「命はどう使うか」

2010/02/25 00:16 登録: (岸利徹でない)

12〜13年前に我が家に着たアメ留学生が『侍』マニアで日本大好きな大学生だった。
結構、日本語も達者で家にいる時は冬なのに自前の浴衣を着る人だった。

夕食の時、太平洋戦争の話になって浴衣外人が特攻隊について

「特攻隊の人は死にたかったんじゃなくて
 親、兄弟を守るため死ぬのは嫌だったけど死を選んだんですよね」

って質問してきた。
家族全員、どう答えていいかわからず黙っていたら、祖父が、

「嫌だの死を選択したのだのとかじゃないんだよ。命をどう使うか考えた末の事なんだよ」

と浴衣外人に話した。
あまり、口数が多くない祖父だったし、記憶が定かではないけど、ほとんど家にホームステーイに着たアメ留学生とも会話してなかったが
祖父の言動にちょっと戸惑ったけど、何かを感じたのかごはん食べながら泣いていて、次の日から帰るまで、祖父べったりになった。
俺はちょっと嫉妬したけど、帰る間際に親日を誇っていた彼が

「日本の心に少し近づいたような気がします」

と言い残して帰って行った。


その浴衣外人から祖父の命日に毎年はがきが来て、祖父が言った言葉をつたない日本語で書いてくる。
「命はどう使うかがたいせつ」

この文章が一昨日届いた。
胸が熱くなった。



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