俺の兄ちゃん、ちょっとファンキーな引きこもりなんです
2009/07/17 15:34 登録: 萌(。・_・。)絵
俺の兄ちゃん、ちょっとファンキーな引きこもりなんです
【開幕】
今週の月曜日、夜な夜な隣のへや(つーか兄ちゃんの部屋)から声が聞こえてきて
まあ、わりと独り言は普段から多いんで普通の顔して聞いてたんですけどね、
その内容っつーのがすごいくだらないんですよ。
兄ちゃん低い声「いやー、しかしそろそろ梅雨も明けてほしいもんですねー」
兄ちゃん高い声「そうですねー。こうじめじめされると、なにごともやる気がおきませんからねー」
低い声 「お洗濯も、お出かけも梅雨の時期はまったく面倒くさい!
雨が降っていなくともいつ降るかわからないところがまた面倒くさい!」
高い声 「○○さん(兄貴の名前)はお洗濯なさるんですかー?」
低い声 「いえいえ、洗濯なんて男のするものじゃないでしょう」
高い声 「あら、じゃあお出かけは?」
低い声 「お出かけも普段はあまりしませんねー。○○さんはいかがですか?」
高い声 「私もおでかけってしないんですよー。
ついでにお洗濯もしませんし、お風呂掃除も、お料理もしませーん」
低い声 「おやおや、○○さん、女の子なのにそれじゃーだめじゃないですかー」
高い声 「フォー――い!うフォー――――い!
ゆーあーら―――――いつ!ひょーーーーーっ!」
このテンションで、同じレベルのくだらないやりとりが一時間くらいなんかずっと続いてました。
こんな兄の話、どなたか興味ありませんか?
【長いホース】
去年の夏のことなんですが俺が大学から帰ってくると、
台所の蛇口からなんかすっげー長いホースが二階まで伸びてたんです。
かあさんパート行ってていないし、一体なんだろうと階段を上ってくと
ホースは兄ちゃんの部屋につながってました。
つーかこの長いホースどうしたんだろう?と思って部屋を覗いてみると、
きったない部屋の中央を突っ切ってホースが窓の外に出てるんですよ。
よもや、窓のそとの屋根を掃除してんのかな?と思って覗いたら
なんと兄ちゃん屋根の上にビニールプール広げて水浴びしてんすね。
俺があぜんとしてみてると、それに気づいた兄ちゃんがものっそい嬉しそうに笑って
「おー○○。お前も一緒に入るか?」
とか言ってくんすよ。
いや、オチはあとで母さんにすっげー叱られたくらいしかないんですけど。
ファンキーじゃないですか?
ついでにつけ足すと、俺もなんか気持ちよさそうだから兄ちゃんのあとに浴び差してもらって
一緒にかあさんいすっげー怒られました。
でも、屋根の上でプール入るのってすごく気持ちいんですよね。
もしやれる環境がある人はやってみることをお勧めします。
ただ、あと始末は結構大変ですよ?一回一回バケツに水を入れて
一階のふろ場まで流しに行かなきゃいけなかったですから。
【兄ちゃんブタキャンプ】
ついでにその近辺のことなんですが、
一昔まえにビリーザブートキャンプってはやったじゃないですか。
なんか兄ちゃんがだいぶ時間を経てからそれに影響されて
「なんか俺にも考えればああいうの作れるかもしれない」
って、一時期結構毎晩自分で体操を考えてたんすね。
でも、デブだからビリーみたいな機敏な運動はできなくてどうしても
体を左右に振るのと、前屈と上仰ぐのと、その二パターンの繰り返しの運動になっちゃうんすよ。
つーか、その二つすらかなりスローペースだし。
でもしばらくして「すごいいいの思いついた!」っていうから見に行ったら
ジャンプの動きを取り入れてたんですね。
確かにジャンプの動作ならどんなに太ってても割とスピーディーに見えるし、
ちょっと腕とか動かしてみるとすごい運動してるように見えるんすよ。
ただ、デブだからすごい床がなるんですよ。
下にいた父さんと母さんもなにごとか見に来て、兄ちゃんが事情を説明したら
父さんが「じゃあやってみろ」って言って、三人で兄ちゃんの体操を見学することにしたんです。
兄ちゃんかなり張り切って、さっきよりも気合入れて飛び跳ねてたんですね。
したら、五分くらい経過して
「第三セクトーーーーーー!!」
って兄ちゃんが叫んで思いっきり飛んで着地した時に、床がなんかすっげー音をたてたんですよ。
したら兄ちゃんの足が床に埋没してて、カーぺーっとがその穴に吸い込まれてるんですよ。
兄ちゃんの体重に耐え切れず床のいたが割れちゃったんですよねー。
ついでに兄ちゃんの足の骨も折れたし。
まあそのおかげで通院しなきゃいけなくなって、外に出ざるを得なくなったから母さんは
「怪我の功名ね」って笑ってましたが。
【純粋な兄ちゃん】
冬のことなんですが、俺がサークルの飲み会に行って朝の六時頃帰ってきたんです。
俺普段はあんまりオールとかしないんですが、
そんときは暮れの忘年会でかなり飲んで始発で帰ってきて。
父さんと母さんはもちろんまだ寝てて、かなりグロッキーなまま二階に戻ったんですね。
そんで、二階のトイレで反つぶれのままうつぶせてすごい勢いではいてたんですよ。
そんで、俺、それまで家ではいたことってなかったんですよ。
だからだと思うんですけど、兄ちゃんすげえびっくりしちゃったみたいなんですよね。
げーげートイレでやってたら兄ちゃんいつの間にか部屋から出てきたみたいで
「おい、○○だいじょうぶか?」
って声かけてきたんですよ。
で、はきすぎてのどが痛いけど、せっかく心配してくれてるから
なんかはっきりしない声で「ありがとう、大丈夫」とか言ってたんですね。
でもまだ心配みたいで「大丈夫じゃないだろう、ちょっと出てこい」って言いだすんですよ。
つーか大丈夫じゃねーからでれないんだと思いながらも、心配させて悪いなとも思うから
「うん、ごめん。でも、ほんと大丈夫だから先寝てて」って言ったんですね。
途中でかなりえずきながら。
んで、声がしなくなったからあーやっと戻ったかと思って安心してまたはいてたんですよ。
もう胃液すら出なくなってたんですけど。
そんで十分くらいしてやっと落ち着いてトイレの扉にもたれかかってはーはーしてたら
なんか外で息遣いが聞こえたんですよね。
もしかして兄ちゃんまだいんのかなと思って、
「兄ちゃん? いんの?」
って聞いたら兄ちゃんすごいか細い声で
「なあ○○。救急車って何番だっけ?」
って。
いやいやいやいや、ほんと酔いがさめるってあのこというんですね。
なんか気持ち悪いのとかすっかり忘れて
「そんなんいらねーから! 大丈夫だから!」
って言ってドア開けたら、
兄ちゃん半泣きなんですね。
「大丈夫な人間は、そんなにずっと吐いたりしねーよ」って。
そんとき俺すごい
「あー、ほんと兄ちゃんって現実のことしらねーんだなー」
って感じたんですね。
現実では兄ちゃんの年の人はみんな酒のんで吐いて、そういうことしてんのに、
この人は三十分ちょっと吐いてる弟見て救急車呼ぼうとして。
でも、またえづきはじめてトイレに戻りながらなんかちょっと兄ちゃんをうらやましくも思ったんですよ。
俺なんかこんな気持ち悪くなりながら必死で周りにあわせてんのになーって。
まあ、子供二人して引きこもりになったら親に申し訳ないですけど、
ちょっと純粋な兄ちゃんがうらやましーなーと。
で、まあ兄ちゃんには「あと一時間続いたら番号教えるから読んでくれ」って頼んだんですね。
そしたらすごすご部屋に戻っていって。
で、三十分たってだいぶ良くなったから呼ばなくていいよーって言おうと思って
部屋覗いてみたら、寝てるんですよね。
俺の携帯握りしめて。いや、ほんとこれにはちょっと腹が立ちましたよねー。
んで、俺は吐くだけ吐いてすっきりしたから、朝起きてきた親と飯食ってから寝ました。
【雑誌買ってこい】
ちょっと遡って高校二年生のころなんですが。
俺割と兄ちゃん好きなんで、友達とかに結構兄ちゃんのこと話すんですよ。
そしたら高校の友達が「兄ちゃんにぜひあってみたい」って言ったんです。
兄ちゃん人と話すの苦手だからどうかなー?って思いながら兄ちゃんに
「友達が兄ちゃんに会いたいっていうからつれてきていいか?」
って聞いたんですね。
そしたらわりと乗り気で「いつだ?」って聴いたんです。
まあ、高校生なんて暇なんで「じゃあ明後日」って言ったんですね。
そしたら兄ちゃん、「ちょっと雑誌買ってこい」って言うんですよ。
なんの?って聞いたら「髪の雑誌」って。
いや、本当にそれって信じらんないことなんですよね。兄ちゃんが自分の外見気にするのって。
あんまり感動して母さんに言ったら
「十冊くらい買っておいで」って五千円くれたんですよ。
んで、本屋さんいったら以外と高くて五冊しか買えなかったんですが。
で、その本を兄ちゃんの部屋で三人で見ながら兄ちゃんにあう髪形探してたんですね。
まあでもデブなんで会う髪形もないから、
とりあえずミディアムロングの前髪をアシメにした奴にしようって決めたんですね。
で、次の日学校行って帰ってきたらなんか台所でかあさんすっげーへこん出るんですよ。
「どうしたの?」
って聞いたら、「ちょっとなんとかして兄ちゃんを部屋から連れてきて」って言うんですね。
俺は「ああ、ひょっとしたら美容院予約したのに行きたくないって言い始めたんだな?」と察して、
二階に兄ちゃん呼びに行ったんですよ。
んで「母さん呼んでるよ」って。
そしたら一言
「明日は友達連れてくんな」って。
昨日あんなに乗り気だったのに、髪切りに行くのいやだからこんなこと言うのかなって思って
「友達に明日来てって言っちゃったよ。だから無責任なこと言わないでよ」
って言ったんですね。結構怒りながら。
そしたらなんか兄ちゃんもすっげー怒ってて、
「無責任っていうんなら母さんにいえよ!!!」って。
俺がわけわからずに「はあ?」ってなってたらかなり控え目にドアが開いたんですね。
そんで兄ちゃんが少し顔覗かせんたんですよ。
いやー、あんときはほんとにびっくりしましたね。
思わず素で「なんで兄ちゃん坊主なの?」って聞いたら
「母さんにやられた」って。
なんか痛ましくて、俺が母さんに怒っちゃいました。
そういえば最近、ガンツ書いてる人のめーてるの気持ちってマンガを読んだんですけど、
それにそっくりな話があってまじでびっくりしました。
あー、似たようなことする人がいるもんだなーと。
なんで母さんが切ったのかというと
「あんまり伸びっぱなしだから恥ずかしくて美容院にいけない」
っていう兄ちゃんの言葉を聞いてだそうです。
そんで、調子にのって切りすぎちゃって、
髪の雑誌にのってる坊主にあのマークみたいのが入ってるやつを見つけて、
「あんたはこれの方が似合う」って、そそのかしてただの坊主になっちゃったと。
なんで坊主の髪型に方向転換せざるをえなくなったかは謎です。
あ、猿ロックってまんが知ってる人いますか?
もし知ってる人がいたら兄ちゃんはあのデブの山本?ってやつにそっくりです。
あいつの頭のマークみたいなのなくしたのが兄ちゃんです。
一応、参考までに。
【しゃべくりセブン】
そういえば、先々週かその前の週の月曜日。
しゃべくりセブンって番組見てて
兄ちゃん、あまりにも笑いすぎてぜんそくになって夜間救急に運ばれてきました。
原田泰三がツボだったそうです。
あの番組面白いですよね。
今週も、兄ちゃん観終わったあと喉ヒューヒュー鳴らしてましたし。
【兄ちゃんのカラオケ】
なんか話せるエピソードはたくさんあると思ったのに、
意外とこう簡単に纏まったエピソードがないですね……。
取りあえず、兄ちゃんは声がすごいハイドに似てて瞳の住人を完全に歌いこなせるのが自慢です。
太ってる人ってすごい音域広いですよね。
俺なんてグレイの歌いやすい曲でさえあんまり出ないからマジでうらやましいです。
まあ、兄ちゃんはカラオケなんていけないから一人、屋根で青空カラオケですが。
【ダイブトゥーブルー】
ああ、一個あった!
ラルクつながりなんですが、ダイブトゥーブルーのPVって知ってますか?
なんかビルの上でラルクのメンバーが演奏してるやつなんですけど。
一時、兄ちゃんラルクのPVカンコピするのに凝ってて、フラワーのためにハーモニカ練習したりしてたんすね。
んで、ダイブトゥーブルーもやろうってことになって。
うち目の前が土手で結構景色がひらけてんですね。
だからなんかかなり開放的な感じで。
わざわざビルの上から落ちてくる設定の猫まで捕まえてきて(俺が)、
そんでPVを再現することになったんですよ。
で俺は自分の部屋で猫すたんばって見てたんですね。
そんで、兄ちゃんは窓際にCDプレーヤーおいて曲スタートして。
かなりのりのりでやってたんですよ。
基本的に兄ちゃんはハイドで、マイクスタンドはビニール傘を使って再現するんですが、
歌がないときはそのビニール傘は、ギターになったりベースになったりするんですね。
基本的にうたってないときはテッチャンになりきってるんすけど(もちろん動きはカンコピしてます)、
ギターソロのときはケンちゃんになるんですね。
そんで、ダイブトゥーブルにももちろんギターソロあるんですけど、
ケンちゃんがソロの時、なんかビルの端っこに足のっけて弾くんですよ。
まあ俺も兄ちゃんにさんざん見せられて、それ知ってたんですけど
まさか、あしかけるところがない屋根の上でそんなことやるはずねーなーと。
兄ちゃんやること大胆で、周りの目気にしないけど痛いことは嫌いなんで。
でも、なんかソロになった途端急に軽やかに動き始めて、
まさかって思ってる間になんかもう端までいってるんですよ。
おいおい大丈夫かよって思いながら、邪魔すると怒るから黙ってみてると、
まあ駄目ですよね。
猫を落とすより先に自分が落ちました。
でもビリーの真似体操でジャンプして骨折した兄ちゃんなのに、
そんときはほぼ無傷だったんですよね。
驚いて俺が下りてったらなんか呆けた顔して「落ちたな」とか言ってました。
あのあと、猫が俺の部屋の箪笥の裏に潜り込んで大変だったんですよねー。
結局まど開けといた勝手に逃げて行きましたが。
【幕間】
うーん、眠くて頭が働かない上にいい感じにまとまってるネタが出てきません!
なので、寝てもし残ってたら続きを書こうと思います。
我が家は基本的にネット禁止なので、みんなが起きてる間はパソコンでは書き込めません。
なので次に書き込むときは携帯だと思いますので、
もしスレ残ってたら(つーか、興味がもし残ってたら)よろしくお願いします。
しかし、兄ちゃんのいびきがうるさいです。
おやすみなさい。
・
・
・
あ、おはようございます。
今日は暑いですね。
家出る前に兄ちゃんの部屋を覗いたら上裸にパンツで、なぜかベッドではなく床に寝てました。
正直、それ見て俺も服脱いで寝たいと思ったんですが、テストなんで仕方なく行こうと思います。
というわけで電車の中からちょぼちょぼ書いていこうと思います。
【誕生日プレゼント】
去年の俺の誕生日のことですなんですが。
うちは毎年、家族の誕生日には一人一つずつプレゼントを渡す決まりになってるんです。
で、兄ちゃんは引きこもって以来通販で全員の誕生日プレゼントを買うんですが、
去年の俺へのプレゼントは二十歳ということでZIPPOを買ってくれたんですよ。
まあ、買ってくれたっていっても金払ったのは母さんなんですけど。
で、誕生日当日。
ケーキ食い終わってからプレゼントをモラウンですけど、兄ちゃんが中々くれないんですね。
俺は前々からZIPPOだって知ってたんで、
「勿体ぶんなくていいから」って急かしたんです。
で、やっと部屋に戻って包み取ってきて、
下に降りてきたら何故か半泣きだったんですね。
それでなんかぶつぶつクーリングオフがどうのこうのとかいってて。
でどうしたの?って聞いたら、
「これ、試してみたら火がつかねかったんだよ」
って言うんですよ。
包みもらったら、確かにめっちゃ開けたあとがあるんですね。
包装紙めっちゃ破れてるし。
それで、ケースから出して火をつけてみたら確かにつかなくて。
ニコチャンマークの可愛いやつだったんで俺もがっかりしてたら、
父さんがなんか無言で立ち上がって、ライター持って部屋に戻っちゃったんです。
「俺が金無駄にしたから怒ってんのかな」
とか兄ちゃんかなり真剣にビビってたんですけど、
数分後、父さん笑いながら戻って来たんですね。「おい、つくぞ」っていいながら。
確かに全然つかなかったのに普通についてて。
なんか父さん曰く、オイルが空になっててだから着かなかったらしいんです。
で、父さんのオイルを入れたらついたと。
兄ちゃんも俺もかなり安心して、その日生まれて初めて煙草を吸ったんですけど、
あれ、なにが美味しいんですかね?
吸ったらかなり頭が痛くなって、誕生日どころじゃなくなりました。
あれ以来ライターは喫煙具じゃなくて、ただのオブジェとして部屋に飾ってあります。
銀製品は錆びるから、たまに磨かなきゃいけないのが面倒くさいですよね。
まあ、可愛いからいいんですが。
ついでに書くと、父さんの誕生日にはボトルウイスキー二本、
母さんの誕生日には、安めのネックレスを兄ちゃんは買ってました。
まあ、全部父さんと母さんの金で買ってるんですけどね。
気持ちが嬉しいらしいです。
【幕間2】
やっとテストが終わりました、放置してしまってすいませんでした!
温かいレスが一杯で嬉しいです。
そうですねー、確かに世間一般で騒いでる感じほどわが家は切迫してないですねー。
なんでですかね。やっぱり兄ちゃん本人があんまり気にしてる感じじゃないからかな?
父さんと母さんもあんまり焦らなくいいと思ってるみたいですし、やっぱり心の余裕なんですかね。
最近兄ちゃんはペーパークラフトに凝ってるんです。
まあ、いつか趣味が高じて仕事になってくれれば幸いなんですけどねー。
いま友達の家に一人でいるんですが、あれですね。
yahooっていま規制されてるんですね。
せっかくPCで書き込めると思ったのに残念!携帯から続けようと思います。
と言っても、試験中ずっと考えてもやはり丁度よく纏まるエピソードとなると難しいです。
なので、ちょっと母さん関連のネタを挟もうと思います。
【趣味】
母さんは音楽の趣味が若くて、
最近は俺と一緒にレイジとかレッチリとかのミクスチャーを聴いたりしてるんです。
なんか、若い頃からチックコリアとかそこらへんの楽器が重なりあう感じの曲が好きで、
当時流行ってた歌謡曲なんかは大嫌いだったそうで。
で、そんな母さんは当然ラルクは好きじゃないんですよ。
だから兄ちゃんがラルクとか、マリスミゼルとか聴くのがすごいいやらしいんです。
それで、ことあるごとに兄ちゃんにニルバーナ聴かせたり、ピクシーズ聴かせたりして
なんとか聴きやすい所から兄ちゃんをJ-POPの外に連れてこうとするんですけど、
そうされればされる程兄ちゃんも強情になってて、
この間ついに大喧嘩になったんですね。
大学から帰ってきたら二階から母さんのすげえ怒鳴り声が聴こえるんです。
「そのキャラキャラしたボーカル、ほんとにやめて欲しいの!」って。
母さんもさすがに諦めたのか最近「ラルクは別にいい」っていいはじめてたんですけど、
兄ちゃんがその日屋根で唄ってたのがガゼットだったんですよね。
ガゼットのしかも歌詞がかなりねちっこいやつで。
それで、なんかプチンとキレちゃったらしいんですが、
気持ちよく唄ってた兄ちゃんもキレてて
「なんで好きでもない歌聴かされなきゃいけねーんだよ!」って、すごい剣幕だったんです。
まあ、そういうとき俺は基本的にわれかんせずで、ことの成り行きを黙って見てるんですけど、
その時はさすがに音楽を強要されるのは可哀想だなーと思って、
「音楽くらい好きなの聴かせてあげれば」って言ったんです。
そしたら母さん余計にヒートアップしちゃって、
「あんな下らない歌、ご近所に聴かれたら恥ずかしいでしょ!」
って。
いやいや屋根で唄ってる時点ですでに恥ずかしいから!
ていうか屋根でラップを熱唱してたらむしろ恥ずかしいから!
多分母さんもなんか怒りに火がついてなにがなにやらよくわからなくなっちゃったんですね。
思い返しみると、ほんとどうでもいい言い争いをずっと続けてたんです。
そしたら三十分後。父さんが車で帰って来たんです。
まだ母さんはヒートアップしたままだったんですけど、さすがに父さん迎えに行かないわけにはいかないから玄関に降りたんですよ。
そしたら、玄関を開けた父さんがなんともジャストタイミングでグレイのうたをうたってたんです。
なんかそれを聴いて、母さんの怒りがふっと静まったらしく、
少したってから兄ちゃんに謝りにいってました。
なんか、どうでもいい話ですね。
普段怒らない母さんがめちゃくちゃ怒ったていう点で、俺にはもの珍しい話だったんですが。
でも兄ちゃん最近自主的にマリリンマンソンを聞き始めたから、母さんの野望も少しは叶ったのかな?
【小生】
確か一昨年の夏なんですが、
兄ちゃん、漫画かテレビの影響だかで和服にハマってた時期があったんです。
太ってる人は和服似合うって言いますが、確かに結構にあってたんですよね。
それで、俺と母さんで「似合うよー」とか言ってたら、ほんとすっごいご機嫌になっちゃって、
これもたぶん元ネタがあるんだと思うんですけど、自分のこと小生って言うようになったんですね。
兄ちゃん、結構漫画とかテレビのキャラの影響受ける人間なので。
で、その小生なんですが兄ちゃん「しょうせい」じゃなくて「しょうじょう」ってずっと言ってたんですよ。
たぶん最初に読み方を間違えて、そのまま覚えちゃったんだと。
でも、俺はしょうせいって言葉自体知らなかったし、母さんはしょうじょうって呼び方があるのかな?
って思ってたらしくて、突っ込まなかったんですね。
で、しばらく兄ちゃん自分のこと「しょうじょう」「しょうじょう」って言ってたんです。
常に普段「俺」っていう場面では「しょうじょう」って言ってるから、
もちろん父さんもそれずっと聞いてたはずだったんですけど、
一週間くらいたった晩ご飯の時に、父さん飯食ってる最中にいきなり笑いだしたんですね。
そんで、いきなり立ち上がって書斎に入ったと思ったら筆ペンとルーズリーフ持ってきて
「小生」って書いたんですよ。
で、兄ちゃんにそれを見せて一言
「おい○○。これしょうじょうじゃなくて、しょうせいだぞ、しょうせい」
ってなんか笑いながら言ってたんですね。
普段、そんなに家族団欒の場で笑わない父さんが突然、
笑ってそういうから兄ちゃんすげえ動揺して、
「いや、しょうじょうでしょ。これ、たぶんしょうじょうだって」
って言いながら居間に置いてある広辞苑開いて調べたんですね。
そしたら調べた結果もちろん、しょうせいで絶句する兄ちゃんの顔見て父さんまた大笑い。
ついでに俺と母さんも笑ったら、兄ちゃんすげえ傷ついて
飯残したまんま、二階戻っちゃったんです。
そしたら、笑いのおさまった父さんが一言、
「あいつもまだまだ読書が足りないぁ」
なんか母さんその一言が壺ったみたいで、十分ぐらいずっとしゃくり上げて笑ってました。
次の日から兄ちゃんの一人称はしっかり、「俺」に戻ってました。
ていうか、八月入ったら兄ちゃん襟元があついって言って浴衣もじんべえ着なくなってましたし。
まあ、そういう漫画とかテレビに影響されたものってすぐに飽きちゃいますよね。
俺もピンポン呼んで卓球やろうと思ったけど、二階卓球場言っただけでやめたから人のこと言えないです。
【閉幕】
兄がニートになったきっかけみたいなのはこれと言って「これが原因!」って言うのはないみたいです。
ただ、やっぱり小中高とかなり回りから浮いちゃったみたいで、
中学の頃には、ネット使ってかなり酷い苛めもされたらしいですし
(そのせいで、我が家はネット禁止なんですが)。
それでも兄ちゃん小中高までは絶対不登校になったりしなかったんですね。
でも、なんか大学のサークルの新歓コンパでかなりひどくいじられて帰ってきて、
そんとき初めて母さんと父さんに「俺、家にいちゃ駄目かな?」って泣きながら言ったそうです。
学校いかなくなってから兄ちゃんほんとに元気になったし俺はこれでよかったと思います。
兄ちゃんみたいな人を、いまの日本は中々受け入れてくれないって、俺も薄々わかってきてますから。
最悪俺が将来食わせてやれればいいなと、いまのところは思ってます。
出典:俺の兄ちゃん、ちょっとファンキーな引きこもりなんです
リンク:fouz

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