写真の少年は・・・
2010/04/28 23:37 登録: えっちな名無しさん
229 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 07:02:36
私が高校生の頃、祖母の家に遊びに行ったとき、納戸で古いアルバムを見つけた。
アルバムを開いてみると、それは我が家のアルバムらしく、
そこには今より随分若い父と母が写っていた。
わー、うちのアルバムなんだ。
そう思ってページをめくり続けると妙なことに気が付いた。
え?え?何これ?
写真には父と母が写っていた。
けど、年齢的に絶対写っているはずの年の離れた姉の写る写真は一枚もなかった。
姉の代わりに写っていたのは、スポーツ刈りの見知らぬ少年だった。
その少年の写真は、七五三から幼稚園でのお遊戯会、小学校の入学式、運動会まであって、
家族旅行などの写真まである。
写真の構図や写真の枚数から考えても、アルバムの主役はその少年、
父母は常に少年の側に立つ脇役といった感じだった。
どう考えても、親戚のような遠い関係じゃないし、
いくらなんでも、親戚の七五三や運動会までうちの親が顔出すなんて不自然。
きっとうちの親とは家族並みに親しい関係なんだろうけど、
でも、姉と同年代のその少年に、私は心当たりがない。
そもそも、姉の写真が一枚もないのもおかしい。
ちなみに、我が家の写真はアルバムに整理されて、我が家にある。
他の写真とは隔離されて、祖母の家で保管されていたこのアルバムには何か深い訳があるように思えた。
一人薄暗い納戸で考え込んでしまった。
しばらく一人で悩んだけど、結局、数日後、母に聞いてみることにした。
母の話は複雑な顔をして考え込んで、しばらくの沈黙の後、真相を教えてくれた。
母が言うには、あのスポーツ刈りの少年は、小学校時代の姉だという。
姉は性器の奇形のために出生時、男の子と間違えられ、小学校までは男の子として育てられたという。
驚いて声も出なかった。
ここからは姉から聞いた話。
姉は小学校の頃、性別は男として育てられたんだけど、顔立ちが女の子そのものだったから、
「男女」とか「ホモ男」とか言われて、近づくと「キモイ」などと言われていじめられていた。
私だったら、ショックで学校行かなくなってるところなんだけど、
そこは努力家で忍耐強い姉だけあって、男女と言われないように、精一杯男らしくして頑張ってた。
髪はいつも短くして、サッカーや空手なんかもしたりしてた。
だけど、どんなに努力しても、やっぱり元は女の子。
短距離走のタイムなんかも、徐々にクラスの男子から離されていって、
小学校中学年になる頃には、下から数えれば5本の指で数えられたし。
サッカーなんかしても、体力続かなくて、男子と一緒に最後まで走ったりできないし。
空手なんかも、体は柔らかいから足は上がるけど、やっぱり男には敵わない。
成長するにつれて、姉は次第に女らしい顔付きになり、体つきも、いくら鍛えても女みたいに華奢。
成長して男女の違いが顕著になるほど、姉は運動音痴になっていって、
「男女」と呼ばれることも増え、悩みも増えていった。
本当は刺繍やビーズなんかにも興味あったけど、
そんなものに興味を持ってるなんてことがクラスの人に知られたら、間違いなく「男女」とからかわれる。
そう思った姉は、興味があっても、決して女の子の趣味には手を出さなかった。
テレビに映るアイドルグループを見て、ときめくこともあったけど、
それがクラスに人に知られたら、間違いなくホモ扱いされて、更にいじめられる。
からかわれて、不細工男子とキスさせられそうになった苦い経験もあったし、
そんな思いをもう一度するのが嫌だった姉は、
ジャニ系アイドルに興味が沸いても、決してそんな素振りは見せなかった。
誰にも相談しなかったけど、でも密かに姉は、
男女とか、ホモとか言われる自分が、実は評判どおり美男子好きで、
皆が言う通りの変態男だったということに、姉は深いショックを受けてた。
テレビでアイドルを見て、アイドルにときめく自分に気付く度に、
自分が変態だということを思い知らされ、姉は一人苦しんでいた。
姉がアイドルに目を奪われるようになった頃、
クラスのサッカー好きの男子の一部は、教室にサッカー雑誌なんか持って来て、
海外の一流サッカー選手のスーパープレーの写真を見て「すげー」とか「かっくいいー」とか言ったりしてた。
相手がプロサッカー選手なら、「かっこいい」と素直に自分が言っても許される。
そう思った姉は、アイドルに恋焦がれる女心を日本国内外の一流サッカー選手に向けた。
他の男子が海外サッカー選手の名前とチーム名ぐらいしか知らない中、
姉は、お気に入りの選手の生年月日や経歴まで抑えてるようになり、
いつしか姉は、クラスのサッカー博士になっていた。
相変わらず「男女」とからかわれることも多かったけど、
なんとかクラスでの居場所も確保した姉は小学校高学年になって、また悩み始める。
第二次性徴が始まり、胸が膨らんできたから。
「胸が膨らんできたことをクラスのみんなに知られたら、絶対いじめられる」
そう思った姉は、包帯買ってきてサラシを巻いて、
さらにTシャツは厚手のものを2枚重ねにしたりして、学校に行った。
体育がプールのときは「水が怖い」で押し通して全欠した。
姉は、必死に胸の膨らみを隠し続けた。
小学校6年のある日、姉が学校から帰って下着を見ると、血の染みが出来ていた。
とうとう姉は、生理が始まってしまった。
幸い、その日のズボンは黒いジャージだったので、他の人には気づかれなかった。
「生理が来たなんて知られたら、間違いなくいじめられる。
せっかく出来た友達も、また自分から離れていくし、
これから女として暮らして、スカート履いて学校行ったりなんて、冗談じゃない。」
そう思った姉は、親が帰宅する前に下着とジャージを洗い、
重ねたティッシュをセロハンテープでくっ付けて生理が来たことを隠そうとした。
でも、そんな小学生が作った応急ナプキンじゃ、なんとかなるもんじゃない。
翌朝、姉はパジャマとシーツに染みを作ってしまい母に気付かれてしまった。
何かの病気だと思った母が姉を病院に連れて行くと、
母と姉は医者から「生理ですね。この子は女の子です」
と衝撃の事実を聞かされた。
姉から話を聞いた後、母に生理があるなら膣もあったんだろうし、
なぜオムツを代えるときに気付かなかったのか、て聞いたら、
赤ちゃんの頃、姉の膣は大き目のホクロぐらいの大きさで、窪み少しある程度のものだったらしく、
そのため、医者も両親も気付かなかったのだと言う。
どうも、その後成長して膣口が次第に大きくなっていったらしい。
もっとも、大きくなったとは言っても、通常の女性と比べれば極端に小さいものだったらしいけど。
一口に性分化疾患といってもタイプは様々。
姉は、このまま成長すれば、どんどん女性らしくなっていくタイプらしく、
今後、男性として生きるのは難しいとのこと。
医者は姉に、今後は女性として生きることを勧めた。
ちなみに医者の話では、姉よりも重度の人は、女性と分かっても、
そのまま男性として生きることを選択する人が多いらしい。
また、姉と同程度の人でも、なんとか男性として生きられないかと模索するらしい。
まあ、ご近所の目や今までの友達関係なんかもあるし、急に性別変えるのって、難しいというのは分かる。
衝撃の告知に、我が家は一家揃って落ち込んだ。
「実は女だったなんて、今更言えない。言ったら格好のいじめの的だ」
そう考えた姉は、そのまま不登校児になった。
親も、姉に学校行くよう一応は勧めたけど、
姉の気持ち考えると、とても無理に登校させることは出来なかった。
結局、姉は小学校をそのまま不登校で通した。
プールは仮病で全欠だし、不登校と決めたら不登校だし、姉は意思の強い人だと思う。
これ、姉から聞くまで知らなかったんだけど、義務教育の間って、
出席日数が0日でも、本人や親に卒業・進級の意思さえあれば卒業・進級できるらしい。
私立はどうか知らないけど。
その後、姉の中学入学に合わせて、母は父方祖父母との超近距離別居をやめて、
姉と、まだ物心付かない私とともに、父を残して、飛行機の距離ぐらいの遠方に引越した。
姉の中学はセーラー。
誰も自分を知らない街で、姉は初めてスカートを履いて女性として学校に行った。
頼れる友達は誰もいないし、女性として暮らした経験もない。
しかも、長らく不登校で学校なんてしばらく行ってない。
心細さでいっぱいで、登校途中に何度も引き返そうと思ったけど、
母に励まされて、姉はなんとか学校に行くことができた。
姉は、必死に同性の友達を作ろうと思って頑張ったけど、一緒にお手洗いに行ったり、
「かわいい」と言われたら、必ず「えー。そんなことないよー」
と答えたりする女子特有の文化には、すぐには馴染めなかった。
加えて、今まで女の子趣味を徹底的に避けていた姉は、女子との共通の話題があんまりなかった。
姉の悪い予想通り、姉はクラスの女子の間で浮きがちになった。
でも、元は男子なだけあって姉は、漫画にしろスポーツにしろ、男子との話題には事欠かないし、
男子と一緒にいる方が慣れている分、心理的にも楽だった。
つい昔の癖で、男子と距離感ゼロで話すことも多々あって、
姉は、親しく話せる男子の友達が自然に沢山出来てしまった。
特に、サッカー部のイケメン君と仲良くしたのがまずかったみたい。
ただでさえ女子の間では弱い立場にいるのに女子とはグループの輪にいるときさえ、
あまり話せず、他の女子が男子と距離を保って付き合う中、
男子とは距離感なく仲良く話す姉は、次第に女子から嫌われ始めた。
姉はまた、中学でも人間関係に苦労するようになった。
こういう人間関係の苦労は、姉が高校に入っても続いた。
姉は、男子からの人気は高かったので、中学から高校にかけて、何度か男子から告られた。
でも、姉は一度もOKしなかった。
姉が拒み続けた理由は、まだ完全に女性になりきっていないから。
姉は、学校では女性らしい通名を使っていたけど、
戸籍は「女性として生活できることを確認してから訂正手続きをする」
ということで、戸籍上の名前は、男性の中でも一際男らしい名前のまま。
加えて、性器の形が人と少し違うし、膣口が小さいので、手術をしなければ性交は不可能。
女性化手術をやってほしくても、女性として生きられることが確認できなければ医者からは延期を勧められる。
姉は、完全な女性じゃないっていうコンプレックスのために、すっかり恋愛を避けるようになってしまっていた。
高校3年のとき、ずっと恋焦がれていた人から告白されたんだけど、姉は、涙ながらに断った。
「昔は男子だったということを知られれば、また『男女』と言われて、いじめられる」
「せっかく誰も自分の過去を知らない土地に来たのに、過去を知られてしまえば、また全てを失ってしまう」
姉の心の底には、そういう脅迫観念のようなものがあるんだと思う。
たぶん、小学校時代のいじめのトラウマだと思う。
大学3年の夏休み、姉は手術を受け、同時期に戸籍なんかも修正して、名実ともに女性となった。
姉が入院したのは私も知ってたけど、難しい年頃だった私に家族は本当のことを言わず、
私は、子宮筋腫の手術と聞かされてた。
その後も色々、医者のお世話になって、姉は今、結婚もして子供もいる。
以上、高校生になるまで知らなかった姉の半生でした。
長くなってごめんなさい。
239 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 07:57:42
>>229
結局アルバムはなんでその1冊だけ祖母の家にあったの?
240 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 08:06:25
>>239
ごめんなさい。書き忘れてました。
アルバムを持って行かなかったのは、元男の子だったことを知られることを、姉が極端に嫌がったからだそうです。
友達が遊びに来たりしたとき、万が一アルバム見られて、姉が元男の子だったことがばれたりしないように、
引越し先には、姉が男の子だった痕跡が一切ないように親が気を使ったそうです。
241 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 08:16:32
>>229
姉はしあわせかい?
242 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 08:26:40
>>229
旦那は、元男だって知ってるの?
244 :229:2009/12/13(日) 08:43:00
>>241
難しいと言われてたけど、ずっと念願だった子供も授かって幸せそうです。
>>242
知ってます。
付き合い始めてからしばらくして、姉は散々悩んだ末に捨てられるの覚悟で、涙ながらに伝えたそうなんですけど、
姉旦那は「へー。そうなんだw」
と軽い感じの反応で、それどころか男装の姉を見てみたいとか言い出したみたいで、
姉は「あー、悩んで損したー」て、嬉しそうに怒ってました。
245 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 09:29:12
>>244
幸せならそれでいい。それとレス本人もな。
246 :名無しさん@HOME:2009/12/13(日) 20:18:26
229姉にドキドキして自分はホモかと悩んだ同級生もいそうだな。
末永くお幸せに。
出典:2ch
リンク:2ch

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