兄貴から聞いた話。

知り合いの兄貴に聞いた話。
たぶん嘘だけど、面白かったから書いてみる。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　
俺＆友人→凡人
兄貴→我らが兄貴 ジャイアン
Ａ→兄貴の友達 イケメン
Ｂ→兄貴の友達 イケメン
　　　　　　　　　　　　　　　　　　

兄貴とＡさん、Ｂさんで旅行に行った。オカルト的なものが好きな兄貴達は、人形を供養する寺を見に行ったらしい。
言い出したのは兄貴だとか。

徒歩→電車→徒歩a→バス っていう予定だったんだけど、徒歩aで寄り道したらバスが無くなってたらしい。
目的の寺は山の中だったから、兄貴たちはバスに乗らずに歩いて行った。

寄り道っていうのは、Ｂさんが便所に行ってたこと。
汚くて、独特の香(うんこ臭)のする便所だったとか。

　　　　　　　　　　　　　　　　

夕方６時に寺に着いた兄貴たちは、住職さんらしき人に
「人形を供養している蔵を見せてくれ」
と頼んだらしい。
住職さんは迷う素振りを見せたが、兄貴たちの熱意に負けたのか「決して騒がないように」と言って了承してくれた。

　　　　　　　　　　　

蔵は寺の裏にあって、小さくて暗かった。
人形は９体あって、住職さんが軽く説明をしてくれたけど、兄貴には普通の人形にしか見えなかった。

でも７体目の人形と９体目の人形だけは、正直怖かったらしい。
７体目は日本人形だった。住職さん曰く「持ち主が変になる」人形らしいが、兄貴は詳しく話してくれなかった。
９体目は首の無い日本人形だった。
Ｂが人形の撮影の許可を求めたが、住職さんに駄目だと言われて断念した。


見学が終わった兄貴達は、図々しくも住職さんに「泊めてくれ」と頼んだ。
驚いたことに、この頼みには住職さんはあっさり了承してくれた。

夜中、風呂も入らずに兄貴達は布団を敷いて川の字で寝てた。

Ｂさん「写真撮りたかった」
Ａさん「ヤバいもん写るかもしれねぇぞ」
Ｂさん「何だよ、ビビってんのかよ？」
Ａさん「ビビってねぇよ」

兄貴「じゃあ、今から写真撮りに行こうぜ」

ジャイアンな兄貴の意見に賛成した二人は、早速カメラを持って蔵の前に行った。

鍵は閉まってたけど、ジャイアンが無理やり引っ張ったらグシャって音がして開いたらしい。

「首無し市松人形」の９体目をモデルにすることにした兄貴達は、さっそくカメラの準備をした。
携帯のライトで照らして、インスタントカメラを使ってＢさんが簡単に撮影。

Ｂさんに続けて携帯で撮影しようとしてたＡさんが、突然
「あ゛ーーーーー！！！首ーーーー！！」って叫んだ。

兄貴は驚いてＡさんの口を塞いだらしいんだけど、それを振り切ってＡさんが血相変えて逃げ出した。
慌てて兄貴とＢさんも後を追いかけたらしい。


蔵を出て住職さんの部屋まで走った兄貴たちは、住職さんに「阿呆な真似しくさって、この餓鬼！」と凄く怒られたらしい。
その後、軽いお祓いをしてくれたとか。Ａさんは暫くパニック状態だった。

それで結局、三人とも住職さんの部屋で寝た。よっぽど怖かったのか、Ａさんは幼児みたいにＢさんにくっついてたらしい。
兄貴仲間外れｗｗ顔も仲間外れｗｗ

朝になって、住職さんにお礼を行って歩いて電車まで戻った兄貴たちは、昨晩のことについてＡさんに質問した。

兄貴「お前さ、なんで叫んだんだよ？」
Ａ「………首、持ってた」
兄貴「首？持ってなかったぞ。誰のだよ？」
Ａ「顔までは見えなかったけど、持ってたんだよ！」
兄貴「持ってなかったってば。なぁ、Ｂ？持ってなかったよな、Ｂ？」

そしたら、Ｂさんが「持ってた」って言ったらしいんだ。

またもや自分だけ仲間外れにされてムカついた兄貴が「じゃあ、どんな首だったんだよ？」ってキレたら、

ＡさんとＢさんが口を揃えて「男の首」って言ったんだって。
つまり、市松人形が男の首を抱えてたってことだと思う。
Ｂさんの撮った写真は、失敗だったのか何も浮かび上がってこなかったらしい。


帰りに、またＢさんがトイレに行きたいって言った。
仕方ないから再びうんこ臭のするトイレに行った。
臭いトイレに近寄りたくない兄貴とＡさんは離れたとこで待ってたらしい。

そしたらＢさんから電話がかかってきて「トイレットペーパーが無いから、ティッシュを持ってこい」って言われた。
兄貴が鼻をつまみながらティッシュを持って行ったら、Ｂさんはトイレしてなかった。

兄貴「なんだよ、トイレしないならティッシュいらねぇじゃん」

Ｂさん「あのさ、これ見ろよ。……Ａには内緒だぞ」

Ｂさんは失敗作のインスタント写真を取り出した。

兄貴「失敗作なんだろ？」
Ｂ「あんなの嘘に決まってんだろ」

兄貴が見たら、確かに市松人形が首を持ってる写真があったんだけど、その首の顔がＡにそっくりだったらしい。
Ａそのものではないんだけど、かなり似ていたとか。


Ｂ「この写真、明日にでも供養してもらうべきだよな」
兄貴「だろうな」
Ｂ「Ａには内緒にしような」
兄貴「分かってる」



何だかんだで、三人とも無事帰宅。
兄貴から聞いた話は終わり。

後日兄貴に、「あれって本当っスか？」って聞いたら「さぁな」って言われた。
けど、たぶん嘘。
だって、Ｂさんにその話をしたら爆笑してたし。


出典：Ａさんは
リンク：生きてます