校庭脇のトイレ

2010/09/10 13:07 登録: えっちな名無しさん

中学校の校庭脇のトイレには不吉な噂があった。
夕方6時、閉じられた個室から女の笑い声が聞こえる。
その声を聞いたものは数秒後、トイレから出て来た悪霊にあの世界に連れて行かれる…。
他愛もない怪談話だと思っていた。

ある日の放課後。
図書室での読書を終えて帰宅する際、トイレに行きたくなった。
家まで我慢出来るかわからないと判断し、近くのトイレに向かった。
それは、噂の校庭脇のトイレだ。

さっさと用を済ませて帰ろうと、中に入ろうとした時。

「ははは、ははははは!」

聞こえた。
聞こえてしまった。
女子トイレから、苦しげな笑い声が。
空耳だと思いたかったが。

「ひひひひっ、あっはははは!」

聞き間違えではない。
確かに女子の笑い声。
愕然とした。
まさか、本当に?

キーンコーンカーンコーン

完全下校を告げるベルが鳴り響く。
それは時刻が6時であることを示していた。
体が恐怖に震えた。
本当に、噂が本当なら。
この後、個室のドアが開いて…。

ガチャリ

ドアが開く音が聞こえた。
その音に、体がビクっと震えた。
噂は…真実?
全身の力が抜け、その場にへたりこんでしまった。

…死ぬ?
本当に、死ぬ?
そんな、まだやりたいことがいっぱいあるのに…。
助けて、誰か助けて…。

頭の中が混乱して、何も考えられなくなっていた。
そして………女子トイレから現れたのは。

「もう、本当に死んじゃうかと思った」
「罰ゲームなんだから仕方がないじゃん?」

………見覚えのあるクラスメートの女子2人だった。

「しかも、何でわざわざトイレでくすぐるの?」
「逃げ場が少ない方が、おもいっきりくすぐれると思って」
「お願いだから、もう勘弁してね…」
「3分間はやり過ぎた?」
「当り前でしょ!二度と味わいたくないわ!」

恐怖の表情を浮かべて訴える女子の片割れ。
彼女達はこっちに気づかずに、その場を去っていった。

悪霊はいなかった。
個室の中には、くすぐられてる笑っている女子がいただけだったのだ。
良かった、本当に良かった…。
心の底から、今生きていることに安堵した。

ただひとつ、重大な問題が残ってしまった。
それは。

ぐしょぐしょに濡れた下着、どう処分しよう…?

出典:情けないけど
リンク:ノンフィクションです

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