バイエルン

2009/04/15 16:35 登録: えっちな名無しさん

朝5時半。まだ夜も明けきれぬ薄明かりの中携帯の振動音で目を覚ますと隣で寝ているヨメを起こさないようにベットを抜け出す。
毎年この時期になれば恒例のことだ。UFEAチャンピオンズリーグ・・・世界最高峰のサッカーチームを決めるこのお祭りを観るためなら多少の眠気もものともしない。
最近はDVDのおかげで便利になったもんで、追っかけ再生機能とやらでリアルタイムのキックオフに起きなくてもよくなった。5時半に起きて、ハーフタイムを飛ばして90分、
出勤の用意を始める7時には観終えることができる。
「たかがサッカーに」とヨメは苦笑してるが、早起きしても観たいというこのおれのくだらないこだわりを理解してくれている。
ス○パーの料金だって安くないのに、ありがとうヨメよ。

いそいそと寝室を抜け出し、全ての扉をシャットアウトしながらリビングに向かう。
音声やおもわず飛び出るおれの歓声でヨメが目を覚まさないように気を遣ってだ。
この日はプレミアリーグの強豪同士リヴァプール×チェルシーの試合がある。
サッカーファンなら涎垂ものの一戦だ。しかしおれのお目当てはそっちじゃなかった。
バルセロナ×バイエルンミュンヘン。
おれは中学のころサッカー交遊というやつでブンデスリーガのチームの下部組織に夏休みの間留学したことがある。
その後は怪我だのなんだので鳴かず飛ばず。おれのサッカーキャリアはそこが最高だったが、ドイツで実感した規則正しく力強いサッカーは今でも憧憬としておれの胸に刻まれている。
そのおかげでおれはいつでもドイツサッカーのファンだ。
下馬評ではバルセロナが圧倒的有利。しかしフットボールはなにが起こるかわからない。
その日もおれは信じていた。ドイツの屈強さにリベリの柔らかさが融合したチームが世界最強チームの呼び声高いバルセロナを降してくれることを。

DVDの再生ボタンを押す。チャンピオンズリーグのアンセムが流れる。おれの胸は期待感に膨らんでいく・・・
しかしその期待感が失望に変わるのに時間は要さなかった。
相手の攻撃力に対し引いて守ろうとしたバイエルン守備陣にバルサ攻撃陣がスピードを生かして楔を打ち込む。
バイエルンの守備は早々に混乱し崩され、9分にメッシが12分にエトーが、そしてアンリと再びメッシ、とバイエルンはなにもできないままに前半だけで4失点。
あまりにひどい内容だった。バイエルンには何の対応策もなく、もはや何が起こるかわからないなどという期待はもてなかった。

一生懸命早起きしてまで観た結果がこれか!おれの失望はやがて行き場のない怒りに打って変わっていった。
怒れば当然頭に血が上る・・・はずなんだが、その日はちょっと様子が違った。
なぜか血は頭に上らず下半身の方に・・・ムクムクと。
なんだこれは?
そういえば昨日も他の試合を観るのに早起きしてちょっと寝不足気味。これが疲れマラというやつか?
おれのイライラはいつのまにやら抑えのきかないムラムラへと姿を変えた。
後半45分は観る気がしない。ヨメは寝室で熟睡している。
神が与えしこの時間と空間。無駄にしてなるものか!

おれはリビングを抜け出し書斎(と呼んでる物置)へ。隠してあったお気に入りのAVを手にした。
AVというのは不思議なもんで、かなりきわどいシーンが120分も続くくせに、自分がフィニッシュするシーンはいつも同じだ(おれだけか?)
今のお気に入りは色白でやせてるくせに胸はでかい純情そうな黒髪のロリ系少女が、はげしい攻めに声を殺して感じ、一生懸命男のモノに奉仕し、いよいよの時に焦らされると恥ずかしそうに自分から懇願する・・・おれは入れた後よりもこの入れる瞬間が好きなのだ。
最高すぎる。神の与えし時空に、神の作ったAVと言える。
おれはソファーに腰を下ろし、時間をたっぷり使うためにペース配分を考慮して鑑賞を始めた。
恥ずかしながら感じる姿・・・いいぞ。男のモノをいとおしそうに舐める口元・・・もっといいぞ。そしていよいよクライマックス・・・
クリに男のものを擦られながら焦らされた彼女が恥ずかしそうにおねだりする・・・
「おちんちん、おまんこに入れて・・・・」
キター!その瞬間おれの脳に脳内麻薬が分泌され、まるで射撃の名手が一瞬のタイミングで獲物を打ち抜くように、セリフに合わせておれの息子が白い液体を噴出した!
そして・・・

「ゴ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ル!!!!」
不意に後ろから大声が響いた。
ファビョったおれは準備していたティッシュから精液が手に、太ももにこぼれるままに後ろを振り返った。
そこには・・・ニヤニヤと口元を緩めておれを見下ろすヨメの姿が!
なんで!?いつから!?
一瞬よぎった考えはそれだけ。おれは手が精液まみれになってるのを忘れて
「いや、これは、くぁwせdrftgyふじこlp」
と必死の弁解を試みたが無駄なことだった。

失敗はAVをとりに行った時だった。書斎までとりに行った時廊下の扉を閉め忘れて、女優のうめき声でヨメが目を覚ましたらしい。
まったくチンコで物を考えている時の油断の多さよ。
それから出勤までの時間に何を話したかよく覚えていない。確かなのはヨメの欲しがっていたブランドのバッグを買うことで和解したこと。

バイエルンのチャンピオンズリーグ制覇の夢はついえた。
そして同時におれの夫としての威厳も春の夜明けに散っていった。


出典:先週のことだよ
リンク:オリジナル

(・∀・): 212 | (・A・): 58

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