【第I部】勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」

2010/03/09 03:37 登録: えっちな名無しさん

勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」

1 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 10:50:36 ID:PcILdJmB
〜第一回魔王討伐〜

勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」
勇者「ゆうしゃさまのおでましだぁ!かんにんしやがれ!!!」
魔王「なんだこのガキは、五月蠅いからあっち行ってろ」べこんっ
勇者「うわあぁぁぁああぁぁぁ…」キラーン
魔王「さて、仕事の続き続き…」



2 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 10:58:44 ID:PcILdJmB
〜第二回魔王討伐〜

勇者「ま、まおう!」
勇者「勇者さまがた、た、たおしに来たぞぅっ!」ガクガク
魔王「おお、遂に来たか勇者よ。今回はやけに若いヤツだな」
勇者「・・・・・・この前も来たのに・・・(;ω;」
魔王「ん?何か言ったか」
勇者「うぅっ・・・もーいいよ・・・」


3 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:01:39 ID:PcILdJmB
魔王「では、いざ」ジャキ
勇者「食らえっ『か」
魔王「”爆裂術”」

ドオオオォオオォオン!!!

勇者「ぅぎゃああぁあああぁぁぁぁ〜・・・・・」キラーン☆
魔王「ふぅ・・・そろそろおやつの時間かな」スタスタ


4 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:05:40 ID:PcILdJmB
〜第三回魔王討伐〜

勇者「・・・もう少しで魔王城に着くな・・・」
勇者「はぁ・・・今度は少しはまともに戦えるかなぁ・・・」
勇者「うぅ・・・また一撃も与えられずに飛ばされたらどうしよぅ・・・」うるうる


5 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:08:33 ID:PcILdJmB
勇者「ここを抜けたら魔王城だ・・・」
勇者「・・・・・」

ガサッガサッ

勇者「・・・、あれ・・・?」
勇者「魔王城が、ない」


6 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:10:42 ID:PcILdJmB
勇者「どどどどどどーゆーこと!?;」キョロッキョロッ
勇者「場所あってるよねぇっ!?;」キョロキョロキョロッ
勇者「うっうそぉっ!?;ま、まさか勇者が来たから引っ越したとか・・・」

??「わっせわっせ」

勇者「・・・?」


7 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:13:01 ID:PcILdJmB
ガサッガサッ

ちっちゃい魔物1&2「わっせわっせ」
勇者「うわっちっちゃ!」
ちっちゃい魔物1「ん?何だお前」
ちっちゃい魔物2「魔王様に会いに来たのか?」
勇者「う、うん・・・そうなんだけど・・・」
ちっちゃい魔物2「あーだめだめ」ふりふり
ちっちゃい魔物1「魔王様は遠征に出かけて留守だし、」
ちっちゃい魔物2「魔王城は壊れちまったよ」
勇者「こ・・・こわれた・・・?;」


8 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:16:25 ID:PcILdJmB
ちっちゃい魔物1「側近2さんとメイドさんが喧嘩しちゃってねぇ」
ちっちゃい魔物2「まぁいつものこと何だか」
勇者「い、いつもの・・・?;」
ちっちゃい魔物1「おかげで破片を運ばなくちゃなんなくってなぁ」
ちっちゃい魔物2「何せ跡形もなく壊しちゃうんだもんなぁ」
勇者「そ、そうなんだ・・・」


9 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:18:41 ID:PcILdJmB
ちっちゃい魔物1「あんたも暇なら手伝っておくれよ」
勇者「え」
ちっちゃい魔物1「どうせ城が無くて途方に暮れていたところなんだろ?」
勇者「そうだけど・・・」

ちっちゃい魔物1「じゃあ手伝う手伝う」トコトコ
ちっちゃい魔物2「全く、チビにこんなことさせるなよなぁ」トコトコ
勇者「・・・・・」トコトコ


10 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:25:33 ID:PcILdJmB
〜数時間後〜

勇者「ふぃー」ドゴッ
ちっちゃい魔物1&2「よいせっ」ドゴッ
青い魔物「だいぶ集まったなぁ」
赤い魔物「もう少しで全部あつまんかねぇ」

バサッバサッ

ドラゴン「おーい、俺たちの巣にも落ちて来たぞー」
青い魔物「おぉ、ドラゴンじゃないか」


13 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:27:56 ID:PcILdJmB
 バサッバサッ

    ドオォゥンッ!

ドラゴン「またあの二人が喧嘩したのか」
ちっちゃい魔物1「そーなんだよー」
ちっちゃい魔物2「勘弁してよって感じだよなぁ」
ドラゴン「ははは、ホント飽きないねぇ」バサッバサッ
勇者「・・・・・ドラゴンの巣、ここから1000里くらい離れてるのに・・・」


17 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:32:41 ID:PcILdJmB
ドラゴン「おや」
勇者「・・・」
ドラゴン「あの時の小僧じゃないか」
勇者「・・・っ」
ちっちゃい魔物1「なんだいドラゴンさん、こいつを知っているのか?」
ドラゴン「ああ。確か勇者だっけか?」
ちっちゃい魔物1「へー」
ちっちゃい魔物2「お前勇者っていうのか」
勇者「え」
ちっちゃい魔物1「手伝ってくれて、ありがとうなぁ」ニコニコ
勇者「何この反応」


25 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:42:08 ID:PcILdJmB
魔王「その原因は私にある」
勇者「あっ」
ちっちゃい魔物1「魔王様!」
ちっちゃい魔物2「おかえりなさいませ!」
魔王「ただいま。またあの二人が派手にやってくれたようだな」
ちっちゃい魔物1「そーなんですよー」
ちっちゃい魔物2「しかも魔王城にいたみんなどっか飛んじゃったらしくて」
魔王「ふむ・・・回収しに行かなければ」


28 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:48:32 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」
魔王「おお勇者殿、城の補修工事を手伝ってくれて大変ありがとう」なでなで
勇者「なでるなっ」
魔王「でも残念ながら持て成すことは出来なんだ。何せ城がこんなもんで」
勇者「城がなくったって戦えるだろう!」



30 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:52:11 ID:PcILdJmB
赤い魔物「ねぇ魔王様、このガキ何なんです?」ビキビキ
青い魔物「先ほどから魔王様に好戦的な態度を取っていますが・・・」
魔王「あぁ・・・まあ、人間だ」
赤い魔物「へぇ!人間!」
青い魔物「初めて見たなぁ」マジマジ
勇者「何、この海を初めて見た人みたいな反応・・・」

魔王「まあ皆田舎者だしな」
勇者「そ、そーゆーもん・・・?;」
魔王「人間と関わる魔族なんて一握りさ」


32 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 11:57:50 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」
魔王「さて、先ずは城の補修から・・・」
ちっちゃい魔物1「補修と言うより建て治しですけどね」
魔王「まあ確かに」

魔王「ビフォーアフタ〜」ぱんっ

カチカチカチカチ
カチカチ
カチカチ・・・


33 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 12:02:29 ID:PcILdJmB
カチカチッ ピカーンッ!

魔王「・・・ふぅっ完成!」キラキラ
赤い魔物「毎回だんだんと速くなっていますね」
青い魔物「今回は3分くらいですかねー」
魔王「私も手慣れたものだな」
勇者「・・・インスタントかよ・・・」


34 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 12:10:57 ID:PcILdJmB
魔王「城の中身を整えといてくれ」
魔王「私はちょっと皆を探してくる」ばさっ
残った魔物達「「「「「畏まりましたっ」」」」」ビシッ
ちっちゃい魔物1「ほらほら勇者も行くぞ」ぐいぐい
勇者「えっ・・・! おっ俺は!」
ちっちゃい魔物2「きっと沢山散らかっているんだろうなぁ」ぐいぐい
勇者「ちょっまっ・・・!」

魔王「ではよろしく〜〜〜」ふよふよ

勇者「っ 待ちやがれぇっ!まおーーーー!!!」ずるずる


40 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:11:11 ID:PcILdJmB
勇者「ちぇっ何だって俺が魔王城の掃除を・・・」ゴシゴシ
ちっちゃい魔物1「勇者は魔王様と力比べをしにきたのか?」ゴシゴシ
勇者「倒しにきたの!」ゴシゴシ
ちっちゃい魔物1&2「「へー」」


41 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:14:53 ID:PcILdJmB
勇者「・・・、なんだよその反応は。もっと、」
勇者「『なにっお前魔王様の敵かっ!』とか」
勇者「『俺達が魔王様に代わって成敗してくれるっ!』とか」
勇者「ないわけ?」
ちっちゃい魔物1「だってお前みたいなのが」
ちっちゃい魔物2「魔王様を倒すなんて」
ちっちゃい魔物1&2「「無理だしっ!!」」
勇者「っ・・・!声をそろえていうなぁあっ!!!(涙目)」


42 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:17:54 ID:PcILdJmB
勇者「はぁ・・・ていうか何であんなに強いんだよぅ、あの魔王は・・・女のくせに・・・」
ちっちゃい魔物1「別に関係ないだろ、それは」
勇者「関係あるだろ。あんな強い女、初めて会ったぞ」
ちっちゃい魔物2「人間の女は弱いのか?」
勇者「・・・。魔族の女は強いの・・・?」


45 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:21:12 ID:PcILdJmB
ちっちゃい魔物1「まあ」
ちっちゃい魔物2「うちのカーチャンは、強いよ」ぶるりっ
ちっちゃい魔物1「種族によって違うかな」
ちっちゃい魔物2「女が強い種族もいれば、男が強い種族もいるのさ」
勇者「へぇ・・・」



49 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:25:52 ID:PcILdJmB
 かつ こつ

メイド「お疲れ様です」

ちっちゃい魔物1「あー!」
ちっちゃい魔物2「やっと戻ってきたっ!!」
勇者「メイドさん・・・?」
メイド「死闘の末、側近2をやっと仕留めて来ましたわ」ふぅ


51 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:32:42 ID:PcILdJmB
ちっちゃい魔物1「あんた夫婦喧嘩は他所でやってくれよー」
ちっちゃい魔物2「しかもいつも原因は”どちらが魔王様を大切にしているか”」
ちっちゃい魔物1&2「「そんなの争ったってしょーがないだろー」」
メイド「いえ、今回は”どちらが魔王様を愛しているか”でしたわ」
ちっちゃい魔物1&2「「どっちだって同じだろー」」

勇者「夫婦・・・げんか・・・?」


52 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:35:54 ID:PcILdJmB
メイド「どっちだって同じですって!魔王様はねぇっ凛々しくて聡明で最強尚且つ最凶の・・・」
ちっちゃい魔物1「あああまた始まった」
ちっちゃい魔物2「メイドによる魔王様のための魔王様の話」
メイド「あれは出会ったころでしたわ、魔王様はその美しい瞳を私に向けて私の頬を」
ちっちゃい魔物1&2「「もー勘弁してよー」」

勇者「ていうか旦那さん仕留めたって・・・しとめたって・・・」


55 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:42:13 ID:PcILdJmB
カッカッ

魔王「聞いているこちらが恥ずかしいからそろそろ止めないか、メイド」

メイド「魔王さま!」きらきら

側近2「げほごほっ・・・」

メイド「あら、生きてたの」つんっ

側近2「まおうさまがおてをさしのべてくれたのだ・・・やはりまおうさまはなんとやさしいかt」げほごぼ
魔王「無理はするな」ぽんぽん


58 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:48:58 ID:PcILdJmB
メイド「だいたい何で魔王さまに背負って貰ってんのよっ!穢れた体は地べたにでも引き摺られなさいっ」ぐいっ
魔王「こらこら止しなさい、全身骨折してるんだからどこか取れてしまうかもしれないだろう」
側近2「げぼげほごほごほ・・・・・」くて
メイド「あああ魔王様のお体に凭れるなんてっ」ぐいぐいっ
魔王「だから止しなさいってばっ;」


59 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:53:40 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」
魔王「ああ勇者、まだいたのか」
勇者「まだって・・・」ビキビキ
魔王「メイド、ほらっ、茶でも入れてやれ。一応客人だ」
勇者「お客じゃなーいっ!」
メイド「魔王さまのご命令ならば」キリッ
勇者「さっきまで言うこと聞かなかったのに・・・」


60 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 18:57:03 ID:PcILdJmB
こぽこぽこぽ

勇者「ほんとに入れてもらってるし・・・」
メイド「勇者くんは紅茶のような方なのね?」
勇者「・・・?」
メイド「流されやすい」
勇者「っ!ちくしょぉぉぉっ」


61 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:01:10 ID:PcILdJmB
メイド「だって勇者の役目は魔王様を倒すことじゃなぁいっ」
勇者「そうだよっ」
メイド「なのに私の毒入りアップルティーを悠々と飲んでいらっしゃる・・・」ククククク...

勇者「ブフーッッッ!!!」



63 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:10:34 ID:PcILdJmB
メイド「冗談よ」ケロリ
勇者「っ じょうだんかよ・・・」ハァハァ
メイド「でも敵の与えたモノを疑いもせずに飲むなんていけないことだわ」
勇者「・・・・・」
メイド「勇者失格ね」
勇者「・・・・・・・。 くそっ」


64 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:19:02 ID:PcILdJmB
魔王「ふぅっ回収作業終わった!」ばさっ
側近1「いやはや今回もえらく派手にやりましたねぇ、メイド。毎回ながらあっぱれです」

メイド「魔王さまっ!それに、側近1様も」
勇者「・・・・・」

魔王「一部は人間の町も飛んでたぞ」
側近1「可哀相に・・・もうあの魔物は人間に対してトラウマを持ったでしょうねぇ」ホロリ


66 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:25:22 ID:PcILdJmB
勇者(どっから出てきたんだ・・・気配すらしなかったぞ)
メイド「毎度すみません・・・魔王さま。側近2には後から言っときますので・・・」
魔王「いやいやお前が自重しなさいっ!;」
側近1「城が壊れるのはほぼメイドの攻撃の所為でしょうに」
メイド「いーえっ止めはぜったいにアイツの所為ですわ!」
魔王「自覚が無いから始末に終えない・・・」ガクッ
側近1 ホロリ


67 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:32:47 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」カチャッ
側近1「おや」
勇者 ビクッ
側近1「勇者じゃないですか」
魔王「お前、知っているのか」
側近1「ええ、一応魔王様を守る身の上なので」
メイド「まあこんな奴から守る場所なんて何処も無いでしょうけどっ」ホホホ
勇者「・・・・・っ」


68 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:43:38 ID:PcILdJmB
勇者「覚悟しやがれ魔王っ!今度こそっ、今度こそ・・・っ!」
魔王「待て勇者、お前は何故そんなに・・・」
勇者「うおりゃああああ」バッ
メイド「”炎風術”」

 ゴオオオオオオオオオッッッ!!!!!
     ドォオオオオオオオオオオオッッッッッ!!!!!

勇者「あ゛あああああああああぁあああぁぁぁ・・・・・」キラーンッ☆

魔王「ああ・・・少し、話がしたかったのに」
側近1「というかまた貴女は城を壊して・・・」
メイド「当然の制裁をしてやったまでですわっ」ふんっ


69 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 19:52:53 ID:PcILdJmB
魔王「勇者というのは何故ああも血の気が強いのだ?」
魔王「まだ幼いんだから、もう少し鍛えてから私に挑めばいいのに・・・」
メイド「まぁ鍛えても無駄でしょうけど」ホホホ
側近1「・・・多分、寿命の所為でしょうね」
魔王「寿命?まぁ人間は70年くらいしか生きられないらしいが、それでもまだ・・・」
側近1「いえ、違うんですよ」
魔王「?」

側近1「勇者は、40になったら死んでしまうんです」



70 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:06:46 ID:PcILdJmB
魔王「・・・、どういうことだ」
側近1「詳しく言えば”40までに魔王を倒さないと死んでしまう呪い”ですね」
魔王「勇者にはそんなハンディキャップが・・・?」
側近1「いえ、これは人間の国が付ける呪いです。生まれながらのものではありません」
側近1「しかし生まれたらすぐ、魔法使いや賢者によって付けられる呪いだとか」
側近1「そしてこの呪いは魔王を倒すまで解かれることは無い・・・」
魔王「・・・・・」


71 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:14:19 ID:PcILdJmB
側近1「身体的に衰えが出た地点でもう、魔王は倒せないと判断したまでの呪いでしょう」
側近1「しかも、ある国では魔王を倒せなかった勇者の一族は皆殺しにするとか」
側近1「遺伝子的に魔王を倒せる者はもうこの一族から出ないだろう、と」
側近1「哀れなものです・・・」ホロリ
魔王「・・・・・」


72 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:20:58 ID:0qbjXOB9
魔王の国の方がよほど平和だな


73 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:23:11 ID:PcILdJmB
魔王「・・・・・そうか、そうだったのか。だからあんなに・・・」
メイド「そんな顔なさらないで下さい、魔王さま」
メイド「魔王さまだって魔界の法によって色んなものを犠牲にしてきたのですから、お相子です」
魔王「いや、私はなかなか無知だったようだ」
魔王「世界でもっとも敵対しているであろう勇者をこんなにも知らなかった」
魔王「今まで何人もの勇者を倒してきたが、そんな事情があったとは・・・」


74 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:27:06 ID:PcILdJmB
魔王「ふむ、あえて皆には勇者の存在を”王を倒す極悪人”と教えてこなかったが」
側近1「ただ単に面倒臭かっただけでしょうに」
魔王「バレてたか。・・・ちょっと可哀相なことしたかもなぁ、勇者には。いや、勇者”達”には」
側近1「魔王様の御在位も随分となりますものねぇ」
魔王「勇者を倒そうとする過激派も、めっきりいなくなったしなぁ」
側近1「勇者はさながら”観客のいない舞台で一人踊らされる人形”の気分だったでしょうねぇ」
魔王「いやぁ悪いことをした。これからはもうちょっと真面目に扱ってやろう」

メイド「・・・私の知らない魔王様を知っている。ちょっとじぇらすぃー」


75 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:35:33 ID:PcILdJmB
〜第四回魔王討伐〜

 ひょこっ じーっ

魔王「・・・・・」ふいっ

 サッ

魔王「・・・」すっ...

 ひょこっ じーっ

魔王「・・・、ぷっ」

 びくぅっ

魔王「あははっいつまでそうしているのだ?勇者」
魔王「可愛らしいことこの上ないぞっ」くくっ

勇者「うぅ・・・」とてて
魔王「良く生きてたなぁ」しみじみ


76 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:40:02 ID:PcILdJmB
魔王「ちょっとは大きくなったかな?ふむ、人間は本当、成長が早いな」なでなで
勇者「・・・・・」
魔王「お?抵抗しないぞ?よしよし飴ちゃんでもやろう」
勇者「・・・・・ガキ扱いするな」
魔王「ガキじゃないか」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・、卑怯だ」


78 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:46:55 ID:PcILdJmB
勇者「何で魔王は大人なんだよ。勇者は子供なのに」
魔王「ふむ、それはだな勇者の変換サイクルが早すぎるからだろう」
魔王「もうちょっと鍛えてから来たらどうだ?前勇者はもうちょっと大きくなってから来たぞ?」
勇者「・・・そんなのんびりしてらんないの、わかっているくせに」
魔王「・・・・・(この前知ったばかりです、って言ったら怒るんだろうなぁ)」


80 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:50:46 ID:PcILdJmB
魔王「・・・なあ、勇者?」
勇者「・・・・・」
魔王「確かにお前は私を倒さなかったら、40で死んでしまうかもしれないよ」
魔王「でもその大切な寿命を私だけに費やすことが正しいことだとは、私には思えないよ」
勇者「お前を倒せば終わる話じゃないかっ!」
魔王「お前じゃ私を倒せないよ」
勇者「倒せるっ!!!」
魔王「倒せないよ、少なくとも今は」
勇者「っ・・・!」


81 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 20:55:18 ID:PcILdJmB
魔王「何もお前にその実力が無いと言っている訳じゃない」
勇者「っ だったら何だよ・・・」
魔王「お前はまだガキだ。ちゃんと意思が固まっていない」
勇者「何だよ意思が固まってないって・・・俺は魔王を倒したいよ・・・」
魔王「いや、お前はまだ迷っているよ」
勇者「迷ってなんか・・・っ」

魔王「”魔王を倒さなくてはならない”という意思はお前の意思じゃない」
魔王「お前が大人から与えられた意思だ」


82 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:02:38 ID:PcILdJmB
魔王「倒さなければ死ぬ、でも魔王は怖い、殺されるかもしれない」
魔王「本当は戦いたくない、生きたい、でも戦わなくては生きていけない」
魔王「そこにはお前の意思など何処にも無い、強制的に造られた意思しかない」
魔王「少なくとも心から”魔王を倒したい”という意思は何処にも無い」
勇者「っ・・・」


83 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:05:31 ID:PcILdJmB
魔王「お前は心から誰かを憎んだことはあるか?」
魔王「確かにお前は私が憎いだろう。私がいるから死ぬかもしれないんだからな」
魔王「だが私を前にして怯えるような憎しみは、本当の憎しみじゃないよ」
勇者「・・・・・」


84 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:10:34 ID:PcILdJmB
魔王「本当の憎しみは怖いぞ」
魔王「自分の命なんて形振り構わず向かってくるんだ」
魔王「”憎い、お前なんかこの世から消えてしまえ!”」
魔王「憎しみだけをエネルギーとした者の意思は本当に恐ろしい・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「それに比べてどうだお前は」
魔王「まだ剣すら構えていない」
魔王「私を倒したいのなら心にも剣を持たないと」


85 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:14:19 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」
魔王「ありゃりゃ」
勇者「・・・・・」
魔王「そんなに黙りこくっては、私が困るじゃないか」

勇者「・・・だったら、どうしたらいいんだよ・・・」
勇者「あと30年何てあっと言う間だぞ!!?」
勇者「俺は、どうしたら・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・しぬのはいやだ・・・」


86 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:17:47 ID:PcILdJmB
魔王「・・・自分の意思を、探したら良い」
勇者「・・・・・」
魔王「私を倒すのは後にしたら良い」
勇者「でも、それじゃ・・・っ!」
魔王「もう一回言おう、お前はガキだ」
魔王「人生を決めるには早すぎる」


87 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:19:49 ID:PcILdJmB
勇者「・・・・・」
魔王「もう少し、ゆっくり生きなさい。そして色んなものを見なさい」
魔王「世界は広い。お前のちっぽけな体では一億分の一も入りきれないほど」
魔王「それなのにそれを見ずに、お前は自分の人生を勝手に決めるのか?」


89 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:21:32 ID:PcILdJmB
魔王「大体まだ10歳くらいしか生きてないのに残りの人生を決めるなんて図々しい」
魔王「せめて半分くらい生きて学んでから決めろ!」
勇者「いや、それは遅すぎるだろう・・・」
魔王「私なんて常に行き当たりばったりで生きているのに・・・」
勇者「適当過ぎるだろう・・・」
魔王「魔界は常に何が起こるか分からないのだ」


90 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:26:25 ID:PcILdJmB
魔王「うむ、色んなこと学んだ上でそれでも私を倒したいのなら堂々と来なさい」
魔王「その時もウジウジしてたら、私が食ってくれようっ」ギラッ
勇者 ぶるりっ
魔王「・・・人間の肉はあまり好きじゃないんだがなぁ・・・」
勇者「・・・食ったことあるんだ・・・」
魔王「人間の肉はスジが多くてなぁ」
勇者「おえぇ・・・」

魔王「まあ、これは私なりの儀式だ」
勇者「儀式?」
魔王「そう、勝利と栄光の杯を掲げるための、儀式」


91 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:28:33 ID:PcILdJmB
魔王「と、いうのは表向きで実はただ単に勿体無いからだったりする」
勇者「勿体無いから食われるのか・・・おれ・・・」
魔王「精々食われぬよう鍛えてから戦いに挑むんだな!」はっはっはっ


92 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:34:08 ID:PcILdJmB
。o0○

勇者「・・・じゃ」
魔王「・・・」
勇者「行くよ、俺」
魔王「ああ」
魔王「たまには遊びに来いよ」
勇者「・・・・・」


93 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:38:26 ID:PcILdJmB
勇者「魔王ってさ」
魔王「ん?」
勇者「あんまり”魔王”って感じしないよな」
魔王「そうか?」
勇者「うん」
魔王「まあ人間はあることないこと誇張して言うからなぁ」
勇者「なんかガッカリだ」
魔王「がっかりって言われてもなぁ・・・;」
勇者「倒し甲斐、ないじゃん」


95 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:42:46 ID:PcILdJmB
魔王「そんなことはない。普段は中々に極悪非道人だぞ、私は」
勇者「そうなの?」
魔王「ああ」
魔王「ただ大人は誰でも子供の前ではいい子振ってしまうのだ」
勇者「そういうもん?」
魔王「そういうもの」
勇者「魔王でも?」
魔王「魔王でも」
勇者「ふーん・・・」


96 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:49:57 ID:PcILdJmB
魔王「大人は身勝手だよな」
魔王「いつかは知ってしまうことなのに、子供をまだ穢してしまいたくないのか、」
魔王「はた又、自分が穢れを持っていることを知って欲しくないのか、」
魔王「平気で嘘を付いてしまう」
勇者「嘘も方便ってばっちゃんが言ってたよ」
魔王「そうか。これは許される嘘なのかな」


97 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 21:57:57 ID:PcILdJmB
魔王「少なくとも”子供はコウノトリが運んでくる”は良い嘘だよな」
勇者「?」
魔王「何も知らない純粋な目でこの質問をされた時の気まずさを、とても上手く回避できる方法だ・・・」うむうむ
勇者「子供はキャベツから生まれてくるんだぜ?」


98 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 22:05:21 ID:PcILdJmB
魔王「まあ、まだ知らない方がいいことが世の中にはあるってことで」
魔王「もうちょっと体も心も大人になった時に知りなさい」なでなで
勇者「なんかすっごくガキ扱いされてるような気がするけど・・・」

魔王「じゃあな、勇者。 達者でな」ふりふり
勇者「おうっ!見てろ!今度来る時は身も心も強くなってるからな!!!」たたたたた.....


99 :創る名無しに見る名無し :2009/11/14(土) 22:07:58 ID:PcILdJmB

魔王「・・・・・」
魔王「・・・私も、学ばなければな」
魔王「人間を。彼の存在を」


105 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:17:04 ID:Py/gupvq
*2年後:とある人間の町にて*

ガヤガヤ 
      ガヤガヤ

勇者「この町結構広いよなー」
勇者「食べ物もなかなか美味いし・・・」もぐもぐ

町人1「・・・でね、まもの・・・・あったそうよ」
町人2「まあ、・・・わね」」

勇者「・・・ん?」

町人1「それでね、何でも魔物に襲われた家の人は皆殺しにされていたとか」
町人2「きゃー!こっちにも来るのかしら・・・」ブルブル
町人1「怖いわよねぇ、モンスターハンターでも雇ってたほうがいいのかしら・・・」


106 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:23:15 ID:Py/gupvq
勇者「・・・・・」

勇者(やっぱり人間の近くに住む魔物は人を襲うことを目的とした奴が多い)
勇者(まあ餌の近くに住むのは当たり前なんだろうけど・・・)

勇者「・・・・・はぁ」
勇者「そういう魔物ばかりじゃないことを知っていると、少し憂鬱だよなぁ」
魔王「何がユーウツなのだ?」
勇者「!!」


107 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:30:48 ID:Py/gupvq
魔王「よっ、微妙に久しぶり」
勇者「な、な、なんであんたがココにいんだよっ!;」
魔王「少し散歩に」
勇者「いいのかよ!?;仮にも一国の王がこんなところに・・・」
魔王「まあ・・・・・いんじゃね?」
勇者「よくない!!;」


108 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:35:14 ID:Py/gupvq
魔王「まぁまぁ、ちゃんと人間に化けてるし良いだろう」
勇者「はぁ・・・;」
魔王「それに何も私一人で国を治めている訳じゃない」
勇者「そうなの・・・?」
魔王「もちろんだ。人間の国にも右大臣やら左大臣やらがいるだろう」
勇者「まあ確かに・・・」
魔王「私がいなくなったって国はある程度動くのさ」


109 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:39:32 ID:Py/gupvq
勇者「そうか・・・・・何時でも国は動かなくちゃ、みんな混乱しちゃうよな」
魔王「そういうことだ。・・・・それにしても、」
勇者「?」
魔王「こんな広い世界で勇者とばったり会うなんて」
魔王「ちょっと運命感じちゃうな。やはり何処かで繋がっているのかもな、私達は」
勇者「俺もこんなとこであんたに会うとは微塵も思ってなかったよ・・・なんだっけ?散歩?」
魔王「いや、一応任務帰りがてらの散歩なんだが・・・」
勇者「? 任務?」


110 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 07:50:51 ID:Py/gupvq
魔王「近くで魔物が人間の家を襲撃したのは知ってるか」
勇者「ああ・・・さっきおばちゃん達の井戸端会議で知ったよ」
魔王「その調査をしにきた訳だが、ちょっと掘り出モノを見つけてなぁ」ニコニコ
勇者「掘り出物?」
魔王「この町に来たのは、その掘り出モノに土産でも買ってやろうと思って来たのだ」
勇者「・・・生きてるものなんだ?」
魔王「ああ」にこり


111 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:04:13 ID:Py/gupvq
魔王「ちょっと訳ありでね。その家の住民に飼われてた奴なんだが」
勇者「飼われてた?魔物が?」
魔王「いや半分は人間、つまり人間と魔物のハーフだ」
勇者「ええっ!?人間と魔物の間に子供なんて出来るの!?」
魔王「ふむ、これは私も始めて知ったことだ。種族にもよるが、その気になりゃあ出来るらしい」


113 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:13:57 ID:Py/gupvq
勇者「へぇー・・・(?°Д°″)」
魔王「これは大発見だ、と思いその子を保護したのだが」
魔王「人間に育てられて来たから、やはり好みが人間っぽいのだろうと思ってな」
魔王「服とかアクセサリーを調達しに来たまでです」
勇者「女の子なの・・・?」
魔王「いや、実はまだ分からない」
勇者「えー?」
魔王「魔族は見た目で性別が判断出来ない奴も多いのだよ」
勇者「なるほど」
魔王「まあ女として扱われてたようだから、女物を買っても問題は無いだろう」


114 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:23:36 ID:Py/gupvq
魔王「ということで勇者」がしっ
勇者「えっ」
魔王「暫し私の買い物に付き合ってくれ」ぐいっ
勇者「え、え?」
魔王「人間の好みなんぞ分からんのだ。変な物買うのは嫌だから付き合え」
勇者「お、俺だって女の子の好みなんて知らねぇよっ!;」
魔王「少しは分かるだろう!」
勇者「いや本当に知らないってばっ!!;」あたあた
魔王「勉強なさいっ!でないと一生童貞だぞ!!!」
勇者「・・・・・ドウテーって、なに?」
魔王「まだ知らない・・・だと・・・」


115 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:33:10 ID:Py/gupvq
。o0○

魔王「これなんかどうだ、勇者?」ばさっ
勇者「いや、その豹柄はちょっとアレじゃない・・・?;」
魔王「そうか・・・カッコいいと思ったんだけどなぁ」

魔王「じゃあ、コレは?」ぱさっ
勇者「いやソレ服じゃねぇよっ!;スケスケじゃんっ!!;」
魔王「そうか・・・セクシーだと思ったんだがなぁ・・・」

勇者(魔王の服はいつも誰が用意してるんだろう・・・)


116 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:36:49 ID:Py/gupvq
魔王「ふむ・・・色々あるが、どれが良いのか分からないなぁ」
勇者「俺も良く分かんない・・・」
魔王「役立たず」
勇者「うぅ・・・」


117 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:46:23 ID:Py/gupvq

服屋の店員「お客さま、どの様な品をお探しですか?」

魔王「ん?」
勇者「あーえぇっと・・・女の子の服を探しているんですが・・・」
服屋の店員「そちらの方のお洋服ですか?それとも、誰かに送るプレゼントですか?」
魔王「プレゼントだ」
服屋の店員「そのお相手はどのような方ですか?」

魔王「うむ・・・見た目は清純清楚でとても美しく髪は上質な絹にも勝り繊細な体は触ったら壊れてしまいそうなまるで深い森の奥でそっと咲く白百合のような奴だ」
勇者「な、なんかすっげぇな;」


118 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:54:48 ID:Py/gupvq
服屋の店員「それならこちらの品などどうでしょう?」ふわっ
魔王「! おお!」
勇者「綺麗な服だなっ」
服屋の店員「高潔な貴婦人に合うよう作られた服です。尚且つ、繊細な雰囲気も醸し出すように作られております」
勇者「どう?その子に似合いそう?」
魔王「ああ!その服、買おう!!礼を言うぞ、店員!」
服屋の店員「いえいえ気に入って頂けたようで何よりです」にこり


119 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 08:59:25 ID:Py/gupvq
 からんからん

服屋の店員「ご購入ありがとうございました〜」

   からんからん

魔王「ふう、何とか良い品を買えたようだ」にこにこ
勇者「帽子も首飾りも買ったしなー」
魔王「店員に聞けば早い話だったんだな。今度からはそうしよう」うむうむ


120 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 09:07:20 ID:Py/gupvq
勇者「これからどうするんだ?」
魔王「うむ、一刻も早く帰ってこれを妖精にプレゼントしよう!」にこにこ
勇者「・・・妖精とのハーフなんだ?」
魔王「美人だぞー?いやはやあそこまで美しい者を私は見たことが無かった!」にこにこ


121 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 09:12:33 ID:Py/gupvq
勇者「・・・・・」
魔王「今度遊びに来るときは是非会ってみてくれ。あの子も人間の方が親しみ易いだろう」
勇者「大切に、してるんだな」
魔王「ああ。この胸のときめきは何なんだろうな?ふふふ、帰るのが楽しみだ」
勇者「・・・・・」


122 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 09:15:53 ID:Py/gupvq
魔王「ん?何だ、黙りこくって」
勇者「・・・いや・・・なんでもない」
魔王「そうか?」
勇者「・・・・・」
魔王「じゃあ、私は行くよ。元気でな」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」


123 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 09:17:57 ID:Py/gupvq
 ちゅ

勇者「!」
魔王「そんな、寂しそうな顔するな」
勇者「なっなっ・・・///」
魔王「何だお前、キスすらしたことなかったのか」
勇者「だっ、だっ・・・あうぅ・・・/////」しゅぽんっ
魔王「可愛い奴だなぁ」なでなで


124 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 09:24:50 ID:Py/gupvq
魔王「では、また会う日まで」ばさっ
勇者「うん・・・」
魔王「勇者」
勇者「ん?」

魔王「次会う時はキスくらい慣れとけよ〜」ひゅんっ

勇者「わっ・・・わかってらぁあっ!!!/////」


126 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:13:26 ID:Py/gupvq
〜魔王宅訪問五度目〜

魔王「・・・・・」ぱら...
勇者「・・・ちわー・・・」ひょこっ
魔王「ん・・・?」
魔王「! おおっ!」
勇者「・・・」
魔王「でっかくなってる!!!」
勇者「へへっ」


127 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:17:14 ID:Py/gupvq
魔王「おおお数年見ないうちに・・・まぁ」
勇者「でかくなったろ〜?」テレテレ
魔王「そのうち私も越されるんだろうなぁ」
勇者「フフフ」
魔王「まあ中身は永遠に越されないだろうがな」
勇者「くそぅ・・・」


128 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:18:53 ID:Py/gupvq
魔王「じゃあ勇者が成長したことを記念して」
勇者「?」
魔王「デートしようじゃないか!」
勇者「えっ」

魔王「どーせまだ童貞なのだろうっ?どれどれ百戦錬磨の魔王様が直々に手ほどきをしてやろうじゃあないかぁ・・・」ニタリ
勇者「えっちょっ・・・まっ・・・!」ずるずる
魔王「おっ?意味分かるのか?六年前は分からなかったのになっ」ニヤニヤ
勇者「うっうるさぁいっ!;///」アセアセ
魔王「ふふふっいざ、人間の町へ!」
勇者「えっうそっ・・・ま、まじかよ・・・///」


129 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:24:44 ID:Py/gupvq

 ひゅんっ

魔王「とーちゃぁーく!」
勇者「・・・」
魔王「よしっ先ずは手頃な店を探すか・・・」
勇者「あ、あのっ・・・」
魔王「ん?何だ」
勇者「な、なんで・・・・・」

勇者「男に化けてるの・・・?;」


130 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:27:52 ID:Py/gupvq
魔王「女を捕まえるために決まってるじゃあないか」
勇者「い、いやっあんたと俺がデートするんじゃないのっ!?」
魔王「何を言ってる。女をナンパしてWデートに決まってるだろ?」

魔王「さぁて、イイ女はいずこかなぁ・・・?」ジュルリッ
勇者「・・・っ! なんでやねんっっ!!!;;」ビシッ!


131 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:31:08 ID:Py/gupvq

カランカランッ

魔王「・・・ちぇー」
勇者「・・・」ゴクゴク
魔王「別にいいじゃないかWデート。何が不満なんだか」
勇者「いや、問題はそこじゃなくてな・・・;」


132 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:33:16 ID:Py/gupvq
勇者「まあ取り敢えず、あんたが元に戻ってくれてよかったよ・・・」
魔王「4Pでもしようかと思ったのに・・・」
勇者「お、おまえなぁっ///」
魔王「勇者様はまだかなりの初心でいらっしゃる・・・」


133 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:35:59 ID:Py/gupvq
勇者「お、俺はあんたと一度出かけてみたかったの!///」
勇者「ほっほら!毎回何かと張り合ってこう・・・親睦を深める機会なんてなかったし・・・///」アセアセ
魔王「これだから童貞は・・・」クドクド
勇者「・・・俺の話聞いてないな・・・?」


134 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:39:02 ID:Py/gupvq
魔王「まぁまた今度の機会にするか、4Pは」
勇者「そんなにしたかったのかよ・・・」
魔王「・・・しかし、勇者」
勇者「?」
魔王「このままでは一生童貞だぞ?」
勇者「うるさいっ!;;(涙目)」


135 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 12:53:27 ID:Py/gupvq
勇者「おっ俺は好きな子とそういうことに至りたいのっ」
魔王「そーゆーこと言っている内に適齢期を過ぎちゃうぞ?」
勇者「軽い奴にはなりませんっっ」
魔王「・・・ふむ・・・」
勇者「な、なんだよ・・・」
魔王「人間には変な倫理感があるもんだな」


136 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:01:30 ID:Py/gupvq
魔王「大体子供を作れない奴なんて生物学的上負け組みじゃないか」
勇者「うっ」グサッ
魔王「”軽い?”そんなことに囚われていると、その生物は簡単の絶滅してしまう」
勇者「うぅっ」グサッグサッ
魔王「どんなに優れた能力を持っていても、子孫を残さなければ役に立ってないのも同然だ」
勇者「うあぁ」グサッグサッグサッ
魔王「”子孫を残せない遺伝子”など未来は欲して無いよ」
勇者「うぐ」バタリッ
魔王「それにしても上手いなぁこのマッシュポテト」もぐもぐ
魔王「ん?どうした、勇者」
勇者「・・・俺の心もマッシュされてます・・・」シクシク


137 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:08:11 ID:Py/gupvq
魔王「そんなに落ち込むな勇者」ぽんぽん
勇者「誰だよ俺を凹ませたのは・・・」スンスン
魔王「まあ生物学的なことなど考えないところが人間の美学だと、最近私は思うよ」
勇者「そ、そう・・・?」
魔王「ああ」
魔王「同性同士の愛や、不妊や無精子、宗教的な関係によるプラトニックラブ」
魔王「生物学的上とても無意味なことなのに、その愛を通しぬく」
魔王「我々には考えられない行為だ。自分の種族を殺していることに近いんだからな」
勇者「まあ、そうだよな」
魔王「面白いよ、人間は。・・・・・私も少し救われたような気がする」
勇者「・・・?」


138 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:19:28 ID:Py/gupvq
魔王「んっんっんっ」ごくっごくっごくっ
勇者「・・・・・救われた気がするって、」
魔王「ぷはぁっ!」
勇者「どういうこと?」
魔王「うまいっ!」どんっ
魔王「ん?何か言ったか?」
勇者「・・・・・いや、なんでも・・・」


139 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:30:50 ID:Py/gupvq
カランッカランッ

居酒屋の店員「ありがとーございやしたー!」

 カランッカランッ

魔王「・・・うあーちょおっと酔ったぞ〜」ふらふら
勇者「あんなに一気飲みするから・・・」
魔王「飲み比べを挑んできた奴がわるぅい!」ぶんぶんっ
勇者「だからって13人抜きはちょっと・・・それ以前にも結構飲んでたのに」


140 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:40:11 ID:Py/gupvq
魔王「ああ、でもいい気分だ。ほろ酔いするまで飲んだのは久しぶりだ」
勇者「居酒屋の酒ほとんど飲みつくしてほろ酔いなのかよ・・・」
魔王「これでも私は酒苦手なんだぞ?部下にはもっと飲む奴もいる」
勇者「魔王で苦手レベルか・・・あんた達には全く勝てる気しねぇな」
魔王「おや?もう敗北宣言か?」くすくす
勇者「こればかりは生まれつきだしなぁ〜」


141 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 13:49:23 ID:Py/gupvq
魔王「ゆーしゃー?」だきっ
勇者「っ!//」ドキッ
魔王「ドーテー捨てられなかったら私が筆おろししてやるよ」ニコッ!
勇者「俺のときめきを返せ」


142 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:32:06 ID:Py/gupvq
魔王「ときめきかぁ・・・私のふぇありーは何をしているかな」
勇者「あれからずっといるの?」
魔王「うん・・・娘のように可愛がってる・・・」
勇者「・・・魔王」
魔王「うん?」
勇者「魔王には子供、いないの?」


143 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:35:55 ID:Py/gupvq
魔王「ああ・・・」
勇者「・・・」
魔王「規則でな、私は子供を生んじゃいけないんだ」
勇者「そうなんだ・・・」
魔王「だから私の子宮に入ってくる不逞な精子は魔力で即抹殺」
勇者「そ、そう・・・」
魔王「だから安心して筆おろしできるぞ?」
勇者「いや、いいです・・・」


144 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:38:55 ID:Py/gupvq

 カツッ

魔王「さて、酔いも醒めたことだしそろそろ行くか」
勇者「・・・・・」
魔王「お前はまたそんな顔するー」むにっ
勇者「・・・・・」
魔王「あっそういえばお前、魔王城に何しに来たんだ?何か用事、あったのか?」
勇者「なんか今更だな」
魔王「今更だな」
勇者「特に無いよ。・・・・・遊びに来ただけさ」


145 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:49:24 ID:Py/gupvq
魔王「そうか」
勇者「・・・」
魔王「お前が今日、18になったから来たかと思ったのに」
勇者「・・・っ、知ってたのかよっ!」
魔王「ふふふっ私に抜かりは無い」きらーん


146 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:53:31 ID:Py/gupvq
勇者「うわーうわー恥ずかしいっ!///まさかバレてたなんてっ///」
魔王「あれからちょっとお前のこと調べてみたのだ」ふふんっ
勇者「調べすぎだろっ!!///」
魔王「国民的スターだけあって個人情報が中々だだ漏れだった」
勇者「ああああああああ・・・」


147 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 14:58:16 ID:Py/gupvq
勇者「じゃっじゃぁっ・・・最初から」
魔王「うむ、ちょっとしたささやかな誕生日祝いだ」
勇者「の、割りには俺、結構苦労したような気がするんですけど・・・」
魔王「美女に振り回されるのは楽しいだろっ☆」ニコッ!
勇者「自分で言うなよ・・・」


148 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:05:04 ID:Py/gupvq
魔王「ふふふっドッキリ成功★ドッキリ成功☆」くるっくるっ
勇者「あんた・・・まだ酔ってるな?」
魔王「はははっ私に祝って貰えるなんて光栄に思えよっ!」

 ちゅっ

勇者「っ!///」
魔王「あらあら前回と同じ反応」くすくす
勇者「く・・・っ///」しゅぽんっ
魔王「まだまだ可愛いなぁ」なでなで


149 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:12:02 ID:Py/gupvq
魔王「次会うときは本当の大人になっているかな、勇者」
勇者「少なくともあんたの身長は越してやるもん・・・」
魔王「おとなの階段も上っていて欲しいんだけどなぁ」チラッ
勇者「ぬぬぬ・・・」
魔王「まあ無理はせんでええよ」なでなで
勇者「妥協された。魔王に妥協された」ムムム
魔王「眉間に皺寄せない、しわ寄せない」ツンツン

魔王「じゃ、また会う日まで」
勇者「うん」

魔王「さらばっ!」ヒュンッ



150 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:16:15 ID:Py/gupvq
勇者「・・・・・」
勇者「・・・・・・・行っちゃったな・・・・・」
勇者「・・・ううっさむっ」ゴソッ
勇者「!」
勇者「上着に何か入ってる・・・?」ゴソゴソ


151 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:21:35 ID:Py/gupvq


 ちゃら...

勇者「・・・・・首飾り・・・?」
勇者「何でこんなもん・・・・・・・・・」

”『ゆーしゃー?』だきっ 『っ!//』”

勇者「・・・あぁ・・・あの時か・・・・・」


152 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:30:40 ID:Py/gupvq
勇者「・・・ってゆーかコレ、あいつが選んだんだろっ!」
勇者「唇に髑髏・・・っ? 趣味悪っ!!!」
勇者「この前店員に聞けばいいじゃんって言ってたのに・・・」
勇者「はははっ六年も前だから忘れたのか」
勇者「魔王も結構忘れっぽいんだなっはははははっ・・・・・」
勇者「・・・・・・・・・」


153 :創る名無しに見る名無し :2009/11/15(日) 15:39:56 ID:Py/gupvq
勇者「・・・・・っ、」
勇者「はぁっ・・・・・どうしよ・・・すごく、嬉しい」
勇者「悪魔だあいつっ わかっててやってるだろぉっ」
勇者「ただ会いたかっただけなのに・・・・・」

勇者「このまま惚れてしまったら・・・俺は・・・・・・・」



161 :創る名無しに見る名無し :2009/11/21(土) 23:53:32 ID:/wjksnMV

*ここから読み始める忙しい人のためのあらすじ*

昔々勇者という少年が魔王を退治するために魔王城へとやってきましたが
一回目はでこピンで飛ばされ、二回目はやっと存在を覚えてもらい
三回目は何故か魔王城を修復しメイドに倒され、四回目は飴ちゃんを貰い
五回目は誕生日を祝ってもらいました。なんだこれ、どうしてこうなった。
「あれ?もしかして絆されてる?」と勇者は悩みながらもちょこちょこ成長します。

そんな、のほほんとしてるのにどこか命懸けなお話。


162 :創る名無しに見る名無し :2009/11/21(土) 23:54:40 ID:/wjksnMV

*登場人物*

勇者・・・まだまだ悩み多き年頃のチェリー純情ボーイ。がんがれ。
魔王・・・何事にも正直なおば・・・ゴホッゴホッおねえさん。勇者をいつも心温かく?迎える。
側近1・・・魔王の部下。涙もろい性格である。
側近2・・・魔王の部下。メイドの夫である。魔王様愛してる。
メイド・・・魔王の部下。魔王様を愛するあまり日々夫との喧嘩が耐えません。
妖精・・・魔王が拾った子。とっても美人らしい。

他にも出るかもネ!では今日も(あと数分で明日になるけど!)のそのそと始まり始まりー・・・


163 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:04:17 ID:/wjksnMV

〜とある王国の宮殿〜

国王「・・・勇者よ」
勇者「はっ・・・何でしょう、国王陛下」
国王「お前は何時になったら魔王を倒すのだ」
勇者「・・・」
国王「魔王のいない平和な世界は国民の長年の悲願である」
勇者「はっ・・・」
国王「そして我の・・・父の悲願でもある」
国王「もう少し精進するよう」
勇者「・・・、はっ」


164 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:08:42 ID:D+rux1ln
○とある王国の深い森の中○

 ブンッ! ブンッ!

勇者「・・・・・」

 ブォン! ブォン!!

勇者「・・・・・っ・・・」

   ・・・ザクッッッ!!!

勇者「・・・・っ、はぁっ・・・」
勇者「はーっ」
勇者「・・・・・」


165 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:13:14 ID:D+rux1ln
勇者「・・・っ! あ゛〜っ!!!」がしがしっ
勇者「イライラっ!するっ!!」バッ
勇者「何が父の悲願じゃあ!!!」どんどんっ
勇者「てめぇーなんか血が繋がってても父親とは思わねぇよ!!!」ザクッ!ザクッ!
勇者「さっさとくたばればいいのに〜っ!!!」べしっべしっ
勇者「人殺し〜っ!!!何人勇者死なせば気が済むんだ〜〜〜!!!」ヒュンッ

     ザクッ!

           バササバサバサバサッ・・・・・・


166 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:15:24 ID:D+rux1ln

 ・・・どさっ!

勇者「・・・・・・ああ、本当」
勇者「魔王よりも、国王が憎いかもしれない・・・なぁ」

勇者「・・・」


167 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:20:39 ID:D+rux1ln
勇者「・・・・・いやいや」
勇者「会いたいなぁとか、思っちゃいかんだろ」
勇者「仮にも敵何だし、こうもしょっちゅう遊びに行っちゃぁなぁ」
勇者「な?オレ。今日も大人しく空しく寂しく独りで修行していような?」
勇者「な・・・?」
勇者「・・・・・・」


169 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:27:35 ID:D+rux1ln

〜魔王城遊園六回目〜

 ひょこっ

勇者「・・・・・」
勇者「・・・きちゃった・・・・・・」
勇者「なんて根性の無い俺」
勇者「情けないぞっ勇者っ、そんなんじゃ一生魔王を倒せないぞっ」
勇者「一生・・・たおせ・・・・・」
勇者「・・・・・・・・・」


170 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:34:50 ID:D+rux1ln
勇者「・・・あーっ!止めた止めたっ!」
勇者「暗い思考は止めようっ」
勇者「俺、昔っからなーんか根暗なんだよなぁ」
勇者「思い悩んじゃう性格って言うか?」
勇者「なんでだろーなー?勇者なのになぁ〜・・・いや、勇者だからなのか?」

 かつっ・・・・・こつっ・・・

勇者「・・・ん?」


171 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:38:55 ID:D+rux1ln
 よろよろ・・・よろよろ・・・・・

勇者「誰だろ・・・危なっかしいなぁ」

 よろよろ〜〜〜・・・・・

妖精「・・・っ」

とんとんっ

妖精「っ!?」ばさばさっ
勇者「あ」


172 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:48:34 ID:D+rux1ln
妖精「すっすみませんっっっ」あたあた
勇者「いやこの場合俺が悪いんだと思うんだけど・・・」ひょいっ
妖精「あっ・・・」
勇者「俺が持つよ。どこに運ぶの?」ひょいっひょいっ
妖精「だっだめですっ!私がっ私が持ちますからっ」
勇者「大丈夫、大丈夫、このくらい・・・・・・・・」


173 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 00:50:33 ID:D+rux1ln
勇者「・・・・・」ばさばさっ
妖精「っ!だ、大丈夫ですか!?やっぱり重かったんじゃっ・・・」あたあた
勇者「・・・・・あっ い、いやっななななんでもっ・・・・・・」

勇者(・・・こっ・・・この子っ・・・・・・)
勇者(め、めっちゃっびじーーー(°□°*)ーーーんっっっ!!!!!!)


174 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 01:00:37 ID:D+rux1ln
妖精「ん・・・よぃしょっとっ」ひょぃ
勇者「! あ、ああああああのっ持ちます持ちますからっ!」ぐいっ
妖精「あっ・・・だ、だめですっ!自分で持たないと、メイド様がっ・・・」

メイド「また男を誑かしてるのね、妖精」

妖精「っ!」びくぅっ



178 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 08:26:19 ID:D+rux1ln
メイド「あなたは何回男を弄んだら気が済むのかしら?」
メイド「容姿がちょっとイイからって調子乗ってんじゃないわよっ!」ギラッ
妖精「・・・っ!」びくぅっ
勇者「おいおい可哀そうだろ、そんなに睨んだら・・・」
メイド「うっさいわねぇ!あなたは黙ってらっしゃいっ!”火炎術!”」

 ゴオオオッ!

勇者「わっ危ねっ!」パシンッ
メイド「なっ・・・私の術をいとも簡単にっ・・・」


179 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 08:38:33 ID:D+rux1ln
勇者「・・・・・」
メイド「・・・っ!仕方ない・・・今は引いてあげるわっ!」
メイド「次はたたじゃおかないから覚悟してなさいっ!!」

 カッカッカッカッ・・・・・

妖精「・・・メイドさま・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「・・・、お、お強いのですねっ!」
妖精「驚きましたっメイド様もお強いのにあの術を片腕一つで払ってしまわれるなんてっ!」キラキラ
勇者「び・・・」
妖精「?」
勇者「びっくりしたっ・・・・俺一応強くなってるんだなぁ・・・」ドキドキ
妖精「・・・?」


180 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 08:49:12 ID:D+rux1ln
。o0○

 どさっ

妖精「ふぅっ・・・」
勇者「大丈夫か?半分じゃなくて全部持たせてくれてもよかったのに・・・」とさっ
妖精「だいじょうぶです・・・たまにはお役に立たないと・・・・・」はぁはぁ
勇者「あんたに力仕事は不向きだと思うんだけどなぁ・・・」


181 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 08:54:43 ID:D+rux1ln
勇者「メイドにでも命令されたの?」
妖精「はぃ・・・」
勇者「・・・なんかあんたメイドに敵視されてたみたいだけど・・・」
妖精「仕方ないんです・・・いつも私が魔王様を独り占めにするから・・・」
勇者「嫉妬かぁ・・・女の嫉妬は怖いなぁ」


182 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:05:59 ID:D+rux1ln
妖精「あ・・・ありがとうございました・・・」よろ...
勇者「だっ大丈夫っ?;」
妖精「だ、だいじょうぶです・・・心配はいりません・・・」よろ...
勇者(他にもこき使われていたんだろうなぁ・・・)


183 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:10:52 ID:D+rux1ln
妖精「お、お茶でも入れます・・・っ・・・」ふらぁ
勇者「っと!」

 ぽすっ

妖精「す・・・すみません・・・」よろよろ
勇者「や、やわらかっ・・・」
妖精「・・・?」
勇者「・・・この城で初めて女の子を見たかも・・・」


184 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:25:43 ID:D+rux1ln

こぽこぽこぽこぽ・・・

妖精「どうぞ・・・」すっ・・・
勇者「あ・・・えっと、いただくよ・・・」じーっ
妖精「・・・?あっお茶菓子ならここに・・・」すっ
勇者「い、いや、そういうわけじゃないんだけども・・・」


185 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:32:15 ID:D+rux1ln


 こくこく・・・

妖精「はぁ・・・やっぱり紅茶を飲むと元気がでますねっ」ぱぁっ
勇者「か、かわいぃ・・・」
妖精「え・・・」
勇者「毒入りとか言わないし・・・なんて可愛いんだ・・・」
妖精「ど・・・毒入り・・・?;」


186 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:53:32 ID:D+rux1ln
勇者「もしかして噂の妖精さんなのかな?」
妖精「あ、はい・・・妖精です・・・」
勇者「そーかーこれは可愛がるのも無理ないな」うんうん
妖精「ええと・・・あなたは・・・?」
勇者「勇者だよ」
妖精「!勇者様!!」
勇者「新鮮な反応だなぁ」しみじみ


187 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 09:59:05 ID:D+rux1ln
妖精「ああでは貴方が、あの!」
勇者「うんうん」
妖精「キスしただけで赤くなり何とも弄り甲斐があるという」
勇者「おい待て」

勇者「それはアイツが吹き込んだのか・・・?」
妖精「いつも楽しげに貴方のことを魔王様が話してくれます」ニコニコ
勇者「こんなカワイイ子にそんなこと言うなよ・・・」ガクッ


188 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 10:10:31 ID:D+rux1ln
妖精「話に聞く限り、もう少し可愛らしい方なのかと思ってました」にこにこ
勇者「別に可愛くないよ・・・・・」
妖精「えぇ。・・・格好よくて逞しい方なのですね」にこ
勇者「っ」どき
妖精「魔王様が気に入っている方だから、きっと素敵な人なのでしょうと思っていました」
勇者「・・・・・」


189 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 10:25:27 ID:D+rux1ln
勇者「・・・・・あ、えっと、そっそういえば魔王はどこにいるの?さっきから見かけないけど・・・」
妖精「魔王様なら今遠征に出かけてますよ?」
勇者「あ・・・そうなの・・・・・」
妖精「明日辺りにご帰還なさりますから、今夜は泊まっては如何でしょう」にこにこ
勇者「えっ」
妖精「私ももう少し貴方とお話したいですし・・・」ぽ
勇者「え・・・え?」


190 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 10:50:29 ID:D+rux1ln
○魔王城:魔王の寝室○

勇者「・・・・・」
妖精「さ、勇者様。こちらにお座り下さいっ」ぱふっぱふっ
勇者「・・・何この部屋・・・」
妖精「魔王様のお部屋ですよ?」
勇者「あ、あの・・・オブジェのごとく並べられている骨は・・・?;」
妖精「魔王様が今まで倒してきた方の骨だそうです」
妖精「その中でもおいしかったものだけ飾っているとか」
勇者「お、おいし・・・」
妖精「すごいですよねぇ〜どうやったらあんなに食べられるんでしょう」




191 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 10:56:54 ID:D+rux1ln
勇者「あ、あれはっ・・・?;」
妖精「あれは健康グッズだそうです」
勇者「健康グッズ?」
妖精「ヘビやトカゲの干物は食べると健康に良いらしいですよ?」
勇者「あれトカゲなのか・・・でけえ・・・・・」


192 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 10:59:47 ID:D+rux1ln

ぽすっ

勇者「でかいなこのベット・・・まさにキングサイズ」
妖精「魔王様は色んな方を招きますからね〜このくらい大きくないと駄目なのでしょう」
勇者「・・・。そっか・・・・・」
妖精「・・・・・」


193 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 11:18:07 ID:D+rux1ln
妖精「・・・勇者様は魔王様のことが、好きなのですか?」
勇者「!? なっ!?そそそんなことっっっ・・・」
妖精「ふふふっ、そんなに焦らなくても」
勇者「あ・・・う・・・・・」かぁっ
妖精「・・・魔王様が好きな方は皆そんな顔をなさる・・・」
勇者「・・・・・」


194 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 11:37:03 ID:D+rux1ln
妖精「罪なお方ですねぇ、魔王様は」
勇者「いや・・・別に好きだと言ったわけじゃぁ」
妖精「鷹のようなお方だから、誰にも捕らわれることはない・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「だから、皆が憧れる」


195 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 11:48:35 ID:D+rux1ln
妖精「いいですねぇ私も恋、したいな」
勇者「・・・したことないの?」
妖精「してはいけない身分ですので・・・」
勇者「そんなことないだろう」
妖精「いえ、半分魔族で半分人間の私など」
妖精「誰かを好きになるなんて・・・おこがましいです」


196 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 12:38:58 ID:D+rux1ln
勇者「そんなことないよ。恋なんて、誰もがしてしまうものさ」
妖精「そうですか?」
勇者「うん・・・そもそも何時の間にかしてしまうから、無理やり止められるものではないと思うよ」
妖精「・・・・・」
勇者「それを恋だと認めるかどうかは本人次第だと思うけど・・・」


197 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 12:40:46 ID:D+rux1ln
妖精「恋をするだけなら・・・許されることなんでしょうか・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「想うだけなら・・・」
勇者「・・・・・」
妖精「まあ・・・恋自体したこと無いからなんとも言えないんですけどね」にこ
勇者「・・・・・」


198 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 12:47:31 ID:D+rux1ln
妖精「勇者様、勇者様」
妖精「私は貴方が魔王様を幸せにしてくれると信じています」
勇者「へ」
妖精「貴方の話をする時の魔王様はとてもとても楽しそうです」
勇者「いや、それ面白いオモチャの話でもしている気分何だと思うんですけど・・・」


199 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 13:08:30 ID:D+rux1ln
妖精「あの方は寂しがり屋です」
妖精「でも、その地位があの方を孤独にさせる」
妖精「それは貴方も同じなんじゃないですか?」
勇者「・・・・・」

妖精「魔王様は本当の”愛”を知りません」
妖精「王を継承する時に全てを忘れてしまうから」
妖精「家族も愛した人も愛してくれた人も全て忘れるのです」
妖精「だからこその”魔王”。心を忘れ、ただ正当な断罪を下すために存在する」
妖精「でも・・・時々その背中が寂しく見えるのです」
妖精「かつて普通に愛情を持っていた心が愛を探しているように・・・」


200 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 13:29:08 ID:D+rux1ln
勇者「・・・・・」
妖精「勇者様」ひしっ
勇者「!」
妖精「私は貴方しかいないと思っていますっ」
勇者「なっなにが・・・?;」
妖精「魔王様を法の鳥かごから引き摺り出すんですっ!」
妖精「大体前代に出来た法何ですよ!?そんな歴史の浅い法を守ってどうなると言うのです!?」
勇者「そ、そうなの・・・?;」
妖精「こんな法なんて一緒に打ち破ってみせましょうっ!ねっ!!応援しますから!」
勇者「あんた・・・結構熱いんだなぁ・・・・・」


201 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 13:38:42 ID:D+rux1ln
妖精「えへへ・・・実は久しぶりに人間に会うのでちょっと興奮しているのです」
勇者「魔王と遊びに行ったりしないの?人間界に」
妖精「ええ・・・あそこは危険だ、お前が行っては狼が黙っていないとかで・・・」
勇者「ああ、うん・・・そっか・・・」
妖精「だから今夜は、人間界の旅の話でも聞かせてくださいな」
妖精「色々と各国を旅していらっしゃるのでしょう?」
勇者「いいよ、俺の話でよければ」
妖精「ありがとうございますっ」キラキラ


202 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:00:57 ID:D+rux1ln

 ぴと

勇者「・・・」
妖精「・・・」キラキラ
勇者「・・・あのー・・・」
妖精「はいっ」むにっ
勇者「な、何で・・・引っ付いてるの・・・?;」
妖精「人の話を聞くときは出来るだけその人に近づくよう習いました!」キラキラ
勇者「あのぉ・・・その・・・・・」

勇者「ごめん・・・色々と耐えられないから離れてくれる・・・?」
妖精「Σ(・ω・;)」


203 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:05:49 ID:D+rux1ln
妖精「す、すみません・・・やっぱり人と魔物のハーフ何て触られても気持ち悪いですよね・・・」ズーン・・・
勇者「い、いや、そういうわけじゃないよっ!;ただ・・・」じー・・・
妖精「・・・?」ぷるんっ
勇者「っ・・・男の事情というものがあるんです・・・察して下さい・・・」
妖精「・・・?・・・??」


204 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:22:51 ID:D+rux1ln

 ガルル・・・・・・

勇者「! なんだ・・・? 狼・・・?」
妖精「あっパピー!」
勇者「ぱ、ぱぴー?;」
妖精「私のお友達ですっ!どうしたの?お前も話を聞きにきたのかい?」
パピー「ゥワンッ!!」
妖精「じゃあ一緒に聞こうねー」
パピー「ゥワンッ!!!」ぱたぱた
勇者「パピー(子犬)・・・・・」


205 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:31:39 ID:D+rux1ln
。o0○

妖精「・・・」すー・・・
勇者「・・・寝ちゃった・・・」
妖精「ん・・・にゅ・・・・・」むぎゅ〜
勇者「・・・人に言われたからといより、引っ付くのがこの子の癖なんじゃないかなぁ・・・」
パピー「ガルル・・・」
勇者「・・・お前、もしかして俺を見張りに来たの?」
パピー「グゥウウ・・・」
勇者「この子どこか無防備だもんなぁ・・・」
パピー「グワゥ・・・」


206 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:42:50 ID:D+rux1ln
勇者「・・・でも大丈夫だよ」

勇者「俺さ・・・好きな人がいるんだ」

パピー「・・・・・」
勇者「いや、人じゃないよなぁアイツ」
勇者「何て言えばいいんだろう・・・好きな魔物?」
勇者「どっちでも良いや・・・まぁだからこの子には手を出さないよ」
パピー「ガルル・・・」


207 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:49:50 ID:D+rux1ln
勇者「・・・何でだろうなぁ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「何で好きになっちゃったんだろうなぁ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「愛情を忘れてるんだってさ・・・あの手は愛を持っていなかったのか」
勇者「そんな手に、惚れてしまったのか」


208 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 14:54:38 ID:D+rux1ln
勇者「優しく撫でてくれるんだ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「お前も分かるだろう?一応、犬だもんなぁ」わしわし
パピー「グワゥッ!」ブンッ
勇者「俺じゃ駄目か」


209 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 15:03:50 ID:D+rux1ln
勇者「ふああ・・・・・」

 ぼふっ

勇者「寝よ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「明日は、魔王が帰って来るんだ・・・」
パピー「・・・・・」
勇者「へへへ・・・何年振りかなぁ、2?3?」
勇者「元気にしてるかなぁ・・・いや、元気じゃなかったら出掛けたりしないか」
パピー「・・・・・」Zzz...
勇者「・・・お前、寝るの早いな・・・・・」

勇者「俺もさっさと寝て、明日のために体力ためとこー・・・」



212 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 20:25:25 ID:D+rux1ln

ちゅんっちゅんっ

  ちゅんっちゅんっ

勇者「・・・」ぐー・・・
魔王「・・・」ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・
勇者「・・・ん・・・ぁお〜・・・・・」ぎゅぅ
魔王「・・・おい」
勇者「ぅん・・・? あ・・・」
勇者「お、おはようっ!か、帰って来てたんだっ!?」ぱあぁっ
魔王「・・・・・」ギラーーーーーー
勇者「ま、魔王・・・?;」


213 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 20:46:27 ID:D+rux1ln
魔王「きさまぁ・・・」ゆらぁり
魔王「私のフェアリーに手を出すとは良い度胸してるじゃねぇかぁ・・・」ベキボキッ
勇者「えっ・・・えぇっ!?ごごご誤解だよっ!!!;ただ一緒に寝ただけっ・・・」
魔王「寝ただとっ!?」カッ!
勇者「あああああっ違うっ!これは言葉のあやというものでっ・・・」
勇者「お、起きて!妖精ちゃん!!;起きて弁解してっ!!!;」ゆっさゆっさ
妖精「んむにゃ・・・・もぅたべられましぇん・・・・・」むにゅむにゅ・・・
勇者「あああああそんな古典的な寝言言ってないでさぁあああ」

魔王「言い訳無用っ!!!死にさらせぇえええええええええええ!!!!!」ズガアアアアンッ!!!
勇者「うわあああぁああぁあああああぁああああああ」


214 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:06:08 ID:D+rux1ln

〜数時間後〜

もぞもぞ。。。

妖精「んっ・・・ふあぁ〜・・・」
妖精「あれ・・・・・ゆうしゃしゃまがいましぇん・・・」キョロキョロ
魔王「・・・」カチャリッ...
妖精「あっ・・・まおうさまっ!」
魔王「おはよう、妖精」にこり
妖精「おはようございます!お帰りなさいませ!!」たたたっ


215 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:17:35 ID:D+rux1ln
妖精「お食事中ですか?」
魔王「ああ」モグモグ
妖精「勇者様がいらっしゃってましたよ?でもどこ行ったんでしょう・・・」キョロキョロ
魔王「・・・・・」モグモグ
妖精「寝る前は一緒にいたのですが・・・」
魔王「・・・」モグモグ
妖精「別の部屋で寝たんでしょうか・・・・・」
魔王「・・・クッ」
妖精「?」
魔王「クックックックックッ・・・・・」
妖精「ま、魔王様・・・?」
魔王「ああ本当に、美味いなぁ・・・この肉・・・」じゅるりっ・・・

妖精「! ま・・・まさかっ・・・・・」


216 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:20:07 ID:D+rux1ln

勇者「そんなわけ、ないだろ・・・・・」ボロ・・・

妖精「あ!勇者様っ!!」
魔王「ちっ生きてたか・・・本当にしぶとい奴だ」フンッ
勇者「なんの・・・これしき・・・」よろよろ


217 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:36:33 ID:D+rux1ln
妖精「だ、大丈夫ですかっ?直ぐに手当てをっ・・・」たたたっ・・・
魔王「別にしなくて良いだろう、これしきの火傷など舐めときゃ治る」
勇者「こ、これしき・・・? 全身火傷が、これしきっ?;」よろ...
妖精「では、私が・・・」ぺろっ
勇者「!?」
魔王「!!??」
妖精「・・・」ぴちゃ・・・
勇者「あ、あ、あ、あのっ・・・/////」
魔王「っ・・・!」

魔王「そ、それならっそこに適した奴がいるだろうっ!!!」びしっっっ

パピー「アゥ?」


218 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:54:58 ID:D+rux1ln
勇者「・・・」ぐっちょり・・・
パピー「はっはっはっはっ・・・」ぱたぱた

魔王「全くもぅっ・・・そんな気軽に男に近付いちゃあ駄目だろう?」ぎゅううう
妖精「あっ・・・魔王さまっ」あせあせっ

勇者「・・・なんかベトベトする・・・」べちゃぁっ
パピー「ワウッ!」ぱたぱた

魔王「唯でさえ人を惹きつけてやまないのにいけない子だ・・・」すっ・・・
妖精「!やんっ・・・」

勇者「なんかさっきよりヒリヒリするし・・・・・」
パピー「ワウッ!ワウッ!」ぱたぱた


219 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 22:57:04 ID:D+rux1ln
魔王「そんなイケナイ子は、こうしてくれるっこうしてくれるっ」うりうりうりうりうりうり
妖精「やーんっ魔王様っ!人様の前ではご自重を・・・っ」ぷるぷる

勇者「・・・。人前じゃなきゃ、いいのか」
パピー「アウ?」

勇者「お前の愛に性の隔ては無いのか、魔王・・・」
魔王「ない」
勇者「そこだけ聞くのかよ」


220 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 23:12:19 ID:D+rux1ln
魔王「男はムッキリ、女はムッチリ」
魔王「性別によって変わる体はとても美しい・・・」うんうん
勇者「そ、そう・・・」
魔王「それを堪能しないなど、もったいない」
勇者「そう・・・」
魔王「お前はもっと鍛えなさい?まだまだ修行が足りぬぞっ」
勇者「あんたが強すぎるだけです・・・」


221 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 23:28:00 ID:D+rux1ln
○魔王城:中庭○

魔王「ということで、私が直々に相手してやろう」ジャキッ
勇者「俺今めっちゃっ!命の危険感じてるっ」カタカタ
魔王「何だ、さっきの傷は治してやっただろう」
勇者「そーゆー問題じゃないぃいっ」カタカタカタ
魔王「我がままなヤツだな・・・私が相手してくれることを光栄に思え」ビシッ
勇者「別の意味で相手して欲しかった・・・」くぅっ


222 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 23:49:03 ID:D+rux1ln

ガキィイイインッ!!!

勇者「ぐはっ・・・」ドサッ
魔王「なんだぁなんだぁ〜?勇者殿はこのくらいの攻撃も回避できないのか?」にやにや
勇者「あんた・・・・・・まだあのことを根に持っているな・・・?」
魔王「ふっふっふっ・・・・・当たり前だ」


223 :創る名無しに見る名無し :2009/11/22(日) 23:53:56 ID:D+rux1ln
魔王「私の妖精に手を出すなど言語道断」
魔王「稽古だと託けて切り刻んでくれるっ!!!」ジャキッ ジャキッ
勇者「だからぁ〜あれは誤解だと何度言ったら・・・」
魔王「うっさいっ!舐められたくせにっっっ」ギラッ
勇者「しょ、しょうがないだろうっ!?大体あんたが舐めれば治るなんて言わなければっ・・・」
魔王「言い訳は無用だと言っている!!!どうせ昨夜は熱い夜をっ・・・くっ・・・」じわ
勇者「っ!? そそそそんなわけ無いだろう!?」
魔王「私の妖精を一夜かけて絆したのだろう!?だからあんなに懐いているんだろうっ!?」
魔王「私には懐いてくれるまで結構時間かかったのにっ・・・わーんっ!」ジャキンッ ジャキンッ
勇者「ちちっち・・・ちがっ・・・・・」
魔王「勇者の馬鹿ああああぁああ〜〜〜っ!!!ミンチにでもなっちまええええ〜〜〜っ!!!」ドゴオオオオッバキィイイイイッ
勇者「うわあああああああああああああああ・・・・・・」

妖精「勇者様・・・お労しい」ホロリ
側近1「全ての元凶はあなたなのですが・・・」


224 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:03:12 ID:D+rux1ln
。o0○

 カアッ カアッ
   アホー・・・アホー・・・


 ・・・バタッ!

勇者「・・・」
魔王「・・・息の根さえしなくなって来たな」ピシッピシッ
勇者「・・・も・・・だめ・・・・・・」チーン

側近1「・・・相当悔しかったようですねぇ・・・あなたを絆されたことが」
妖精「ああ勇者さまっ・・・あんなにこてんぱんに・・・」
側近1「中に戻りましょう・・・これ以上見るのは、彼にとって酷です」ホロリ


225 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:07:30 ID:P1OIZYQx
魔王「おーいっ」ペシッペシッ
勇者「・・・」
魔王「ここで寝るのかー?夜は色んな魔物が出るから危険だぞ〜?」
勇者「・・・」
魔王「・・・、しょうがないなぁ」

 ひょいっ


226 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:10:01 ID:P1OIZYQx
勇者「っ!わぁっ!?」
魔王「ベッドまで運んでやるから感謝なさい」とことこ
勇者「まっ・・・まてっ!お、おろせぇっ・・・」
魔王「ハイハイ、暴れない暴れなーい」ぎゅうぅ
勇者「っ・・・!」ズキッ
魔王「この様子じゃ人間界に帰れそうにないな」
勇者「おっおれのっ・・・プライドがっ・・・」
魔王「さぁさぁ今夜もお泊まりしましょーねぇー?ゆーしゃちゃ〜ん」ニヤニヤ
勇者「わあぁあんっ・・・・・・」


227 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:14:48 ID:P1OIZYQx
勇者「・・・」Zzz...
魔王「やれやれ・・・少し叩いたら眠ってしまったな」
側近1「それは”気絶させた”と言うのでは?」
魔王「細かいことは、気にしない」
側近1「そうですか・・・」


228 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:20:51 ID:P1OIZYQx
魔王「よいせっ」

 どさっ

魔王「ふぅ・・・結構重かったな」
魔王「でもこんなに大きくなったのにまだまだ寝顔は幼いなぁ」くすくす
側近1「人間は本当に成長が早いですね」
魔王「ついこの間まであんなにチビだったのにねぇ・・・」つんつん
勇者「うぅ・・・」ごろ...
魔王「ふふふ・・・」
側近「・・・・・」


229 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:37:52 ID:P1OIZYQx
魔王「可愛いなぁ、どうしてこんなに可愛いんだろう」
魔王「母性本能っていうやつかな?本能とは凄いなぁ、知らないはずの感情なのに」
側近1「・・・・・」
魔王「・・・でもいつか、直接的にせよ間接的にせよ、」
魔王「私はこの子を殺してしまうんだなぁ・・・」
側近1「・・・・・」


230 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:39:55 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・これはきっと残酷なことなのだろう」
魔王「でも、私はあまり残酷だと感じない・・・」
側近1「・・・・・」
魔王「麻痺してしまったんだなぁ・・・時々寂しくなるよ」
魔王「きっとこのまま機械のような存在になってしまうんだ」
魔王「でもそこまで行ったら寂しさも感じなくなる・・・」
側近1「・・・魔王様は」
魔王「ん?」
側近1「このまま何も感じなくなっても、良いと?」


231 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:44:16 ID:P1OIZYQx
魔王「ああ」
側近1「・・・」
魔王「先代と、親友との約束だ」
魔王「守って見せるさ、この体朽ちるまで」
側近1「・・・」
魔王「それがきっと、・・・正しいことなのだから・・・」


232 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 00:46:18 ID:P1OIZYQx

 ちゅ

勇者「・・・む・・・」ごろん
魔王「おやすみ、勇者」
魔王「いつか来るその時まで・・・良い夢を」


236 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 09:05:18 ID:P1OIZYQx

ー殺せ

ーー殺さねば死ぬ

ーーー倒すのだ奴を

ーーーー憎い・・・奴らは私の妻を・・・・・


勇者「ん・・・」


ーーーー殺さなければ呪いが・・・

ーーー可哀相に・・・

ーー次はどこの国の人が・・・

ー・・・


237 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 09:11:25 ID:P1OIZYQx
勇者「・・・」
勇者「また、か・・・」
勇者「最近多いな・・・追い詰められてる?」
勇者「はぁ・・・夢の中くらい好きな人を抱きしめたいものだ」

 こんこん

宿屋の娘「ちょーしょくできましたよ〜?」
勇者「ああ、ちょっと着替えるから少し待ってくれっ」
宿屋の娘「・・・入りますよ〜?」キィ...
勇者「だああ少し待つっ!あれ?いったい上着どこ行ったんだ・・・」ごそごそ


238 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 09:26:24 ID:P1OIZYQx
宿屋の娘「別にだらしなーいお客さまなんてたくさん見てきてるからいいのに・・・」とん
勇者「ははは・・・(紋章見られたら正体バレてしまうからなぁ)」
宿屋の娘「旅人さまはここ辺りで見かけない顔ですがどちらのご出身で?」
勇者「えーっと・・・ここから東へ向かったところにある国だよ」
宿屋の娘「まぁっじゃあ勇者が生まれた国ではありませんか?」
勇者「ああうん、そうだね・・・」
宿屋の娘「わぁー!じゃあお姿を見かけたことも?」
勇者「う・・・うん・・・まあ・・・」
宿屋の娘「きっと神々しくって崇高なお方なんでしょうねっ!いいなぁ私も一度だけでいいからお姿を拝見したいなぁ〜」うっとり
勇者「・・・」

勇者(・・・・・耳が痛い・・・)


239 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 09:52:22 ID:P1OIZYQx
〜と或る国の町〜

からん からん

洋菓子店の店員「いらっしゃいませ〜」にこにこ
勇者「うーん・・・どれがいいかなお土産は・・・そもそも甘いものが好きなのかも分からんし・・・」じー
勇者「店員さん、何かオススメの商品とかある?」
洋菓子店の店員「当店のオススメスイーツはこちらのシュークリームとこちらのミルフィーユになります」
勇者「ふーむ・・・」
洋菓子店の店員「どちらも甘さ控えめで、男性にも女性にも受けますよ?」
勇者「・・・んじゃ、シュークリーム五個、ミルフィーユ五個お願いします」
洋菓子店の店員「畏まりました」にこ


240 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 18:40:22 ID:P1OIZYQx
〜魔王城遊園七回目〜

魔王「ふむ・・・」パラ・・・
勇者「お、今日は居る」ひょこっ
魔王「ああ・・・勇者じゃないか」
勇者「・・・(・ω・)」


241 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 18:41:52 ID:P1OIZYQx
勇者「元気・・・にしてるか?」
魔王「いたって健康だ」
勇者「そう」
魔王「・・・」
勇者「・・・」


242 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 18:44:34 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・」パラ・・・
勇者「・・・何読んでるの?」
魔王「ああ・・・実はな、」
魔王「妖精が旅に出ててな」
勇者「旅?妖精ちゃんが?」
魔王「うん・・・」


243 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 18:51:06 ID:P1OIZYQx
魔王「本人が人間界を旅したいと至極希望するんでな」
魔王「まあ長い間閉じ込めてきちゃったし、可愛い子には旅をさせよと言うことで送り出したんだが・・・」
勇者「心配で気が気でない、と」
魔王「まあそういうことだ」


244 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:04:20 ID:P1OIZYQx
魔王「これは護衛としてついて行かせた魔物の報告書だ」パラ・・・
勇者「へー」
魔王「私のフェアリーは何処に行っても美しいびゅーてぃふぉーとモテはやされるらしい」
勇者「まーあれだけ美人ならなぁ」
魔王「我々の美意識と人間の美意識は大して変わらんのだな」
勇者「もしかしたら恋人でも作ってくるかもね〜」ニコニコ
魔王「・・・○月△日、□□王国の王子にプロポーズされる・・・」
勇者「・・・・・」


245 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:10:07 ID:P1OIZYQx
魔王「『仲間の一人の説得により、承諾することはなかったが本人は満更でもなさ気』」
魔王「『きっと”王子に告白される”というシチュエーションが乙女心を揺さぶったのだろう』・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・よし、」
勇者「?」
魔王「ちょっくら□□王国を滅ぼしてくる」ガタッ
勇者「止めてください」ひしっ


246 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:14:08 ID:P1OIZYQx
魔王「冗談だ。本気にしないでくれ」
勇者「いや、目がマジでしたよあんた・・・」
魔王「私情で動く様な魔王様ではない」
勇者「ならいいんだけど・・・」
魔王「そもそも私は生態系を管理するために存在するんだ」
勇者「? 生態系を、管理?」
魔王「そう」


247 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:23:19 ID:P1OIZYQx
魔王「元々、魔族は増えすぎた種族を削り取るために生まれた、と言われている」
勇者「へぇ・・・」
魔王「最初は各々バラバラに暮らしていたんだが、ある日その魔族の中から王が作られた」
魔王「ただ初代魔王が人を食うタイプの魔物だったんでな。当時は余分なくらい人間が魔物に食われてしまったらしい」
勇者「・・・」


248 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:35:06 ID:P1OIZYQx
魔王「だから人間は魔物を憎んだ」
魔王「そしてその憎しみが力になり、人類を守るために・・・己の種族から”勇者”という存在を生み出した」
勇者「・・・・・」
魔王「初代が死んだ後、次に王を受け継いだ者は今までやってきたことが過ちだと知る」
魔王「だから人を無闇に殺すことを謹んで、頂点に立つ者らしく」
魔王「全ての魔物を管理し、多く増えすぎた種族は己の部下達によって刈ることにした」
勇者「・・・・・」
魔王「あくまで言い伝えだがな」
魔王「なかなか信憑性があるだろう?」


249 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:40:17 ID:P1OIZYQx
魔王「本当は、我々が生まれた理由などわからない」
魔王「だが巨大な力はその力を奮いすぎると全てを壊してしまう・・・」
魔王「だから、壊さないように、全てを奪ってしまわないように」
魔王「バランスを取りつつ世界を生きている」


250 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:44:53 ID:P1OIZYQx
魔王「だからさ、情なんていらないんだ・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「私情を持ったら正確な判断などできなくなる」
魔王「親しいものでも、ルールの枠から出たものは容赦なく刎ねる」
魔王「だから、情なんていらない・・・」


251 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:50:31 ID:P1OIZYQx
勇者「・・・・・」
魔王「・・・すまん。ちょっとセンチメンタルな気分になってた」
勇者「いや、・・・ちょっと嬉しいよ」
魔王「?」
勇者「まあ、何で嬉しいかは、言わないけど」にこ
魔王「??」


252 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 19:53:42 ID:P1OIZYQx
魔王「あ〜・・・駄目だな、やっぱ癒してくれる存在がいないと」
魔王「早く帰ってこないかなぁ、妖精・・・私のフェアリー・・・」シクシク
勇者「まぁまぁ」
勇者「お土産持ってきたから、これでも食べて元気出せよ」がさ
魔王「お土産?」


253 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:05:32 ID:P1OIZYQx

がさごそ

魔王「?なんだこれは」
勇者「人間界のお菓子だよ」
魔王「不思議な形をしているな・・・」じー
勇者「中にクリームが入ってて美味しいよ」
魔王「ほう・・・あいつらにもやるか」
魔王「おーいっチビどもっ菓子があるぞー」ぱんっぱんっ


254 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:11:27 ID:P1OIZYQx

         「「「お菓子お菓子!!!」」
 「「「お菓子だって!!!」」」
            「「「わーいっ!!!!!」」」たたたたた...

勇者「っ!? ちっちゃっ!めっちゃちっちゃ!!!」

魔王「ほれ、仲良く食うんだぞー」
ちまっちゃい魔物達「「「はーいっ!!」」」
勇者「元気だなぁ」


255 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:13:10 ID:P1OIZYQx
魔王「では私も早速・・・」はむっ

 むにゅっ

魔王「!?」
勇者「あー・・・後ろからクリーム出てるぞ」
魔王「わっわかってるっ!」はむっ むにゅっ
魔王「むぐっ!?よほからもへへひは!」
勇者「あーぁー・・・」


256 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:20:05 ID:P1OIZYQx
魔王「ぬぬぬ…美味いが悪魔の食べ物だな、コレは」べっちょり
勇者「そんな大袈裟な・・・」
ちまっちゃい魔物「魔王さま食べるのへったクソー」
ちまっちゃい魔物達「「「へったくそーっ」」」
魔王「なっ・・・なんだとーっ!」めらっ
ちまっちゃい魔物達「「「キャー!魔王さまが怒った〜っ!!」」」
ちまっちゃい魔物達「「「かーちゃんのとこに帰ろーっとっ!!!」」」

  きゃっきゃっ きゃっきゃっ
                  たたたた...

魔王「ムムム・・・子供にも出し抜かれるとは」
勇者「あんた意外と不器用なんだなぁ」
魔王「うっ・・・うるさぁいっ!;」


257 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:26:09 ID:P1OIZYQx
魔王「ったく・・・散々だ」ぺろ
勇者「・・・」
魔王「次回からはもぅちょっと食べ易いものにしてくれよ、勇者」ぴちゃぴちゃ
勇者「・・・」
魔王「それとも態とか?普段からかわれてるからってー・・・」ぷんぷん
勇者「・・・魔王」
魔王「ん?」
勇者「こっちにも付いてる」ちゅ
魔王「!」


258 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:28:53 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・おまえ、」
勇者「・・・」
魔王「勇者、か?」
勇者「疑うのかよ・・・」


259 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:30:03 ID:P1OIZYQx
魔王「だってぇ!チューしただけで真っ赤なるcherryboyだったのに!!自分からするなんて!!!」
勇者「人が少し勇気出したらこれかよ!;」
魔王「あの可愛い勇者はいずこ!?見た目も可愛くなくなっちゃったのに中身まで可愛くなくなったら終わりじゃないか!!」
勇者「キスくらい慣れとけってあんたが言ったんだろっ」
魔王「そんなの忘れた」
勇者「ご都合主義もいい加減にしろ!;」


260 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:33:10 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・仕方ない・・・ちこうよれ」
勇者「?」

 んちゅぅ

勇者「っ!?」
魔王「・・・」くちゅ…
勇者「・・・、っ・・・」
魔王「・・・・・ん・・・」

ぴちゃ・・・

魔王「・・・」つぅ...
勇者「・・・っは///」
魔王「ふふ・・・」
勇者「・・・っ///」
魔王「やっぱりまだまだ若造だな」くす
勇者「くそ・・・///」


261 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 20:34:52 ID:P1OIZYQx

ぎゅう

勇者「!」
魔王「・・・」ぎゅ・・・
勇者「ど・・・どした?」
魔王「大人しく抱き締める」
勇者「は、はい・・・」ぎゅ


262 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:05:59 ID:P1OIZYQx
魔王「最近なぁ妖精がいなくて温もり不足なんだ」
勇者「は、はぁ・・・」
魔王「柔らかさが足りぬがこれで我慢しよう・・・」すりすり
勇者「仕方無しかよ・・・」


263 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:13:03 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・うるさいなぁ」
勇者「・・・仕様がないだろ」
魔王「もう少し静かにならんか」
勇者「無理だよ」
魔王「・・・」
勇者「・・・」


264 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:17:20 ID:P1OIZYQx

すっ・・・

魔王「・・・」
勇者「・・・」
魔王「・・・充電終了」にこ
勇者「元気でた?」
魔王「ああ」
勇者「・・・それは良かった」にこ


265 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:24:16 ID:P1OIZYQx
勇者「じゃ、俺行くよ」タッ
魔王「なんだ・・・? 今回はやけに早いな」
勇者「うん。・・・やること、見つけたんだ」
魔王「そっか・・・」
勇者「・・・」

 ちゅ

魔王「・・・」
勇者「・・・お土産さ、メイドさんとか側近さんとかにもあげてよ」
魔王「む、私一人で食べたりしないさ」
勇者「そーかー?なんか抱きしめた時結構太ってるようにk」


266 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:30:03 ID:P1OIZYQx

 ぼかっ

勇者「〜〜〜〜〜っ!!!」じんじん
魔王「レディーに向かって太ってるなどとは失敬な」
勇者「お前別にレディーじゃな」

 ぼかっぼかっ

勇者「・・・・・」じんじんじんじん
魔王「っ・・・さっさと行けっ!無礼者っっっ!!!」げしっげしっ
勇者「わぁかった!わかったから!!行きます行きますっさよーならっ!!!」

 ヒュンッ


267 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:38:39 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・ったく」
魔王「あいつだんだん生意気になってきてないか?」
魔王「私に惚れている癖になんて言い草だ・・・」ブツブツ・・・
魔王「・・・・・」


268 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 21:43:56 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・・・・ははっ」
魔王「私に、惚れているのか・・・あいつ」
魔王「聞いたかっ! あの鼓動を!!!」
魔王「喧しいったらありゃしないっ!」
魔王「抱きしめた・・・だけなのにっ」
魔王「魔王に惚れるほど愛に飢えているのか、勇者よ!!」
魔王「あはははははっ・・・はははははっ・・・・・」

魔王「・・・・・・」

魔王「・・・愛に飢えているのは、私もか」


269 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:02:04 ID:P1OIZYQx
○魔王城:魔王の寝室○

カツッコツッ 
       カツッコツッ

魔王「・・・・・」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「勇者がさ・・・お前に、お土産だそうだ」

 がさごそ

魔王「・・・中にクリームが入っててさ・・・美味しいんだぞ、これ」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「ちょっと食べづらいが、私は気に入った」
魔王「今度人間界に行ったときにも食べに行こうと思う」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「あ、でも食べ方練習せねばな・・・」
魔王「人間は料理の美しさを求めるあまり食べ易さを忘れていると思うぞ」もぐもぐ
魔王「!・・・こいつも美味いな・・・やっぱり何か食べ辛いけど」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「むっ・・・ぼ、ぼろぼろ落ちるっ!あ〜後で掃除せねばっ」ぼろぼろ
真新しい骸骨「・・・・・」


270 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:08:49 ID:P1OIZYQx
魔王「・・・・・お前がいなくなってさ、」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「部屋が、汚くなったよ。ちゃんと一応仕事してたんだな、お前」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「どっちかって言うと汚してばかりだった癖にな」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「いつもいつも私ばかり追いかけて何度私を困らせたことか・・・」

真新しい骸骨「・・・・・」


271 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:15:26 ID:P1OIZYQx
魔王「最後の最後まで私を困らせてさっ」
魔王「”あなたに殺されるなら本望です”だぁ?」
魔王「そんなこと言われたら、困るだろうっ」
真新しい骸骨「・・・・・」
魔王「私だってなあ、私を好いてくれる奴を殺すことはそれなりに苦しいんだぞっ悲しいんだぞっ」
魔王「それなのにっ・・・・それ、なのにっ・・・・・」
真新しい骸骨「・・・・・」

魔王「・・・っ・・・・・」ぎゅぅっ・・・


  惚れて 欲しくなかった
    好いて 欲しくなかった



272 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:27:22 ID:P1OIZYQx

〜とある国の高い木の上〜

バサッ バサッ
   バサッ バサッ

勇者「うーん・・・」
勇者「今、俺って何歳だっけ?」
勇者「ひーふーみー・・・・・・・・」
勇者「ええっ26歳!?」
勇者「うおっ・・・結構年いってんなぁ」


273 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:33:22 ID:P1OIZYQx
勇者「間に合うかなぁ・・・」
勇者「・・・・・」
勇者「・・・いや、」
勇者「弱気になってはならぬ」
勇者「間に合わせて、みせる」
勇者「・・・よっしゃぁ!バラ色の未来のために、いっちょ頑張るかぁ!!」たっ

 ヒュンッ



274 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 22:43:10 ID:P1OIZYQx
―――――――とある国の宮殿。

 タッタッタッタッ

『・・・・・それぞれ配置に・・・』

   タッタッタッタッ

 『それはこっちに・・・・・』

        ッタッタッタッタ

『勇者は・・・・・』
           『・・・・の国に・・・・・』

国王「・・・・・・」

国王「・・・・・そろそろ」

国王「頃合だ」


275 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:00:06 ID:P1OIZYQx
〜魔王城訪問八回目〜

勇者「・・・よいせっ」たすっ
勇者「ふぅ・・・無事到着」
勇者「此処を訪れるのもこれが最後になるのかなぁ〜・・・」とことこ

。o0○

勇者「あいつ・・・どこにいんのかな・・・」キョロキョロ
妖精「・・・? 勇者、さま?」
勇者「? ・・・・!! 妖精ちゃん!?」
妖精「はいっ!・・・お久しぶりです〜」ピカー
勇者「うわ・・・何かさらにお美しくなって・・・」チカチカ


276 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:05:12 ID:P1OIZYQx
妖精「魔王様に会いに来たんですか?」にこにこ
勇者「ああうん・・・まぁ、一応」
妖精「そうですか〜」にこにこ
勇者「・・・・・」


277 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:15:00 ID:P1OIZYQx
勇者「何か・・・幸せそうだね?」
妖精「はぁいっ!」ぱぁあっ
勇者「旅は楽しかった?」
妖精「とても楽しかったですよっ!」にこにこ
妖精「色んな人に会って、色んなものを見てきました!」
妖精「中でも海にはとても感動しましたねぇ〜・・・あんなに美しいものは今まで見たことありませんでした!」
勇者「ぷくくっ・・・そっか、今まで見たことなかったか」
妖精「?」


278 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:21:52 ID:P1OIZYQx
勇者「魔王は何処にいるのかな?」キョロキョロ
妖精「魔王様なら・・・あ」
勇者「?」
妖精「午後は遠征に出かけるって行ってました・・・」
勇者「え、じゃあいないの?」
妖精「はい・・・」しゅん...
勇者「そっか・・・俺タイミング悪いな・・・」ガシガシ
妖精「・・・・・」


279 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:32:45 ID:P1OIZYQx
妖精「何か・・・」
勇者「ん?」
妖精「勇者様も、変わりましたね?」
勇者「そう?」
妖精「ええ」にこ

妖精「前会ったときはなんとなく、しょんぼりな感じでしたが」
妖精「今は何だか輝いておられますっ」キラキラ
勇者「・・・そうかなぁ?」
妖精「ええ。前よりずっとカッコいいですよ!」ぱあぁっ
勇者「あ・・・ありがとう・・・・・」てれてれ


280 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:38:10 ID:P1OIZYQx

 こぽこぽこぽ

妖精「・・・〜♪」
勇者「・・・」
妖精「魔王様は多分、今日中には帰ってきます」
妖精「それまでお茶でも飲みながら世間話をしましょう」にこり


281 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:44:17 ID:P1OIZYQx
勇者「旅の話を聞かせてよ」
勇者「相当楽しかったんだろう?」
妖精「はいっ」にこ
勇者「さっきから生き生きしてるし」
妖精「うふふ・・・」つやつや
勇者「もしかして、好きな人でも見つけた?」ごくごく
妖精「はいっ・・・好きな人が、できました」ぽ
勇者 カシャーンッッ


382 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 00:44:42 ID:aHUnLmsh
妖精「? どうかしました?」
勇者「そ、それっ・・・ままま魔王にも言ったの・・・?」
妖精「いーえ?」
勇者「そ、そう・・・」ほっ
妖精「?」
勇者「今一国の命が救われました・・・・・」ホロリ
妖精「??」


282 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:51:27 ID:P1OIZYQx
妖精「魔王様には心配かけちゃうので、言いません」
勇者「懸命な判断だ」うんうん
妖精「どうせ叶わぬ恋ですし・・・」
勇者「え・・・」

妖精「フィアンセが、いる方だったのです・・・」
妖精「私にその方を奪う資格など、ございません・・・」
勇者「・・・・・」


283 :創る名無しに見る名無し :2009/11/23(月) 23:56:43 ID:P1OIZYQx
妖精「まあ、私、その方には嫌われてましたから」
勇者(いや、この子の場合被害妄想が激しいとこあるからな・・・実際はどうだか)
妖精「・・・この気持ちを知れただけでも幸せです・・・」きゅ
勇者「・・・・・」

妖精「恋って、難しいですね」
妖精「思っていたよりも、ずっとずっと重いものでした」


284 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:00:21 ID:FYRxUGqF
妖精「でもとても素晴らしい感情です・・・」にこ...
勇者「・・・・・」
妖精「・・・勇者様も、大切にして下さいね?」
勇者「・・・ああ」

勇者「大切に、するよ・・・」



285 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:02:01 ID:wBv7RTS2
勇者「最近あれが来ない…」
妖精「そうですか〜」にこにこ


286 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:06:13 ID:FYRxUGqF
――――――深夜。

  カッ カッ カッ カッ・・・・・

魔王「・・・・・」

      ギィッ・・・

魔王「・・・・・」

勇者「・・・・・」

魔王「・・・・・」


287 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:13:29 ID:FYRxUGqF
魔王「・・・来てたのか」
勇者「ああ」
魔王「何か・・・用か?」
勇者「倒しに来たわけじゃないよ」
魔王「・・・・・」


288 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:19:28 ID:FYRxUGqF
勇者「俺は、奇襲なんて仕掛けない」
魔王「じゃあ、知ってるんだな」
勇者「うん」
魔王「急に人間達が魔界へ進撃したことを」
勇者「・・・うん」


289 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:21:16 ID:FYRxUGqF
魔王「全く・・・散々だ」どかっ
勇者「・・・・・」
魔王「襲われた魔族は何が起こったのか分からなくて人間の軍の方に突っ込んじゃうし」
魔王「人間は人間で何か混乱してやがるし」
勇者「・・・・・」
魔王「もうちょっと鍛えてからき来やがれってんだ」ふんっ
勇者「全部倒したんだ?」
魔王「もちろんっ」フンッ
勇者「さすが・・・魔王様だなぁ」にこり


290 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:24:07 ID:FYRxUGqF
魔王「でもこちらも惜しい部下達を亡くした」
魔王「しかも人間達はこれからも進撃し続けるとの報告がある
勇者「・・・・・」
魔王「説得もうまくできないし、殺しすぎてもいけないし」
魔王「はぁ・・・感情を持つほど賢い生き物はやっかいだ」


291 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:30:55 ID:FYRxUGqF
勇者「確かになぁ・・・」
魔王「・・・で」
魔王「勇者様はこんなご時勢に何をしにいらっしゃったのかな?」
勇者「ああ、ええっと・・・」ごそごそ
勇者「はい」かさっ
魔王「?何だこれは。手紙・・・?」かさかさ...
勇者「うん・・・まあ、一応」
魔王「・・・・・」
勇者「果たし状?」


292 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:35:14 ID:FYRxUGqF
勇者「先日国王直々にさー、さっさと魔王倒せって凄まれてさー」
魔王「・・・・・」
勇者「もう群臣達で俺を囲って凄むの。あれはもう脅しだね」
魔王「・・・・・」
勇者「だからその手紙に書いてある日付にさ、もっかいここに来るよ」

勇者「あんたを倒しに」



293 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:40:05 ID:FYRxUGqF
魔王「そうか・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「ふっ・・・なかなか礼儀正しいじゃないか、果たし状を作ってくるなんて」
魔王「今までの勇者の中では、初めてだぞ」くっくっくっ
勇者「まぁそうだろうねぇ・・・」
魔王「・・・楽しみにしていよう」
勇者「・・・・・」

魔王「来たるその日まで、精々鍛えておけ」


294 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 00:46:49 ID:FYRxUGqF
勇者「ああ」
魔王「・・・・・」
勇者「絶対に倒してみせるよ」
魔王「ふっ・・・」
勇者「負けたからって、泣くなよ?」
魔王「それはこっちの台詞だ」
勇者「・・・じゃ・・・」
魔王「・・・・・」

勇者「また、来たるその日に」
魔王「来たる、その日に」

勇者「・・・、バイバィ」ヒュンッ

魔王「・・・・・」


295 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 01:04:34 ID:FYRxUGqF
魔王「・・・・・遂に」
魔王「来るの、か・・・」
魔王「・・・・・」

魔王「・・・私は魔王」

魔王「私は、魔王だ」

魔王「心無い、王様・・・・・」


296 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 01:07:00 ID:FYRxUGqF
魔王「だから・・・大丈夫だ」
魔王「これもきっと・・・忘れるための、試練」
魔王「見ていてくれ、友よ」

魔王「私は魔王に相応しい者になってみせる」


297 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 01:11:45 ID:FYRxUGqF
おさるさん出現率が高くなったのでここで終了。
今日で終わると思てたのに・・・予想より長くなりそうです(´・ω・`)ヨテイハミテイ

読んで下さった方、ありがとうございました。
物語は多分今、山頂くらいです。
あとは下るだけですので何卒お付き合い願えたらなと思います・・・


298 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 18:38:20 ID:FYRxUGqF

―――数ヵ月後――――――――。

〜第九回魔王・・・討伐?〜

 ヒュオオオオオ・・・・・
     オオオオォォオオオ・・・・・・

魔王「・・・用意は良いか、勇者」
勇者「おうっ!」ジャキッ
魔王「ふっ・・・威勢のよいことだ」ニヤリ


299 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 20:47:34 ID:FYRxUGqF
魔王「やっぱ勇者はそのくらい活きの良い奴でないと」
勇者「倒し甲斐が無いって?」
魔王「そうそう」
勇者「・・・今まで小指で倒してきただろうに・・・・・」
魔王「ちょっとは楽しませてくれよ」ふっ


300 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 20:55:00 ID:FYRxUGqF
勇者「・・・・・」ジャキッ
魔王(・・・・・綺麗な、瞳だ)

勇者「・・・では・・・」
魔王「・・・・・」ザッ...


勇者&魔王「「いざ」」



301 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:03:40 ID:FYRxUGqF
―――――――――――・・・・・
―――――――――・・・・・
―――――――・・・・・

ピチチチチチ・・・・・
 ピチチチチ・・・・・・・

魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・うそだ・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・このわたしがまけるなんて・・・」ズーン…
勇者「Winner〜☆(*´∀`*)ノ」


302 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:07:25 ID:FYRxUGqF
魔王「し、しかもなんかいけどりにされてるし・・・ここ、どこ」キョロ...
勇者「いや〜片腕しかないから運ぶの大変だったよ!あんた結構おm」

 ぺしっ!

魔王「・・・・・」
勇者「す・・・すみません・・・」じんじん


303 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:12:37 ID:FYRxUGqF
魔王「くそっ!なんとゆーくつじょくだ!」たんっ
勇者「やっぱりまだ麻痺してる?」
魔王「おまえなにがもくてきだ!よーがないならさっさところせっ!」
勇者「そんなに急がなくても・・・」
魔王「ほんもうなのだろ!?わたしをたおすことが!」
魔王「わたしをたおしたらもうじゅみょーにおびえることもなくなるんだぞ!?」
勇者「まぁそうなんだけどさ・・・」
魔王「ゆうしゃにまけるなんてまおうしっかくだ!」
魔王「もうわたしはいのちなどおしくないっ・・・」ハァッ...ハァ...
勇者「・・・・・」


304 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:19:05 ID:FYRxUGqF
魔王「・・・なんだおまえ、このごにおよんでためらっているのか」
勇者「いや・・・そのぉ・・・・・」
魔王「・・・、しかたない・・・・・」

魔王「おまえがわたしにとどめをさせないのなら」
魔王「じぶんでこののどをかっきってやる!!!」バッ
勇者「!? ちょっちょっと待ちなさいっ!!!;」パシッ


305 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:32:17 ID:FYRxUGqF
魔王「っ・・・なんだ、なぜとめる」
勇者「とっ・・・取りあえず、落ち着いて・・・」ぷるぷる
魔王「・・・・・」

 ぱしっ

魔王「・・・いったいなにをかんがえてるんだおまえは」
勇者「え、えぇっと・・・」ぽりぽり
魔王「うじうじしてないでっさっさといえっ」ぺしっ
勇者「うっ・・・わ、わかった・・・ぃ言います・・・」ごそごそ
魔王「まったく・・・さっきまでちょこっとおとこまえだったのに・・・」ブツブツ


306 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:42:45 ID:FYRxUGqF
勇者「て、手を・・・」ドキドキ
魔王「?」

 スッ...

魔王「・・・? ゆびわ?」
勇者「ぶ・・・文化の違い・・・?」


307 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:53:40 ID:FYRxUGqF
勇者「ぇ、ええっとですねぇ」
勇者「人間には結婚を申し込むとき、」
勇者「指輪を送る習慣があるんです、ょ・・・」
魔王「ほぅ」

勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・っ、」

魔王「はぁ!!??」


308 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 21:58:03 ID:FYRxUGqF
魔王「結婚っ!?」
勇者「ぅ、うん・・・」
魔王「ということはこれはプロポーズってことなのか!?」
勇者「きゅ、急に饒舌になったね・・・」


309 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 22:05:49 ID:FYRxUGqF
魔王「アホかお前っ!!」
魔王「魔王にプロポーズする奴がこの世の何処にいる!?」
勇者「あんた・・・されたこと無いんだ?」

魔王「ましてやお前勇者じゃないかっ!!」
魔王「死ぬぞお前!?あと10年後くらいには死ぬぞ!!?」
勇者「うん」
魔王「分かってて言っているのかっ!?」
勇者「分かってるよ」


310 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 22:13:54 ID:FYRxUGqF
勇者「それでも、良いんだ」
勇者「もし俺がここであんたを殺しても」
勇者「そうすることで、俺の寿命が延びても」
勇者「この先俺が幸せになることは一生ない」

勇者「絶対に、無い」

勇者「それなら残りあと10年を、あんたと過ごしたい・・・」


311 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 22:35:12 ID:FYRxUGqF
魔王「・・・・・」
勇者「好きなんだ、魔王・・・あ、愛してる・・・」
勇者「俺の妻になってくれませんか・・・?」
魔王「・・・っ、ばかがっ」


312 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 22:51:28 ID:FYRxUGqF
勇者「・・・・・」
魔王「っ・・・・良いだろう」
魔王「こっちは負けた身だ」
魔王「従って・・・やる」
勇者「! やったぁ!!!」ぎゅうっ
魔王「っ!」


313 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:00:59 ID:FYRxUGqF
勇者「・・・w・・・w」
魔王「全く・・・形無しだな、お前」
勇者「何とでも言えっ」にこにこ
勇者「あ、ちなみに浮気は無しだかんなっ」
魔王「ふんっ浮気されるほどの甲斐性なしならするさ」
勇者「させませんっ」キリッ
魔王「・・・10年間女禁か・・・キツイな」
勇者「あんた何処のオヤジだよ・・・」
魔王「我慢できなくなったら代わりに化けてくれ、女に」
勇者「い、いやだーっ」


314 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:06:01 ID:FYRxUGqF

側近1「まおーさまー結婚おめでとうございますー」ひょこ

勇者「うおっ」
魔王「お前はいつも私の居場所を把握してるな・・・」
側近1「これでも魔王様を守る身の上ですので」にこ


315 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:12:53 ID:FYRxUGqF
勇者「そういえば一切俺達の戦いに手を出さなかったな・・・何で?」
側近1「そんな、たとえ主が危険に晒されようとも決闘に割り込む様な無粋なマネは致しません」
魔王「そういうことだ」
勇者「そうなのか」
側近1「それにきっと勇者は魔王様を倒すことは無いと思ってましたし・・・」
勇者「おおぅ」
魔王「・・・?」


316 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:39:02 ID:FYRxUGqF
側近1「ここ何年間魔王様の身の上を随分調べていらっしゃいましたが・・・」
魔王「な、なにぃっ?」
勇者「あぁうん・・・だって素で魔王に勝てるなんて思ってなかったし」
魔王「何故知らせなかった側近1!」
側近1「魔王様は強いので少しくらいハンデがあっても大丈夫かな、と・・・」
魔王「な、なんだとぉおっ!」
側近1「それに最近『皆相手にならなくて詰まんない』と零してたので・・・」
魔王「そんなの忘れた」
勇者「ご都合主義もいい加減にしなさい」ビシッ


317 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:46:12 ID:FYRxUGqF
魔王「私でも知らないことをこいつは調べてたのか・・・」
勇者「魔王だけに大変だったんだぜ?もーあんたを観察してどの種族の特徴があるか見つけるしかなくってさ・・・」
魔王「いきなり玉ねぎ投げつけたり、百合を投げつけるからびっくりしたぞ・・・」
勇者「いやぁ結構猫っ毛だし、釣り目だから化け猫族の血でも混ざってるかなぁって」
魔王「ちょっとだけキツかったから、もしかしたらそうかもな」
勇者「お、効果あったのか(笑)」
魔王「少しだけだけどなっ!」ふんっ


318 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:53:16 ID:FYRxUGqF
勇者「あと、黒髪だけど光に反射したら赤くなるところと、炎系の攻撃が得意なところから火山付近の妖精の血でも混ざっているのかと」
魔王「何だこいつ、本当に細かく調べてやがるな」
勇者「あんたに昔、言われたことを実行したまでです」にこ
魔王「ああ・・・確かに学べとは言ったが・・・」
勇者「くっくっくっ・・・それに好きな人のことを知るのって何か楽しくってさぁ、つい夢中に」
魔王「ストーカー予備軍がいるぞー」


319 :創る名無しに見る名無し :2009/11/24(火) 23:57:30 ID:FYRxUGqF
勇者「あと妖精ちゃんにもご協力いただきまして・・・」
魔王「なぬっ!?思わぬところにスパイが!?」
勇者「ほら、女の人って月に一度くらい弱る日があるじゃない?ちょっとその日を聞きだして・・・」
魔王「よぉーせいーっっっ!!!;」
側近1「もう立派なストーカーじゃないですか」


320 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:03:23 ID:FYRxUGqF
魔王「う・・・うぉう・・・今のはかなり大ダメージだ・・・」よろ...
側近1「実はその妖精についてお話があるのですが・・・」
魔王「ん・・・? 何だ」
側近1「魔王様が勇者と三日三晩戦っている間に・・・・・」

側近「攫われてしまいました」

魔王「なっ・・・なんだとおおおおおおおおおお!!??」ナンダトーナンダトー…


321 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:11:41 ID:YIp7S1Hn
側近1「まあ詳しく言えば、駆け落ちしてしまったのです」
魔王「なぁにぃ!?何処のどいつだソレは!!!」
側近1「さぁ、良くは分かりませんが・・・彼女は嬉しそうだったので・・・」
魔王「なななななな・・・」
勇者「そういえば片思いの相手がいるって言ってたなぁ・・・」
魔王「なぬぬぬぬぬぬぬ・・・・・」
側近1「白馬の王子ならぬ銀狼の王子でしたが、とても感動いたしました、私」
側近1「きっと彼女は幸せになるでしょう」ホロリ

魔王「と、止めやがれぇえええええええええっっっ!!!!!(涙)」


322 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:22:17 ID:YIp7S1Hn
魔王「うっ・・・うぅっ・・・うぉう、うぅ・・・」ひっくひっく

勇者「うわ・・・俺に負けても泣かなかったくせに・・・男泣きしてるよ・・・」
側近1「実の娘の様に可愛がっていましたからねぇ・・・」ホロリ

魔王「ううっ・・・うっうっ・・・」ずずっ
勇者「まおー元気出せよー妖精ちゃんも笑って暮らすさー」
魔王「うううっ・・・私の妖精・・・私のふぇありー・・・うっ」ひっく

側近1「大丈夫です・・・しばらくしたら泣き止みますよ」
勇者「そうかなぁ・・・」
側近1「立ち直りは早い人です、今はそっとしてあげましょう。・・・それより」
側近1「あなたに、これを」ぷらーん・・・
勇者「! 俺の腕!」
側近1「魔王様に切られた後、取っておきました」
側近1「何本か指がありませんが・・・壊死しないよう魔力で保存していたので、まだくっ付きますよ?」
勇者「本当かっ?」ぱぁっ




323 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:25:30 ID:YIp7S1Hn
側近1「”治癒魔法”」

 ぱああっ

勇者「おぉっ!」くいっくいっ
側近1「やっぱり魔王様の旦那様になるのなら、五体満足であって欲しかったので」
勇者「ありがとうっ恩に着る!」
側近1 にっこり


324 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:33:40 ID:YIp7S1Hn
。o0○

魔王「・・・・・」すー・・・
勇者「泣き疲れちゃったみたい、だな・・・」
側近1「・・・・・」

 ひょいっ

側近1「ベットに運びましょう・・・この家の寝室は何処です?」
勇者「・・・おっ俺が運ぶよっ!」ぐいっ
側近1「・・・・・」
勇者「・・・・・」
側近1「・・・・ぷっ」くすくす
勇者「・・・っ」かあぁ・・・


325 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:40:01 ID:YIp7S1Hn
側近1「初々しいですねぇ、若いなぁ」くすくす
勇者「・・・///」
側近1「では旦那様、奥様を丁寧に寝室へお運びくださいまし」
勇者「お、おくさま・・・/////」しゅぽんっ


326 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:46:36 ID:YIp7S1Hn
○森の中の小さな家:寝室○

 ぽすっ

魔王「ん・・・」ごろ...
勇者「こいつ・・・傷の治り早いなぁ。さすが魔王というか・・・」まじまじ
側近1「初夜はさっさと済ませてくださいね?でないと魔王様、待ち切れなくなりますよ」
勇者「う・・・う、うん・・・」かぁあっ


327 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:51:43 ID:YIp7S1Hn
側近1「ふぅ・・・これから魔王様が色々とお世話になりますが何卒よろしくお願いします、勇者」ぺこり
勇者「あ、いや・・・こっちこそ我侭言ってごめんな。あんた達の主なのに・・・」
側近1「10年くらい大丈夫ですよ、仕事に差し支えはあまりないでしょうし」
側近1「それに・・・これは転機だと思っています」
勇者「転、機?」
側近1「ええ」にこり


328 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 00:56:30 ID:YIp7S1Hn
側近1「魔王様は、過去の出来事にまだ捕らわれ続けているのです」
勇者「過去の出来事?魔王は継承する時全てを忘れるんじゃないのか?」
側近1「全てを忘れるわけじゃないですよ・・・ただ一定のラインを超えた感情を持った記憶は消えますけどね」
側近1「そもそも”記憶を消す”こと自体まだ実験段階なのです」
勇者「実験段階・・・?」


329 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 01:09:33 ID:YIp7S1Hn
側近1「勇者と違って魔王は寿命が長いですから、実はまだ三代目までしか歴史が無いのです」
勇者「うわっ俺もう五十何代目かなのにっ!」
側近1「人間ですからね、仕方ないですよ。今の魔王様はちょうど四代目になります」

側近1「だから魔界は、まだ政治について試行錯誤の状態です」
側近1「どのやり方が一番良いのか・・・世代が代わるたびに魔王達はあれこれと試しているのです」
勇者「へぇー・・・」


330 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 01:24:43 ID:YIp7S1Hn
側近1「一代目魔王の時は人間が好物なので人間ばっかり狩っていました」
側近1「結果、”勇者”という魔王最大の敵が生まれ、一代目の魔王は勇者に倒されてしまいます」

側近1「二代目魔王は今のやり方は良くないと、依怙贔屓無しに平等に餌を狩っていましたが」
側近1「結局、家族を勇者に人質として取られ殺されてしまいます」

側近1「三代目魔王は二代目魔王の過ちを繰り返すまいと情を捨て、政治一心に家族も作らず魔界をまとめました」
側近1「一番長く続いたのはこの魔王ですね。この方のおかげで随分と魔界が纏まりました。歴史上ではもっとも名君だと思います」

側近「そして今・・・私達の魔王様が今に至るわけです」

勇者「・・・・・」


334 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 23:12:20 ID:YIp7S1Hn
側近1「魔王は勇者と違って生まれた時から”魔王”というわけではありません」
側近1「魔王が死んだ時に、死んだ魔王が現存している魔物達の中から次の魔王を決めます」
勇者「すごいなそれ・・・そんなことが出来るのかよ」
側近1「私は体験したことが無いので何とも言えませんが・・・何でも『お告げ』の様なものが冥界から来るそうですよ?」

側近1「だから今の”情を持つ記憶を消す”法は三代目だけじゃなく、二代目が取り決めた可能性もあります」
側近1「”自分は情を持っていたために、勇者に家族を捕られ殺されてしまった”」
側近1「”だから次の魔王になる奴は情を捨てろ”と」


335 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 23:20:25 ID:YIp7S1Hn
側近1「魔王様は二代目の魔王と交友関係を持っていましたので・・・」
勇者「ええっあいつどんだけ生きてんだよ」
側近1「少なくとも千年は超していると思いますよ。私は魔王様が”魔王”になった時に知り合ったので良くは知りませんが」
勇者「うわ・・・年齢差はげしー・・・・・」
側近1「今更じゃないですか」にこり


336 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 23:29:53 ID:YIp7S1Hn
側近1「魔王様は強いお方ですからね。二代目魔王とも色々と通ずるとこがあったのでしょう」
勇者「じゃあ何であいつが二代目魔王にならなかったんだ・・・?」
側近1「前魔王がその存在を知らなければ選ばれないのだと思います」
勇者「じゃ何故に三代目にも」
側近1「・・・・・」


337 :創る名無しに見る名無し :2009/11/25(水) 23:38:19 ID:YIp7S1Hn
勇者「あ・・・いやまぁ、俺的にはうれしい限りなんだけどさぁ」
勇者「今、魔王が”魔王”じゃなかったらめぐり合うことも無かっただろうし・・・」
側近1「・・・私は、」
勇者「・・・」

側近1「私はこの法を無くすべきものだと思っています」



338 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:05:50 ID:ei8uzxAO
側近1「私達の魔王様は、苦悩しておられます」
側近1「昔友人が殺され、その殺された友人が取り決めた法を破るまいと努力するが」
側近1「どうしても燻る情を上手く抑え切れずにいる自分に」
側近1「確かに、前魔王はこの法によって善政を行えました」
側近1「しかし情を捨てるということは理性も同時に無くなりかねない行為です」
側近1「そんな諸刃の剣、何時までも続くとは思えない・・・」
勇者「・・・・・」


339 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:08:00 ID:ei8uzxAO
側近1「あなたと出会ったことによって、魔王様はさらに苦悩するようになりました」
側近1「今まで仕舞い込んできた情が、少しずつ顔をだすようになったからでしょう」
勇者「え・・・いつも結構容赦ない感じがするんですけど・・・」
側近1「そんな。あなたに会う以前はあんなにころころ表情が変わるようなお方じゃなかったですよ」
勇者「そ、そうなの・・・?」
側近1「やっぱり母性って凄いですよねぇ。少しずつ魔王様の心の氷が解けてゆくのが感じられます」ホロリ
勇者「ぼ、母性、なのか・・・・・」


340 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:18:03 ID:ei8uzxAO
側近1「これは良いことだと思っています」
側近1「そもそも感情を捨てること自体、無理な話なのです」
側近1「前の魔王は元々淡白なお方だったのでしょう」
側近1「今の魔王様はどちらかと言うと濃ゆーいお方なので全ての情を捨てることは」
側近1「はっきり言って、絶対無謀なことだと思います」キッパリ
勇者「まぁ・・・俺はあいつから愛を貰ったからこそ、惚れたわけだしなぁ」
側近1「魔王様の手には愛情が感ぜられましたか?」
勇者「う、うん・・・少なくとも俺にはそう感じられたよ・・・」かぁ
側近 クスクス


341 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:25:35 ID:ei8uzxAO
側近1「・・・それにね、」
勇者「・・・?」

側近1「二代目魔王が今の魔王様を選ばなかったのは」
側近1「やっぱり捨てて欲しくなかったのだと思います、情を」
勇者「・・・・・」
側近1「だから、次の”魔王”に魔王様を選ばなかった」
側近1「そんなの・・・情まみれじゃないですか」


342 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:28:46 ID:ei8uzxAO
側近1「だから良いんだと思うんです、情があっても」
勇者「・・・・・」
側近1「自分が出来ないことを、他に押し付けんなって感じです」
勇者「まぁ・・・確かにな」



343 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:37:58 ID:ei8uzxAO
側近1「勇者様」
勇者「・・・」
側近1「あなたと出会ったことによって魔王様はきっと、何かが変わります」

側近「今までそうだったように・・・・・四代目魔王も何か変わる、時が」



344 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:49:01 ID:ei8uzxAO
側近1「それが良い方へか悪い方へかは分からない」
側近1「しかし、きっと私は良い方へと変わることを信じています」
勇者「・・・・・」
側近1「・・・残り少ない命ですが・・・どうか、魔王様を」
勇者「・・・うん」

勇者「きっと魔王にとっては、俺と過ごす時間なんて瞬きするほどの間かも知れない」
勇者「その間だけでも・・・俺と過ごして良かった、て言ってもらえるように、」

勇者「精一杯、愛するよ」


345 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 00:51:31 ID:ei8uzxAO

いつかきっと忘れられる時が来るだろう

でも悲しくない、愛する人と過ごせるだけでも

とても幸福なことなのだから・・・・・。


348 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 19:46:58 ID:ei8uzxAO

〜翌日〜

ピチチチチチ・・・
 ピチチチチ・・・・・・

魔王「・・・ふっ・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「まあいいさ・・・妖精が幸せになってくれるのなら、それで・・・」
勇者「ほれ、氷嚢。これで目を押さえとけ」
魔王「う・・・」ぴと


349 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 19:49:42 ID:ei8uzxAO
魔王「たとえ妖精が893とかマフィアとかに惚れてても私が更正させれば問題ないし・・・」
勇者「それ調教と違う・・・?;」
魔王「結婚祝いに何送ろうか・・・やっぱり蛇の干物かな・・・」
勇者「ま、魔界にはそんな風習があるのか・・・?;」
魔王「精力剤にもなるし、いざとなったら首絞めることも・・・」
勇者「ここには持って来るなよ」キッパリ


350 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 19:55:23 ID:ei8uzxAO
魔王「・・・はぁ」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・なんだ、夫なら妻が落ち込んでる時は慰めろ」
勇者「あ、う、うん・・・」

ぎゅうぅ

魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」


351 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 20:25:28 ID:ei8uzxAO
魔王「・・・負けたんだなぁ、私」
魔王「あーぁー・・・」へこ
勇者「・・・今頃になってキた?」
魔王「今まで一度も喧嘩に負けたことなかったんだ・・・それなりにショックさ」
勇者「・・・抵抗しないの?」
魔王「負けは負けだ。私は潔くお前のものになるよ」
勇者「・・・・・」


352 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 20:57:20 ID:ei8uzxAO
魔王「はぁ・・・でも魔王失格だな・・・勇者に負けるなんて・・・」
勇者「いや、あんたは良くやったと思うよ。すごく強かったし・・・」
魔王「やっぱ情があったのかな、消したつもりだったのに」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・でも私が死なない限り、魔王は変えられないから・・・」


353 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 21:04:26 ID:ei8uzxAO
勇者「・・・別にさ、良いと思うよ」
魔王「ん?」
勇者「優しい魔王がいても」
魔王「・・・よくない」
勇者「家族だってさ・・・ほら、もう俺が夫だから人質を取られることもないし・・・」
魔王「たった10年だろ・・・」
勇者「まぁ、そうなんだけど・・・」


354 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 21:09:40 ID:ei8uzxAO
魔王「・・・・・」ぎゅぅ
勇者「・・・魔王?」
魔王「充電中だ」
勇者「・・・・・」
魔王「しばらくしたら復活するー・・・」すり...
勇者「・・・・・」ぎゅぅ


355 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 21:14:27 ID:ei8uzxAO
魔王「よし、離せ」ぐいっ
勇者「え、早っ・・・もうちょっとくっ付いてても・・・」
魔王「うじうじするのは性に合わんっ、段々イライラしてきた・・・」ライライ
勇者「えぇっ俺は癒されてたのに・・・」ガーン…


356 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 21:40:37 ID:ei8uzxAO
魔王「きっと腹が減っているから気が弱くなるんだ。何か狩ってこう・・・」スタスタ
勇者「いや、ちゃんと食料あるから一緒に食べようよ」ぐいっ
魔王「食べるもんあるのか」
勇者「うん」
魔王「そういえばここは何処なんだ?森の中のようだが・・・」
勇者「あー俺、しばらくしたら指名手配されるだろうから、隠れ家として魔界の隅に家を・・・」
魔王「いつの間に・・・」
勇者「だからこその隠れ家ですので」にこ


357 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 22:08:30 ID:ei8uzxAO

もぐもぐもぐもぐ

魔王「ふむ、なかなか美味いな」もぐもぐ
勇者「そーかー? ありがとう」にこ
魔王「ぶっちゃけ普段は生肉ばかり食っているから、私は料理出来んのだ」もぐもぐ
勇者「はいはい、料理は俺が作りますよ・・・何となく分かってたことさ」
魔王「違う、教えてくれ。一度は挑戦してみたかったことなんだ」
勇者「・・・。えー・・・出来るかなぁ魔王に。不器用そうだしなー」ニヤニヤ
魔王「む・・・刃物の扱いは得意だぞ」
勇者「まな板切っちゃいそう」
魔王「ひ、火の扱いだって・・・」
勇者「鍋溶かしちゃいそう」

魔王「・・・・・ムー・・・」ぷくー
勇者「あはは、ちゃんと教えるよ。一緒に作ろーなー」にこにこ


358 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 22:49:03 ID:ei8uzxAO
。o0○

魔王「はー・・・食った食った」すりすり
勇者「食った後って何か眠くなるよなぁ・・・」ふわぁ...
魔王「いや、さっき眠ったから眠くない」
勇者「そぉかぁ・・・?」ゴシゴシ
魔王「睡眠欲も食欲も満たされた・・・後は」ガシッ
勇者「ん・・・? 何?」
魔王「性欲だけだ、勇者」
勇者「・・・、へ?;」 

魔王「さぁさっベットに行きましょう!ダーリンv」ぐぐいっ
勇者「キャラ変わってるっ!?;」


359 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 23:06:46 ID:ei8uzxAO
魔王「何だ、眠たいのだろう?ならベットに行こうじゃないか」ぐいぐい
勇者「ちょっ・・・絶対眠らせないつもりだろあんたっ!;」
魔王「もちろん」サラリ
勇者「堂々と言うなっ!;」

魔王「命懸けで戦った後って性欲溜まらんか?実はさっきから体が熱くて・・・///」はぁん...
勇者「赤裸々過ぎますっ!;少し自重して下さいっ!;」
魔王「男なら据え膳は食え!」
勇者「あんたは据え膳じゃねぇよ!!!;」


360 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 23:15:04 ID:ei8uzxAO

 ぽいっ

勇者「ぅぐわっ!!?」どさっ

ビリリリリリリッ

勇者「おっ俺の服・・・っ!;」
魔王「勇者殿は褥ではどんな姿を見せてくれるのかしら・・・?」ペロリ
勇者「ちょ・・・っ!?待ちなさいっ!;こういうのはしばらく付き合った上でっ・・・」
魔王「人間の事情なんて知るかぁっ!」ぬぎっ
勇者「ちょっまっt」ブッ


361 :創る名無しに見る名無し :2009/11/26(木) 23:19:03 ID:ei8uzxAO
勇者「・・・・・」
魔王「・・・お前・・・鼻血出してぶっ倒れるとはどういうことだ・・・・・」
勇者「う・・・」ダクダク
魔王「何と言う情けない・・・」はぁ...
勇者「む、むねが・・・ぴ、ぴ・・・」ダクダク


365 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 19:00:06 ID:l91SLJmW
魔王「全く・・・お前は私がいなかったら童貞こじらして死んでるとこだな」もぞもぞ
勇者 ビクッ
魔王「別にもう襲わん、こんなんじゃ襲う気力も失せるわ」
勇者「・・・・・」
魔王「ただ一緒に寝るだけ・・・それも駄目か?」
勇者「・・・いや・・・」
魔王「なら良いだろう」もぞもぞ


366 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 19:10:04 ID:l91SLJmW
魔王「大体何だこのベットは。あまりにも小さすぎるぞ」もぞもぞ
勇者「あっちにあんたのベッドがあるだろう・・・」
魔王「夫婦になったのに別々で寝ろと言うのか?何て冷淡な夫」
勇者「そ、そういうわけじゃ・・・」
魔王「夫婦ならやっぱり一緒に寝るべきだろう。明日、私のベットを持ってこよう・・・」ネムネム
勇者「いや絶対この部屋に入んねぇよ、あんたのベット・・・」


367 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 19:23:53 ID:l91SLJmW

ホー・・・ホー・・・・・

勇者「・・・・・」すー・・・
魔王「・・・・・夜だ・・・いつの間に」
魔王「まだ疲れが残ってたのか・・・私も年を取ったんだなぁ・・・」はぁ
魔王「前は一週間ぶっ続けで戦っても平気だったのに・・・・・」
魔王「・・・・・」
魔王「・・・・・ふっ」

魔王「年を取っても寝顔はあんまり変わらないんだなぁ・・・」くす


368 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 19:56:14 ID:l91SLJmW
勇者「・・・・・・」すー・・・
魔王「・・・・・あの時はこんなことになる何て思わなかったのになぁ・・・」
勇者「・・・・・・」くー・・・
魔王「・・・穏やかな、寝顔」


369 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 20:46:12 ID:l91SLJmW
魔王「私は救われたのかな・・・・・」
勇者「・・・・・」すー・・・
魔王「・・・えぃ」ぷに
勇者「ぅう・・・・・ん?」ぱち
魔王「起きたか」にこ
勇者「・・・ぉはよ・・・」ごしごし


370 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 20:57:44 ID:l91SLJmW
勇者「・・・よる、か・・・」
魔王「おはようではなかったな」
勇者「ん・・・」ぎゅうぅ
魔王「・・・起きないのか」
勇者「もう夜だし・・・このまま寝ても良いだろう」


371 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 21:03:50 ID:l91SLJmW
魔王「だらだらだなぁ・・・」
勇者「いいんじゃない・・・だらだらでも」
魔王「明日は仕事せねば・・・」
勇者「魔王は忙しいねぇ・・・」
魔王「いいよなぁ、勇者は。仕事投げ出しやがって・・・」
勇者「報酬料を貰ってるんでーす・・・」ぎゅうぅ


372 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 21:22:54 ID:l91SLJmW
魔王「・・・・・」
勇者「しあわせ・・・」すり...
魔王「・・・本当に、良いのか?」
勇者「んー・・・?」
魔王「このまま・・・でも」
勇者「んー・・・」


373 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 21:46:27 ID:l91SLJmW
勇者「・・・・・幸せってさ」
勇者「何も長生きすることだけじゃないと思うよ」
魔王「・・・・・」
勇者「確かに生きたいという気持ちはあるんだけどさ」
勇者「こうやって、好きな人とだらだら一緒に」
勇者「過ごせることって、最高の幸せだと思う・・・」


374 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 22:09:02 ID:l91SLJmW
旅をしている中で考えた。

 魔王を倒しちゃえば

そしたら、俺の寿命が延びて
新しい恋をして、結婚して
子供を作って、年を取って 
孫にでも囲まれて死ぬ 
そんな幸せな一生を送れるのかもしれない

・・・そこまで考えて、止めた。

ばっか、ばっかしい。


375 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 22:13:35 ID:l91SLJmW
初恋の人を殺すなんて、一生苛む羽目になるだろうし
そもそもそんな人生が送れる保障なんてどこにもない
恋人だって作れるかどうか分からんし
もしかしたら病気であっという間に死んでしまうかもしれないし
大体、自分が何時死ぬかなんて誰も分からないのだ
世界では幸せを見つけられずに死ぬ人もいる

なら俺は見つけただけでもう、十分幸せな奴なんじゃないんだろうか?

それを壊すなんて、どこの阿呆だろう。


376 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 22:41:17 ID:l91SLJmW
勇者「・・・暇な日はさ、一緒にベッドの上でワインを飲みながらチーズでも食べよう」
勇者「そして、一緒に本でも読んで、眠くなったころにそのまま一緒に寝る」
勇者「うん・・・最高な過ごし方だ・・・」
魔王「・・・・・鈍りそうな過ごし方だな・・・」
勇者「別にいいんじゃない?・・・俺はもう、剣を持つことも無いだろうしさ」


377 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 22:55:15 ID:l91SLJmW
長生きしたいと思う理由。

昔はただ『死ぬのは怖い』としか考えられなかった
でもそのうち『まだ見つけたいものがある』って考えて
今は『愛しい人ともっと過ごしたい』と考えるようになった

・・・まあそれは無理だから、俺の旅は終わり。
見つけたいものは、もう見つけたし。


378 :創る名無しに見る名無し :2009/11/27(金) 22:59:09 ID:l91SLJmW
魔王「・・・・・」
勇者「まおー・・・」ふわぁ・・・
魔王「・・・なんだ?」
勇者「これからよろしくなー・・・」ネムネム
魔王「・・・ああ」

魔王「よろしく、勇者」


383 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 01:04:33 ID:aHUnLmsh
――――――――..............

 ウオオオオオオオォオオオッ!!!!
    オォオオオオオォオオオオッ!!!!!

 魔王を倒せ!!!  
          魔物何かに怯むな!!!突撃ーっ!!!  

 ガキィインッ!  
         ザクッ!ザクゥッ!!    

魔王「・・・おーおー今日もやってるなー」
側近1「よく飽きませんよねぇ、かれこれ一ヶ月になるんじゃないですか?」


384 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 01:16:12 ID:aHUnLmsh
魔王「本当になぁ、まるで蟻んこのようにどんどんやって来る」
側近1「殺虫剤でも撒いときますか?」
魔王「いや・・・殺虫剤じゃ死ななそうな奴もいるから私が直々に手を下そう」バッ
側近1「お気を付けて」
魔王「ああ。無関係な者は避難させといてくれよ」


385 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 01:22:12 ID:aHUnLmsh

 ・・・・・バシャッバシャッ
           バシャンッバシャッ

魔王「・・・・・」ぽたぽた
側近1「魔王様、タオルをお持ちしました」すっ...
魔王「ありがとう、そこに置いといてくれ」
側近1「・・・今日も見事にマーブル色でしたねぇ」
魔王「ああ・・・魔物の血は落ちにくいから困るよ」


386 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 01:24:29 ID:aHUnLmsh
側近1「まさか反魔王派の魔族が出てくるとは・・・」
魔王「しょうがないんじゃないか?前の魔王の方が優秀だったんだし」ふきふき
側近1「しかし・・・」
魔王「私に反抗してくる奴が出てきても可笑しくは無いだろう」


387 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 01:37:40 ID:aHUnLmsh
魔王「ま、大人しく倒されるつもりは毛頭もないけどな」
側近1「・・・・・」
魔王「・・・勇者を倒そうとする過激派が出てないだけ、マシか・・・」
側近1「最近、会ってます?」
魔王「3日くらい前に一度家に帰ったよ」
側近1「新婚なのに・・・大変ですねぇ」
魔王「家を出るときに寂しそうな顔をするのがちょっと辛いな」


388 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 02:03:15 ID:aHUnLmsh
魔王「まぁ人間が騒ぎ出したのは、半分自分の所為だって分かってるから耐えてくれるだろう」バサッ
側近1「昨日人間界では遂に勇者がお尋ね者として全世界で手配されたようですよ」
魔王「ふっ・・・魔界にいるのにとんだ無駄足だな」くっくっ
側近1「その額なんと10億」
魔王「某海賊顔負けだな」
側近1「人類の存亡をかけてますからねー」
魔王「人ひとりに何を背負わせているんだか」ハッ


391 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 10:22:01 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・よしっ、すっきりしたことだし報告書を纏めるか」ザッ
側近1「大丈夫です?少し仮眠取りませんか?」
魔王「大丈夫だ。・・・纏めたら、家に帰る」
側近1「愛しのダーリンのところに?」
魔王「ダーリン、か・・・いまだに不思議な感覚だ、家族がいるということは」
側近1「幸せなことですよ」にこ
魔王「・・・ふっ・・・そうだな」にこ


392 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 10:35:56 ID:aHUnLmsh
――――――――..............

 ・・・シュンッ

魔王「っと・・・ただいま〜、勇者ーいるかー」

ひょこっ

勇者「っおお!おかえり!!!」ぱたぱた
魔王「疲れたー・・・」ぎゅう
勇者「飯できてるぞー」ぎゅうぅ
魔王「ハーブの匂いがする・・・」くんくん
勇者「鶏肉の香草焼き・・・あとスープとか、サラダとか」
魔王「おいしそうだな」にこ
勇者「一緒に食べよう」にこ


393 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 10:58:14 ID:aHUnLmsh

魔王「・・・でな」もぐもぐ
勇者「・・・・・」もぐ...
魔王「・・・ゆうしゃ〜?聞いてるかぁ」ぺしっ
勇者「あ、う、うん・・・」もぐもぐ
魔王「?・・・」
勇者「・・・・・」もぐ...


394 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:06:48 ID:aHUnLmsh
。o0○

魔王「ふはー・・・」ばふっ
勇者「・・・・・」
魔王「このベットもそろそろ慣れてきたな」すりすり
魔王「ん・・・?どした、寝ないのか?勇者」ぼふぼふっ
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・・・」とさ...


395 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:13:59 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・・・・・やっと手を出す気になったか」にやにや
勇者「う・・・で、でも、疲れているなら止め」
魔王「いい加減にしろ」べしっ
勇者「あぅっ」
魔王「少しくらい強引になりなさい。・・・私にそういうこと出来るの、お前だけなんだぞ・・・?」にこ...


396 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:17:43 ID:aHUnLmsh
勇者「じゃ、じゃぁ・・・・・」しゅるっ・・・
魔王「・・・・・」しゅるっ・・・
勇者「・・・・・」じー・・・
魔王「・・・そんなまじまじと見るな」ばさっ
勇者「ご、ごめんなさい・・・」かぁ


397 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:26:04 ID:aHUnLmsh
勇者「・・・・・戦場を駆け抜けてきた体には見えないなぁ」じー・・・
魔王「・・・お前は傷だらけだな・・・」するっ...
勇者「傷跡は男の勲章さ」にこ
魔王「そうか・・・・・・」ぴちゃ・・・
勇者「! わっ・・・」
魔王「・・・」ちゅ...
勇者「う・・・///」かぁ


398 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:35:07 ID:aHUnLmsh
魔王「ゆうしゃ・・・」ぐいっ
勇者「ま、まおう・・・」ぐっ
魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」ちゅっ...
魔王「・・・」
魔王「・・・・・、!?」
魔王「ちょっ・・・勇者っ!」ぐいっ
勇者「へ?なに・・・・・」ぼたぼた
魔王「また出てるっ!血っ、鼻血っ!」べしっ
勇者「えぇっ・・・・・うん?」ぼたぼた


399 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 11:47:01 ID:aHUnLmsh

魔王「まさか家に帰って来てまで血を浴びることになろうとは・・・」ふきふき
勇者「ご、ごめん・・・」しゅん...
魔王「お前・・・本当にあがり症だなぁ・・・」はぁ
勇者「ううう・・・」ずーん...
魔王「・・・。よし・・・わかった」
勇者「ん・・・?」


400 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 12:29:32 ID:aHUnLmsh
魔王「後ろ向け、勇者」しゅる
勇者「?? ・・・そ、その手に持っているものは・・・?」
魔王「お前の目を隠す」しゅるっ
勇者「へ」
魔王「そしたら少しはマシになるだろっ」ぐいっ
勇者「!? ちょっ・・ちょっと待てよっ!」ばっ


401 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 12:34:37 ID:aHUnLmsh
魔王「ん・・・? なんだ、大人しくしてろ。隠せないだろう」ぐいぐい
勇者「さ、最初からそんなっ・・・マニアックな・・・・・」すごすご...
魔王「マニアックぅう?目隠しごときがぁ?」
勇者「だだだってっ 初めはやっぱり好きな人の姿を見ながら・・・」
魔王「それが出来ないから縛るんだろうっ!」ぎゅっ
勇者「うぇえええっ・・・あ、いたっ」
魔王「ほらっ大人しくするっ!」しゅるっしゅるっ
勇者「うああっそんなっ・・・!」
魔王「よしっ」ぎゅっぎゅっ


402 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 12:54:05 ID:aHUnLmsh
魔王「準備完了!・・・・・えぃっ」どんっ
勇者「うわぁっ」どさっ
魔王「やっぱりこっちの方が向いているのかも知れないなぁ、私達はv」ちゅっ
勇者「は・・・・・はは・・・・・・・」



403 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 13:07:42 ID:aHUnLmsh

 ピチチチチチ・・・
  ピチチチチ・・・・・・

勇者「・・・・・」
勇者「・・・う゛・・・ぅん・・・・・」ごろ...
勇者「・・・?・・・あ゛・・・れ゛・・・・・」
勇者「ま゛お゛ー・・・い゛な゛い゛・・・・・」キョロ・・・
勇者「じごどい゛っだの゛がぁ・・・・・あ゛ー・・・・・」ごろ...
勇者「・・・・・・・」
勇者「・・・ずっごぐごえ゛がれ゛でる゛・・・・・・・」ズーン・・・


404 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 13:10:47 ID:aHUnLmsh
側近1「お水をお持ちしました」すっ・・・
勇者「あ゛り゛がどー・・・」ごくごく
勇者「! なんであんだごごに・・・・・」
側近1「魔王様に様子を見て来い、と言われましたので・・・」
勇者「そ、そう・・・・・」


405 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 13:15:34 ID:aHUnLmsh
側近1「で、一夜明けてのご感想は?」によによ
勇者「う゛ん・・・・・」
側近1「・・・」

勇者「・・・・・・俺っで性別な゛んだっげ・・・・・」ズーン・・・
側近1「まぁまぁ」ぽんぽん


406 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 13:34:42 ID:aHUnLmsh
側近1「仕方ないですよ、魔王様は百戦錬磨どころか千戦くらいしてそうですし・・・」
勇者「あ゛あ・・・俺本当に男? 男な゛のか・・・?」シクシク
側近1「でも愛しい人を抱けたのだから胸いっぱいでしょう」ニコニコ
勇者「抱いたどいうより抱かれだに近いような・・・・・」ガクッ


407 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:02:49 ID:aHUnLmsh
勇者「め・・・飯食うか・・・・・」よろっ...
側近1「大丈夫ですか?まだ寝ていた方が・・・・・」
勇者「だ、だいじょ・・・うぁっ」ふらっ
側近1「わっ」

 どさっっっ

側近1「・・・う・・・・・」ヒリヒリ
勇者「ご、ごめんっ・・・ていうかあんた結構非力・・・」

 カッラーンッ・・・・・

魔王「・・・(°Д°)」
勇者「! 魔王・・・? 仕事から帰ってきたの?」
魔王「し・・・・・」
勇者「?」
魔王「しんじてたのに・・・ま、まさかうわきするなんて・・・・・・」
勇者「は・・・はあ?;」


408 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:09:49 ID:aHUnLmsh
魔王「し、心配して帰ってきたら・・・ヤモリの缶詰も買ってきたのに・・・そんな・・・・・」
勇者「あんたまた変なものを・・・・・え? ていうか、浮気って?」
魔王「純情そうな顔をしときながら私の部下と・・・不倫を・・・っ!」わっ
勇者「あ、あのー・・・この人?男ですよね?俺も、男ですよね?」
側近1「魔王様はバイですよ?そんなの関係ありません」
勇者「あそっか。・・・・・・へ?」

魔王「ゆっ・・・勇者の浮気ものぉおおおおおおおおおおお!!!」

ドガアアバキイイイイィイイッッ!!!!!

勇者「俺はあんたじゃね゛ぇえぇえ゛ええうわあ゛ああ゛あああ゛ああああ」


409 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:22:01 ID:aHUnLmsh
。o0○

魔王「はぁっ・・・はあっ・・・・・うっ・・・」じわぁ
側近1「魔王様っ魔王様っ! 勘違いです、泣かないで下さい・・・」あせあせ
魔王「か、かんちがい・・・?」
側近1「実はかくかくしかじかでして・・・・・・」
魔王「・・・え?なに?よろけて押し倒されただけ?・・・なぁーんだ、そぉかぁ!」ぱぁあっ
側近1「勇者様は決してあなたを差し置いて愛人を作ることはありませんよ」にこ
魔王「そうだよなぁっ!あんな甲斐性無しにそんなこと出来るわけないよなぁ!!あははっ・・・」

勇者「・・・・・・」チーン・・・


410 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:30:16 ID:aHUnLmsh
勇者「大体あんたは早とちりが多すぎんだよ、前にもこんなことあったじゃねぇか・・・」ブツブツ
魔王「お・・・怒るなっ 怪我なら治してやったろう・・・?」あせあせ
勇者「ふんっ」ぷぃ

側近1「では私は仕事に戻りますね、魔王様」タッ
魔王「あ、う、うん・・・後で行く」
側近1「お待ちしてます」シュンッ

魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」ぷいー


411 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:40:48 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・勇者・・・」くい
勇者「・・・・・」
魔王「・・・す、すまん、勘違いしちゃって・・・」
勇者「・・・ホント・・・勘弁してくれよ」
魔王「・・・・・」
勇者「まるで俺があんたのことを愛してないみたいじゃないか・・・」


412 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 14:51:21 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・・・すまん・・・」
勇者「・・・否定、しないのか・・・・・」
魔王「・・・疑ってた縁もあるから・・・」
勇者「な、なぜ・・・? 俺、愛は伝えてたよね・・・?」


413 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 15:07:02 ID:aHUnLmsh
魔王「だって、何時まで経っても私に触れてくれなかったし・・・」
勇者「い、いやだって、そういうことはしばらく付き合った上でするものであって・・・」
魔王「昨日だって、私が少しでも変な反応したら止めるつもりだったろ・・・」
勇者「だって嫌がっているのに無理やりしたら可哀相じゃんか・・・」
魔王「・・・あんまり必要ないんだな、私は」
勇者「そっそういうわけじゃあっ・・・・・」
魔王「しかも目隠しプレイの後はちゃんと抱いてもらおうと思ってたのに、してこないし・・・」
勇者「え、えっとそれは・・・・・俺にそれだけ精力が無かっただけであって・・・・・」ズーン・・・


414 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 15:22:09 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・・・」
勇者(あ、あれ・・・?;立場がいつの間にか逆転・・・)
魔王「・・・よくわかんないな」
勇者「・・・え・・・?」
魔王「こうやって誰かと愛し合ったことなんて、なかったんだ」
魔王「家族だって作ったこと無いし、恋人だって作ったこと無い」
魔王「もしかしたらかつて居たのかもしれないけれど・・・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「そういうものがどんなものなのか、私にはわからない・・・」


415 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 15:48:31 ID:aHUnLmsh
勇者「・・・・・」
魔王「・・・もう、少し、体も愛してくれるものだと思っていたんだが、な」
魔王「我がままだったみたいだ、すまない」
魔王「そろそろ行かなければ・・・・・・、・・・っ!」

 どさっっっ!

魔王「っ!? 勇者っ?」
勇者「わかった。・・・もう少し、貪欲に生きるよ」しゅるっ・・・
魔王「へっ・・・? い、いやっそんな無理しなくてもっ・・・・・!」
勇者「無理じゃないっ!こっちの方が愛が感じられるんだろうっ?なら・・・」


416 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 15:50:30 ID:aHUnLmsh

 ばさっ・・・

魔王「・・・・・」
勇者「・・・抱くまでだ」ごそごそ
魔王「し、仕事が・・・・・」
勇者「そんなの後回しにしろ」
魔王「!」
勇者「最近、傍にいないから寂しかったんだ・・・傍に、いてくれ・・・・・」
魔王「・・・・・」


417 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 15:51:23 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・・・・・・ふっ・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・また鼻血、吹くなよ?」にや
勇者「う・・・ど、努力する・・・・・」もぞもぞ
魔王「・・・根は変わらないんだから・・・・・」


420 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:05:56 ID:aHUnLmsh
――――――――..............

 ・・・かつっ こつっ

魔王「勇者ーただいま〜」

・・・しーん・・・

魔王「・・・ゆうしゃー?」

・・・しーん・・・・・

魔王「・・・・・留守、か・・・」


421 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:08:34 ID:aHUnLmsh
魔王「珍しいな・・・何処にいったんだろう」
魔王「もうすぐ夕食の時間なのに・・・」
魔王「・・・」

魔王「・・・よし・・・たまには私が作るか!」にこっ


422 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:21:15 ID:aHUnLmsh
魔王「この前勇者に教えてもらった”シチュー”なるものを作ってみよう」
魔王「ふむ・・・まずは材料を集めなくては」とことこ

 がさごそ がさごそ

魔王「たしかここに野菜があったような気が・・・」がさごそ
魔王「あ、あった!ジャガイモ、にんじん、たまねぎ・・・」
魔王「・・・」
魔王「た、たまねぎは・・・やめとこ・・・」ごと・・・
魔王「け、決して好き嫌いでは無いぞ!」
魔王「ただ何かやっぱり臭いと触感と見た目と味と食感が・・・な・・・」ブツブツ
魔王「た、食べられるんだぞ!でも今日の料理の支配者は私だから何を入れるか決めるのは私だ!」
魔王「・・・」
魔王「代わりにジャガイモを増やそう・・・こいつは美味しいしな・・・」ごそごそ


423 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:27:36 ID:aHUnLmsh
魔王「次は肉・・・かな」とことこ

魔王「・・・・・」じー
蛙「・・・・・」
魔王「・・・えぃっ」バッ
蛙「グエッ!」バタバタ
魔王「よしっ・・・一匹ゲットーッ!!」キラキラ


424 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:34:57 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・ら・ら・ら〜♪」ごとっ
魔王「ふぅっ・・・近くに池があってよかったな」にこ
魔王「蛙肉と鶏肉って似ているし・・・大丈夫だよな・・・?」

魔王「さて、肉もそろったことだし・・・さっそく、作るか!」


425 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:43:40 ID:aHUnLmsh
魔王「まーずーはー・・・野菜の皮を剥いて〜」さくさくさくさくさく・・・

 ザクッ

魔王「・・・・・」ぽたぽた...
魔王「以外と難しいな・・・野菜剥くの・・・」さくさくさくさく・・・

 ザクゥッ

魔王「・・・いたい・・・」ぽたぽた
魔王「”治癒魔法”」ぱああっ
魔王「・・・よしっ続きだ」さくさくさくさく・・・


426 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:57:33 ID:pV/TxbCO
伝統の「傷ついた指を見て料理をどれだけ頑張ったかさりげなくわかる」フラグが消滅したw


427 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 20:59:04 ID:aHUnLmsh

 ・・・ザクッ!

魔王「・・・・・」ぽたぽた
魔王「・・・〜〜〜っ、あ〜っ!もう!!」イラッ
魔王「皮剥かないで入れちまえっ!」トントントントン
魔王「どーせ味は大して変わらないだろうっ!」トントントントン

 ぽちゃぽちゃぽちゃ・・・

魔王「・・・よしっ」
魔王「あ、肉も入れなきゃな」
魔王「えいっえいっ」ぽちゃんぽちゃん
魔王「”火炎魔法”」ボオッ!

ぐつぐつぐつぐつ・・・

魔王「・・・ふぅっ」
魔王「次はホワイトソースだな・・・」とことこ


428 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 21:05:15 ID:aHUnLmsh
魔王「確かバターを溶かして小麦粉を入れるんだったな・・・」
魔王「”火炎魔法”」ボオッ!
魔王「えいっ」ぽと
魔王「・・・・・」
魔王「・・・うおっバターが焦げるっ!」あたあた
魔王「ちょっと水をかけて火を弱めよう・・・」ぽたぽた


429 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 21:30:06 ID:aHUnLmsh
魔王「・・・・・そろそろ小麦粉入れてもいいかな〜」
魔王「えいっ」ざばっ
魔王「〜♪」まぜまぜ
魔王「ん・・・あれ・・・?」
魔王「だまになってる・・・?」
魔王「まぁ、牛乳入れれば何とかなるだろ〜♪」ふんふん


430 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 21:39:32 ID:aHUnLmsh
魔王「火を止めて牛乳を入れる・・・」
魔王「”消火魔法”」シュウゥゥ・・・
魔王「えいっ」だばだばだばだば
魔王「〜♪」まぜまぜ
魔王「ん・・・あれ・・・?」
魔王「だま消えないな・・・」
魔王「まぁ、全て一緒に混ぜたら消えるだろ〜♪」ふんふん


431 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 22:00:55 ID:aHUnLmsh

 ・・・さくっ

魔王「・・・お、野菜炊けてるな?」
魔王「ホワイトソースを入れて・・・」だばだばだば
魔王「ふふふ・・・」ニコニコ

ぐつぐつぐつぐつ・・・・・・



432 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 22:28:13 ID:aHUnLmsh
。o0○

・・・かつっ こつっ

勇者「ただいま〜・・・」ひょこっ
魔王「おかえりー」ぱたぱた
勇者「ん・・・?何か良い匂いがする・・・」くんくん
魔王「この前教えて貰った料理を作ってみたんだ」にこにこ
勇者「へぇっ・・・作れたの〜?」ニヨニヨ
魔王「むっ馬鹿にするな。バッチリ作ったぞ」ふんっ
勇者「ははは・・・お腹空いた、早速食べよう」にこ


433 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 22:39:20 ID:aHUnLmsh
勇者「・・・これ・・・なに・・・?」ひょいっ
魔王「ん?蛙だが?」もぐもぐ
勇者「か、かえる・・・?」
魔王「食べたこと無いのか?」もぐもぐ
勇者「・・・美味しいの?」
魔王「私は好きだが?」もぐもぐ
勇者「・・・・・」

 ぱくっ

勇者「あっ・・・意外といける・・・」もぐもぐ
魔王「だろ〜?」にこにこ
勇者「少しだまがあるけど、美味しいよ。ちゃんと出来たんだなぁ」もぐもぐ
魔王「フフフ・・・」


434 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 23:17:30 ID:aHUnLmsh
魔王「そういえばお前、何処に行ってたんだ?こんな遅くまで・・・」
勇者「ああうん・・・ちょっと」
魔王「?」
勇者「・・・後で一緒に散歩でもしない? お風呂入った後に」
魔王「別に良いが・・・」
勇者「・・・・・」


435 :創る名無しに見る名無し :2009/11/28(土) 23:48:07 ID:aHUnLmsh
○0o 。

魔王「星が沢山見えるな・・・」
勇者「すごいよなぁ・・・」
魔王「・・・・・あ・・・流れ星」
勇者「・・・消える前に3回願い事を唱えると願いが叶うらしいよ」くす
魔王「人間にはそんな言い伝えが?」
勇者「ああ」
魔王「へぇ・・・」


436 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 00:03:35 ID:SJOc7N0v
勇者「・・・あれは獅子座かな・・・」
魔王「人間は星にも名前をつけているのか」
勇者「うん・・・名前を付けて、その星の場所を確認するんだ」
魔王「・・・・・空の地図か・・・」
勇者「神話もあるんだよ?」
魔王「ほう」
勇者「あの星は、勇者に倒された獅子が星になったと言われているものなんだ」
魔王「へぇー・・・」


437 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 00:20:11 ID:SJOc7N0v
勇者「まぁその勇者は、浮気して妻に殺されるのだけど・・・」
魔王「おお・・・結構ドロドロしているな・・・」
勇者「死んだ後は星になって神様の仲間入りしたらしい」
魔王「変なの・・・」
勇者「俺も死んだら・・・星になるのかなぁ・・・」
魔王「・・・・・」


438 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 00:31:21 ID:SJOc7N0v
勇者「おっと・・・そんな話をしに来たわけじゃないんだった」ごそごそ
魔王「・・・・・」
勇者「魔王」
魔王「ん・・・?」
勇者「目、瞑って・・・」
魔王「?・・・」しぱ


439 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 00:44:28 ID:SJOc7N0v

 スッ...

勇者「おお・・・・・」
魔王「? 何付けたんだ・・・?」ぱち
勇者「ティアラだよ。似合ってるなぁ・・・やっぱり伊達に女王勤めてるわけじゃないんだなぁ」うむうむ
魔王「ティアラ・・・?なぜ・・・」
勇者「まぁ贈り物したかったんだ。・・・5年、経ったし」
魔王「・・・・・」


440 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 00:53:52 ID:SJOc7N0v
勇者「本当に綺麗だ・・・」すっ...
魔王「勇者・・・」
勇者「あんたが奥さんで本当によかったよ・・・毎日が幸せだ」
魔王「・・・私も」
勇者「ん?」
魔王「お前が、夫でよかった」
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・・・」ぎゅ...


441 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 01:02:07 ID:SJOc7N0v
魔王「・・・・・・・これ買うために出かけてたのか・・・」
勇者「・・・うん」
魔王「高かったろうに・・・」
勇者「人間の金は手元に結構残ってたから・・・」
魔王「ていうか危険じゃないかっ お前指名手配されてるのにっ」
勇者「うまく変装したから大丈夫だよ・・・」
魔王「・・・まったく・・・」ぎゅ...


442 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 01:11:17 ID:SJOc7N0v
魔王「もう・・・人間界には行くな・・・」
勇者「・・・・・」
魔王「宝石より、傍にいて欲しい・・・・・」
勇者「・・・・・魔王」
魔王「ん・・・?」
勇者「愛してるよ」
魔王「・・・・・」


443 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 01:38:11 ID:SJOc7N0v
勇者「・・・もし」
勇者「願いが叶うなら・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「あんたの傍にずっといて」
勇者「誰よりもあんたのことが知りたい・・・」


444 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 01:48:28 ID:SJOc7N0v
勇者「・・・ま、それは寿命が延びたって無理な話なんだけど・・・」
魔王「・・・・・」
勇者「・・・戻ろっか、寒いし。風邪を引いてしまう」
魔王「・・・・・」


445 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:02:34 ID:SJOc7N0v
勇者「・・・ベッドに入って・・・久しぶりに熱い夜を・・・」フッ...
魔王「・・・・・・暖めて、くれるのか・・・?」にこ
勇者「そりゃあもう・・・溶けちゃうくらいに、熱く」にこ
魔王「今夜は離さないぞ・・・?」
勇者「今夜どころか何時までも離さないでくれよ」
魔王「・・・言ったな〜?」ニヨニヨ
勇者「俺も慣れたもんだ・・・最初頃は骨抜きにされて死んでしまうと思ってたのに」
魔王「なんだ、もう骨抜きにされているだろう」
勇者「まあ、そうなんだけど」くす


446 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:11:58 ID:SJOc7N0v
魔王「明日は仕事もないし・・・」
勇者「そうなのか?」
魔王「最近は落ち着いてるからな、そんな忙しなく働かなくても良いんだ」
勇者「・・・じゃあ、明日はだらだらと過ごすか・・・」
魔王「いつものあれか?ワインを飲みながらチーズでも食べて」
勇者「一緒に本を読んで、一緒に寝る」
魔王「だらだらだなぁ・・・」
勇者「でも最高に幸せだよ」
魔王「・・・そうだな」ふっ...
勇者「君がいれば、どんな時でも幸せ――――――」


447 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:43:39 ID:SJOc7N0v

――――――――..............


魔王は この先の未来のことを考えて泣いたことはなかった
それは 俺に気を使っていたからなのか
それともやはり 法の籠の中にまだ閉じ篭っていたからだったのか・・・

 心は読むことが出来ないから それはわからない


448 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:45:14 ID:SJOc7N0v

でも 俺が死んだ後に 少しでも泣いてくれたら・・・
・・・好きな女に泣いて欲しいだなんて 最悪な男だと思うけど・・・
そしたら・・・俺は安心して眠れる

 ああ 俺の愛はちゃんとあんたに伝わっていたんだって
 ああ 俺はちゃんとあんたに愛されていたんだって


449 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:48:13 ID:SJOc7N0v

 それは あんたにとって良いことなのか悪いことなのかわからない

 でも あんたの温もりは決して消えて欲しくないから
 
 初めてくれたその手の温もり 綺麗な笑顔
 
 それが永遠に消えないことを 願ってる



450 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 02:54:57 ID:SJOc7N0v

―――――――――――五年後・・・・・


  ・・・・・カッ カッ カッ カッ・・・

魔王「・・・・・・」
側近1「・・・お帰りなさいませ、魔王様」
魔王「・・・・・、だたいま・・・」にこ...


451 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:02:08 ID:SJOc7N0v
魔王「部屋が綺麗でびっくりしたよ、ずっとあの部屋には入ってなかったのに」
側近1「新しいメイドを入れましたので・・・」
魔王「ほう・・・今度のメイドは大人しい奴なのか?」
側近1「はい、少々おっちょこちょいですが毎日元気に働いてますよ」
魔王「そうか・・・そうか」にこ


452 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:11:01 ID:SJOc7N0v

 ぬりぬりぬりぬり

魔王「〜♪」
側近1「・・・? 何ですか?それは」
魔王「ジャムだ」
側近1「いえ、そのジャムの中に、入れたのは・・・・・」
魔王「・・・勇者の、灰だ」
側近1「・・・・・」


453 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:13:31 ID:SJOc7N0v

遂に明日だ 魔王
・・・ほんと 瞬きするくらいの間だったなぁ

魔王「勇者が死体は食べてくれって言うんでな」
魔王「しかし人間の肉はあまり好きじゃないから・・・」
側近1「・・・・・」
魔王「こうして灰にして、ジャムの中に入れて食べることにした」
魔王「そしたら味もなくなるだろうし・・・・・・」


454 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:15:03 ID:SJOc7N0v

いつかは忘れてしまうんだろうけど・・・・・・・・
 っ あいてっ 何するんだっ

魔王「・・・・・よしっ・・・いただき、ます」さくっ
魔王「・・・む・・・・・やっぱり、何か、不味いな」もぐもぐ


455 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:17:57 ID:SJOc7N0v

覚えててくれるの?・・・嬉しいな
俺がいなくなっても あんたの中で生き続けるのかな

魔王「心なしか、何故か・・・しょっぱいし・・・・・」つぅ...
側近「・・・・・」


456 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:20:17 ID:SJOc7N0v

あ 亡骸はさ どこでもいい 少し食べてくれて欲しい
そしたら あんたの傍にいつでも居れる そんな気がするから

魔王「灰って、しょっぱいもんなのかな?」
魔王「あれ? おかしいな・・・ジャムの中に、入れてるのにっ・・・」ぽたっぽたっ


457 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:26:58 ID:SJOc7N0v

本当に幸せだった ありがとう・・・

魔王も自分の幸せを考えて 

 生きて下さい

魔王「・・・っ・・・うっ・・・ゆう、しゃ・・・」
魔王「な・・・なんでっ・・・こんな・・・・・」
側近1「まおう、さま・・・・・」
魔王「・・・ぅっ・・・ぁ・・・っ・・・っ・・・・!」


458 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:29:05 ID:SJOc7N0v

 冬も近い凍える秋空の下

 勇者は静かに息を引き取った


459 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:39:53 ID:SJOc7N0v

――――――――..............


魔王「・・・っ・・・はぁ・・・・・」ずっ・・・
側近1「・・・大丈夫ですか、魔王様・・・」
魔王「・・・あぁ・・・だいじょうぶ、だ」
魔王「思いっきり泣いたら、すっきりしたよ・・・」すんっ・・・
側近1「・・・・・」
魔王「あー・・・・・目ぇ腫れてるんだろうなぁ・・・」
側近1「・・・冷やしたタオルお持ちしましょうか?」
魔王「いや、いい。そのうち治るだろう」すんっ


460 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 03:46:13 ID:SJOc7N0v
側近1「・・・・・勇者は、幸せだったでしょうねぇ・・・」
魔王「幸せじゃなきゃ困る。何のために今まで付き合って来たんだ」
側近1「あなたは、どうですか?」
魔王「ん・・・?」

側近1「幸せでしたか?勇者と暮らして。・・・救われましたか?」


461 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:06:12 ID:SJOc7N0v
魔王「・・・ああ・・・」
側近1「・・・・・」
魔王「楽しかったよ・・・・・幸せだった・・・救われた」
側近1「なら・・・よかった」にこ


462 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:15:15 ID:SJOc7N0v
側近1「これから・・・どうしますか? また、勇者が来るのを?」
魔王「・・・・・・」

魔王「・・・・・いや」

魔王「人間界は、私の夫を殺したんだ」
魔王「黙っているわけには・・・いかない・・・っ」ダンッ!
側近1「! ・・・何を、されますか・・・」
魔王「絶望と憎悪を。・・・私を苦しめてきたものをアイツ等に、くれてやるっっっ!!!」ギラッ


463 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:32:38 ID:SJOc7N0v

――――――――三年後。

―――――――――とある国の小さな村にて。


 ・・・・ぉぎゃあっ
        
        ・・・おぎゃあっ おぎゃあっっ

助産婦「・・・う、生まれました・・・っ! 男の子ですっ!!」
赤ん坊の父「おおっ!!男かぁっ!!やったなぁ!!!」ぎゅうぅ
赤ん坊の母「はぁっ・・・もー疲れたよー・・・私は・・・」にこ...
赤ん坊の祖父「ほっほ・・・どれどれ、早く孫の顔を見せとくれ」

助産婦「少し待ってて下さいねぇ、今、産湯を・・・・・・・・」

助産婦「・・・!!・・・こ、この子っ・・・・・」

赤ん坊の祖父「ん・・・? どしたんじゃ、そんな目ん玉大きくして・・・・・」


464 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:35:26 ID:SJOc7N0v
赤ん坊の祖父「! な、なんとっ・・・!」
赤ん坊の父「ん・・・? どうしたんだ、父さん」

赤ん坊の祖父「ゆ、勇者じゃっ・・・勇者じゃっこの子はっ!!」

赤ん坊の父「!? なっ・・・」
赤ん坊の母「・・・え・・・?」


465 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:51:15 ID:SJOc7N0v
赤ん坊の祖父「な、なんということじゃ・・・我が一族に、勇者が・・・」
赤ん坊の父「・・・・・」ゴクッ・・・
赤ん坊の母「・・・・・」
赤ん坊の祖父「・・・勇者が、魔王を倒さなければ・・・我が家は・・・・・」
赤ん坊の父「・・・・・くっ・・・」
赤ん坊の母「そ、そんな・・・」


466 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 04:56:06 ID:SJOc7N0v
赤ん坊の祖父「・・・今なら、まだ間に合う」シャキンッ
助産婦「! メ、メスで・・・何を・・・・・」
赤ん坊の祖父「赤子を殺す」
助産婦「なっ・・・」
赤ん坊の祖父「今なら誰にも勇者が生まれたことを知られていない」
赤ん坊の祖父「赤子は死産だったことにして・・・・・何もなかったことに、するぞ」
赤ん坊の父「・・・っ!」
赤ん坊の母「やっ・・・止めてぇ!!」


467 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:09:09 ID:SJOc7N0v

赤ん坊の母「私の赤ちゃんよ!?何故殺さなきゃいけないのっ・・・!」
赤ん坊の祖父「うるさぁいっ!!!」バシッ!
赤ん坊の母「キャアッ!!」ドサッ
赤ん坊の父「っ何をするんだ、父さんっ!」
赤ん坊の祖父「喧しいっ!!大体そいつが勇者を生まなければ良い話だったんじゃ!!!」
赤ん坊の祖父「そいつをよこせっ!!!」ぐいっ
助産婦「あっ・・・!」

赤ん坊の祖父「せっかくの跡取り誕生じゃが・・・・・・次に期待させて貰うっ!!!」ヒュッ・・・!
赤ん坊の母「イヤァアアアアアーーーーーッッッ!!!!!」

 ・・・・ザクッ!!!

赤ん坊の祖父「・・・!? なぁっ・・・・・」ぼた・・・ぼた・・・

赤ん坊の母「!? な、なに・・・・・・赤ちゃんが・・・いなくなって・・・」


468 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:20:32 ID:SJOc7N0v

 ザッ・・・

魔王「・・・この子は私が貰い受けよう」バサッ・・・

赤ん坊の母「! あ、あなたはっ・・・・・・だ、れ・・・・・」

魔王「あなた方がこの世でもっとも憎んでいる者だ」ふっ

魔王「おい、お前らっ! 突撃しても良いぞっ!!」パチンッ!

 バッ! ババッ!!

人食い鬼「ぃよっしゃぁ!! 人間っ!人間っ!」ドタドタ
人食い鬼2「喰うぞぉ!!!人間、喰うぞおおお!!!」バタバタ
魔王「残さず喰えよっ・・・勇者がここで生まれたという事実を少しも残しちゃ駄目だ」
人食い鬼3「分かってますぜぇっ!!!魔王様!!!」
人食い鬼4「あっしら食べ残しはしない種族で有名なんですぜっ???」
人食い鬼5「血の一滴残らず喰ってしまいやすよ!!!」

人食い鬼達「げっへっへっへっへっ・・・・・」


469 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:34:36 ID:SJOc7N0v
赤ん坊の母「あ・・・あ・・・・・」ガタガタ
赤ん坊の父「っ・・・ちくしょうっ!」ジャキィンッ

 バキッ・・・!

赤ん坊の父「!? なっ・・・!?」
人食い鬼6「オジサーンそんなんじゃ俺達に一生かけても勝てないぜ?」チッチッチッ・・・
人食い鬼7「そん前に喰っちまうから意味ねぇだろwww」
人食い鬼6「あそっかwww」
人食い鬼8「まずは柔らかい女から・・・」じゅるりっ

 ガシッ!

助産婦「っ!? ぃっ・・・イヤアアアアアア!!!!!」じたばた
人食い鬼8「おうおう、威勢いいねぇ姉ちゃん。美味そうだぁ・・・」

 ガブリッ!!

助産婦「あ・・・・あぁ・・・」ガクッ・・・

赤ん坊の母「じょ・・・じょさんふ、さん・・・・・」


470 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:42:45 ID:SJOc7N0v
人食い鬼9「キャッキャッキャッキャッ!!!やっぱ美味いねぇ!!!人間は!!!」バリバリッ!
誰かの腕「・・・・・」ぷらーん・・・
人食い鬼10「めっちゃうまっ!!めっちゃうまっ!!!サイコーッ!!!」むっしゃむっしゃっ
誰かの顔「・・・・・」ゴロ・・・

赤ん坊の母「あ・・・あ・・・・・・」ガクガクブルブル

人食い鬼11「・・・おっ、あっちの女美味そうだぜーっ!!!」
人食い鬼12「産後の女かぁ・・・油のってて、うまそー・・・」じゅるるるる・・・

赤ん坊「い、いやぁ・・・た、助けて・・・だれかっ・・・・・、ぁ」

  バリバリバリバリッ  ボキンッッ


471 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:51:03 ID:SJOc7N0v

。o0○

魔王「・・・・・」
赤ん坊「・・・・・」きょとん・・・
魔王「・・・・・」じー・・・
赤ん坊「・・・う・・・」えぐ
魔王「! や、睨んだわけじゃないんだ!すすすまんっ!泣くなっ!」あせあせ
赤ん坊「ぇっ・・・えっ・・・!」
魔王「あああああすまんっ!!目つきが悪いのは昔っからなんだよ〜〜〜っ;」あたあた


472 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:53:11 ID:SJOc7N0v
赤ん坊「ぅ・・・」ぐす
魔王「ふぅ・・・何とか止めてくれた・・・」
赤ん坊「うー・・うー・・・」ぱたぱた
魔王「・・・・・」


473 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 05:58:49 ID:SJOc7N0v
魔王「・・・・・ふふ・・・かわいいなぁ、お前」ぷに
赤ん坊「ぅー・・・」ネムネム
魔王「ゆっくりおやすみー・・・今日は散々な日だったんだからなぁ・・・」
赤ん坊「・・・・・」すー・・・
魔王「・・・・・」

魔王「・・・そして明日から、一緒に」
魔王「生きて、ゆこう・・・」


474 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:15:57 ID:SJOc7N0v
―――――――――――・・・・・
―――――――――・・・・・
―――――――・・・・・

――――――――月日は、流れ―――――。


 ・・・・・バタバタバタバタッ バタッ!

勇者「キャーっ!鬼メイドが追いかけてくるよー!!!」バタバタッ

メイド「こらーっ!あんたまた勝手におやつ食べたでしょうっ!待ちなさーいっ!!」バタバタッ


475 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:19:53 ID:SJOc7N0v

勇者「よしっ・・・あの角を曲がってぇっ・・・・・」とたとたとたっ・・・

 ぼすっっっ

勇者「っ! うわぁっ」どてっ
魔王「ん・・・? 勇者じゃないか」
勇者「ま、まおー・・・・・」
魔王「駄目だろう、廊下を走っちゃあ」こつんっ
勇者「あいてっ」

 ・・・バタバタバタタッ バタッ!

メイド「あっ・・・! 魔王様・・・!」ぴたっ
魔王「メイド、お前も廊下を走ってぇ・・・」こつんっ
メイド「えぅ・・・す、すみません・・・」しゅん...
魔王「次からは走らないように。・・・二人ともっ!」

勇者「はーい」
メイド「はいぃっ!」

魔王「勇者、威勢が足りぬ!」ぐいっ

勇者「! はいぃっ!」びくびく


476 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:27:33 ID:SJOc7N0v
魔王「まったく・・・・・最近生意気になってきたな、お前は」ぷに
勇者「あぅ」
魔王「見ろっ 花が少し散ってしまっただろうっ!」ばさ...
勇者「うー・・・ごめんなさい・・・」しゅん...
魔王「・・・まぁいい、ちゃんと反省しているようだしな」なでなで
勇者「・・・あのお墓のとこに行くの・・・?」
魔王「ああ・・・そろそろ誕生日だから・・・」
勇者「・・・俺も行くー」ぐいっ
魔王「ん・・・行くのか?」
勇者「うんっ」にこっ
魔王「そっか・・・じゃあ一緒に行くか」にこ


477 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:30:42 ID:SJOc7N0v

 シュンッ

魔王「よっ・・・と・・・」とさっ...
勇者「わっ・・・すすきがいっぱい・・・」
魔王「大丈夫か?足元、見えるか?」
勇者「む、馬鹿にするなよっ!これでも大きくなったんだぞっ」ふんっ
魔王「ふふっ・・・そうか」にこ...


478 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:41:00 ID:SJOc7N0v

 ザッザッ・・・

魔王「・・・・・」

 ―第・・・勇者、ここに眠る―

魔王「・・・・・」
勇者「・・・ねーねーまおー」
魔王「っ・・・な、なんだっ?」ぐしっ
勇者「いっつも思うんだけどさーこの首飾り趣味悪くない?新しいのかけてあげたら?」
魔王「いっ・・・いいんだよっ これは、私の夫が死ぬまで大事に持ってたものなんだからっ・・・」
勇者「えー・・・」
魔王「子供にはわからないの!愛なの!・・・大体、カッコいいじゃんか・・・この首飾り・・・」ちゃら・・・
勇者「魔王は趣味悪いよ」
魔王「むむむ・・・お前に言われる日が来るとは・・・」


479 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:46:44 ID:SJOc7N0v

 ・・・・・今だにお前の夢を見ることがある。

 私が触れた頬、腕、手、唇、
 私に触れた肌、体温、吐息を思い出すために。



480 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:48:20 ID:SJOc7N0v
勇者「前から言ってるもん、・・・魔王が聞いてないだけで」
魔王「なぬっ・・・そうなのかっ」
勇者「大人はいつも子供の話を聞かない・・・」ぷぃっ
魔王「! す、すまん・・・」
勇者「・・・むーっ」ぷくー


481 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 06:50:37 ID:SJOc7N0v

 たった10年間一緒に暮らしただけなのにな!
 私にとっては確かに瞬きする間の出来事だ!
 ・・・・・なのに瞼の裏にはお前の、笑顔が。



482 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 07:03:20 ID:SJOc7N0v
勇者「いーもんっいーもんっ慣れてるもんっ 無視されることはぁっ」ぷぷくー
魔王「ほらほら飴ちゃんやるから機嫌なおせ」ひょい
勇者「! わぁいっ!ありがとうっ!」ぱぁあっ
魔王「・・・な、なんて単純・・・・・」


483 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 07:05:34 ID:SJOc7N0v

 私にとっては大ダメージだ!
 まさかこんなにもただ一人の人間を愛してしまうなんて!
 ・・・”勇者”は、だんだん強くなってきているのかもしれないなぁ・・・


484 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 07:07:12 ID:SJOc7N0v
勇者「まおー」ぐい
魔王「ん?」

 ちゅっ

魔王「!」
勇者「へへへっ・・・お礼のきすー」にこぉ
魔王「・・・この、ませガキ」くす


485 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 07:22:33 ID:SJOc7N0v

 ・・・もしかしたら何時の日か、この子が私に刃を向ける日が来るかもしれない。
 それが勇者の宿命。勇者の運命。
 たとえじわじわと追い詰めていく呪いがかかってなくとも・・・・

 でも、私はこの子の幸せを願うよ。
  
 ただ、”勇者”の幸せを願う。それだけ。


486 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:10:43 ID:SJOc7N0v
勇者「まおー・・・大好きー・・・」ぎゅうぅ
魔王「・・・どうした?今日は。やけに甘えただなぁ・・・」なでなで
勇者「だってぇ・・・」ちらっ
魔王「?」
勇者「この人の誕生日が来ると、魔王どっかいっちゃいそうな顔になるんだもん・・・」ぎゅう...
魔王「・・・っ」


487 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:14:59 ID:SJOc7N0v

 情に振り回された魔王だって、お前は笑うのだろうか?
 法も守りきれず私情で人間を襲った魔王だって、嘲笑う?

 ・・・そんなことありえないってわかってるから、



488 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:17:28 ID:SJOc7N0v
勇者「・・・・・」
魔王「・・・・・私は何処にもいかないよ」
勇者「・・・ほんとぉ?」
魔王「もちろんだ」にこ
勇者「絶対だかんねっ ・・・俺を置いてったりしたら許さないからねっ!」
魔王「はいはい」なでなで


489 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:19:04 ID:SJOc7N0v

 まだ分からない
 この先何が起こるのか

 人間から”勇者”を奪い続けたら
 また新しい勇者が生まれる?
 それともゆっくりと忘れられて・・・・・
 
 ”勇者” は伝説になる?



490 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:21:33 ID:SJOc7N0v
魔王「・・・・・そしたら、私も伝説になるのかもな・・・・・」
勇者「なにー?」
魔王「いいや・・・何でもないよ・・・・・・・・・」


491 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:24:49 ID:SJOc7N0v

 ・・・・どんなことがあったって
 今の私は幸せだって 胸を張って言えるから・・・・・・

魔王「・・・・・さぁてっ・・・帰ろう・・・勇者」にこ
勇者「うんっ」

 笑顔で また会おう  私の愛した人

魔王「・・・・・・帰って仕事だな・・・」
勇者「・・・ねねー?まおー?」
魔王「なぁに、勇者?・・・・」
勇者「俺ねー・・・・」ごにょごにょ
魔王「・・・ふっ・・・あはははっ・・・・・」
勇者「わっわらうなよーっ」
魔王「ふふふっ・・・わいいなぁ・・・・」
勇者「ま、またっ・・・」
魔王「・・・ふふふふふふふ・・・・・・・・・・」


         
            ・・・・勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」〜終〜



493 :創る名無しに見る名無し :2009/11/29(日) 12:45:42 ID:SJOc7N0v

〜言い訳という名のあとがき〜

無事、完結・・・しました・・・・・←ダブル規制にかかってた奴
ラストまで一気に書こう!っと活き込んだら朝になってたとです・・・おおぅ・・・
かなり真面目なシーンで脱字しちまっているけど見逃してくれ〜・・・<(´A`)>ウワァアン

ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました!
こんなに長いの書くの初めてだったんで、感想がなければ完結しなかったと思います・・・

・・・では引き続きご意見、ご感想はお待ちしておりますので・・・・・・・(´∀`)ニコッ!ズウズウシイ!
本当にありがとーございました!テンキューベリマッチ!!!(*´∀`*)ノシ

※魔王の作り方でシチューを作るともれなく材料の無駄になります。止めましょう。
※エロは専門外なのでエロパロ版で買い求めましょう。・・・おにんにん放置、ごめん!




出典:勇者「やいやいやいっ!まおう!!!」
リンク:http://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1258163436/

(・∀・): 409 | (・A・): 118

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