暗黒パチンカー夫婦
2009/07/29 09:21 登録: サム
暑かった夏も終わり、朝夕は肌寒さを感じるようになって来たその頃、
パチンコ店の駐車場警備員のアルバイトをしていた私は、遅番の勤務に
入った。時刻は午後4時、これから夜11時までの勤務である。
同じく遅番勤務のホールスタッフたちと挨拶をしながら誘導棒を振っていた。
そのとき、警備員詰め所(小さなプレハブ)から岩山さんと何となく顔を
覚えているお客さんが大慌てで走ってきた。自衛隊上がりの岩山さんは
あまり慌てているところを見たことがない。「大変だ!駐車場で子供の泣き声が
するんだって!」岩山さんは怒鳴るとちょうど遅番勤務で入店しようとしていた
ホールスタッフ(霊感あり・生霊を見た人)にその事を店長かマネージャーに
伝えるように続けて言った。お客さんの話によると、2階のどこかの車から
子供の泣き声がしているらしい。「2階だって」とホールスタッフに伝えると
すぐに2階に向かった。
44 :28:2009/07/29(水) 00:04:58 ID:+52GQ5JS
2階に上がると平日とはいえ新装開店初日であることも関係してか、駐車スペースは
大部分が埋まっていた。西日が差し込み、結構まぶしい。しかしその時は
子供の泣き声は聞こえなかった。一台一台、中を覗き込む。岩山さんは奥から調べていたので
手前左から見ていくことにした。知らせてくれたお客さんも「多分聞こえたと思う」
と言いながら車を順番に見てくれていた。「この車だ!この車!」岩山さんが
黒いステップワゴンを覗きこんで怒鳴った。いや、その車はさっき見たはず・・・
駆けつけると座席ではなくその下にもぐりこむ様に子供がいた。保育園か幼稚園くらいの
男の子。何で座席下に?と思ったとき、岩山さんが「日光を避けたんだよ!だから
下にいる!」と怒鳴った。窓をたたく。反応がない。勿論ドアも開かない。
下からマネージャーと先ほどのホールスタッフが駆け込んできた。
「子供、いる。反応ないですわ!」岩山さんがマネージャーに言う。
子供は牛乳みたいな泡を口の周りに噴出しながら、そして無反応だった。
45 :28:2009/07/29(水) 00:20:17 ID:7FPqOFcl
「クソっ!大変じゃー!」マネージャが怒鳴りながら、ステップワゴンの車体を
揺らす。やはりどのドアも全部開かない。車体は揺れ、大声で子供に呼びかけるがやはり
無反応。「すぐ放送かける、黒のステップワゴンでナンバーは・・・」マネージャー
がホールスタッフに伝える。ホールスタッフは走って行った。
「(ガラス)割りますか?」岩山さんがマネージャーに聞く。「ちょっと待って」とマネージャー
が答える。だがそんな猶予はない様に見える。
とその時下から上がってきた車が止まり、男性2人連れが「ど〜したの?」
とのんびり声をかけて来た。「いや、車の中で子供が泡吹いてる」と答えるや否や
2人は車から飛び出してきた。そして子供の姿を見ると「早く救急車!」と怒鳴り
もう1人が自分達の車からハンマーを持ち出してきた。割るつもりらしい。
マネージャーが「ちょっと待ってください。今呼び出してるんで」と止めると
「わしら、警察官!警察官!」と叫ぶ。もう一人は携帯電話でどこかに電話していた。
「マズイ・・・」マネージャーが小さくつぶやく。ハンマーをガラスに押し当てた。
46 :28:2009/07/29(水) 00:37:27 ID:U3E7EOxx
意外なほどあっけなく運転席のガラスが割れた。スライドドアをあけてもぐりこむ
ように倒れていた男の子を助け出す。子供は息をしていた。「ポカリかアクエリ多めに買って来い」
年配の方が子供を助け出しながら若い方に言った。そして私達に向かって「何かでこの子
扇いで(風を送って)下さい」と言う。車内に合ったうちわと警備員帽子で扇ぐ。
ホールスタッフが走って戻ってきた。呼び出したが反応がないこと、本社会議の
店長に連絡取ったことを告げる。ポカリが戻ってくるとそのうち1本をあけ、子供に
飲ませようとする。そして残りは子供のわきの下や内股に押し当てる。
救急車の音が近づいてきた。「○○警察の○○ですわ」降りてきた救急隊員に告げると
救急隊員は「息どうですか?こちらで引き継ぎます」そう言って手早く救急車の中に
子供を乗せた。その時、パトカーのサイレンの音も近づいてきた。
47 :28:2009/07/29(水) 00:59:25 ID:U3E7EOxx
「小僧ら、わしの車に何しとるんじゃ〜!」若いカップルが金髪と香水の匂いを
撒き散らしながら走り近づいてきた。ホールスタッフがその二人の姿を見て
「ぐっ!」だか「ウグッ!」だかうめく。「あんたら、この車の持ち主か?」
女の方が突然悲鳴をあげた。「○○、死んだんか?」子供の名前を叫ぶと
救急車の方へ駆け寄った。聞くと二人は食事休憩を取っていたらしい。
そして休憩が終わっていったん車の方に戻ってきてこの惨状に気づいたらしい。
女は泣き叫んでいた、男は何故か少し冷静だった。
救急隊員が「お父さん、お母さん、どちらか一緒に乗ってください」と言う。
「もう、出ますんで」隊員のその言葉にかぶせるように男が言った。
「俺、まだ確変残してるから、○○子、お前行けや」それを聞いて
年配の警察官がぶちきれた。「なめるなぁ!貴様!」胸倉をつかむ。
男が「お前、何じゃ〜?」言い返す。「○○警察の○○じゃ!」男はそれを聞いて
ものすごくひるんだ。シュンとなった。ひざを付いた。
結局母親が救急車に乗り、父親はパトカーに乗せられて連れられていった。
マネージャーも自分の車で警察に行った。パチンコを遊びに来ていたであろう
警察官2人はパトカーの制服警察官に挨拶をして、そのまま帰っていった。
「さすがに今日はよう遊べんわ」と言いながら・・・。
後日、子供は後遺症もなく助かった・・・と聞いた。
48 :28:2009/07/29(水) 01:28:55 ID:U3E7EOxx
何日かして、そのホールスタッフと現場にいた私達は早番終了後、事務所にて
警察に簡単な事情徴収を受けた。その後休憩室で缶コーヒーを飲みながら
そのホールスタッフと話をした。生霊の一件といい今回と言いお互い大変だなあ・・・と。
ひとつ気になることがあった。あの子供を車に残してパチンコしていたあほ達が
帰ってきたとき、そのホールスタッフは奇妙な声をあげた・・・何で???
「あいつら帰って来た時、あいつらの後ろにすごいモンが見えたんですよ」
「すごいって?また幽霊か生霊なの?」そう聞くと、彼は近いけど少し違うと言う。
「この季節良く見るんです。そういうモンに憑かれている人たち。」
詳しく教えて欲しかったが彼はそれ以上教えてくれなかった。
ただ「もうすぐツキも変わるし多分見るのも少なくなると思います」
そうつぶやいただけだった。
最後に私は聞いた。「季節で多くなったり少なくなったりあるの??」と。
彼は笑いながら言った。「めちゃ変わりますよ季節で・・・。」
「でもパチンコ屋では、いつも良く見ますわ。」
何週間かして岩山さんが私を見るなり言ってきた。
「この前の子供殺しかけたニーちゃん、川向こうのパチンコ屋にいたぞ。
確変になってうれしそうにボタン連打してたわ」
読んでいただいてありがとうございました。
出典:パチンコ屋であった心霊話
リンク:2ちゃんねる

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