家出ネコを拾ったんだが

2009/11/21 22:42 登録: えっちな名無しさん

34歳の秋、クライアントからの久しぶりの苦情で仕事が増えたある日
残業でヘトヘトになり何時もでは考えられない時間に帰路につき
途中のコンビニで晩飯選んでいると

「きゃっ!」ガタッ!!
大声が聞こえて店に居た僕も含め全員がそっちの方を見ると
こんな時間だというのに中〜高位のショートヘアの女の子が大き目のカバンと一緒にひっくり返っていた。
しかも買おうとしていた弁当を見事に床にぶちまけてしまっていた。
店の人間がバックヤードから飛び出してきて
「大丈夫ですか?」と心配する中
「大丈夫です・・すみません・・弁償します・・」と謝っている

女の子は平謝りして弁当の代金を払うとその弁当をもって店を出て行った。
そのあと僕も買い物を済ませ
自宅マンション近くの公園の前を通ると
丁度公園の照明の下でさっきの女の子がさっきひっくり返して弁償した弁当を食べていた。
こんな時間にしかも女の子が一人で
ひっくり返した弁当を食べているという状況に違和感を覚えて
何となく遠めで見てるとなんか女の子はしきりに目をゴシゴシしてるように見えた。

(もしかして泣いてる?)
なんだかイヨイヨ心配になった僕は声をかけてみることにした。
「君どうしたの?」
女の子は急に暗がりから声をかけた僕にビックリした。
「さっきコンビニに居た子だよね?こんな夜遅くこんな所でご飯食べてるってどうしたの?」

「いえ・・なんでもありません・・家直ぐ近くですから・・・」
女の子は僕を警戒したように言う
「いや、君この辺の子じゃないでしょ、ここ夜遅いと痴漢とか出るから早く家に帰ったほうがいいよ」
「いいから、ほっといてください!人を呼びますよ!」

とぼける彼女にこれ以上食い下がっても仕方が無いと思い
僕は一端その場を離れた。
コンビニに引き返して適当に飲み物とサンドイッチなどを買って再び公園にいくと
まだ彼女はベンチに座っていた。
「ほれ」
僕はそういうと彼女にサンドイッチと飲み物を渡す。
「えっ・・・」
サンドイッチと飲み物の入った袋をわたされた彼女はビックリしていた。

「腹減ってるんじゃないか?」
最初は素直に受け取ってくれないんじゃないかと思っていたが
僕がそういうと「ありがとうございます・・」と意外に素直に受け取り
バクバクと食べ始めた。
その様子から相当お腹が減っていたようだ

「家出?」
「・・・・・・・・」
食べ終わって飲み物を口にする彼女に聞いてみる
「そんなにお腹減っても家に帰らないって事は、ここで家に帰れって言っても無駄っぽいね」
「・・・・・・・」
「どういう事情か解らないけどお金も無いみたいだし、ここ夜は本当危ないからうちにくるか?」
「私そういうのじゃ有りませんから」
彼女はいやにきっぱりという
そういうのじゃない・・ああ・・そういうことね
「いや、別に下心があって言うわけじゃないよ、ココは本当に痴漢が多いんだ、アレ見てみ」
僕が指差した先には痴漢注意の看板が建っていた。
ココ最近不審者が多くてこないだ設置されたばかりだった。

「信用してくれないなら仕方ないけど・・おじさんの妹がね昔、家出してね犯罪に巻き込まれてね、見てしまった以上君をココにほっときたくないんだ」
コレは本当の事だった、昔妹が家庭の事情で家出してアッチコッチをうろつき
その挙句レイプやらなにやらと酷い目にあったことが有る
幸い今は立派に成人して結婚もして子供もいるが当時は酷い有様だった。
公園で一人ぽつんとひっくり返してた弁当を食べる彼女を見て
当時の妹を思い出したのだと思う

「何もしない?」
一端に警戒する彼女に思わず吹き出してしまう
「なまいきw子供に手を出す気は無いよw」
普通の男なら全然ストライクゾーンなのかもしれないが
当時の妹とダブった時点で僕の中ではそういう対象ではなかった。

「とにかく、色々な事情は今は良いからおいで」
僕はそういうと無理強いはせず付いて来ることだけ期待して道路に歩いていく
そうすると後ろから彼女がトボトボと付いてきた。
僕の家は直ぐ近くだ
「おじさんの家ココ」
彼女を連れて玄関に入りエレベーターで自宅階へ扉を開けて彼女を招き入れる
「ちょっと散らかってるけど・・・・・」
彼女をリビングに通す。
「適当にくつろいでていいから、まだお腹すいてるなら冷蔵庫に入ってるものなら何でも食っていいし」
僕はそれだけいうとキョロキョロしてる彼女をほっといてシャワーを浴びる
体をふいて部屋着に着替えてリビングに戻るとよっぽど疲れていたのか
名前も知らない彼女はソファーで既に眠っていた。

リビングのエアコンをセットして押入れから出した綺麗な毛布を被せてやる
手荷物には何か身元がわかるものが無いかと思ったが
勝手に中身をみて信用が損なわれると何処かへ行ってしまうという不安から
そのままふれずに置いた。

僕も夜遅くまで働いた疲れから限界に来ていたので
自分の寝室に戻って目覚ましをセットして眠った。

翌朝目を覚ましてリビングに顔を出すと彼女はまだリビングで眠っていた。
よっぽど疲れていたのかもしれない
僕は出来るだけ音を立てないように朝食の準備をはじめ
一人になってからこの方ロクにつかっていないお風呂も久しぶりに沸かした。

そうこうしてると朝飯の仕度の音に気がついたのか彼女が目を覚ました。
「おはようございます・・・」
「おはよう」
「廊下の突き当たり、お風呂沸いてるから入ってきな、着替えもってるよね?」
「はい・・」
僕がそういうと彼女は素直に従ってお風呂場の方へ行く
僕が朝食を食べながら朝のニュース番組を見ていると
さっぱり着替えを済ませた彼女がリビングへ戻ってきた。
「奥さんは居ないんですか?」
「うん・・今は居ないw」
彼女がこう聞いたのは無理も無い、男一人が住むには明らかに不自然なマンションだ
それに風呂場には女性用のボディソープやらシャンプーリンスも置いたままだ
「そうですか」
なんか、そういうことか・・・みたいな顔をする彼女
「さあ、朝飯どうぞwあんまり美味くないかもしれないけどさ」
「ありがとうございます・・」
彼女は、僕の態度にいま一つ釈然としないのかクビをかしげながら席に付き
トーストにマーガリンをつけて食べだす。
「じゃあ、俺は今から仕事だから」
「はい・・食べたら直ぐに出て行きます・・・」
僕の言葉を聞くと皿に目を落としていいます。
「いや、そうじゃない」
「?」
「僕はコレから仕事で19時には帰るから、ソレまでは恩返しのつもりで家の掃除とか洗濯よろしく」
「は?」
「こらこら、最近の若いもんは恩返しも知らんのか?」
「そっちが勝手に・・・ブツブツ」
僕の一方的な言い分に今風に不満タラタラな彼女に可笑しくなる
「まあ、ただとは言わんよw確り家事をやってくれてたらバイト代をだすよ」
「家に帰るにも帰らないにもお金は必要だろ?」
「悪い話じゃないと思うけど?」
僕がそういうと「はあ・・そうですね・・」
「家に有るものは自由に使っていいから、暇ならそこにTVゲームも有るし、漫画も小説も好みが合うかわからないけど自由に読んで良いよ」

僕はそういうと合鍵と昼飯代にとりあえず千円をわたして出社した。

仕事を片付け家に戻ると
久しぶりに自宅の窓が明るいことにホッとした。
「おー片付いてる片付いてる!」
僕はそういうと一日真面目に片づけをした彼女を誉めた。
「お、おかえりなさい・・」
自分がソレを言って良いのか迷うよな感じで彼女が出迎えてくれた。
「お、なんかいい匂いするな!」
「・・あんまり美味くないかもしんないけど」
朝と違い妙にしおらしい彼女に違和感を覚えつつも
2人でカレーを食べる
「もしかしてコレ朝わたした千円でつくったの?」
「漫画とか小説とか面白くないから・・暇だったんで・・近くのコンビニでかってきた・・」
「ははwやっぱゴルゴ13とかわかんないかw・・」

2人で食べ終えた後、僕はシャワーを浴びる
その後色々聞けるかなと思っていた。
リビングで彼女を座らせて話を聞くことにした。
色々渋る彼女を説得してなんとか話を聞きだした。
名前は、真琴 高校1年生で隣の県から家出してきたらしい
家での理由は母親の再婚でできた新しい父親とそりが合わないとか
新しく弟が出来てその弟が自分より成績が良かったりして不登校になり
母親が何かとその弟におべっかを使うために家に自分の居場所が無いという事だった。
家出の理由まで妹に少しにていた。

「あの・・約束のお金ですけど・・」
「あ、そうそうバイト代ね!」
僕が慌てて財布を取り出そうとすると
「いや・・・・あの・・バイト代要らないからココに居ても良いですか?」
この一言がでてきて内心ホッとする
「構わないけど・・その代わり家事とかはしてもらうけどいいかい?」
あえてココで無条件で居させるような事はしない
「それと、有る程度落ち着いたら家に連絡だけはする事 OK?」
「・・・・・・・・・わかりました・・」

「じゃあまあという事でしばらくよろしく」そういうと握手する
「はあ・・おねがいします・・」

「じゃあ、君にも部屋が必要だな」
僕はそういうと今までずっと物置代わりだった部屋の荷物を片付けて彼女の部屋にした。
「ここ好きに使っていいし、必要なものは持ち込んで良いから」

僕がそういうと
自分用の布団を持った彼女が感慨深そうに何も無いその部屋を見つめつつ言う

「自分の部屋・・初めてかも・・」


次の日は休みだったので2人でとうぶん必要なものを買うためにナ○コへ行くことにして
お休みを言って別々の部屋で寝た。
よるかすかに真琴が泣いているような声が聞こえたがあえて気づかないふりをして寝た。

翌朝起きるとすでに真琴が起きていて目玉焼きとトーストを作っていた。
少し薄汚れてた初日と違い今日はしっかり洗濯した綺麗な服をきていて
ニコニコ明るかった。
「おはよ」
「おはよう・・・」
昨日までの彼女と違うテンションに面食らいつつ挨拶する
「今日は休み?なにするの」
「ん、なんか必要なものないかい?あったらナ○コ行くけど」
「買い物!?いくいく!」
買い物へ行くと聞いてテンションが真琴あがる

すっかりテンションがあがった真琴に急かされるように準備して
2人でナ○コへ買い物に
途中僕の腕を掴んであっちこっち引っ張りまわす真琴

「おじさん久しぶりに女の子とデートしてうれしいんじゃん?」
お昼にレストランで食事をしているとすっかり上機嫌の真琴が
目をクリクリしながら聞いてくる
「バ・カ・タ・レwお前は年の離れた妹みたいなもんだw」
正直結構楽しい気分だった・・こんな事は本当に久しぶりだったからだ

家には大抵のものがあったがそれでも2人で兼用できそうに無いものは
買い集め帰る事にした。
「あのさ・・こんなに買ってもらっていいの?」
「いいよwその分きっちり働いて返してもらうさw」
「げぇ・・」
そうはいいつつもこうしておけば何時までも目の届く範囲に
真琴を置いて置けると思っていた。

その夜、2人で大騒ぎしながらスーパーで買ってきた食材で鳥団子鍋を作り
真琴の歓迎会という事で食べ
僕は真琴にお酌をしてもらい弱いくせにビールを飲んでほろ酔いになっていた。

食事のあと交互に風呂に入り、その後は2人でTVをみる
真琴はその辺からやたらと僕にくっ付いてきて
寂しかったのかと思い僕も別段なんとも思わずそうしていたが
寝る時間が近づいてくると真琴がそわそわしだす。

「よし・・こんな時間か・・そろそろ俺は寝るよ」
「うん・・お休み・・・」
僕はお休みを言うと自分の部屋に戻り電気を消してベットに入ると
直ぐに眠気が襲ってきた。
その時扉をノックする音がする
「ん、なんだ?」
僕が扉を開けると昼間に買ってあげたパジャマに着替えた真琴が枕をもって立っていた。
「あのさ・・ねむれないんだ・・一人だと・・」
「もう、そういう歳でも無いだろ?」
「だめ?」
「・・・・・・・・・・」
ダメだったが眠いしだるいしで仕方なく真琴を自分のベットに招き入れる
布団の中で真琴が変に寄り添ってくる
「おい寝にくいぞ・・」
「いいよ・・おじさん・・・」
「?」
「なにが?」
「おじさん・・・・奥さんと離婚したんでしょ?・・私ここにずっと居られるなら・・・・・しても良いよ・・」
「何バカなこと言ってんだよ・・・寝るぞ・・」
「私・・・そんなに魅力ない?」
「私誰からも必要とされて無いのかな・・・」

僕はその台詞を聞いて頭に来てガバットおきだす。
「えっ・・?!」
ビックリする真琴の腕を引っ張って寝室をでて客間に引きづいていく
「ちょ!痛いよ!!」
抵抗する真琴
「いいから来い!!」
「ひっ・・・」
僕にぶっ飛ばされると思ったのか思わず手で頭を覆う

「みろ!」
「え?」
僕は客間の仏壇を開く・・・およそ4年ぶりに開いた仏壇を真琴が見る
そこにはあの時と同じ顔であいつが・・妻が笑っていた。
「この人・・・」
「俺の嫁だ」
「えっ・・離婚じゃ・・」
「俺はそんな事一言も言ってない」

妻とは大学時代に知り合い25歳で結婚した・・
お互い忙しくて中々子供を作るチャンスに恵まれなかった。
30になってお互い余裕が出来てやっと子供をという時だった。
交通事故だった・・・出勤途中の交差点で脇見運転のダンプにはねられた
即死だった。

「俺の女は今でもコイツだけだ!一人もんだからってバカにするな!」
「・・・・・ごめんなさい・・・」
「寂しいなら一緒に寝るのはいい、何もしないのはお前に魅力が無いわけじゃない!」
「お前をこの家に置いてるのはお前に俺の妹みたいな目にあってほしくないからだ!」
「今でこそ妹は立ち直ったが、あの頃の自分を今でも死ぬほど後悔してる、俺も何も出来なかった自分に死ぬほど後悔してる!、もうそういうのは二度とごめんなんだ!」
「この家に居たいなら何時までも居てもいい!でも、自分を大事にしない奴の居場所なんてこの世の中の何処にもない事は絶対に忘れるな!!」

シクシク泣く真琴を抱き上げて寝室に連れて行き寝かせると
真琴に背を向けて自分も寝ることにした。
「ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
その後も暫く真琴は僕の背中でシクシク泣いていたようだった。

朝目を覚ますとベットに真琴の姿がなかった。
はっとなって起きリビングに走ると真琴がキッチンで料理をしていた。
「おはよ・・」
決まりが悪そうにまだ赤い目をそらして挨拶する真琴
「うん・・・」
真琴がまだ居た事にホッとする自分
なんともお互いきまづい気持ちのまま朝食を取る

「じゃあ、行って来るよ」
「うん・・」
まだ昨日の晩の事を気に病んでいるのか真琴に元気が無い
「真琴」
「?」
「仕事が終わったら外で待ち合わせだ」
「?」
「家に居るなら連絡するために携帯電話くらい必要だろ」
「えっ・・でも・・」
真琴は今時珍しく携帯を持っていなかった。
「気にすんな、もっともあくまでも緊急連絡用であって無駄使いされたらたまらんけどなw」
「うん・・」

仕事が終わって2人で携帯電話を契約に行く
シンプルな携帯を選び格安プランで契約して真琴にわたす。
「ほら・・今時の流行じゃないかもしれんが・・」
「ううん・・」
真琴は僕から携帯を大事そうに受け取るとその日やっと少し笑った。

その後2人で食事をして家に戻った。
その日から携帯で毎日色々な事を連絡しあった。
帰る時間 夕飯の献立 色々だ
家族のように過ごした。
喧嘩もした
勉強をみてあげたりもした。
僕の仕事に興味を持ってくれて僕のような仕事に就くためには勉強も必要だと教えた。

それから2ヶ月して
いつものように朝食のあと
「明日家にかえる・・・送ってくれる?」と言った。
「うん」
ついにその日が来たと思った。
寂しいような嬉しいような複雑な気分だった。

2人で電車に乗り彼女の自宅まで歩いた。
真琴は自宅の近くで立ちどまり僕を見て言う
「また遊びにいっていい?」
「遊びに?もうお前は俺の家族だと思ってるよw気兼ねせずにいつでも来いw」
「携帯貰っていい?」
「ああ、無駄使いはこまるぞ?」
「大丈夫・・自分でバイトして払うから・・・」
「それは感心だけど勉強はちゃんとしろよ」
「うん・・」

「あの・・待ってるから・・・」
「待ってるから?」
意味が解らなくて聞き返す。
「私の事ちゃんと女の子としてみてくれるまで私頑張るから」
「おいおいw」と、はぐらかそうとしたら
「私本気だから!」
そうさえぎられた。
「・・・・・・・わかったよwあいつを忘れさせられるくらいいい女になってたら貰ってやるよw」
「ないそれ・・すっごい上から目線なんだけど・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「ふっ・・・w」
「はははw」
「ふふふふw」

「じゃあね!」
「ああまたな!」
そういうと彼女は荷物を抱えて足早に自宅に帰っていた。

その後結構早く彼女の夢は叶う事になり3人で幸せに暮らす事になる
終わり

出典:あっ・・エロがない・・・ごめん
リンク:確り

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