リー「私メリーさん……あ、着信拒否された」第三部
2009/09/21 21:51 登録: 痛(。・_・。)風
第一部、二部はこちら→http://moemoe.mydns.jp/view.php/18070
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男「次郎さん、頼むよ! 女ちゃんが誰が好きなのかを調べてくれ」
次郎「俺が?」
花子「良いじゃないか、やってやりなよ次郎」
次郎「まあ、姉さんが言うならやるけどさ」
メリー「うーむ、流石はシスコン」
次郎「うっさい!」
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次郎「……はーい、次の人ー」
少年「あ、あの……次郎さん、ですか」
次郎「そうだよ。俺が次郎だ。怖いか?」
少年「き、聞いてたよりもずっと優しそうで、安心しました」
次郎「……嬉しいけど嬉しくないねぇ」
少年「あ、あの、気になってる子のことを教えてくれるんですよね!」
次郎「ああ、それが仕事になっちまってるからな。友人のメリーさんはテレアポへの嫌がらせが仕事だぜ」
少年「は、はぁ……」
次郎「っと、すまねぇ。で、気になる子ってのはどこのどいつだ?」
少年「その、少女ちゃんって言うんですけど……」
次郎「少女、ねぇ。姉さん、心当たりあるか?」
花子「んー……学年一の美人さん。加えて家もお金持ちの才女だね」
少年「う、うわぁっ!?」
花子「あはは、壁から顔だけ出てたらびっくりするか、すまないね」
次郎「こちらは俺の姉さんの花子。知ってるだろ?」
少年「じょ、女子の恋愛相談に乗るとか乗らないとか……」
次郎「ビンゴだ。どうやらその少女ちゃんも姉さんの顧客の内らしいな」
次郎「その女の子はどんな相談してんだ?」
花子「なんでもクラスに気になる子がいるとか、言ってたかねぇ」
次郎「お前、同じクラスかい?」
少年「は、はい」
次郎「そいつは僥倖、幸先良いぜ。もしかするともしかするかもな」
少年「そ、それって……?」
次郎「お前さんに気があるかも知れないってことさ」
少年「ほ、本当ですか!?」
次郎「おっと、ぬか喜びすんなよ。まだ決まったわけじゃねえ。まあ、それを俺が今から調べるんだがな」
少年「あ……はい!」
次郎「一気に元気になったな。若いって良いねぇ」
少年「それじゃあ、あさってにまた来ます!」
次郎「おぅ。ただ、どんな結果が待ってるやもわからねぇ。過度な期待は禁物だぜ」
少年「はいっ」
タタタタタッ
次郎「……やれやれ、これからストーキングか」
花子「頑張ってきなよ。子供のためじゃないか」
次郎「いつから俺たちは子供の味方になったのかねぇ」
花子「さて、ね。ただ一つ言えることは……、子供の怯える顔よりも、笑顔の方が素敵ってことさ」
次郎「へっ……、姉さんは随分と子供に優しくなったな。昔はトイレに引きずり込んでたのに」
花子「時が流れれば、変わるものさ。何だってその時代に合わせて姿を変える。私もまた、それなんだよ」
次郎「……都市伝説が、これで良いのかねぇ」
花子「怖くない都市伝説も、都市伝説さね」
花子「それに……、そういうのは赤マントやメリーに任せれば大丈夫さ」
次郎「メリーか。元気なのかな、あいつ」
花子「たしか注射男の陰謀に嵌ってニューヨークに行ったんだったね」
次郎「今は戻ってきてるらしいけど……、電話越しでしか話してないしな。それも二月前だ」
花子「昔の人はこう言ったよ。頼りがないのは無事な証拠ってね」
次郎「だと良いがな」
花子「ま、なんにせよあんたの仕事は少女ちゃんについて調べることさ。さっさと行っといで」
次郎「あいよ」
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次郎「ふーむ……。名前は少女。姉さんの言ったとおり確かに美少女だな」
次郎「友人も多く、誰にでも優しい。クラスのアイドル的存在で、彼女を狙う男子もまた多し」
次郎「家柄もよく、両親はご近所でも有名なおしどり夫婦。そんな家庭環境で育ったためか彼女は素敵な人柄となった」
次郎「クラスの皆が嫌がる掃除すらも率先して行なう……」
次郎「おい、完璧すぎるぞこの女」
次郎「一方少年は……」
次郎「根暗、友人は少ない、勉強はあまり得意でなく、運動は言わずもがな」
次郎「クラスの目立たないところにいつもいる」
次郎「……誰にでも優しいとはいえ、これ相手にしてもらえんのか……?」
少女「それじゃあね〜」
『ばいば〜い』
『またあした〜』
モブ「少女ちゃん、一緒に帰ろうぜ!」
モブ「いやいや僕と」
モブ「オイラと帰るでやんす!」
少年「……」チラッ
次郎「……積極性がねぇ奴だ」
花子「よっす。どう? どんな感じ」
次郎「勝てる見込みがねぇ……」
花子「ま、でもここは公共の場だから。本当の姿を見せるのは家に帰ってからさ」
次郎「家までか……。やれやれ……」
花子「シャワーシーンのぞけるじゃないか」
次郎「冗談はよしてくれよ姉さん。俺は赤マントじゃないんだ」
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少女「ばいば〜い」
モブ「ば、ばいばいっ!」
モブ「じゃあね、少女ちゃん」
モブ「楽しかったでやんす!」
少女「……ふぅ」
次郎「……さてさて、本当の姿を見せてくれるかな?」
少女「今日も楽しかったなあ。学校ってやっぱり面白いよね」
次郎「……なんだよ。『汚らわしい猿どもが』とか言わないのかよ」
メリー「そんなこと考えてるの?」
次郎「ん? あ、メリー! お前今までどこに」
メリー「今さっきこの街に帰ってきたところよ。そしたらなんだか可愛い少女とその後ろを憑いて歩く浮遊霊が見えるじゃない」
次郎「それで追ってきたってか」
メリー「そういうこと。で、なに? あの子が観察対象なの」
次郎「ああ。そうだよ。正直完璧すぎて怖いぜあいつ」
メリー「ふーん。じゃあ私の電話も怖がってくれるかしら」
次郎「それはない」
メリー「私も折角だからついていって良いかしら」
次郎「邪魔だから帰れ」
メリー「なによそれ。腹立つわね」
次郎「五月蠅いな……。お前と俺じゃ都市伝説の内容からして相反するだろ」
メリー「なんで?」
次郎「俺は見つからずに行動するのが原則で、お前は見つかるのが原則じゃねえか」
メリー「見つからないようにするわよ」
次郎「無理だろ。全身から見つけ出してオーラがにじみ出てる」
メリー「う、うるさいっ! 仕方ないじゃない……、五年連続で怖がられてないんだから!」
次郎「……やれやれ」
メリー「あ、家に入っていったわ!」
次郎「そうだな。ていうか何でお前俺の頭の上に乗ってんだ」
メリー「あなたの透明になる能力は、こうすれば繋がるようになるでしょ」
次郎「それなら手とか繋げばいいことだろ」
メリー「動きにくいのはお断りだし、何より私はぬいぐるみを持ってるからね」
次郎「捨てろ!」
メリー「ダメよ、これは私が生まれた時からの友人だもの」
次郎「ったくよぉ……。はぁ。入るぞ」
メリー「サー」
少女「ただいま、お母さん、お父さん」
父親「お帰り」
母親「お帰り、少女ちゃん。今日はハンバーグよ」
少女「ほんと!? やったあ!」
次郎「幸せそうな家族だな」
メリー「良いものね、家族って」
次郎「お前、家族いないのか?」
メリー「いないわね。あ、でも近頃赤マントと下男と一緒に暮らしてるわ」
次郎「なぬ」
メリー「え?」
次郎「お前それ大丈夫なのかよ」
メリー「うん、赤マントはいつでも私の味方だし、彼は紳士だもの」
次郎「……そうか。それなら、良いんだがな」
メリー「心配してくれてるの?」
次郎「い、いやそういうわけじゃねぇよ」
次郎「お、っといけない……観察観察」
メリー「どんな感じ?」
次郎「宿題やってる」
メリー「偉いわね」
次郎「終わったらしい」
メリー「早いわね」
次郎「……次は、読書みたいだな」
メリー「どんな本かしら」
次郎「子供向けの文庫だ。小学生らしい」
メリー「……何にも面白いことがないわね」
次郎「俺はこれをほぼ毎日やってんだぜ。吐きそうだ」
メリー「私の方が案外恵まれてるかもね」
次郎「夜だな」
メリー「お風呂のぞくの?」
次郎「のぞかねえよ。俺は赤マントじゃない」
メリー「ふーん。幼女には興味ないんだ」
次郎「当たり前だろ……」
メリー「そうなんだ。別に良いけどさ」
次郎「あ、じゃあお前が見てきてくれよ」
メリー「え? まあ、いいけど」
次郎「頼んだぜ」
メリー「任されたわっ! 誰にも見つけてもらえない私の実力に震え上がりなさい!」
次郎「言ってて悲しくならんか」
メリー「……なる」
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少女「……ふわぁ……」
メリー「お邪魔しますーっと」
少女「……気持ちいいなあ」
メリー「うわぁ、可愛い子ねえ。……自信なくなっちゃう」
少女「髪の毛洗わないと」
メリー「……触っちゃおうかしら」
ぺたっ
少女「ひゃっ!?」
メリー「可愛い反応ねぇ。えいえいっ」
少女「え、きゃ、なにっ!? やんっ!」
メリー「うりうり〜」
少女「な、なんなのっ、きゃっ!」
次郎「やめんか!」
メリー「きゃっ、なによ!」
次郎「姉さんと同じことになってんぞ」
メリー「そんな、まさか!」
次郎「まさかもなにもあるか馬鹿。早くでるぞ」
メリー「ちぇっ」
次郎(……メリーまで毒されてるのか?)
メリー「ま、いいか……」
次郎「しかしまあ、反応から何まで完璧だな」
メリー「見てたのかよ!」
次郎「お前が変なことしないか気になってな」
メリー「……信頼無いわね」
次郎「いや……そんなことはないから安心しろ」
メリー「そう?」
次郎「同期で一番……いや、なんでもない」
メリー「なによ」
次郎「良いから! いったん学校に戻るぞ」
メリー「え、でも私は家に戻らなくちゃ」
次郎「久しぶりにあったんだ、朝まで飲むぜ!」
メリー「ちょ、次郎っ!」
次郎(あ、あれぇ、勢いで手を繋いでるぞ俺……)
メリー(こいつってこんな強引だったかしら……)
次郎「えぇい、まあいい、姉さんも交えて朝まで飲み比べだ」
メリー「ええっ!? 絶対襲われるって!」
次郎「そんときゃ守ってやっから安心しろ!」
メリー「そ、そう……、頼りにしてるからね」
次郎「あ、ああ」
次郎&メリー(何言ってんだろう……)
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少女「おはよう」
モブ「おはよう!」
モブ「おはよう、少女ちゃん」
モブ「今日も可愛いでやんす〜」
少年「……」
次郎「ったく、行動を起こしやしねぇな」
花子「そりゃあんたも同じだねぇ」
次郎「姉さん。……何のことだよ」
花子「酔いつぶれたメリーを送っていって……それで何も無しか」
次郎「……別に、良いだろ。送り狼なんて、馬鹿らしい」
花子「いやいや、学生時代から恋い焦がれている彼女は別の男と同棲中。その胸中はどんな物か気になってね」
次郎「……、メリーがそれを選んでそれを気に入ってるんだったら、俺は何も言えねぇよ」
花子「うん、実に素晴らしい選択だ。……けどね、時として強引な男も悪くはないね」
次郎「何が言いたいよ」
花子「……簡単に諦めがつくのかね、次郎君。ってことさね」
次郎「……」
次郎「……つくわけねえだろ」プカプカ
少女「……」
次郎「けど……、今のままの関係が崩れるのはもっと怖いし、嫌だな」
少女「……」
次郎「ん?」
ガキ「……」コソコソ
次郎(下駄箱に……ラブレターか。可愛いことするねぇ)
少女「あら?」
次郎(ラブレター発見)
少年「あ!」
次郎(そしてそれを少年が発見……。どうなることやら)
次郎(……さっきのガキを調べてみるか)
ガキ「おい、ネクラ」
ネクラ「へ、へ」
ガキ「お前、新しい消しゴム買ったのか。俺のと交換しろよ」
ネクラ「え、え……。でも……」
ガキ「つべこべ言うなよ!」
バキッ
ネクラ「う、うわぁっ」
ガキ「へへ、初めから渡してりゃいいんだよ」
ネクラ「せ、先生に言いつけるぞ……」
ガキ「あん!? もっと殴られてえのか!?」
ネクラ「ひいっ!」
次郎(……皆の死角でイジメ、ねぇ。しかしみんなの前では頼りになる、気の大きいガキ大将、と)
次郎(……面倒なことになってきましたよこれは)
少女(放課後……体育館裏で、かぁ……)
少女(これって、ラブレター……なのかなあ)
少年(うう、どうしようどうしよう……! あれラブレターだよね、少女ちゃんが取られちゃうよ!)
ガキ(あ、見てる見てる、俺のラブレター……。少女はきっとオーケーしてくれるよな。くくくっ)
次郎(くっそ面倒なことになってやがる……)
ネクラ「……うぅ」
少年「うわ、ネクラ君、その傷どうしたの!?」
ネクラ「な、なんでもないよ、転んだだけで……」
少年「転んでそんなことになるわけ無いだろ!」
ガキ「おいおい、どうしたんだ? ネクラ……? お前大丈夫か?」
ネクラ「う、うん……」
少年「……?」
少年(なんだろう。……なにかおかしい)
次郎(胸糞悪いガキだぜ。こういうのこそトイレに引きずり込むべきだ)
ガキ「ネクラ、ちょっとこっち来いよ」
ネクラ「……うん……」
少年(気になる。……ついていこう)
次郎(ついてくのか……。たまにはやるじゃねぇか)
少女「あれ、ガキ君にネクラ君に少年君……。みんな仲良しねー」
次郎(こいつ頭の中平和だな)
ガキ「おいネクラ……お前わかってんだろうな」
ネクラ「う、うん……」
ガキ「バラすんじゃねえぞ、おい!」
ネクラ「う、わ、わかってるよ……」
少年「な……ガキ君……、そんな奴だったのか……?」
ガキ「本当にわかってんなら、土下座して見せろよカス」
ネクラ「え……」
ガキ「早くしろ!」
バキッ
ネクラ「うわああっ!」
少年「ど、どうする……。飛び出ても、僕は負けてしまうだけだ……。でも、ネクラ君は唯一の友達で……くっ!」
次郎(悩め悩め。悩むことで若人は成長するのさ)
次郎「さて、どうでる少年」
少年「くっ……、痛いのは……嫌だ……。それに僕は弱いし……ごめん、ネクラ君」
次郎「ちょ、逃げるのかよっ!」
花子「ま、自分までその対象になるかも知れないと思えば足がすくむものさね」
次郎「姉さん」
花子「彼らはまだ若い。いくらだって変われるさね」
次郎「……。少年、変われよ……」
ガキ「おらっ!」
ネクラ「げふぅ!」
少女「あ。少年君、帰ってきたんだ」
少年「う、うん……」
少年(話しかけられたっ!)
少女「ガキ君とネクラ君と君……みんな仲良しなんだねっ」
少年「……う、うん……」ズキッ
少女「男の子って、みんな仲良しで良いよね。ガキ君を中心にさ」
少年(……ガキ君は、最低な奴だ……。でも、あそこから逃げた僕の方が……くそっ)
少年「……あ、少女ちゃん、それは……ラブレター?」
少女「あっ! わ、忘れて! 恥ずかしいから……」
少年「あ、うん……」
次郎(……さて、どうなるかね)
少年(……少女ちゃん、嬉しそうだったな……。きっと、少女ちゃんも悪く思ってない人なんだろうなあ)
少年(はぁ……)チラッ
少女「……♪」
少年(ご機嫌だなあ……。はあ……)
ネクラ「…………」グスッ
少年(ネクラ君……。僕は……)
次郎(……どうなるんだよこれ……)
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放課後
少女「……体育館裏かぁ」
少年「体育館裏……。どうしよう、ついていこうかな……」
次郎(ついていくだろ。行かなきゃ男じゃねぇぞ少年)
少女「♪」
少年「もう、少女ちゃんを好きでいられるのも終わりかも知れない。……行こう」
次郎「……よし、ステップ1はオーケーだ」
ガキ「体育館裏、行くかな」
次郎「……三角関係か。やれやれ……、どうなるかねぇ」
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体育館裏
少年「茂みに隠れておこうっと」
少女「……」モジモジ
少年「……っ」
次郎「……よっす」
少年「うわあっ!?」
次郎「よ、お前も俺と同じくストーキングかい」
少年「そ、そういうわけじゃ……」
次郎「まあいいさ。何があっても後悔しないような道を歩けよ」
少年「へ、それって、どういうこと……」
次郎「来たぜ、差出人がな!」
ガキ「……」
少年「ガキ君――!」
次郎「……ここからは全部お前の物語だ。しっかり紡げよ」
少女「ガキ君」
ガキ「待たせて悪かったな、少女。……で、早速なんだが」
少女「うん……」
少年「な、え、なにこれ、そんな……馬鹿な……いや、そうじゃない! ガキ君が少女ちゃんに告白?」
次郎「ああ。そうだ。性格も悪ければ頭も悪いあのカスが、お前の想い人をかっ攫ってくんだぜ」
少年「……少女ちゃんは、ガキ君の裏の顔を知らない……、そんなんじゃあ、少女ちゃんが可哀想だよ」
次郎「ああ、そうだな。で? それを知ってるのはどこのどいつだ?」
少年「……僕、だけ……?」
次郎「まあ、そういうことだ。……いいか、若い内は何でも良いからがむしゃらにぶつかれ」
少年「次郎さん……?」
次郎「俺からはそんだけ」
少年「でも……僕にそんなことを言う権利があるのか……」
次郎「さぁ。好きにしなよ」
少年「……」
ガキ「話ってのはなぁ、少女……、その……俺と……」
少女「うん……」
ガキ「あー、えーと……」
少年(どうするんだ、僕……!)
次郎(悩め悩め)
ガキ「俺と付き合ってくれ――!」
少女「!」
ガキ「ど、どうだ……」
少女「そ……その、えっとね……」
少年(今しか……ない! 飛び出て、後はなるようになる!)
少年「ちょっと待った!」
ガキ「なにっ!?」
少女「え?」
少年「……ガキ君。その告白、少し待って欲しい」
ガキ「は? 何でお前にんなこと言われなくちゃならねぇんだよ」
少年「僕も、少女ちゃんが好きだ!」
少女「え……」
ガキ「お前……それが何の関係があんだよ!」
少年「僕は……、君のしてきたことを知っている」
ガキ「!」
少年「……さっき、ネクラ君と君が出て行った後をついていったんだ」
ガキ「……てめえ」
少年「そして僕はそこで逃げた。最低な奴だよ、僕は」
ガキ「……」
少年「そして、少女ちゃんをつけてここまで来た。やっぱり最低だ」
少年「でも……、僕は自分が後悔しない道を選ぶ! ガキ君、決闘だ!」
ガキ「はぁ!?」
次郎「なんだそれ!」
少年「僕はあそこで逃げた……。それを償う! この決闘で!」
少年「そして君は、ネクラ君を影でいじめていることを償うんだ!」
ガキ「ばっ! てめえ!」
少女「え……、ガキ君……」
ガキ「少女、違うんだ、こいつが変な事言ってるけど、嘘だ」
少年「僕が勝ったら……、君はもう、ネクラ君をいじめるのはよしてくれ。何なら僕をいじめても良い」
ガキ「なに?」
少年「たった一人の友達なんだ。それを助けられなかったんだから、それくらい……構わない」
次郎(すげぇな……。人って変わるもんだ)
少年「僕が負けても……、ネクラ君からは手を引いて欲しい」
ガキ「なに?」
少年「勝負の結果がどうあれ、君はイジメの相手を僕にかえれば良いだけだよ」
ガキ「お前に得がねぇけど良いのか?」
少年「これは僕のけじめのための決闘だと思ってる」
ガキ「お前がそれを望むなら、やってやっても良いぜ!」
少年「……ああ、望むところさ」
少年(と、いうものの……。やっぱり痛いだろうなあ……)
次郎(ここまで言ったんだ、負けるなよ……)
ガキ「いくぜ、おらぁっ!」
バキッ
少年「ぐっ!」
ガキ「うら、うら、うらあああああ!」
ドガッバキッボコッ
少年「ううっ……!」
ガキ「来ないのかよ……?」
少年「やって、やる!」
ポカッ
ガキ「へ?」
少年「あ」
ガキ「そんなんで俺と決闘だと? 笑わせるなよ!」
バキッ
少年「うわああああ!」
ガキ「へへ、うら!」
少年「くっ……」
ガキ「らあっ!」
少年「ぐあっ!」
ガキ「ふんっ!」
少年「ひゃあっ!」
次郎「お、おいおい……」
少年「く、そぉっ!」
ボカッ!
ガキ「ぐああっ!? てめえ……!」
少年「ああああああ!」
ガキ「馬乗りになりゃこっちのもんだ!」
少年「くぅっ!」
次郎(くそっ、行くしかないか!?)
ガキ「うら、はぁっ、おりゃあ!」
バキッドカッドコッ
少年「ああああ!」
ポカッ!
次郎「少年――!」
花子「待ちな!」
次郎「姉さん……?」
花子「あれ見ろ」
次郎「へ?」
少女「…………」
ガキ「うらっ、うらっ!」
少女「……はぁっ!」
ズガンッ
ガキ「げぶっ!?」
次郎「なにいいいいいい!?」
花子「調査が足りないねぇ次郎。彼女は空手の有段者さね」
少年「……はぁ……はぁっ……」
少女「少年君、大丈夫?」
少年「はは、ま、まあね……」
少女「驚かせてごめんね。……少し驚いてて」
少年(とんでもない子を好きになったかも)
少女「まさか……ガキ君がそんな人だったなんて」
少年「う、うん……」
少女「まだまだ、人を見る目が磨かれてないや」
少年「…………」
少女「ねぇ、少年君」
少年「な、なに?」
少女「格好良かったと思うよ、私」
少年「!」
少女「誰だって傷つくのは怖いのに、それでも少年君は向かっていったでしょ? 格好良かったよ」
少年「でも、ここまでコソコソとついてきたし……」
少女「うん、そこはちょっとマイナスだね」
少年「ですよねー……」
少女「でも、誰にだって出来ることじゃないから。誇っても良いと思うよ、自分のこと」
少年「だと、良いけどね……」
少女「それと……、君の……告白」
少年「!」
少女「まだ、答えは出せないけど…………」
少年「うん……」
少女「君のことは、嫌いじゃないよ。今日の出来事を通してじゃない……、昔から、ね」
少年「!」
少女「……これから、少しずつ仲良くなろ?」
少年「お、お願いします!」
次郎「綺麗に纏まったな……」
花子「バーカ。まだ一つ残ってるさね」
次郎「何が?」
花子「自覚がないのか……、馬鹿弟が」
次郎「……わかってるよ……」
花子「……てめえのお客は男を見せた。……てめえも見せろよ、てめえ自身の男を」
次郎「……」
花子「いけよ。メリーに会って、伝えてくるんだよ。……このままグダグダしてるよかぁ、よっぽどマシさ」
次郎「……」
花子「たとえ振られても……、そんときゃぁ、あたしが胸くらい貸してやるさね」
次郎「いらねーよ! それに、貸してくれる胸なんて無いだろ?」
花子「良いから行ってこい!」
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メリー「さぁ、今日も快調。アンテナ三つ。行きますッ!」
次郎「メリー!」
メリー「ふぇっ!?」
次郎「追いついたぜ」
メリー「次郎? どうかしたの?」
次郎「お前に伝えておきたいことがある」
メリー「……?」
次郎「俺はお前が好きだ!」
メリー「…………え!?」
次郎「お前が、誰を好きであろうとも……とにかくこれだけは伝えておきたかった! それだけだ!」
メリー「ちょ、次郎! いきなりそんな事言ってそこからとんずら!?」
次郎「とにかく俺の気持ちは伝えたからな! 恥ずかしいいいいいいいいい!」
メリー「そ、それはこっちの台詞よ! 待ちなさいよ次郎おぉぉぉ!」
第三部・完
出典:メリー「私メリーさん……あ、着信拒否された」
リンク:http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1253506388/

(・∀・): 42 | (・A・): 15
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