君を忘れない
2010/06/22 09:46 登録: えっちな名無しさん
親が経営するスーパーで嫌々レジをやってた時、小学3年ぐらい女の子が買い物に来た。
レトルトカレーやご飯などを手に持っていたので「親が作ってくれないのかな?」と思っていたら
「今日はお母さんが熱で寝てるから・・・妹の分まで」ということだった。
そして会計の時になったのだが、親から貰ってきた千円札ではちょっと足りなかったようで
「あ・・・ぁ・・・じゃあカレーは妹と半分ずつにするから1個返してきます」
俺は自分の財布から出した小銭を足して「千円でいいよ」と言った。
恥ずかしそうに礼を言ってその子は帰って行った。
あれから随分と経った。
経営がうまくいかなくてスーパーは潰れ、代わりにコンビニができた。
俺がレジをしていると、20歳ぐらいの娘が話しかけてきた。
「ここがスーパーだった頃、レジやっていた人ですよね?」
「・・・ん?もしかしてあの時の小学生?」
彼女は静かに頷き、謝らないといけないことがあると言い出した。
「あの時小銭を持っていたのですが、お小遣いが欲しくて千円札しか持って
いないふりをしてしまいました」と。
それを聞いて、やっぱりあの時の娘だと確信した。
「別にいいよ。50円ぐらいだったし」と俺が言うと、彼女は笑いながら
「優しい人でよかった」と言うから
「いや俺は優しいんじゃなくて気が弱いんだよ」と笑った。
でも彼女は少なく支払ったことをずっと気にしていたようで
「840円だけど千円札で払います。お釣りは要りません」と言って
俺の手をとり、折りたたんだ千円札を握らせた。
柔らかい、小さな手だった。
「あ、でもちゃんとレジ通してお釣り渡さないと・・・」と俺が言うと
「あの日からずっと、悪いことしたと思ってたんです。あなたの優しさに触れたら
やっと謝る勇気が・・・受け取って下さい!」と言い残し、足早に去っていった。
去りゆく彼女の後ろ姿から千円札に視線を移した時に初めて気付いた。
偽札だった\(^o^)/
出典:マチの“ほっ”とステーション
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