複雑
2005/03/25 13:45 登録: えっちな名無しさん
「バイク乗れるの?じゃあ後ろ乗せて!」
そう頼まれたのは高2の期末テストの朝だった。
いつも遅刻してくるこの子も、テストの朝だけは早く来ていた。
そして二人で他の人が来るまで隣同士座って勉強するのだ。
そうやって仲良くしてくれるのは嬉しかったが、
彼女の左手薬指の指輪を見るたびに複雑な気持ちになってしまう。
それと同じ指輪をしている男とは、もっと仲良くしてるんだよな・・・
『ごめん。まだ初心運転者期間過ぎてなくて、二人乗りできないんだ』
「え〜。いいじゃん・・・」彼女は甘えるように言った。
『ダメ。3年生になるまで待って。そしたら乗せてあげるから』
彼女は悲しげな顔をした後、世界史の勉強に戻った。
2年の終業式。朝早く来ると、彼女が既に来ていた。
ふと彼女の手を見るといつもしていた指輪が無い。
今まで指輪についてあえて聞かなかったが、その時は別だった。
『いつもの指輪、どうしたの?』
そう聞くと彼女は隣に来て、黙ったまま俺の目をみていた。彼女の瞳に目を奪われてしまった…
どのくらいかはわからなかった、時間的には短いはずなのに
とても長く感じた。
彼女と見つめ合ったまま、もう一度同ことを言った。
彼女は
「忘れてきちゃった」
『そうなんだ』
「気になるの?」
優しく言われたので思わず言ってしまった。
『彼氏となんかあったのかとおもった』
「…」
『あったの?』
「別になんにもないよ、それよりもうバイク乗れるよね?」
『うん、乗れるけど』
「じゃあ、放課後乗せてね」これを言い彼女は席に戻った。
このとき、嬉しさと悲しみがあった。
(・∀・): 45 | (・A・): 49
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