公園の小学生3

2010/05/03 02:22 登録: えっちな名無しさん

第二章〜
なんだか…息苦しい…こんなに暑かったか…?

そう思うか思わないかの所で俺は意識が遠のいた…

―――ん?

「あれ…俺どうしたんだろ…」

気づくと俺はスーパーに横たわっていた。

少しして店員さんが近づいてきた

「大丈夫ですか?」

意識はもうろうとしていたが、周りの視線が恥ずかしい

すかさず「あ、大丈夫です。すいません、暑くて倒れてしまいました」

ただのバイトであろう店員さんは心配をするそぶりだけして、その場を去って行った。

「なんだったんだろう…今の…」俺の手には買うつもりで持っていたペヤングと麦茶を見て

「とりあえずレジで済ませて帰るか…」

そう思ってスーパーを見渡す。

「んーレジはあっちか」そのとき、俺の目には不思議な光景が視界に飛び込んだ

ざっと10人はいるだろう子供の集団がお菓子コーナーに重なっている。

子供というよりは幼児だ。また4〜5歳であろう子供が10人も…文字通り重なっているのである。

俺は暑さで頭が変になったのかなと思ったが、もとより頭は変なので変わりはない。

どーしても今までの人生経験では解決できない光景が目の前にある。

その時脳に直接声が流れてきた。

『やぁこんにちわ』

あれ…この声…覚えてる…誰だろう…

『何でボクを捨てるのさ!』

ん…そーだ。この声あの人形の声だ!

『今子供達の霊見えてるでしょ?あれ、まだ成仏できてない霊なんだよ』

なんの事だかさっぱりわからない。そんな事を考えながらどうやって早くペヤングを食べるかだけを考えていた

「そうなんだ。一回家に帰って考えるよ」理解はした、つもりでいる。

その上で、早くペヤングが食べたいと思っている。俺にはどうする事も出来ないのだ。

『ちゃんと成仏させてあげないと、気づいてるのにスルーしたら憑いてきちゃうよ?』

幽霊だけに着いてくると憑いてくるが、掛かってる訳だ。はは、暑すぎてそんな事すら考えてしまう。

ただ、この声もしっかり聞こえる。子供もしっかり見える、2〜3人気づいてこっちを見てるのも知ってるしな…

「わかったよ、どうすればいいんだ?」

『この子たちの願いをかなえてあげるんだよ、まずは話を聞かないと』

はぁ…ペヤングが食べたいだけなのに、何でこんな事になるんだ。ペヤングさん助けてくれ

「や、やぁ君たち。こんな所でどうしたんだい?」

≪・・・・・・・・・・・・≫

みんな俺を見ているが、何も喋ってこない。このまま帰ろうか…


≪…お兄ちゃん、僕たちが見えるの?≫

「ま、まぁ見えるようになったのはさっきだけど…何か困ってるのかい?」

≪・・・・・・・・・・・≫

全員が黙ってしまった。何で俺はこんな事をしないといけないんだ。早く帰りたい…

「んーお菓子が欲しいのかな?」

まぁ妥当な質問だろうと、自分でも思った。お菓子コーナーの前にいるんだから100人いりゃ95人は聞くだろうな。

残りの5人は若者言葉で言うとKYって所だろう。

≪お菓子…おいしそう…食べてみたい…≫

この子達はお菓子を食べたことがないのだろうか…何か生きてる時代が違う気がする。

「そっか、どんなお菓子が食べたいの?」

自分で言ってておかしいもんだ。幽霊がお菓子を食える訳がないんだから。

≪・・・・・・・・・・・≫

また黙ってしまった、一体俺はどうすれば良いんだよ。学業が終わってからバイトくらいしかした事ないのに、この現状を打破する術なんて知る訳もない…

≪分からない…≫

なんて言っていいのか分からなくなってしまった。同情とかじゃなくて、お菓子を食べた事がないんだろうか?…とりあえず…

「じゃあ俺が好きなものを適当に選ぶね?」

そんな事を言って一番安いお菓子を人数分手に取った。

「く、うまい棒で…130円もするのか…」

俺のポケットにある500円を確認してレジへ向かう

「何かもう俺…何してんだろう」そんな気持ちに駆られながら会計を済ませる。

振り向くとお菓子コーナーに居た子供たちがみんな着いてきてるし憑いてきてる。

…何か幼稚園の遠足の時の先生の気分が…分かるわけねえだろ。

そんなこんなで外で脳に呼び掛ける。

「おい!おい!お菓子買ったけどどうすればいいんだ?」

『…ん…あ…ああ!お菓子な。よし、で、お菓子何買ったんだ?』

こいつ寝てたな…「俺の好きなもの買ったけど…この子達お菓子知らなかったし」

『そっか。そーだな。でもお前安い物が好きなんて親思いだな』

100人いて95人に入らない奴がこんなに近くにいたのか。

「まぁ…で、どうすればいいの?」

『幽霊にあげればいいんだよ』

俺は人生で一回も幽霊にご飯をあげた事がない。お供え物なら分かるが、あげる?どうやってあげるんだ。

「ん…置いとくだけじゃダメなの?」

『当然、人が存在しないなら、お菓子も存在しない物にすればいいだけだよ』

んー…俺が考えつく事なんて、お菓子を燃やす位しかないんだけど…

「どうすれば存在がなくなったことになるの?」

『ん、燃やせば良いんだよ』

まさかのご名答。俺、この世界渡っていけるかもな。

「じゃ、一回家に帰って燃やすか…」

『あーだめだめ。家に帰る途中、家に帰ってからは危険なんだよ』

「ん?何で?外で燃やす方が危険でしょ。法律的に」

『なんて言うか…幽霊も気まぐれでさ。他に目移りしたらそれに憑いちゃうんだよね』

『たとえば家にゲームなんかある?』

…なんて言うか…ゲームしかないんだけど、とりあえず外で燃やす事を考えよう。

「でもスーパーで燃やすなんてマズイでしょ。それに人の居ないところって言ったって…」

あっ…あった。一か所だけあった…

あの公園…誰も使ってないし、ブランコもボロボロだし目移りしないよな…

タバコは吸うからライターも持ってるし…。

そのまま俺はペヤングを片手に公園に向かう。

夢に出てきたときの公園とは全然違うな…。なんて言うか、ボロい…。

「よし、じゃ適当に燃やせるもの集めるか…警察に見つかったら色々めんどくさそうだな…」

≪なに…するの?≫

「ふぅ…このお菓子を君たち皆にあげるんだよ」

≪・・・・・・・・≫

黙ってしまった…。いつぐらいを生きてた子供なんだろう?

まぁ俺は成仏させてあげる事だけを考えてればいいんだな―――

―――よし、火ついた。ここにうまい棒を投げて…

何か俺、周りからどんな目で見られるんだろう…

まだ暗くはなってないから…大丈夫かな?夜やってたら完璧通報されちゃうよ。

そんな事を思いながら目が会う人全てに不細工な笑顔で会釈をする。

「はぁ…いつまで燃やしてれば良いんだろう…」

ん…?あれ?子供の人数が減ってる…

あっ…一人消えた…消えるとき笑ってるのかな?…泣いてる様にも見えるけど…

≪お兄ちゃん…ありがとう。おいしかったよ≫

「あ…うん。いいんだよ…」

またね、なんて言えない。幽霊だから…思わずもっと食べるか?と聞きそうになった…。

「…ふぅ」

周りを見渡す…これでみんな成仏したのかな…。

『お疲れさま。いきなり色々あったけど、とりあえず帰って説明しないとな』

ほんとだ。説明してもらわないと困る。何がなんだか全く分からない。

できれば分かりたくもなかった。でも夢でもないし…なんなんだよ…

俺はペヤングを持った袋を見つめて…

「こんなの買わないで、もっと美味しいもの買ってあげればよかったな…」

少しの後悔と、頭に聞こえる謎の声と、誰も居ない公園から聞こえるブランコの音を聞きながら帰路についた…。



出典:あ
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