マスクメロン
2010/04/16 22:53 登録: えっちな名無しさん
笑えるというか嬉しかった話を一つ
俺(弟)の家は、二人兄弟で2歳上の兄貴がいた。
家は、貧乏なくせに、、田舎の古い家柄だったため、色々な部分で昔ながらの教育方針があり、
一族は長男大事が基本、兄貴に俺が泣かされた場合は、理由の如何に関わらず、
泣くほうが悪い、五月蠅い、と泣いた後に良く怒られていた。
また、子供のころは、基本的に誕生日やクリスマスを祝ったこともなかったし、
プレゼントを貰ったことは一度もなかった。夏休みに旅行に出かけた記憶もない。
友達が、誕生日プレゼントでXXを買ってもらった、夏休みにどこに出かけた、という話を羨ましく
そして、表面上はなんでもないフリをして聞いていた。
そんな子供時代に一つだけ嬉しい記憶がある。
ある日、母親から
「今日は、弟の誕生日だから、夕食後にマスクメロンを食べよう」と言われた。
その日は、俺の誕生日だった。
俺は、誕生日なんて祝ってもらえないと思っていたから凄く嬉しかった。
そして、夕食後、マスクメロンを両親と兄貴、俺で食べることになった。
母親は、マスクメロンを包丁で4つに分けたが、大きなメロンだったので、きちんと4等分できず、
明らかに、大きさが不ぞろいだった。
俺と兄貴は、当然、一番大きななメロンを狙っている。
兄「僕これがいい」
俺「僕これがいい」
兄貴、次に俺がその一番大きなメロンに手を伸ばす。
でも、兄貴は素早くメロンを取り上げて、自分の皿に移した。
俺は、この時点で大きなメロンは食べられないと思っていた。
なぜなら、何かを選ぶときは、最初が兄貴で次が俺という順番は、大人たちから常に徹底されており、
破ろうものなら、俺はいつも親から怒られていたからである。
もう、大きなメロンは食べられないと思ったら、最初の嬉しさを忘れて、悲しくなってしまい
涙が出てきた。
その時に親父が一言、
親父「今日は、弟の誕生日だから、弟が一番に選んでよい」
こんな事を言われたのは、生まれて初めてであり、その嬉しさから、涙はいっぺんでひっこんで
満面の笑みで、その大きなメロンを食べることができた。
誕生日はなんてすばらしいのだと思った。
以上が、俺の嬉しかった思い出です。
ちなにみ、そのマスクメロンは、じいちゃんが入院しており、そのお見舞いでもらったものらしい。
出典:母親と、手をつないだ
リンク:記憶はない

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