来ました。早すぎる、と思うで
しょうね。私もこの選択のおかげでいつか後悔するかもしれないと
考える事はあります。でも、そうせざるをえなかったのです。もうあな
たと会う事はないでしょうから正直に書きます。川本さんと別れた後
知り合った彼を私はどうしても失いたくありませんでした。またあなた
が来て、彼を奪っていくのではないかと真剣に悩みました。あなたと
彼の接点が皆無なのに、それこそ取り越し苦労だ、と思う反面、あなた
ならやりかねない、という確信的な恐怖もありました。だから、結婚を
すぐに決めてもらって、子供も作りました。いつあなたが盗みに来ても
子供と夫婦という絆があれば安心できるような気がして。バカなことを、
と自分でも思います。でも、そうさせたのはあなたです。彼の勤務地の
近くで同棲する事にしました。


勿論、会社も辞めます。会社にも親にも、絶対転居先をあなたに教えない
ように頼んでおきました。もし、それでもあなたが追って来たら、私は
あなたを殺しかねません。あなたと親友であった時期もありましたが、
今が思い出すだけで吐き気がするほどおぞましく感じます。あなたなん
て自殺してしまえばいいのに。あなたに直接会って罵ってやりたいです。
殴って刃物かなんかで刺して、ゴミと一緒に捨ててやりたいです。親友だ
った時期があったからこそ、今のあなたへの怒りや憎しみは言葉では
言い表せないほど深いものです。「精神的な双子だね」なんてバカな事
を言っていた事もありましたが、あなたはただ単に私の後を追ってきて、
一緒に道を歩いている振りをしてきただけだったんですね。私も本当に
愚かな女に引っかかったものです。
さようなら。私はここでどろどろしたものをみんな吐き出して、あなた
のいない世界でもう一度やりなおします。あなたにやり直すチャンス
があるかは知りませんが、私の百倍不幸な道を歩く人生でありますよう
に。こんなことを書かなければならないのは本当に悲しいです。自分の
醜い部分をどんどん大きくしている気分です。
そろそろ筆を置きます。
泣きすぎて、まともなことはもう書けません。
あなたも私も不幸ですね。
さようなら。

(・∀・): 143 | (・A・): 227

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