兄貴から聞いた旅館の話

2010/05/17 13:36 登録: えっちじゃない名無しさん

知り合いの兄貴に聞いた話。
たぶん嘘だけど、面白かったから、書いてみる。
   
俺&友人→凡人
兄貴→我らがジャイアン
A→兄貴の友達 ヘタレなイケメン
B→兄貴の友達 爽やかなイケメン

暇だったから、兄貴に怖い話をせがんでみた。兄貴は、「よし、俺の武勇伝きけっ」てノリで話してくれた。
兄貴たちが中学生だった頃の話らしい。
親に頼んで、三人だけで古い旅館に泊まりに行った。
今もその旅館はあるけど、田舎の駅裏で背徳の館みたいになってる。
 
兄貴たちが泊まった時でさえ怖い雰囲気が漂っていて、好奇心から泊まりに行ったらしい。
無愛想なおばちゃんに案内された部屋は、汚れた畳と破れた障子が目立つ小さな部屋だった。
カビ臭かったが、窓は古くて固まっていたため開けれなかった。
 
俺「他に客はいたんスか」
兄貴「さぁ………いなかったと思う」
 

客のいない旅館、っていうベタなシチュエーションの中で兄貴たちは一泊することにしたらしい。
部屋には畳まれた布団が三つと、気味の悪い掛け軸があるだけだった。
トランプをしながら時間を潰していた兄貴は、ふと思いたった。
 
兄貴「そうだ、探検しよう!」
 
トランプを放り出した兄貴たちは、三人で部屋を出て探検することにした。
武器の代わりに、
Aさんは割り箸
Bさんは三角定規
兄貴は爪楊枝
を持って行った。
そんなに広い旅館ではないため、兄貴たちはバタバタと走り回って部屋を見て回った。
だけど、ほとんどの部屋を確認した兄貴たちは自分の部屋を忘れてしまったらしい。
 
A「どこだっけ」
B「あっちじゃなかったか?」
兄貴「どこでも一緒だろ」
 
部屋を探して歩き回った兄貴たちは、やっと自分の部屋を見つけた。そして、今度は部屋の前に目印としてAさんの水筒を置いておいた。
 
A「なんで俺の水筒なんだよ」
B「安物だから」
 
で、再び三人でトランプを開始。
Bさんと兄貴は持参した水筒でお茶を飲んでいた。
やっぱり、お茶を飲むと便所に行きたくなる。Aさんを部屋に残して、兄貴とBさんは便所に向かった。
手洗い場は直ぐに見つかった。
だけど、男子トイレの中から何か音が聞こえたらしい。
ガリガリ…ガリガリガリガリ………
…ガリガリガリガリ
耳を済ませると、何かを削る音のようなものが聞こえる。兄貴とBさんは顔を見合わせると、各自の武器(三角定規と爪楊枝)を握り締めて扉を開けた。
 
B「………え」
兄貴「……」 
 
トイレの中には足のない女がいた。
膝から下が無い女は、必死の形相で壁に爪を立てている。
そして、異様な雰囲気に声の出ないBさんと兄貴の方にゆっくりと視線を向けた。
 
女「ゃぁあ!ぁああぁあ、ぁぁああ!!」
 
女は、二人の顔を見るなり目を見開いて叫び声を上げた。高くなったり低くなったりと定まらない不気味な悲鳴に、兄貴とBは慌てて逃げ出した。そして、隣の女子トイレにかけこみ、入ってこれないように扉を抑えつけた。
ガリガリ……ガリガリ…ガリガリ
廊下から音が聞こえて、兄貴たちは必死で息を殺していた。
ガリガリ…………ガリガリガリガリ
やがて、音が遠ざかったのを確認すると、兄貴とBさんは女子トイレを出た。
 
兄貴「なんで男子トイレに女がいるんだよ。痴女かwwうはww」
B「さぁ………」
兄貴「部屋に戻ろうぜ」
 
早足に戻る途中、ふと兄貴が足元を見て呟いた。
 
兄貴「なんか変な跡がついてる」
B「……爪のあとみたいだな。あの女、這って移動してるんだ」
 
前を向くと、爪の跡はどこかへ続いている。Bさんが慌てて走り出した。兄貴も追いかける。
 
兄貴「どうしたんだよ?」
B「あの女、俺等の部屋に行ったんだ!」
兄貴「まじで?」
 
目印の水筒を見つけて、部屋の襖を開ける。中には、眠っているAさんがいた。
そして、その隣には添い寝をする女がいた。歪んだ唇を曲げてAさんを眺めている。 
B「おい!はなれろよ!」
兄貴「何してるんだよ!」
 
叫ぶと、女はけたたましい悲鳴を上げて開けっ放しにしてあった納戸(布団とかが入ってるやつ?)の中に入った。
咄嗟にBが扉を閉める。
 
兄貴「おきろA!」
A「ん…………トイレ長かったなー」
 
起きたAさんはケロリとしていたらしい。納戸の中からは物音がしなかったため、放っておくことにした。
それからは普通に寝て、朝起きて、帰るだけだったらしい。
ただ、帰りにAさんが担いでいたリュックが、兄貴とBさんには足無し女をおんぶしているように見えて仕方なかったそうだ。

昨日、兄貴に「あの話、本当っスか?」って聞いたら「さぁね」って言われた。
でも多分、嘘。

だってAさんに聞いたら「俺、畳アレルギーだし」って言われたから。

出典:Aさんは
リンク:担いでた

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