つぶやくサラリーマン

2009/10/07 15:00 登録: えっちな名無しさん

つい先日のこと、会社からの帰宅途中8時ごろかな。普通電車に乗って発車を待っていると妊婦さんが乗ってきたんだ。
一応日本で2番目に大きな都市の駅なんだけど、その路線はあまり混雑しなくて、ましてや快速や新快速じゃなく普通電車なのでラッシュという状態ではなかったんだけど、座席は満席でちらほらと立ってる人もいた。
当然妊婦さんにも席はなかったんだけどまあ誰か譲るだろうと思って
「この時間に妊婦さんが乗るなんて珍しいなぁ」
って黙ってみてたんだ。
(あ、念のためにいっておくけどオレも立ち組みね)
けど誰も譲る気配がない。
妊婦さんはオレと同じ扉の付近で立ってんだけど、お腹も立派に出ており見たら気付かないはずはない。
というか扉付近に座っているサラリーマン風の3人は間違いなく見て気付いたはず。
ちょっとイラっとしてそのサラリーマン3人をにらんでいると、視線というのは不思議と感じるものなのかそのうちの一人と目線があった。
そこでオレは妊婦さんのお腹とその男との交互に目線をやり、
「妊婦さんだよ。席譲れよ」
とアイコンタクトを送ってみた。
恐らく、いや間違いなくそのおっさんは気づいたはずだ。その横のおっさんも気付いてるっぽい雰囲気。
しかし立たない。立たないどころか一人はいきなりうつむいて寝たフリ。
もう一人は急に前の窓にやんごとない興味を持ったかのように視線を前のみに集中しこちらに目をやらない。
さすがにムカーっと思って
「お前ら立てよ!気付いてんだろ!」
って言ってやろうかと思ったんだけど、そこはそれ小市民な自分にはなかなか踏ん切りがつかない。
「そんなこと言って席譲ってもらっても妊婦さんも座りづらいだろうしなぁ」
などとうじうじ考えているうちにもうすぐ発車しますのアナウンスが。
どうしようかと思いあぐねてるとオレをはさんで妊婦さんと反対側に立っていた若いサラリーマンの兄ちゃんが、おっさんサラリーマンと逆側の座席の方に移動し、そこに座っていたおばさんに
「すみません。僕がこんなことを頼むのは筋違いですが、あちらに妊婦さんがおられるのでよろしければ席を譲っていただけませんか」
とサラっと言ってのけた。
おばさんは最初はキョトンとしてたが、すぐに
「あ、すみません。気付かなくて」
と妊婦さんにかけより席を譲ってあげた。
最初は固辞していた妊婦さんも
「ありがとうございます」
と丁寧に頭を下げ席に座った。席を譲ったおばちゃんは
「いえいえ、この方が教えてくださったんです。こちらの方にお礼を」
と兄ちゃんをたたえ、兄ちゃんは少し恥ずかしそうだった。
なんとも心温まる光景だった。その後おばちゃんと雑談している兄ちゃんに
「いいことしましたね」
と思い切って声をかけてみた。
すると兄ちゃんは恥ずかしそうに笑いながらつぶやくような声で、しかし確実におっさん3人に聞こえるような声でこういった
「いや、あなたが一生懸命訴えてるのに気付いているのに、こっちの座席の人たちは誰も席譲るつもりがなさそうでしたから」
と言ってのけた。
おっさんらは相変わらず気付いてないふりしてたが相当恥ずかしかったろう。
その兄ちゃんがやったことが正解かどうかわわからんけど、オレもこれからはもう少し勇気を持とうと思った。

駄文失礼しました。



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