キャバ嬢を愛して3
2009/11/07 11:32 登録: えっちな名無しさん
俺が心を決めてしまえば、離婚にはほとんど障害がありませんでした。
唯一、離婚後に生まれてくる子が戸籍上「俺の子」となるという点だけが面倒でしたが、
現行の法律ではどうしようもないことなので、気にしないことにしました。
「Eちゃん、『エンジェル』行くよ。今日は付き合えよなぁ?」
2月に入ってすぐ、ようやく仕事のペースが落ち着いてきた頃、
上司の「たーちゃん」こと田上さんに『春菜』の店に誘われました。
わざとらしい笑顔が「今日は逃がさないからな」と、言外に語っています。
仕事と離婚問題で忙しいという理由で、
しばらく田上さんの誘いを断り続けていましたが、それ以外に『春菜』のところに通うのに抵抗があったのも事実です。
千佳は本当に『春菜』の客でない俺と、付き合いを続けてくれるのか。
この時点ではまだ確信が持てませんでした。
彼女が俺の気持ちがどれぐらい本当なのか知りたがったように、
俺も彼女の気持ちを計りたかったんです。
だから、『斉藤千佳』と知り合って以来、『春菜』には逢っていませんでした。
千佳とは週に1〜2度のペースで逢い、酒を呑んでいました。
でも、毎回、別れ際にキスする程度で、いまだに抱くことはおろか、
あれ以来一緒に寝ることもありません。
千佳も俺も仕事が忙しく、逢うのが夜9時過ぎ、バーに行って酒を飲み、終電で帰る、というのがいつものパターンになっていました。
もしかすると、「抱きたい」という気持ちを伝えれば、彼女はOKしたのかもしれません。
しかし前回、10歳も年下の彼女に思いっきり甘えてしまったことで、どうにも誘いにくいな、
という気持ちが自分のなかにあったんです。
それに、ただ一緒に呑んでいるだけで十分に楽しかったので、あまり焦りもありませんでした。
久々に行った『エンジェル』はかなり混んでいました。
『春菜』は他の指名客に付いていたため、最初、俺の隣にはヘルプの女の子が座りました。
これまで何度もあった、ごくごく当然のシチュエーションですが、やっぱり今日は妙に胸がざわざわします。
田上さんご指名の京香さんも忙しいらしく、もうひとり別の女の子が付きました。
指名客が重なった場合、店はできるだけ客同士の席がブラインドになるような配置にします。
京香さんぐらいの売れっ子になると、あちこちに席を持つことになるので、完全ブラインドは不可能ですが、
そこまで指名が重なることのない『春菜』の場合、接客中の姿を垣間見ることは稀です。
『春菜』はどんなやつに指名されて、どんな話をしているのだろう……。
これまで、そんなこと気にしたこともなかったのに、今日はやたらと落ち着きません。
好きになった女はキャバ嬢なんだなと、嫌でも再認識させられました。
「たーちゃん、Eさん、おひさしぶり〜!」
ようやく黄色いドレス姿の『春菜』が席にやってきました。
「春菜ちゃん、ご無沙汰! あいかわらず綺麗だねえ〜」
ヘルプの女の子がイマイチだったこともあってか、
田上さんがはしゃいで『春菜』を迎えます。
俺は、どうも、と軽く頭を下げる程度のご挨拶。不思議なくらい緊張しています。
「あら、Eさんは元気ないのね。お疲れ?」
「ちょっとね……」
「久々に逢うんだから、もっと嬉しそうにしてよね〜」
と『春菜』。
白々しい、昨日一緒に呑んだばっかりじゃん、と思いつつも、ここは『春菜』に合わせます。
その後も、平静を装いながらも、なんとなくギクシャクした会話が続きます。
俺と千佳、ではない、俺という「客」と『春菜』の会話です。
田上さんの席にやっと京香さんが付き、ほっと一息。
「たーちゃん」が京香さんとの会話に没頭している隙に、『春菜』はちょこっとだけ千佳に戻りました。
「お店、来なくていいのに」
「いや、田上さんのお付き合いだし。あんまり断ってばっかりいられないよ」
「そっかー。お仕事だもんね。でも、本当はあんまり来て欲しくないんだよね……」
「ん? そんなもんなの?」
「そりゃそうよ。『春菜』は客なら誰にでもいい顔するから……見られたくないし」
「ん。……俺もあんまり見たくない」
『春菜』と千佳は同じようでまったく違う存在。
彼女はきっちりと使い分けているようです。
よくそんなことができるなあ、と、ちょっと不信感も芽生えてきます。
俺はどこまでが俺で、どこからが「客の俺」なのか、
まったくわからなくなり始めているというのに。
1回延長し、11時過ぎに『エンジェル』を出ました。
帰り道、上機嫌のたーさんと立ち食いそばを悔いつつ、
馬鹿話に花を咲かせていると、『春菜』からのメールが着信しました。
「はるなでーす。今日はありがとう。今日、店終わったあとちょこっと呑める?」
まだ営業中ですから、千佳もまだ『春菜』状態のようです。
店が終わるのは午前2時。まだ2時間以上もありますが、OKのメールを送り、
ふた駅ほど離れたところにあるファミレスで待ち合わせすることにしました。
「ごめんね、遅くなっちゃった〜」
2時50分、7杯目のコーヒーを飲み干す前に、千佳がやってきました。
「終礼が長引いちゃってさ。あーお腹へったあ」
パスタとアイスティを注文し、ようやくひとごこち、といった風に、椅子に深く座り直しました。
「今日はありがとね」
「ん。久しぶりに逢ったよね、『春菜』さん。やっぱり千佳とはちょっと違うんだね」
「そうねー。基本は同じなんだけど……やっぱり同じじゃないよね」
「ちょっと、とまどっちゃったよ。完璧に演じ分けてるから」
「そう? ……嫌だった?」
「嫌っていうか……すごいなあ、って……」
千佳は困ったような顔になりました。
「……言いたいことはわかるよ。でも、仕事だから。Eさんだって仕事場では今とおんなじじゃないでしょ? 取引先の人の前では素で対応しないでしょ?」
「そりゃまあそうだな」
「わかって欲しいのはそれだけ。
Eさんは今日、私の職場に来たの。
そこがキャバクラっていう場だからいろいろ考えると思うけど…
…仕事なのよね、どこまでいっても」
「なるほどねえ……」
彼女の言葉には一理ありました。納得できるかどうかともかく。
「キャバだとさ、源氏名があるから、パーソナルを完全に分断しやすいのよね。
そこが普通の仕事と大きく違うところかなあ。
今は『春菜』だから、今は千佳だから、って、そう思うことでより割り切ることができる。
というか、割り切れないと続けてられないかもなあ」
ストローでカラカラと氷をもてあそびながら、千佳は吐き出すようにいいいました。
「夜の仕事、もうちょっとやめられないんだ」
「そう……」
「ごめんね。嫌かもしれないけど」
「うん……」
「それでもよかったら……」
その続きを待ちましたが、千佳は黙ったままでした。
その時は詳しく理由を聞く気にはなれませんでしたが、千佳が『春菜』でいるのには、大きな理由がありました。
それを知ったのはもっと後のことです。
正直なところ、千佳ではなく『春菜』だったとしても、
店で別の男相手に愉しそうに呑むのは嫌でたまりませんでした。
でも、ありのままの彼女を受け入れようと、俺は決めました。
「わかった。それでいいから、俺と正式に付き合ってくれ」
「……うん。こちらこそよろしくお願いします」
千佳はそういって恥ずかしそうに笑いました。
いつも明るく笑う千佳が見せた珍しい笑顔です。
「それでね……Eさん、お願いがあるの」
「ん? なに?」
「あのね……」
「なになに? 抱いてほしいんならそういいなよ」
俺は場の雰囲気を変えようと、軽口を叩いたつもりでした。
しかし、意に反して千佳は俯いてしまいました。
そして、小さな声で
「だいてほしいです」
と言いました。
見慣れたキッチン。
いつもの大きなダイニングテーブル。
なのにいつもとまったく異なる雰囲気。
ついこないだまで、妻と俺だけの空間だった「そこ」に、千佳がいます。
「ほれ、コーヒー」
濃いめのインスタントコーヒーをサーブすると
「コーヒー苦手」
と、千佳が肩をすくめました。
「……あとは牛乳しかないぞ」
「ん。それでいい」
仕方なく冷蔵庫を開け、牛乳のパックを取り出しました。
「私ね、子どもの頃から背が低くてさ。
胸も……。だから、すごくいっぱい牛乳飲んだんだ。効果なかったけどね」
「みたいだな」
千佳は身長155センチぐらい。
普段は10センチのヒールを履いているので、あまり気にしたことはありませんでしたが、裸足なるとにたしかに小さく感じます。
必要以上に背中を丸め、小さくなって牛乳を飲む姿は、幼い子どものようです。
普段、姉御肌で明るく余裕たっぷりな雰囲気を纏っている千佳はどこへやら。
キョロキョロと、せわしなく俺の部屋を眺めています。
「奥さん、出ていったんだね」
「5日前にね」
「そっか。本当にバツイチになったんだね」
「嘘付いてどうする?」
「……」
どうにも会話が弾みません。
お互い緊張しすぎなのが手に取るようにわかります。
「あの……シャワー借りていい?」
「ああ。そこ。タオルとかは用意しとくから浴びてこいよ」
「うん……」
そそくさ、という表現がぴったりの挙動で、
千佳はバスルームへと消えていきました。
俺はため息をひとつ付いてから、バスタオルとパジャマ、ヘアドライヤーを用意して、脱衣所兼洗面所の方へ向かいまし
た。
勝手知ったる我が家のバスルームから響くシャワーの水音。
それを使っているのは妻ではない女。
そんなシチュエーションに、俺は情けないぐらい興奮していました。
「ここにタオルとパジャマ置いとくからな〜」
シャワーの音の切れ間に、ドア越しに声を掛けます。
「はーい」
と、帰ってくる声は、さっきに比べちょっと明るくなっていました。
「なあ?」
「んー?」
「一緒に入っていい?」
「やだ」
即答……。千佳の拒絶にはいつも迷いがありません。
たぶん、迷うぐらいならOKなんでしょう。
ふと、脱衣籠にたたんで置かれた千佳の服が目にとまりました。
黒のブラウスにスリムなジーンズ。
その下から、水色の下着がちらりと顔を覗かせています。
思わずそれに手が伸びてしまいました。
これまで俺は、下着そのものに興味を持ったことはありませんでした。
下着は女性が身につけてこそ素晴らしいもので、
それを脱がすことにこそ興奮を覚えても、脱ぎ終わったあとの下着は「ただの布」。
そんな風に思っていました。
それだけに千佳の下着に手を伸ばしている自分が、どうにも理解できません。
俺ってそんなに変態だったっけ?
再び響き始めたシャワーの音にほっとしながら、俺はついに水色のパンティを手にとってしまいました。
控えめにフリルで装飾された、シンプルな下着でした。
臭いをかぐ、かぶる、舐める。
いろんな選択肢が脳裏をよぎりましたが、結局、なにもできないまま、パンティを元の場所に戻し、洗面所をあとにしました。
なんというか、普通じゃない自分に気が付いて、パニックに陥ってしまったみたいです。
なにをどうしていいのやら、さっぱりわからない状態です。
なんだろう、これ。童貞じゃあるまいし。
しかたなく、秘蔵のバーボンとショットグラスを持ち出すと、一気に2杯、ストレートで呷ります。
カッっと喉が焼け、食道が熱を帯びる感覚が、とても心地いい……。
ふと、壁の時計に目をやると、5時を少し回ったところでした。
……そういえば、今日も仕事なんだよなあ。
と、ちょっと現実に引き戻されるとともに、だんだん冷静になってきました。
あまり呑みすぎると仕事に差し障るな。
洗面所の方から聞こえるドライヤーの音を聞きつつ、ちびちびとバーボンを舐めて千佳を待ちます。
かなり冷静さを取り戻したとはいえ、これから千佳を抱くのだと思うと、やはり股間ははち切れんばかりです。
ドライヤーの音が止み、ぶかぶかのパジャマを着た千佳が姿を現したとき、冷静になったはずの俺の理性は完全にぶっとんでいました。
「パジャマ、Eさんのなんだねー。奥さんのかと思ってどきどきした」
「奥さんのって……そんなの着せられるかよ」
「あはは。そりゃそうか」
にっこりと笑う千佳。もうだめです。
俺は立ち上がると、大股で千佳に歩み寄りました。
「Eさんもシャワー……」
そういう千佳の口を、唇で強引にふさぎました。
「ん……」
俺は舌を伸ばし、千佳の歯を舐め、さらにその奥へと舌を進めます。
千佳もそれに応えるように舌を絡ませてきました。
これがはじめてのディープキスでした。
唇を離し、ぎゅっと千佳を抱きしめます。細い首、細い肩、細い腰。
なにもかもがほっそりとした千佳の身体を全身で感じました。
「んん。Eさん欲情しすぎ!」
「しかたないだろ」
そういいながら、今度は耳たぶへと舌を向け、ゆっくりと舐めました。
「……っ」
千佳の声にならない声が漏れました。
「千佳……大好きだよ」
耳元で囁くと、そのまま耳たぶを甘咬みします。
「あ、あたしも……」
千佳も俺を抱きしめてくれました。
「あたしも大好き……」
耳から頬、頬から顎、そして首筋へと舌を這わせて、
パジャマの上から強く腰を抱きました。
「あん……」
甘い声とは裏腹に、千佳の身体がこわばっているのがわかります。
片手で形のいいお尻をなでると、千佳はびくっと反応しました。
張りのあるお尻の感触を楽しんだあと、手をゆっくりと上方へ……
パジャマの上着の中に入れ、背筋をやさしく愛撫します。
舌はパジャマの襟元をかき分け鎖骨へと到達していました。
「んん」
声に艶が増しましたが、やはり身体はこわばったままです。
「なんか、恥ずかしいよ。こんな明るいところじゃ」
「そう?」
「……うん。あの、私、実はセックスって苦手なの」
「苦手?」
そういいながらも、俺は攻める手を緩めません。背中から脇に、そして、胸へ。
小さな乳房を手のひらで包んだとき、千佳はまたびくっとして、身体を離そうとしましたが、俺は腰を抱いている方の手に力を込め、それを許しませんでした。
「胸、小さいし、身体に自信ないし。……ね、お布団に行こう」
性欲はノンストップ状態でしたが、無理矢理というのも気が引けます。
「わかった」
といって、身体を離すと、さっと千佳をお姫様抱っこしました。
とても軽くて華奢な身体でした。
愛おしさと性欲とが再び高まって、俺は早足で寝室へと千佳を連れ去り、ベッドの上にそっと降ろしました。
そして、すかさず千佳に覆い被さり、キスをしました。
千佳もそれに応えます。
そのまま素早くパジャマのボタンを外し、ささやかな胸へとむしゃぶりつきました。
「ん……胸、はずかしい」
「どうして? 小さいの、俺好きだけど」
「小さい上に乳首が、ね」
「これ?」
そういって、胸の頂上にあるくぼみに舌を這わせます。
「んはあ」
明らかにいままでとはテンションの異なる声でした。
隠れた乳首を掘り出すように唇と舌を使い、もう片方の、やはり埋もれている乳首を、優しい指使いで刺激を与えると、千佳はくねるように悶えました。
「ああ……ごめんね、変なおっぱいで……」
「敏感でいい乳首じゃん?」
「馬鹿……はあん」
たぶん、千佳は胸に対して大きなコンプレックスがあったのでしょう。
そう思うと、ますます愛おしさが増し、乳首を攻める舌と手に熱がこもります。
「ああん……はあぁ」
しつこく、乳首を攻め続ける俺の頭を、千佳は控えめながらも確実に快感に反応しながら、優しく抱きしめてくれました。
「Eさん……きもち……い……」
俺も気持ちよくなりたい。
もっともっと胸で感じさせてあげたいという思いもありましたが、
本能がその先をせかします。
舌で乳首を攻めたまま、手は胸から離れ、細い腰へと移り、
そのままパジャマのズボンへと潜り込みました。
下着は着けていましたが、それが先ほど見たパンティだと思うと、
いやが上にも興奮が増します。
俺ってやっぱり変態かもしれないな、などと思いつつ、腰骨をなで、そのまま太ももへと手を下ろしていきました。
足も、細い。といっても柔らかい肉はしっかりと付いています。それでいて十分に細い太ももでした。
「ああ……ん」
ゆっくりと太ももをなでつつ、付け根の方へと指を進めていきます。
そしてたどりついた秘密の場所。
下着の上から、軽く押すと、それだけで十分に濡れているのがわかります。
「すごく、濡れてる」
思わず言葉にしてしまいました。
「……馬鹿。きもちいいんだから当然でしょ」
平静を装った声色でした。
「でも、エッチ嫌いなんじゃないの?」
ちょっと意地悪に言って、下着の上から秘裂をなぞります。
「あはあ……嫌いじゃないよエッチ……ちょっとセックスが苦手なだけ」
「苦手、ね」
いよいよ、下着の脇から指を滑り込ませます。そこは、びしょびしょ、としか表現できないぐらい、とてつもなく濡れていました。
「はぁ……ん」
ひときわ高い千佳の艶声を合図に……そこからはもう、本能のなすがままでした。
前戯もなにもかもふっとび、下着ごとズボンを脱がすと、熱くなった千佳の中へと入っていきました。
俺はきっと、獣のようだったと思います。
年齢なりに女性経験もありましたが、これほど本能にまかせて女性を抱いたのは、セックスを覚えたてだった高校生の頃以来のことでした。
あまりにも魅力的な千佳という存在。
それだけで理性を飛ばすのに十分すぎるというのに、他にもいくつも我を忘れさせるような要素が重なりすぎました。
抱いて欲しいという、急な告白。
見てしまった下着。
意外な千佳の羞恥。
そして、ついこないだまで妻を抱いていたベッドで、千佳を抱くという倒錯感。
きっと、童貞のように、雑で乱暴で稚拙なセックスだったと思います。
熱く柔らかく、俺に優しくからみつく千佳の膣壁が生み出す快感に溺れ、
テクニックもなにもなく、ただ、もっと奥に、もっと千佳の奥に入りたい、
もっと千佳を感じたいという思いだけに囚われて、
俺はやみくもに激しい抽送を繰り返しただけでした。
ただ、頭の中が真っ白になるほどの強烈な快感に打ち震えながらも、最後の最後、膣外に射精するだけの理性が残っていたことの方が奇跡のように思えます。
「……意外と乱暴者なんだね、なーんか全身筋肉痛になりそ」
抱き合いながらまどろんでいる俺に、千佳が意地悪な視線で言いました。
「ごめん……夢中だった」
「あはは。いいってことよ」
そういって、千佳は俺の胸に顔を埋めます。
ふと、サイドボードの上の時計に目をやると、午前7時を回っていました。
「なんかこのまま寝ていたいなあ」
「……仕事、行かないとね」
「千佳も仕事?」
「もちろん」
そういって、起きあがります。俺も上半身を起こし、背中から千佳を抱きしめました。
「ん、けっこうしあわせかも」
「かも、ってなんだよ、かもって」
そう言いながら、胸に手を這わせると、千佳の遠慮がちな乳首に刺激を与えます。
「ん……ダメ……」
「ちょっとだけ」
「……Eさん、乳首ばっかり攻めるから、ちょっと痛い」
「あ。すまん」
そそくさと手を引っ込めます。
パジャマの上着の乱れを直し、絡まった長い髪を、手櫛で整える千佳。
差し込む弱い朝陽に浮かぶその姿は本当に綺麗で、でもどこかしら頼りなげで不安を煽るような、そんな雰囲気に満ちていました。
「でも、きもちよかった。5年ぶりのエッチだったの」
「へえ、ご無沙汰だったんすね?」
けだるい雰囲気を変えようと、わざと軽い口調で受けました。
「うん……。ひさしぶり。あまりにひさしぶりでどうしていいかさっぱりわかんなかった」
「セックス、苦手らしいしな」
「あはは、そう、苦手。あんまりいいセックスしてこなかったからねー」
「悪いセックスって、どんなんだ?」
とたんに千佳の顔から、はにかんだような笑顔が消えました。
「さて、シャワー借りるね」
そういって、立ち上がると、俺に背を向けてしまいました。
俺、なんかヤバいこと聞いちゃったかな……。
硬直した雰囲気を感じたのか、千佳はくるっと振り返ると、にっこりと笑って……それからキスをしてくれました。
「セックス、苦手だけど……抱いてもらって、本当によかった」
そういうと、小走りにバスルームへと向かいました。
なんだ、俺。また、千佳に助けてもらっちゃったのか……。
知り合ってまだ3ヵ月とちょっと。
『春菜』と、そして千佳と。
それなりの時間を掛けて、いろいろ話をしてきたとは思いますが、まだまだ俺の知らない千佳がたくさん隠れているようです。
出典:萌えちゃんねる
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