ボディペインティング
2009/12/20 15:27 登録: えっちな名無しさん
長野日報社説(2009/12/20)
もう20年も前になる。駆け出しのころ、取材でよく通っていた私立幼稚園に久しぶりに行く機会があった。少し古くなったが、変わらない木造校舎の階段を踏みしめる。少し年を取ったが、今は副園長になった当時と同じ人に会う。一瞬、時の経過を忘れ、何も変わっていないように思える。
当然、昔話になる。そのころ。副園長も知っているある保育園の園長に呼び出された。忙しくて園を訪問できず、苦情を言われた。その後で園長は「今度、園でボディペインティングやるんだけど、いつもと同じ女の保母さんじゃなくて、たまには男の人がやってくれると、子どもたち喜ぶんだけどなあ」と聞こえるように、ひとり言を言った。
その場の雰囲気で引き受けざるをえなくなった。ボディペインティングは、庭で裸になってさまざまな色の絵の具を体に塗り合う遊び。園長室で裸になって庭に出ると、園児は所かまわず絵の具をつけてくる。園長は若い女性保育士にも「この際だから、男の人によく触っておきな」とけしかける。こちらには「逆はだめよ」と釘を刺す。その楽しさは、見ているだけでは分からない感覚だった。以来、あちこちの保育園でお呼びがかかった。昔と変わらない園舎でそんな思い出話をしていると、昨日のことのように思えるが、当時の園児はもう成人している。
何十年も幼児を見続け、新鮮なエネルギーを受けている副園長だが、自身を振り返り「年を取ってからは親友ができにくい。いつまでも続いているのは若い時の友」だと言う。この副園長は縦社会が残る高校バレーボール部OB会の役員でもある。いくつになってもどんなに立派な肩書きがあっても後輩は先輩に追いつかない。理不尽さやわずらわしさはあるが、そのつながりが貴重だと言う。
純粋な時期に同じ場所で、同じ目標に向かって苦しさに耐えた経験は、先輩も後輩も同じで、家族に近い感覚がある。喜怒哀楽の共有は何物にも代えがたく、いくつになっても集まれば若者になる。60歳台後半の人たちが「私が総理大臣だったとしても先輩の言うことは絶対ですか」「当たり前だ」という単純な会話で交流が進む。時の経つのは早いものだが、いつまでも変わらないのが友情。今年もあと10日となった。
出典:n/w
リンク:http://www.nagano-np.co.jp/modules/news2/article.php?storyid=14286

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