気まぐれピアス
2009/09/23 08:44 登録: 痛(。・_・。)風
石橋純一郎の死体が発見されたのは、週に1度のハウスクリーニングがやってきたときだった。
純一郎は眠っているところをナイフで刺され、発見されたときには死後3日がたっていた。経営する店に姿を現さない純一郎を誰も気にしなかったのは、ちょうど純一郎が休暇を兼ねてイタリア旅行をするスケジュールと一致したせいである。
事件を担当するのは工藤刑事と服部刑事。2人とも若手の有力株と評される優秀な刑事だ。
工藤と服部は手際よく室内を捜索し、純一郎の人間関係を当たった。物盗りの可能性は低く、顔見知りの犯行と思われた。
凶器はキッチンのステーキナイフ。現場で発見された。ナイフに指紋はなし。当日、まだ暗い時間に純一郎の家から走り出した車があったが、車種も運転している人物も特定されていない。
部屋には特別なものはなかったが、浴室の洗面台の下に、小さなダイヤがついた金のイヤリングが見つかった。前回掃除に来たときにはなかったとハウスクリーニング業者が請け合った。少なくともこの1週間に女性の出入りがあったということになる。
工藤、服部の両刑事はさっそく純一郎の周辺の女性をリストアップし、1人ずつ潰していくという段階に移った。純一郎には女性関係が多かったが、大半にはアリバイがあった。
そして絞り込んだ対象の1人が、イタリア旅行をコーディネイトした旅行代理店の芦川裕美である。
裕美は身じまいのきちんとした美しい女性である。仕事でもきっとやり手なのだろうと工藤と服部は思った。
芦川裕美の耳を見ると、小さな金の粒のようなピアスが光っていた。なんだか耳たぶが赤く膨れて、水分が浸出しているようだ。
まず、服部刑事は普通の質問をし、裕美がハキハキと答えた。当日は早く帰っていたこと、夜、隣の部屋の住人からオレンジのお裾分けをもらったなどと述べた。
続いて工藤刑事が訪ねた「ところで、芦川さんは最近イヤリングをなくしませんでしたか?」
芦川裕美は「ご覧の通り、私はピアスを愛用していますので、イヤリングは1つも持っておりません」
工藤が「耳に穴を開けるなんて、考えただけで痛そうですね」と述べると
「金属アレルギーなんです。ずっとシリコンのピアスを使っていたんですが、たまたま、今日は気まぐれで金のピアスをつけてしまって…」と芦川裕美は答えた。
2人の刑事は帰り道、顔を見合わせ、うなずいた。どうやら同じ意見のようだ。
2人の刑事は、芦川裕美をもう少し調べるつもりだが、その理由は?
解答編へ続く
出典:推理問題
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