米兵さん
2009/05/27 11:59 登録: おバカな名無しさん
私は戦時の中、幼少時代を過ごしました。
物心ついた時には母親はおらず、父は兵隊に取られ、祖父と田舎で暮らしていました。
家のすぐ脇には河が流れており、200mほど河を下った所には捕らえられた米兵を収容している建物がありました。
とある日のこと、私が河で芋を洗っていると、誤って手を放してしまい、その芋を河に流してしまいました。
その芋はたまたま下流で水浴びをしていた米兵達によって拾われました。
米兵は自分達に向かって流してくれた物だと思い、喜んで私に手を振って芋を持って帰りました。
きっと酷い扱いを受けていたのでしょう。
それから私は定期的に川下にいる米兵達に、周りには分からない様に野菜を河に流して渡す様になりました。
やがて戦果も悪化して日本軍が不利な状況になるにつれて 食糧事情は厳しいものとなりました。
私は元々祖父と二人暮らしだった為、食料で困ることはありませんでしたが、米兵達に食料を分け与えることは出来なくなりました。
申し訳ない気持ちになりながらも、いつも食料を流している時間に私は川岸まで行きました。200m川下では米兵達が待っています。
近付くのは禁止されていた為、当然話をすることも出来ません。
ジェスチャーで分け与える食料が無いことを伝えようと、手を大きく振ってバツマークを作って食料が無いことを伝えます。
しかし上手く伝わらず米兵達は手を振り帰してきます。
私が流す食料を楽しみにしている米兵に何もして上げられない無力な自分に腹が立ち、河の水を蹴り上げると米兵も同じように真似をします。
今度は河の中で飛び上がってみるとやはり米兵達は私の真似をします。
何とかしてあげたい。そう思いました。
私は自分の家の畑から祖父の目を盗み、少しですがスイカやかぼちゃを取り、今までと同じように河に流して米兵に渡しました。
しかし数日後スイカを取っているところを祖父に見つかり理由を聞かれました。
私は正直にこれまでのいきさつを話しました。すると祖父はこう言いました。
「なるほど。お前は非国民だが非人間ではないな」
そう言うとそれ以降、畑から取った野菜を河に流して米兵に渡すことを許してくれました。
やがて終戦を迎えたある日のこと、家の上空を数機の戦闘機が飛来してきました。
米兵を収容していた建物があった為、酷い扱いを受けていた米兵が仕返しに空襲に来たに違いない。祖父はそう言いました。
しかし、私はそんなこと無いよ。そんなこと無いよ。と言いました。
あの米兵たちがそんなことをするとは思えなかったのです。
やがて戦闘機から沢山の金色や銀色の小石位の大きさの物が振ってきました。
爆弾だ!祖父は言いました。
しかし何も爆発しません。
空から振ってきたものは金銀色の紙に包まれたチョコレートでした。
なおもチョコレートが降り続きました。 星の様に。
出典:2ch
リンク:2ch

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