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2010/03/20 23:28 登録: えっちな名無しさん
「マニフェスト」なんて聞いたこともなかったのに、今や欠かせないフレーズになった。しかし、意味は“公約”という何の変哲もない、非常に期待外れで「週刊誌の袋綴じか!」と言いたくなるものでしかない。
かといってミニマム級ばりに軽いかというと、そうではない。“公約”さえ守れば雇うが与党に取って代わることは十二分に可能なのである。
こんなことがあった。小学6年生のとき、授業中に先生が中瀬という生徒に説教を始めた。
「なぜ、こんな短い鉛筆しか持ってないんだ」という『どこにスポットを当てたんだ、内外タイムスか!』という内容。ただ、あまりにも先生がしつこいので、気になって中瀬の筆箱をのぞいてみると2cmほどの鉛筆が10本近く中で蠢(うごめ)いていた。
一番長いものでも4cmくらい。先生の言い分は「短い鉛筆だと字が下手になり、そのうち書くことがイヤになり、学力低下につながる」という、風が吹けば桶屋が儲かるという言葉を作ったのもさてはお前か、と思わせる論法だった。その説教に中瀬も納得したのか「必ず長い鉛筆を持ってきます!」と力強く公約した。
次の日、問題を解いていると、またもや先生が中瀬を説教した。内容は“短い鉛筆リターンズ”である。その日も同じように「必ず長い鉛筆を持ってきます!」という公約でエンディングを迎えた。
さらに次の日。ちょいと抜けてる中瀬は、三度目の“短い鉛筆事変”を起こした。さすがの先生もブチ切れ「3日後、テストのときまでに長い鉛筆を持ってこい!もし持ってこなかったた、お前の両親を呼び出す!」と吠えた。それ以降、6年5組では“先生支持派”が支流となり、中瀬は完全に“野党”扱いになった。
3日後、チャイムが鳴るとクラス皆の焦点は“中瀬の筆箱”に集まった。全員一致で中瀬の親は呼び出されるに違いない、と予想を立てていた。テストが始まっても誰一人取りかかる者はいない。全員の眼球が中瀬の眼を捕獲している。
先生が中瀬の方へ近づく。一歩、二歩・・・と、そのとき!中瀬は机の中に手を入れ、ゴソゴソと何やらまさぐると、次の瞬間、なんと修学旅行で土産で買った、直径2cm、長さ約60cmの例のぶっとい鉛筆で問題を解き始めるではないか!しかも真顔で「長い鉛筆持ってきました!」と先生を見上げていた。
私は思った。先祖まで呼び出されるぞ、と。しかしあまりに真っ直ぐな中瀬の瞳に気圧されたのか、先生は「・・・うん、長いね」と言ったきり、その日は口を開かなかった。この日以来、中瀬は“中瀬君”は君付けで呼ばれ、野党から一気に政権与党へと躍進を果たした。
余談だが、私はそのテストのとき中瀬に2つ後ろの席にいた。あまりにも長い鉛筆だったため、動きで中瀬が何の文字を書いているかなんとなくわかった。それを見て答案を埋めたら、人生で一番低い点数を獲得した。
出典:済々黌ラグビー部
リンク:上田晋也

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