都市伝説の真実
2010/04/01 20:41 登録: えっちな名無しさん
高校の同級生にKって奴がいた。
俺とKはオカルトや都市伝説好きで
意気投合し、二人でその手の雑誌やサイトを良く見ていた。
最初の内はお互いの感想を言い合うだけだったが、
やがて、便乗して「やっぱあそこはヤバイ」とか
「○○だろ有名じゃん」と煽る内容を書き込むようになり、
ついには、二人でオリジナルの話しを作るようになった。
奴には文才がありもっともらしい嘘を書くのが得意だった。
俺は文才は無かったのだが、評論にはそれなりの自信があったので、
自然と「二人で話し合った内容をKが文章に起こし俺が読む。
うそ臭く感じるところを俺が指摘して二人で直す」
そんな分担が出来ていた。
作品のリアリティーにも勿論拘った。
登場人物の設定、地理関係は勿論、その土地の歴史まで調べて
「詳しく調べると何かの事件や由来に行き着く」様にした。
その頃にはgoogleアースに加えストリートビューが普及した頃だったので
家に居ながら街を見渡せるのは大いに助けになった。
尾ひれがつき易い様、あえて抑えた表現や情報を少なくする事もあったが
全てに綿密な脚本と設定書を用意した。
(最終的な作品数は約3年間で短編・長編含めて20本位だったと思う。
その全てを幾つかのサイトに投稿した。
※その内の2〜3本は尾ひれがついて広がり、今でもその手のまとめサイトでよく見る。)
最近、偶然コンビニで手に取った本に俺達の話が写真入りで
紹介されていた時は笑った。
俺とKは別々の大学に進んだが
以前と変わらずよくつるんで他人の作品批評や創作活動をしていた。
そんなある日、Kと俺・地元の仲間達で合コンをする事になった。
男女比は5対3、女の子達も結構可愛く、男達のテンションは高かったが
彼女持ちの俺は盛り上げ役に徹して後はまったりしていた。
Kは得意の「怖い話し」で女の子達の興味を引いて
結構モテてたと思う。
そこに遅れて、Uちゃんと言う娘が来た。
ガッキー風の清楚な娘でKは一目惚れだった。
俺も「Kが好きそうなタイプだな」と一目で思った。
早速、KはUちゃんに「山間の廃病院」の話しを始めるも
「私、怖い話しとかダメなんです」と泣きそうな顔で拒否反応w
俺は内心「終わったな、Kw」と楽しんでいたが、
Kの変わり身は凄かった。
「だよね〜。俺も怖いのダメなんだよ。ホーンテッドマンションも
怖くてさ〜。それでね・・・。」と
1分後にはディズニーランドの豆知識になっていた。
Kにこんな話力があった事に感心しながらも
アイコンタクトに答えて
俺も適当に相槌打ったりドナルドダックの物まねをした。
そして、会が終わる頃には
Kの猛アタックと俺の盛り上げ(?)で二人は良い雰囲気になり
暫らくして、KとUちゃんは付き合う事になった。
だが、その日以来KはUちゃんの為に都市伝説の創作をやめた。
寂しい思いもあったが、俺も二人にとってはその方が良いと思った。
そんなある日、何気なくUちゃんと話していて
Kが良く手紙を書いてくれると言う話になった。
なんでも、デートの度に「帰ったらこれ読んで」と手紙を渡すらしい。
「どんな内容なの?」と聞くと
モジモジと口篭って話そうとしないが、
どうやら、愛のポエムみたいな物らしい。
つい最近まで、異形の化け物の話しで嬉々としていたKが
愛のポエムをうっとりと便箋にしたためている姿を想像すると
腹がよじれそうになったが、
Uちゃんもまんざらでもないらしく、
照れながらもベッドの中で詳しい内容を教えてくれた。
(Kの名誉の為にここでは伏せるがw)
そんな二人も今度、結婚するそうだ。
「披露宴のスピーチをお願いしたい」と
いつになくあらたまって二人に言われた時は
俺も照れくさいながら感動して涙ぐんだ。
二人の幸せを心の底から願う。
唯、心が痛むのは俺たちの作った都市伝説が
いまだに実しやかに語られている事だ。
俺たちにとっては青春の思い出でも
本気で信じてしまった人が少しでも居ると思うと申し訳ない。
出典:オリジナル
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