奇妙なイヤホン

2009/09/23 08:52 登録: 痛(。・_・。)風

『ケンジ』という小学1年の少年が誘拐され、犯人は子どもを連れたまま逃走あるいは隠れていることが大々的にニュースになったのは昨日のことである。
実際に事件はその3日前に都内に隣接するS県のS市内で起きていたのだが、子供の安全を考え、発表を抑えていたのだ。
まだ犯人はS市内に潜伏している可能性が高い。いったん公開されると街は騒然となった。
S県警と警視庁の合同で特捜本部が立てられ、特捜本部にはひっきりなしに市民から情報の提供があった。たいていは何の手がかりにもならない空想や素人推理だったが、
京塚政子と名乗る老婦人からの情報が引っかかったので、警視庁の目暮警部は県警の巡査1人とともに、政子を訪ねることにした。
ドアを開けた京塚政子はおびえ切った真っ青な顔をしていた。「子どもの声が隣から聞こえるのよ。朝、昼、夜、時間を問わずに」
政子の隣に住んでいるのは独り身の正体不明な若い男で、深夜まで明かりが灯っていたり、昼になっても雨戸が閉まっていたりする。
出かけることはほとんどないが、何カ月も留守にすることもある。訪ねてくる人もいない。ぼさぼさの頭でよれよれの寝巻きのままで部屋をうろつきまわってるのを見たことがある……。
「子どもの声が聞こえるようになったのはここ3日なの。彼の部屋がうちのキッチンと向かい合ってるから、聞こえるのよ。細い、甲高い声。『怖い』って言葉も聞いたわ」
目暮は巡査と顔を見合わせ、その足で隣の石川裕貴を訪ねることにした。1軒1軒回っているという口実が使える。
ノックをして10分もたったかと思ったころ、中から石川裕貴が姿を現した。政子の言う通りのむさ苦しい恰好をしている。人相も良くない。片方の耳からイヤホンがぶら下がっているのが奇妙だった。
「石川さん、お仕事は?」
「ルポライターですよ。あんま売れてませんがね。今年は半分取材で出かけてて、やっと原稿に取りかかったとこなんだけど…」

目暮は巡査と顔を見合わせた。署に戻る道々、政子の情報もやはり役に立たなかったとこぼしあった。
それでは、政子の情報の正体は誰だったのだろう?

解答編へ続く

出典:推理問題
リンク:http://www2.2ch.net/2ch.html

(・∀・): 39 | (・A・): 31

TOP