示現流開祖東郷重位と弟子の話

2009/07/22 15:11 登録: えっちな名無しさん

203 :人間七七四年 :2009/05/02(土) 15:11:10 ID:CFHNfAh+

重位と弟子が雑談していたときのこと。
突然、真剣な表情で弟子が重位に問う。

弟子「斬り合いの場にて、絶対に負けない奥義を教えてください!!」

現代人からすると無茶苦茶な質問に見えるが、流石に達人東郷重位。
静かな口調で弟子に答える。

重位「それなら斬り合いの場で何があっても刀を抜かなければいい。
そう、戦いの場にて刀を抜かない。
これこそが百戦百勝の奥義だよ。」

弟子が唖然として問い返す。

弟子「…あの失礼ですが、こちらが抜かねば、相手だけ抜いて、私はたちまち斬られないですかね?
それでも抜かないんですか?」

重位が涼しい表情で答える。

重位「うん」

しばらく黙って考えていた弟子が言う。

「わかりました!弟子は尊敬する師匠の言うことを信じればいい。
今後はそのようにしたいと思います。」

それから数日の後、坊の津で牢人らしき者が役人と従者の二人を斬りすて、
民家に立てこもるという、平成の今にもありそうな事件がおこった。
坊の津地頭の重位と件の弟子も事件に駆けつける。
数人で民家を取り囲んだところ、
このまま籠城しても埒があかぬと覚悟を決めた牢人が上段に構え民家から身を現わした。
牢人は討手全員をゆっくりと見定める。
その落ちついた様子にかなりの手錬者だと重位も気付いた。
そのとき討手を見回す牢人の視線が止まる。
ひとりだけ刀を抜かず青ざめた顔をしている討手を見つけたからだ。
そう件の弟子である。
流石の重位も、抽象的に剣の奥義を教えたすぐ後に実戦の場に立った弟子を心配し不安にもなったのかもしれない。
そして牢人の刀が弟子に振り下ろされる。

重位「抜け!!」

心の中でさけぶ重位。
そして激しい逆袈裟の抜き打ちの音が響きわたる。
当たりに静寂が戻ったときに倒れていたのは牢人だった。
弟子は重位の教えの真髄を体得していたのであった。

出典:2ch
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