東大生?
2010/07/02 15:54 登録: えっちな名無しさん
とあるボランティアサークルでの出来事
メンバーは大学生が中心で、私は当時、テストの解答用紙に氏名さえ書ければ合格できると言われるような底辺女子大の学生だった。
真面目にボランティア目的で参加しているのは2割くらいだったと思う。女性が多かったので、それを狙って参加するようなチャラ男もたくさんいた。定期的に親睦会という名の飲み会があるのだが、ここぞとばかりにチャラ男がはしゃぎ回り、女性を口説くので苦痛だった。
ある年の親睦会で、チャラ男の代表格であるA男と席が隣になった。A男は世間的にはイケメンなんだろうが、どうにも私はその性格や振る舞いが生理的に受け付けなかった。
早速口説きモードに入ってきたA男。馴れ馴れしく話しかけてきた。つきあってあげるよという上から目線で驚いた。そして、聞かれもしないのに「俺ってさー、早稲田の理工学部なんだよね」と言ってきた。
そんなの知るか興味ねー、と思ったので「それってすごいんですか?」と惚けたら大笑いされ、「そっかー、私ちゃんは●女子大だからわかんないよねー。」と言われた。馬鹿にされたのでカチンと来て何か言ってやろうと思ったが、「え〜!!A男さんって早稲田理工なんですか〜!?」とチャラ子たちがやってきてA男を取り囲んだ。
ちやほやされて調子に乗ったのか、A男はいかに学歴が大切であるかを語りだした。すごーい!と目をうるうるさせて聴いているチャラ女たち。すると、A男は近くにいたB男にもふってきた。
「なーB男。お前もそう思うだろー?」とニヤニヤしていた。B男は大学生だったが、特にどこの大学であるのか皆知らず、本人も言いたがらなかったので、名もない三流大学だろうと噂されていたからだった。
するとB男は「学歴って確かに人を判断する指標の一つになるけど、そんな重要な指標ではないと思うよ。学歴はあくまで通過点だからね。東大卒のニートもいれば、中卒で一流企業の社長になる人もいるからね。社会に出てからどれだけ頑張れるかが大切だと思うよ」とさらりと話した。
A男は少しイラっとしたようで「それは負け組みが自分を正当化するために使う理論だろ。高学歴ってことは、それだけ努力したか才能があるかなんだよ。学歴で判断するなっていう前に、お前ら低学歴層は努力したんか?」と絡んできた。
B男は冷静に「別に学歴を否定しているわけではないよ。学歴をうまく使うのは良いと思うけど、他人を馬鹿にする道具として使うのはどうかと思うよ。」と言いながら、私の方を見た。たぶんその瞬間に私はB男に惚れたんだと思う。
A男はその後も執拗にB男に絡み、「それならお前はどこの大学だよ。言ってみろー」としつこかった。
B男「東京の大学だよ」
A男「東京には腐るほど大学があるんだよ。言えよ」
B男「東京と名前がつく大学」
A男「そんなのもいっぱいあるだろ。ちゃんと言えよ」
B男「そうだなー。俺の大学、略したら東大になるな。だから俺も東大生だぜー。いえーい」
A男「ブホッー(変なツボに入ったらしい)。こいつ、本物の馬鹿だー」
何か急に場が和み、それからB男は皆から「東大」と呼ばれるようになった。小馬鹿にされたような言い方だが、B男は全く気にしていないようだった。
それから半年後、衝撃的な事実が発覚する。
部屋の戸締りをしていた時、財布が落ちていたのを見つけた。誰のかわからなかったので、失礼して中身を見たら、B男の顔写真付きの学生証が出てきた。そこには「東京大学工学部」と書かれていた。
驚いてB男に電話した。B男は財布を必死に探していたようでものすごい感謝され、ケーキをおごってくれることになった。
ケーキを食べている時、B男に「学生証見てしまったよ。本当に東大生だったのね。」と言った。そして、なぜA男に馬鹿にされていたのに本当のことを言わなかったのか聞いた。
ここから先は異次元の話だった。どうやら、B男にとってA男は昔の自分みたいだということだった。
昔といっても小学生の時。B男は小学校時代は「神童」「天才」などと賞賛され、天狗になっていたとのことだった。しかし、中学受験をして自分が井の中の蛙であったことをとことん思い知らされたらしい。A男が合格した某N中は中高一貫教育の超進学校で、全国模試のトップ10が何人も普通にいるような学校らしい。
彼いわく、本当の天才を見たら、恥ずかしくて自分のことを天才とは思えなくなるとのこと。イチローの同級生が「俺は野球の天才だ」などと言えないのと一緒とのこと。そこで、凡人は凡人なりに努力し、自分にしかできないことを見つけ、自分の夢を達成しようと決めたらしい。だから彼にとって学歴はあくまで目標に到達するための手段の一つに過ぎず、むしろボランティアでの実体験こそが重要だったとのことだった。
さらに驚いたのは、N高校からは早稲田理工に指定校推薦で入れるということだった。N高生にとっては東大や京大に進むのが普通で、落ちこぼれたけれど浪人はしたくないという生徒がその指定校推薦を利用するということだった。正直、B男にとって、A男はなぜこんなことで自慢できるんだろう????状態だったらしい。
そんなA男は、他人を見下す態度が改まらず、総スカンをくらってサークルを辞めました。辞める少し前、B男が本当に東大生だと知らされたときの「ぽかーん」とした顔が忘れられません。取り巻き連中の関心がA男からB男に移り、プライドを傷つけられたのが辞めた一番の理由かもしれません。
B男は、学歴を気にしないという公言通り、底辺校卒の私を嫁にしてくれました。私は今、彼の夢の達成にむけて応援しています。
出典:オリジナル
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